今回は再びやってくる夏合宿編です~!
お楽しみ下さい!!
真夏の炎天下。
どうにか期末テストを乗り越えた軽音部は・・・。
「夏合宿だぁぁぁあああぁ!!」
というわけで、今年も海です。
またムギの別荘を借りたのだが、去年よりも大きくなっているのにも関わらず・・・まだ一番大きいものではないという。
・・・まじかい。
木造建築のログハウスのような別荘であった。
だがここもスタジオが付いているという。
「本当にムギん家はスゲェな・・・」
「来年は大きいのにするね!」
「あぁ、うん」
これに一番驚いているのは梓だ。
ムギの家の経済力の大きさに驚愕している。
「これでスタジオ付いてるんですね・・・凄すぎる―――」
「だろ?まぁ、思う存分練習しよ―――――」
「レッツ!!!オーーシャンッッ!!!」
あー、やばい。
水着に颯爽と着替え、海へとダッシュする律と唯の姿が見えた。
それを白い目で見る梓。
「うぉおおぉいッ!!!」
澪がすかさず止めに入る。
「遊ぶのは練習してから!!約束したでしょ!?」
「えー、遊びたい!」
「遊びたい!」
いつも食い違うよなぁ・・・。
「じゃあ、多数決にしよう!」
「いいよ!」
今のとこ、梓、澪が練習派。
律、ムギ、唯が遊びたい派。
・・・一斉に俺に視線が集まる。
「相馬はどっち!?」
―――悪いな、澪。
「遊びたいでーす」
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全員水着に着替え、浜辺に出る。
合宿前に女子達で水着を買いに行っていたみたいだから、去年とは違っていた。
今年は俺も泳ぐか!
「相馬くん!ビーチバレーやろ!」
「いいぜ!受けて立ってやる!」
「呑気でいいですね~・・・」
「梓はやらないのか?」
「・・・・・。」
「球技苦手なんだっけ?」
「苦手じゃないです!やってやるです!」
頬を膨らませながら、立ち上がり俺らの輪の中へ入る。
「さ、行くぞ!」
俺は高くボールを舞い上げ、唯へトスする。
それを唯は目で追いかけながら走り、手で梓へ。
梓は小さい身体を動かしながら、俺にトス。
だが・・・パワーが足りず俺の下へは届かなかった。
「ありゃ。」
「んーーーーー。悔しい・・・!」
「もっと膝を使わないとな~。バスケと一緒だよ。」
「分かってます!もーー!」
結構梓は負けず嫌いなんだなー、と思う。
それがあそこまでのギターテクニックを身につけさせたのだろう。
そういや、澪にもバスケ教えたことあったっけ。
・・・懐かしいな。
***
そこから俺らは泳いだり、鬼ごっこをしたり、律を砂に埋めたり、色々なことをして楽しんだ。
多分、今年一笑ったと思う。
あっという間に日は暮れ、星が見え始めてきた。
「ハァ~~疲れた~!」
「もうご飯食べたーい!」
律と唯は砂浜で寝ころびながら、叫ぶ。
「いや、練習は?」
白い目で見る澪。
「んー、明日やろ!」
「そう言うと思った・・・今日絶対やるからな!」
「だから最初に練習がいいって言ったんですよー!」
それを聞いた梓がノコノコとやってくる。
・・・全身茶色になっていた。
まぁ全身日焼けしていた。
「梓が一番楽しそうに遊んでた気がするけど・・・」
「そっ、そんなことないもん!」
「「「「・・・・・・。」」」」
「そんなことないもんっっ!」
*************************************
夜ご飯はみんなでバーベキュー。
梓と澪が食材を買ってきて、皆で調理をした。
俺と唯は肉を焼く担当。
梓と澪はおにぎりを作る。
律とムギは野菜を切っている。
練習は全くしてないし、一応軽音部の夏合宿だけど。
でも、こういう時間もいいと思う。
「相馬くん、ボーとしてるよ?考え事?」
唯が首を傾げながら聞いてくる。
「いや、違うよ。」
「元気?」
「めっちゃくちゃ元気」
「良かった!そっち焼けてるよ!」
「あっ、おう!ありがとう」
肉をトングで摘み、ひっくり返す。
・・・と同時にバチッ!と火の粉があがり、それが俺の指に触れる。
「あちっ!」
反射ですぐさま指を舐める。
その声に皆が反応して、俺の様子を伺ってくる。
「大丈夫!?相馬くん!?」
「どうした?相馬!」
「何かあったんですか?」
梓と澪と唯が近づいてくる。
ムギが奥から絆創膏を持ってきてくれるのが分かる。
「なーんだ、火傷か。唾ぬっときな!」
「俺は少年か・・・」
「ムギ~絆創膏もってきた~?」
「はい~」
花柄の女の子がつけるような可愛い絆創膏をムギが持ってきた。
それを律が受け取り、俺の指に貼ってくれる。
「ほら、これで大丈夫だろ~?」
「おう・・・ありがとう」
「よし!じゃあ作業再開しよっか!」
「「「はーい」」」
皆で作業を進めていく。
そして、皆で肉を食べていく。
「美味しい!私みんなで焼くお肉が一番好きだわ~!」
「おお!ムギが言うなら本当だな!」
「このおにぎりも旨いな」
手に取ったおにぎりを食べながら言う。
これはどっちが作ったおにぎりだろ。
「小さい方が梓だよ~!」
「うるさい!」
澪が若干涙目で律に叱る。
・・・手の大きさってことか。
まぁ梓の方が小柄だし、普通っちゃ普通か。
***
さて、夕食も終わり、すっかり夜も更けた。
そんな中で部長がこんな提案を。
「肝試しをしよう!!」
「お~!」
「小学生か・・・私はやらないぞ。」
澪が冷静を装いながら背を向ける。
「あれ~澪ちゃん怖いの~?」
「うっ・・・こ、怖くないよ!」
「じゃあやろうか??」
「・・・・・」
あからさまに嫌な顔をする澪。
去年の学園祭を思い出すな。
お化け屋敷に入って絶叫してたな~。
「じゃあ、ペアを決めるぞ~?えっと――――。」
クジをした結果、ペアはこうなった。
ムギと唯。
律と澪。
梓と俺。
「おっ、相馬は梓とか~!」
「ちゃんと守ってあげてね、あずにゃんのこと!」
「何から守るんだよ・・・」
「そりゃ"お化け"でしょ!?此処・・・出るらしいよ~?」
「マジかよ・・・」
「それじゃ!ここの墓地一周ね!よろしく~!」
「なんか本当に罰が当たる気がするぞ・・・」
一番手はムギ・唯ペア。
二人とも怖さ知らずなところがあるので、余裕な表情だった。
二番手は澪と律ペア。
恐らく、このペアが一番危ない。
律が何もしなければいいけど。
「先輩、お化けとか信じますか?」
「あ、うーん。どうだろ。非現実的なものは信じねー主義だからな。」
「一緒です。高校生にもなって肝試しするもんなんですね・・・」
「それもそうだな・・・。まぁそれが軽音部らしいってもあるけど。」
「確かにそうですね!」
軽く微笑む梓だったが、ここでずっと気になっていたことを一つ聞く。
「最近どうだ?」
「何がです?」
「軽音部だよ。慣れてきた?」
「まぁ、なんとか。相変わらず唯先輩とかはダラダラしてるけど・・・」
苦笑いをする。
まぁ、そりゃそうか。
「でも演奏になると人が変わったように凄くなるんだよな」
「そうなんですよね!そこは尊敬してるんですけどね~」
「そこはって・・・」
瞬間。
キャ――ッ!と遠くから叫び声が聞こえた。
「―――――ッ!!澪か!?」
「多分この声はそうですね・・・澪先輩のだと!」
「え、出たのかな・・・幽霊」
「怖いこと言わないでください・・・」
「そろそろ時間だ。行くか!」
「尾形先輩!先お願いします~・・・」
「ちょっと怖がってんじゃん・・・」
「うぅ・・・。」
小さく固まる梓を背に、俺と梓は歩き出す。
墓地に挟まれる道を通るってのは本当に気味が悪い。
まぁ所詮怖いと思うから霊とかが見えるのであって、俺はそんな非現実的なものは――――。
俺は"あるモノ"が目に入って思考が停止した。
「ごめん、梓。さっきの言葉撤回・・・」
それと同時に足も停止する。
それに戸惑う梓が俺に声を掛ける。
「急にどうしたんですか!?」
「み、み、見えちゃった~~~」
「え、お化けですか・・・!?」
「あぁ・・・もう典型的なやつ・・・白いワンピースを着た女性・・・」
梓の顔を見なくても分かる血の気の引く音。
心臓の音だけがやけに大きく感じた。
「戻りませんか・・・先輩・・・!」
ギュッと確かに梓は俺のTシャツの裾を掴んだ。
それから伝わる震え。
やはり澪の絶叫はこれが原因か――――!?
俺は震える梓の手の上、手首を優しく掴む。
今戻るのも誰も居ないし、危ない。
ここは先に進んで、止まってる澪達と合流したほうがいい。
さっきのは俺が見えただけで、梓も見たわけじゃない。
俺の見間違えって可能性もある。
「先進むぞ、梓」
「え・・・無理ですよ・・・怖いです・・・!」
「俺が付いてるから大丈夫だよ。さっきのは見間違えだ。大丈夫。」
「うーん・・・はい。分かりました・・・!」
俺と梓は墓地の間の通路を進んでいく。
今にも出そうなその雰囲気、確かに俺の中の危機を知らせる第六感的なものが警告音を鳴らしている。
だが、男である以上引き下がる訳にはいかない・・・。
初めて弱気な梓を見た気がした。
だが。
「梓ちゃあぁぁああぁぁあん―――――――――」
「「うわああああああああああああああぁぁあッ!!!!???」」
二人して情けない悲鳴をあげた。
とっさにだが、梓を自分の背後にやり状況を整理する。
遂に霊が出たのか・・・!?
いや、でもこの声聞き覚えあるぞ・・・。
まさかな・・・。
「・・・山中先生じゃないですか」
白いワンピースを着た女の人。
あぁ・・・マジか・・・。
「ヤダ☆バレちゃった☆」
「「・・・・・・・・・」」
二人して白い目で見る。
すると奥からその悲鳴を聞きつけた唯とムギがやってきた。
「さわちゃん!来てたんだ!」
「途中で迷子になっちゃってぇ・・・」
「あ、はぁ」
この人大人だよな・・・。
「まぁ、何もともあれお化けじゃなくて良かった・・・」
「あ~ら、相馬ちゃん。怖かったの?怖かったんでしょ?」
「はいはい、怖かったよ!ちくしょー!」
想定内と言わんばかりに山中先生が煽ってくる。
ふと梓と目が合う。
「梓も怖かったよな?」
「え、えぇ。まぁ・・・。でも先輩が居たので・・・。」
「やはり二人はそういう関係なのね~」
「「違いますッ!」」
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「じゃ、寝るぞ~?」
無事?夏合宿一日目終了。
かなり疲労でもう眠い。
「おい、律。また人の耳の側でドラム叩くなんてことはしないでくれよ?」
「分かってるって~」
ニヤニヤしながら返事するな、怖いから。
去年と同じく俺は女性陣と同じ部屋で寝る事になる。
そういえば、去年は澪と海辺を歩いたんだっけ?
「懐かしいな・・・」
「今、去年のこと思い出してた?」
突然、澪が俺に話し掛けてくる。
「ああ。澪と散歩したっけなって思ってさ」
「懐かしいな」
「だろ?もう一年経つんだな」
「あぁ。早いよな~」
なんとなく過ごしている毎日だけど。
決して当たり前なんかじゃない。
そして、ソレは終わりに近づいている。
ゆっくり、ゆっくりと。
確かに少しづつ。
すると澪が俺に顔を近づけ、耳打ちしてくる。
「今年も散歩する?」
「え――――?」
少し頬を赤らませながら。
澪は小声でそういった。
思わず俺も赤くなる。
胸の鼓動が高鳴る音がした。
「いや、何言って―――」
「なーんて、なっ!冗談だよ冗談!」
爽やかな笑顔をこちらに向けてくる澪。
思わずそう返してしまったが、俺は確かに一瞬行きたいと思ってしまった。
澪も冗談を言うと、ついつい可愛く思ってしまう。
あまり言わないからだろうか。
理由は分からないけど、目で追ってしまうのだ。
「おやすみ、相馬!」
「おやすみ・・・」
「それじゃ寝るぞ~!」
唯と律とムギの枕投げが終了したので、電気が消される。
暗闇になる部屋の中で夜月の灯りだけが部屋を照らし出す。
「――――。」
俺は澪が好き・・・なんだろうか―――?
相馬、気付く―――。