更新遅れて申し訳ありません。
ついにこの作品も評価欄に色が付きましたね~!
嬉しい限りです(^^)/
お気に入り200目指して頑張りますので、ぜひぜひ応援よろしくお願いします!
今回はHTTメンバーの亀裂?のお話と、相馬くんの恋についてです。
いやはや、今回は結構今後の展開を動かす大事な話ですのでお見逃しなく!!
お楽しみに~!
チャイムが鳴る。
今日も放課後の時間が始まる。
皆が揃っておしゃべりを始めたり、部活の準備を始める。
そんな中、隣の席に座る澪も準備をし始めた。
「相馬ー、いこっか!」
「おう」
二人で和にさよならを告げ、部室へと向かい始める。
そういえば、澪と二人で廊下を歩くのにも慣れてきた気がする。
最初なんて、体育館に連れ出すので精一杯だったりしたのに。
「そういえばさ、昨日律とご飯楽しかった?」
そんなことを澪は聞いてきた。
「あぁ、楽しかったよ」
「良かったね。私も最近律と二人でご飯とか食べにいってないなー。」
「まぁクラスも違うしな」
「でも和とは前もご飯食べに行ってて、久々に軽音部以外で友達が出来たって感じする・・・かな」
「和いいやつだよな、俺も最初の時から知っているけど」
「そうなんだよ!私、和といると安心するんだ!」
「気持ちは分かるぜ。」
「でも、律ったら、昨日これからお昼も練習するから!とか言ってきたから・・・しばらく和とご飯食べれなくなっちゃった。」
「・・・そうなのか?」
昨日の律の話を思い出す。
複雑な問題にならねーといいけどな・・・。
ふと考えてしまう。
あの一年の初めから仲の良かった律と澪。
この二人が離れてこそ起こる問題か。
「まぁ・・・考えすぎだよな・・・。」
***
澪と部室へと向かう。
いつも通り、他愛もない会話をしながら、いつも通りの廊下を歩いていく。
澪といると落ち着く。
そして話していて楽しい。
だが、それは最初から持っていた感情ではない。
次第に心が決まってきたのだ。
俺は・・・澪のことを女性として意識してるのか―――――。
澪の横顔を見つめる。
無邪気に話す彼女の横顔が眩しい。
本当に整った顔をしているよな・・・。
律は俺の気持ちなんてお見通しってことか。
部室へと着く。
扉を開けると、既に律とムギと唯、梓がいた。
「遅いぞ~!お前たち!」
「すまん。澪と話しててさ。」
「あ、そう・・・。」
律は何かを察したのか俺にウインクをしてきた。
まぁ、そりゃそう思われとるよな。
「いや~今年の学園祭は澪どんな風に盛り上げてくれんのかなぁ~?」
律が一人でに話し出す。
澪は特に返事をせず、ベースをアンプに繋げる作業をしている。
「去年はパンチラだったし、今年はへそ出しとかかな~?」
「はぁ・・・?」
「そういえば澪にいいもの持ってきたんだった!!」
「なに?」
「恐怖ビデオ!!」
「ひゃあああ!!!」
澪は大きく顔を背けると、律は面白おかしくそれを笑っていた。
相変わらず澪は怖いものが苦手だ。
あと痛々しいものやグロテスクなもの。
それは皆が承知の上で話している。
「なぁ、練習しないのか?もう本番まで近いんだぞ?」
「すーるよ~!」
「じゃ、じゃあ・・・」
「ポニーテール!」
すると律はいきなり澪の髪の毛を掴み、二つ縛りにしてみせた。
それに困惑する澪の表情。
「ねぇってば・・・」
「りっちゃん・・・?」
「律先輩・・・」
いつもと違う違和感。
明らかに律の絡み方が今までと違う。
ひょっとして―――。
「あと怖いビデオもう一つあるんだよ―――――
「練習するんだろッ!!?」
律の言葉を遮るように、澪が叫んだ。
流石に苛立ちを隠せない澪の様子がそこにはあった。
メンバーもその様子にどよめきを隠せない。
「練習しないんなら帰るぞ?」
「いいよ、帰れば?」
「は・・・?」
邪険な雰囲気が流れる。
これはまずいかもしれない。
「悪かったよ、和との楽しい下校を邪魔してさ!!」
「・・・ッ!そんなこと言ってないだろッ!?」
「え、何・・・?どうしたんだろ・・・?」
「お二人とも・・・!」
唯とムギがおどついた様子で二人に声を掛ける。
澪と律がお互いに睨み合っている状態。
俺としたこたことが・・・もっと早めに気付いてればよかった。
この一年半五人で過ごしてきたが、こんなに律と澪があからさまに対立したのは初めてだったのだ。
「お茶にしよ!お茶にしない?ね・・・?」
ムギが必死に取り繕う。
・・・が二人は睨み合ったままだ。
だが―――。
「み、皆さん!!仲良く練習しまょ・・・う・・・!」
ここでなんと梓が猫耳を自らつけてその場を制止した。
彼女なりの場の収め方を考えたのだろう。
その姿はとても勇敢で、さすがの律と澪もこれを見てまだ続けるほど子供ではない。
若干涙を浮かべている梓の隣で俺も口を開く。
「律、澪。一旦二人とも落ち着け。律、お前は少し澪の気持ちを考えな。おふざけも度が過ぎると澪も怒るのは当然だろ?」
「ッ・・・。分かったよー・・・」
「澪、お前も律だからって、ちょっとしたことで腹を立ててると周りの人も雰囲気に飲まれちゃうから、気を付けなよ?」
「あぁ・・・ごめんなさい。」
「みんな、学祭まであまり時間がないんだ・・・!今俺達が団結しないでどうする?梓は初めての学祭なんだ、最高の思い出にしてやろうぜ?」
ここで思い出す。
初めての学園祭。
去年の学園祭。
まだ俺らが一年生のとき。
「最高の思い出かぁ。」
「そうだ。思い出してみろよ。」
「去年は相馬くんと模擬店やったよね~!」
「楽しかったよな。唯は変な衣装まで着ちゃってさ。」
「うん!!」
「そう言われてみると、お化け屋敷も入ったわよね!?」
「ムギちゃん!!入った~!」
「そうそう、澪が怖がっててさ。」
「相馬・・・倒れたよな?」
「澪、それは言っちゃだめ。」
自然と皆の笑顔が戻ってくる。
それくらい去年の学園祭は楽しかった。
「だから・・・梓にもそれを教えてあげようぜ?こんなところで喧嘩している場合じゃない!」
「それもそうだな。悪かったな、梓。」
「い、いえ!大丈夫です・・・!」
梓は猫耳を外さないまま叫ぶ。
「あのっ!私、放課後ティータイムとしての演奏、すっごく楽しみにしているんです!新歓で見たあんな素敵な演奏をする側に自分も行けるって思うと・・・ワクワクが止まりません!」
「あずにゃん!!良い事いう~!!」
「だから学祭のステージを最高のステージにするために・・・皆さんと頑張りたいです!」
「よく言った!梓!」
「梓ちゃん・・・」
「・・・練習するか。」
律の一言に皆が頷いた。
***
「じゃあ行くぞ。ワンツー・・・!」
"ふわふわ時間"の最初の唯のソロが流れ始める。
もうこのリフは完璧だな、唯。
去年とは大違いだ。
その他みんなの成長も聞いていて感じる。
・・・はずだった。
「律、ドラムは知らないのはいいけど・・・パワー足りなくないか?」
いきなり演奏を中止して澪は律の方へ振り返る。
それに合わせ、皆も演奏を中止する。
―――が皆も同じことを思っていたようだった。
「律?」
律は下に俯いたまま、何も答えない。
俺らはなんて声を掛けたらいいのか分からず・・・何もできなかった。
「ごめん。なんか調子でないや。また明日練習しよー。」
いきなり律はそれだけ言い放つと、部室を後にした。
俺が後を追おうとすると、それを澪が制止する。
「いいよ、相馬。」
「・・・いや、でも!」
「いいんだよ。バカ律・・・。」
今までこんなことなどなかった。
・・・ほんの少しのすれ違いだったのに。
それが深い溝になってしまった。
こんな学園祭前なのに。
俺がなんとかしなくちゃ。
俺が出した結論は・・・それだけだった。
**********************************
結局、次の日の昼も放課後も、律は来なかった。
部室にいるメンバーは五人、そしてさわ子先生。
律がいないだけで、こんなにもこの部屋は静かなのか。
いつも当たり前にいた存在の重さを知る。
「律先輩・・・来ませんね・・・。」
「どうしたんだろ・・・」
「そりゃ澪ちゃんがりっちゃんに冷たいからよ~。」
さわ子先生はどこを見るわけでもなく呟いた。
「え!?」
「軽音部のために・・・!一日りっちゃんのオモチャになってきなさい!!!」
「えぇ!?」
「でも・・・もしこのまま戻って来なかったら・・・学園祭どうなっちゃうんでしょうか・・・?」
梓が気にしているのはそこだった。
初めての学園祭のために今まで練習してきたのに、こんなことになってしまうなんて・・・。
「練習しよう・・・!」
澪がおもむろに立ち上がる。
その表情は硬かった。
「え・・・?りっちゃんなしで!?」
「し、仕方ないだろ・・・。」
「ええぇ・・・」
「でも律先輩・・・呼びに行かなくていいんですか!?」
「もしくは"代わり"を探すとかね―――――?」
さわ子先生は静かに告げた。
俺らより長く生きて、長く音楽に携わってきた彼女がそんなことを言う。
決して冗談などではないだろう。
「まぁ、万が一ってことを考えてだけど。」
「でも・・・。」
「りっちゃんの代わりはいません!!!!!」
ここでムギが叫んだ。
俺らは代わりを選択肢にすらしちゃいけない存在。
それが律だ。
そう言わんばかりに。
「待っていようよ・・・。必ず戻ってくるから!!」
「そうだな、そうしよっか・・・。」
「うん・・・」
「待ちましょう。」
「俺、今日律の家行ってくるわ。」
「え?」
「俺、一昨日あいつと飯食ってきたんだ。だから少し気持ちも分かるんだ。だから少し話してくるよ。」
「相馬・・・」
「相馬くん・・・」
素直になれない気持ち。
これがこの問題の原因だ。
俺が話に行く。
そしてケリをつけてやる・・・!
そして迎えるんだ―――――。
みんなで学園祭を―――――。
**********************************
律の家は何度か行った事があるから覚えている。
この曲がり角にある一軒家だ。
そこそこいい家に住んでいるんだよな~。
もう暗いけど、あいつちゃんと家に帰ってるんだろうな・・・。
俺は携帯電話を開くと、律に電話を掛けた。
プルルル…とコールが始まる。
俺はその時をずっと待つ。
『もしもし・・・?』
出ないかと思ったその瞬間、律は電話に出てくれた。
「もしもし、律。今外出れないか?」
『外?なんで?』
「今お前ん家の前にいるんだよ。」
『なっ、なんでいるんだよ・・・』
「話したいんだよ。」
『うぅ・・・。分かったよ。』
律は電話を切ると、部屋着に少し上着を羽織り、外に出てきてくれた。
だが彼女は何故かマスクをしていた。
俺らは近くの公園へと場所を移す。
「弟に彼氏か?って聞かれちまっただろ~?全く、家までくる必要あったのか~?」
「あるんだよ。まず、第一に律、お前風邪か?」
「えっ、あぁ・・・まぁね。なんか微熱あってさ・・・。」
「それならそうと、俺らに言えよな。無駄に心配しちまっただろ。」
「わ、悪かったって・・・。」
「みんな―――、律を待ってるぞ―――――。」
「え?」
「皆、お前を待ってんだよ。当たり前だろ、部長は誰だと思ってんだ?」
「でも・・・あたし・・・部長でいいのかな・・・。」
「はぁ?澪に嫉妬してたんだろ?」
「ええっ・・・!?あちゃ~、見破られてたかぁ~。」
「あったりめーだ。この前のご飯だって、あんなの俺からしてみれば伏線だっつーの。」
「律が澪を想ってるからこそだろ?でも、物理的な距離は離れても同じ。お前らが親友なのに変わりないだろ?」
「相馬・・・」
彼女ははうっすら涙を浮かべながら、何度も頷いた。
不器用な奴。
好きな気持ちが遠回りしてやんの。
―――俺も同じだから分かる。
俺も唯と仙崎が仲良くしているのが気に食わなかった。
唯は親友で、盗られてしまったように感じたのだ。
でも今俺が律に言ったセリフは自分に言い聞かせているように、感じたんだ。
唯は最高の親友だ。
クラスが違ったって、親友なのに代わりはなんだから。
俺はそれだけで十分なはずだ。
「分かったよ・・・。明日ちゃんと澪と皆に謝る。」
「それで一件落着だな。学祭、頑張ろうぜ!」
「・・・おう!!」
律は満面の笑みで笑った。
どうやら吹っ切れたようだ。
放課後ティータイムの間に亀裂が入ってしまいそうになったけど、どうにか乗り越えることが出来た。
あとは無事に本番を迎えるだけだ。
「相馬!」
「ん?」
「ありがとうな!」
「良いってことよ。」
律と俺は拳を合わせる。
副部長っていう役職もいいかもな、って一瞬思った。
・・・なんてな。
だが、そんな中で律は俺に肩を寄せてきた。
「そして、相馬くん・・・君はとっとと澪をどうにかしなさい。」
「はんっ!?」
思わず声が出る。
そして体中が熱くなっていく。
「相馬、お前・・・澪が好きだろ?」
「そ、それは―――。」
「他人のことに精一杯で自分のことはオッペケペーですかぁ?」
「う、うるせぇ!!」
「早くしなさいよ、澪の気持ちが逃げちゃう前にさ!」
「え、どういうこと!?」
「さぁーねぇ~。」
「お、おい・・・!律!!」
「タイミングは相馬に任せる!!澪を頼んだぞ!!」
「ちょ、ちょっと待てって!!」
「相馬、男ならしっかりしな!これは冗談でも何でもないよ。」
珍しく律が真剣な顔をしてくる。
もう自分からは逃げられないってことか・・・。
そろそろ向き合う時が来たのかもな。
「もう秒読みかねぇ~これは~。」
「う、うるせぇ!」
「好きなんだろ?相馬!澪のこと―――。」
澪の親友の一人として。
しっかりと俺に話し掛けてくる。
もう偽れない。
自分を。
いつかじゃなんだ。
今。
もう今、なんだ―――――。
「お、俺は・・・。」
「澪が好きだ―――――。」
初めて口にした。
何故か恥ずかしさなど一切なかった。
なんでだろう。
ずっと口にすることを躊躇っていたはずなのに。
もう今はすんなりと言うことが出来る。
俺の気持ちが固まったからだろうか?
それは分からない・・・。
でも、これは進歩だと思う。
少しずつだけど、前に進めているんだ。
「やっと言ってくれたね、相馬――――。」
律はやけに嬉しそうだった。
真剣な表情から、柔らかい表情へと変わっていく。
「告白はいつすんの?」
「ブッ!!」
いきなり過ぎて吹き出してしまう。
最近の若い子はそんなにせっかちなの!?
・・・自分で突っ込んでて嫌になる。
「学園祭・・・とか?」
「おおおお!!いいねいいね!ライブが終わった後とかに『澪、君が好きだ・・・』って言いなよ!キャー!!」
「お前妄想が過ぎるわ・・・やめろ・・・」
「まぁ、それは二人のタイミングってことで~。協力して欲しかったら言うんだよぉ~!」
満面の笑みの律。
くそ・・・何も言い返せない。
「唯とかムギとか・・・あいつら鈍感そうだから分かんなそうだしな~。」
「ははは・・・それな―――――
と言い掛けた瞬間だった。
『じゃあ・・・私が友達1号だね~!』
あ、と。
俺の中で"ある女の子"の笑顔が鮮明に映し出された。
それは突然に。
前触れもなく。
その顔は俺が良く知っている顔だった。
平沢唯。
何故ここで彼女の顔が出てくるんだろう。
彼女は俺の中で、親友なはずなのに。
―――――どうして?
「あぁ・・・・・くそッ・・・・・!!!!!」
俺は思いっきり頭を掻きむしった。
確実に自分の愚かさを思い知った気がする。
本当に自分が気持ち悪い。憎たらしい。
「相馬?どうした?」
「いや・・・なんでもない・・・」
「もしかして、迷ってるのか?」
「え?」
「唯」
ピシャリと、ソレを言われた。
律にはなんでもお見通しなのだろうか。
「そんなことだろーなーって思ったよ!言ったろ?なんでもお見通しなの。仮にも部長なんだから。」
「・・・どうすればいい?」
「今すぐ答えを出さなくてもいいでしょ。学園祭までまだ一週間近くあるんだから。ゆっくり考えな。それでも答えが出ないんなら、答えが出るまで納得するまで考えればいい。」
「唯は親友なんだ。そう思ってたんだよ・・・本当だ。」
「うん。自分でもよく分からない時はあるよな。仕方ないよ。」
「律・・・。」
「贅沢な悩みだよ、ほんと。澪と唯なんてどっちも魅力的な女の子じゃん!」
「あぁ・・・そうだな。でも―――」
でも、と。
俺は続ける。
こんな中途半端なのは嫌だからだ。
俺はそんなことしたくない。
「いや、俺は澪が好きだ。それは変わらない。だから澪にちゃんと想いを伝えるつもりだよ。」
「言うようになったねぇ、相馬。」
「・・・そうでもしないと自分を嫌いになりそうだからな。」
「ふーん。じゃあ、全てをちゃんと話せる?唯に。」
「え―――――。」
「澪が好きで、お付き合いしたいんだって。ちゃんと話せる?唯に――――。」
「あっ、当たり前だろ!?唯は親友なの!うん!」
「ふーん、ならいいけどさ」
数々の思い出が蘇る。
澪のことは好きだ。
でも、唯のことも恋愛対象としてではないけど、好きだ。
唯にも好きな奴がいるって言っていたし、元々想いなど通じ合うはずもない。
それでも、俺はちゃんと話せるだろうか?
たとえ、これで全てが終わってしまうとしても―――――。
たとえ、これで全てを終わらせてしまうとしても―――――。
それでも、ちゃんと。
話すことが出来るのだろうか――――――?
たとえ、全てが終わってしまうとしても―――。