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それでは、お楽しみください!
放課後になった。
チャイムの音と共に、皆が帰宅の準備やら、部活の準備やらを始める。
今日はバスケ部は休み・・・か。
「相馬、今日バスケ部?」
和が話しかけてきた。
今日は生徒会なのだろうか。
「いや、今日は何もないや。」
「じゃあ先生に提出物があるんだけど、職員室に持って行ってもらってもいい?」
「おう」
「悪いわね、ありがとう」
そういえば、和も名前で呼んでくれるようになった。
もう入学式から二か月。
結構日が経った。
一方唯も―――。
「相馬くん!」
「どうした?」
唯だ。
今日も相変わらずうだーとしている。
机に突っ伏し、顔だけをこちらに向けている。
「今日軽音部おいでよ~!」
「えっ」
「ダメ?」
全く無意識だろうが、上目遣いはやめろ。
一応俺も男だ。
「いや、別にダメじゃないけど」
「やったっ!じゃあおいで!」
「迷惑じゃないなら・・・分かった」
「うんっ!」
凄く嬉しそうだ。
分かりやすい。テンションの上がり具合が半端ない。
「じゃあ先生に提出物預けたら、行くな!」
「音楽準備室で待ってる~!」
「おーう」
パタパタと手を振る唯。
本当に無邪気だな。
不意に笑みが零れてしまう自分が気持ち悪かった。
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「・・・あっ!相馬くん!」
「うーす」
提出物を渡し終え、音楽準備室へと向かう。
音楽準備室は三階の階段を登ったところにある。
中からは音楽は聴こえてこない。
そんな階段の三段目に唯は座っていた。
「行くか」
「うん!皆喜ぶと思うよ!」
「そうかぁ・・・?」
勢いよく扉を開ける。
「唯、遅いぞ~って相馬っ!?」
あわふたする澪。
心なしか顔がほんのり紅く見える・・・?
「おやおや、相馬も来たのか!大歓迎だぜぃ!」
律が肩を組んでくる。
ところが背が届かず、肩を組むといっても余りにも不釣り合いな感じになってしまった。
「お前・・・背でかいな・・・」
「普通だよ・・・」
「今、お茶入れますね~」
ムギちゃんがお茶を入れてくれる。
あれ・・・ここ軽音部じゃね・・・?
あれから彼女たちとは休み時間の廊下等ですれ違ったり、律がたまにウチのクラスに来るか。
そんくらいの程度でしか会っていなかった。
だから少し新鮮だな。
「お前ら、練習しねーの?」
「まぁまぁ慌てるなや、少年よ。腹が減っては戦は出来ぬだろう」
「そういうことか」
「納得するんかいっ!!」
慌てて澪が突っ込むが、お構いなし。
目の前の高級そうなお菓子に俺は目が惹かれる。
「これは全部ムギちゃんが用意してくれたんだよ~凄いよね!」
唯も同じらしい。
お前ギター早く買え。
「結局、相馬は軽音部に入るのか~?」
頬杖をつきながら律が聞いてくる。
「兼部っていいんだろうか・・・」
「問題ないっしょ!」
「まじかよ・・・」
「運動部と文化部の掛け持ちってモテそうだよな」
澪がキョトンとしながら呟く。
その言葉を聞き逃さない。
「よし、入ろう」
「単細胞かお前」
「いや、男のサガってやつよ」
「は?」
「ごめんなさい」
睨むな澪。
軽く傷つく。
「じゃあ部長のあたしが処理したってことでッ!相馬、入部決定ッ!」
「軽音部へ~!ようこそ~~!!!」
割と大袈裟に歓迎される。
「あ、どうもどうも」
少し恥ずかしくなるが、表情に出さない。
にしても・・・俺が軽音部か。
この俺が―――。
いいのだろうか。
俺はまた壊してしまわないだろうか。
また抱えてしまっていいのだろうか。
大事なものを―――。
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「とりあえず唯はギター買わないとだよな」
初の軽音部はこの一言から始まった。
「軽音部は喫茶店じゃないぞ」
「いい加減に諦めなさい唯」
「学園祭に出るしね・・・」
「皆~そんなに言わなくてもいいじゃ~ん・・・」
「いや、入部から二ヶ月経ってるのにギターを買ってない軽音部員も凄いけどな」
冷静な突っ込みに硬直する唯。
本当に分かりやすい奴だ。
「じゃあ、今度の休みに買いに行こ!あたしら付き合うからさ!」
「りょ」
「だな、了解!」
「分かりましたわ~」
「ありがとね・・・!みんな!」
皆が微笑む。
「ちなみに俺は何をすればいいの?」
しーんと時が固まる。
そんな気がした。
「えっ」
「あー、いやポジションは全て埋まってしまったけど、やりたいものがあったらどうぞ!」
敬礼しながら律が叫ぶ。
なるほど、唯でポジションは一応全て揃ったのか。
・・・となると。
「そういえば、俺ギターとベースなら少し弾けるけど・・・」
「ええええええッ!!?」
全員が声をあげて驚く。
そりゃそうか。
「いや、父親が元バンドマンで家にあったんだよ。小さいときに少しだけ教えてもらってたんだ」
「へぇ~!」
「じゃあ私、相馬くんに習う!」
はいはーいと手を挙げながら唯が叫ぶ。
目がキラキラしてて何か辛い。
「待て、今の俺は唯より弾けるかどうか分からない」
「それって初心者ってことだぞ」
「Cコードなら押さえられる!」
「アホか!初心者じゃん!」
「でも一応コードは知ってるんだな~」
澪が一応関心してくれる。
優しい。
「Cコードって?」
「ギターを始めた人が最初に押さえる事が多いって言われてるコードだよ。」
「へ~」
「とりあえず、相馬は保留で!唯の指導役でもよし!」
「マネージャーってことか」
「一旦ね!」
「分かった」
とりあえず今日はこれにて解散となる。
次の休みにギターを買いに行く事となる。
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日曜日になった。
時計を見ると、十二時過ぎを示していた。
・・・そろそろか。
一時に駅に待ち合わせだから早めに行こう。
家を出て駅へと向かった。
「うーす」
待ち合わせ場所には唯以外全員揃っていた。
「あいつは・・・?」
「遅刻だとさ・・・」
「あの野郎・・・」
そういえば、全員の私服は初めて見る気がする。
改めて女性なんだな、と思い知らされる。
新鮮だった。
素直に言うなら、可愛いの一言だった。
律はボーイッシュな服装、澪はジーパンや大人の服装、ムギはお嬢様っぽいワンピース。
それぞれ違って、それぞれが良かった。
そんな事に関心していると、唯が慌てて改札から出てきた。
「ごめんなさい!!!」
「よし、じゃあ行こうか」
やれやれ、という表情で楽器屋へと向かい始める。
唯のキャラで許されるんだろうな。
誰一人として怒るような人はいない。
楽器屋へと着く。
様々なギターやベース、ドラムが並べられており、一同は感動の目を光らせる。
「レフティーのベースだ!!」
左利きの澪が物凄く目を輝かせている。
普段左利きのベースはあまりないらしい。
楽器にも右利き左利きあるんだな~。
「スティック新しいの買おうかな~」
「これ可愛い!!」
「レフティーまたあった!レフティーフェアだって!!!」
「あのさ・・・君達・・・本来の目的を忘れてはいないだろうな・・・」
誰一人として俺の話など聞いてなかった。
隣で苦笑いしているムギ。
彼女だけは一般常識があって接しやすい。
いや、澪は例外。
少しムギと話すことにする。
「ムギのおうちって、その何をやっているんだ?」
「詳しくはよく分からないのですけど、ここもウチの系列のお店ってことは知ってる・・・かな?」
「え、そうなの!?」
「何かのビジネスをやってるのだけれど詳しくは分からないの」
「へ~。スゲェな・・・」
「相馬くんは今日はバスケはやらないの?」
「あぁ、今日はサボりだ!」
「あらまぁ・・・」
口に手を当て、驚いた表情を浮かべる。
本当に一つ一つがお嬢様っぽい。
「ムギはさ、どうして軽音部に入ったんだ?」
「え?」
「なんか軽音やるようには見えなかったからさ、なんでかなーって思って」
「あぁ、なるほどですね。中々いないような素敵な人達と部活をしたかったからよ」
ニコッと微笑む彼女。
一瞬ドキッとしたが、すぐに視線を逸らし話しを続ける。
「確かに、素敵かどうかは置いといて・・・なかなかいないよな。あんな奴ら」
「えぇ。だから毎日が楽しいわ」
クスクスと口に手をあて微笑むムギ。
その視線の先には、各々楽器に夢中になっている三人の姿があった。
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結局ムギの一声でギターを買うことに成功した唯ちゃん。
何をしたのか分かりませんが、まぁ琴吹家って凄いなってことですねはい。
帰り道、唯と二人で帰る。
「ギター!本当に可愛い!本当に嬉しい!」
「良かったな」
「うんっ!」
満面の笑みだ。
つられてこっちも微笑んでしまう。
彼女はひょうたん型のギター、いわゆるレスポールギターを購入していた。
外側は赤で中はオレンジ色と言った方がいいのだろうか。
確かにいいギターだ。
これから唯の相棒のギターになる。
購入した寸前から溺愛状態に陥っているしな。
「これから練習頑張れよ」
「相馬くん教えてね!!」
「いや俺より澪の方がいいだろ・・・」
「澪ちゃんにも教わりたいけど、相馬くんも教わりたい!」
「なんだよそれ・・・」
「なんでしょうかねぇ~!」
やけにテンションが高い。
おっと、もう家に着いてしまった。
「じゃあ、俺ここだから」
「え!相馬くんってマンションに住んでるんだ!」
「一人暮らし状態だけどな。学校には内緒だよ?」
「了解しやした!」
ビシッと敬礼される。
俺も敬礼を返すが・・・。
「送ってくよ、家まで」
「えっ、ほんと!?」
「あぁ、澪のこともあったしな」
「やった!紳士だね、相馬くん」
「俺が紳士な訳ないだろ」
「どうして?」
「どうしてって・・・」
「ありがと!」
強引に話を打ち切られる。
唯の家まであと五分ほどだが、送ってくことにする。
まぁ頭痛はないから大丈夫だとは思うけど。
そして。
この後、買い物途中の憂ちゃんと遭遇して、夕飯をご馳走になるのは数分後の話だ。
積もる想い―――