お気に入り、感想どうもありがとうございます!やる気の糧になっていきます~
どうぞご意見感想ありましたら、ドシドシ待ってます!
今回はオリキャラが出てきますが、ビックリしないでください(笑)
いつも通り、ゆるーく軽音部をお送りします~
「オ、オハヨ・・・」
緊張の極みというのはこういうことだろうか、と思い知らされる。
俺の顔面から約数十センチの距離に女の子の顔がある。
この事実だけで俺は死にそう。
そんな彼女が目を覚まし、しっかり目が合っている。
空気を打ち破ったのは、なんと唯からだった。
「あ、手ごめんね!」
何事もないかのように手をどけてくれる。
「あ、うん」としか返せない自分が情けない。
そして、本当に何もなかったかのように起き上がり伸びをしている。
「うーん・・・!よく寝たぁ~!」
「・・・そうなの?」
「うん!先に相馬くん寝ちゃったから澪ちゃんと皆で勉強してたの!」
「それで?勉強の成果はどうだ?バッチリ?」
「うーん、たぶん!」
「多分って・・・。頼むよ唯」
「大丈夫だって!任せなさい!」
軽くウインクされる。
俺は少し口角を上げて笑う。
なんか意識しすぎてた自分が可笑しいぜ。
「―――んお?唯・・・起きたのか~?」
むくっと起き上がってくる律。
目をゴシゴシこすりながら何度も欠伸をしている。
てか、カチューシャ外すと前髪長いな・・・。
「律、おはよ。先寝て悪かったな―――」
「いいってことよ。ただ、女の子を地べたで寝かすとは良い度胸しておるな、お主」
「本当にごめんなさい」
とりあえず土下座してみた。
女の子の扱いはよく分からない。
こんなに女の子と仲良くするのも初めてだからだ。
中学はただひたすらにバスケに打ち込み、女子と話す事さえあまりしなかったからな・・・。
そして澪とムギは未だに爆睡している。
ムギは本当にスヤスヤと寝ており、寝てるだけでお嬢様感が伝わってきた。
澪も安らかに寝ている。
「澪ちゃん、ムギちゃん可愛い!」
クスクスと笑いながら二人の寝顔を眺める唯。
起こしちゃうからやめなさい。
「唯、追試だろ?何時からだ?」
「九時!」
「じゃあ最後の復習して学校行きなさい」
「了解ッ!」
そしてキッチンからゴソゴソと音がする。
りっちゃん、何やってるの。
「相馬、卵使ってもいい?」
「別にいいけど」
「あたしの手料理・・・!披露してやんよ!」
「待て、卵をダークマターに変えるのだけはやめてくr――」
最後まで言わせてもらえず胸倉を掴まれました。
「何か言った?」
「いいえ、何も。」
「待ってなさい」
「はい」
十分後、俺はこの世の奇跡を見ることになる。
「な、なんだと―――ッ」
本当においしそうな卵焼きが出来上がっていた。
ど、どうして・・・!
「いい匂いする~!」
すかさず唯が飛んでくる。
「憂ちゃんには敵わないけど、卵焼き作ってみたから食べていいぜ~!」
「本当に!?ありがとーっ!」
いただきまーすっという声と共に美味しい!という声が聴こえてくる。
そして同時に律からの視線を感じる。
「お前・・・食べる?」
「はい頂きます」
律は見た目、性格によらず、女子力が高い女子だということを知れた。
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冷たい風が頬を叩く。
朝の空気は澄んでて気持ちがいいが、早朝は寒い。
だが唯はプリントを眺めながら追試の為の最後の確認をしている。
「学校まで送ってくれるの?」
「うん、今日ちょうどバスケの練習あるしな。それに寝過ごしたら大変だろ?」
「え~寝過ごさないよ~!」
「そんなの分からないよ」
電車に乗り、桜ヶ丘高等学校へ向かう。
唯は最後の最後までプリントを眺めていた。
これを試験前にやればいいのに。
心の中で軽く苦笑する。
校庭に入る。
もう終業式前の休みなので、人気がなかった。
でも、体育館付近はドリブルをする音や女子バレーボール部の掛け声がした。
「うわ~皆朝早いのに頑張ってるね~!」
「軽音部も頑張らなくていいのか?」
「今日から頑張るし!ふんす!」
「今日部活あるんだっけ?」
「あるよ!相馬くん来れそう?」
「午後練がなかったら行ける。」
「分かった!待ってる!」
「おう」
体育館前に着く。
唯とここでお別れか。
「じゃあまた後でね~!」
「おう」
軽く手を振り、体育館へと入る。
・・・が。
「唯ッ!」
もう一度入り口に戻り、遠く歩いてしまっている彼女へ叫ぶ。
クルっと振り返る彼女。
寒さからか頬がほんのり紅いのが可愛らしかった。
「テスト、頑張れよッ!!!」
叫ぶ。
なんと表現すればいいのか分からないが、娘を持つ父親の気分に似ていた。
心の底から応援している。
彼女は何かを返すことはせず。
ただただ満面の笑みで、ピースサインを俺に送ってきた―――。
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体育館に入るともうメンバーは集まり、自主練を行っていた。
ダムダムとドリブルをつく音とバッシュが地面に擦れる音が、俺の闘志を上げる。
「おーす、さっきのは彼女かい?」
仙崎一馬。
このチームのエースポジションにいる奴だ。
相変わらず身長が大きい。
彼女、というのは唯のことだろう。
見られていたらしい。
「ちげーよ、ただの友達だ」
「ふーん。結構可愛かったよな」
仙崎は何の意味もなく、ただそう思ったからそう言っただけなのに。
何故か、その言葉は胸に突き刺さった。
どうして・・・?
唯が自分に向けているあの笑顔を他の誰かに奪われてしまうと考えたからだろうか。
否。
元々俺のものではないし、そう考えてるのは間違っている。
そう考える自分が気持ち悪い。
「あれ、相ちゃん―――?」
聞き慣れている声がした。
すごく久々に聞いた。もちろん、忘れてなどいない。
「茜―――」
柴咲茜。
俺の幼馴染だ。
家も近く、昔からの腐れ縁ってやつだな。
だが、中学のあの時以来連絡を取っていなかった。
まさか同じ高校に通っているとは―――。
「相ちゃんだ!まさか桜ヶ丘に通ってるなんて!久々だね!」
「おう」
「―――バスケ続けてて、良かった」
「まぁ・・・な」
どこを見る訳でもなく、茜は告げた。
やはり彼女の中でも引っ掛かっていたことなのだろう。
「ところで、何でお前がここに?」
「私はマネージャーです!あんま相ちゃん練習来ないから知らなったでしょ!」
「わりぃな・・・」
「今度インターハイ予選あるから、ちゃんと練習出るんだよ!」
「もうそんな時期か」
インターハイとは、まぁ野球で言うなら甲子園のようなものだ。
こんな無名高校でインターハイなど行けるわけが・・・。
そんなこと彼女に言ったら殺されるだろう。
彼女は本気で勝てると信じている。
中学の時からそう。
「もう本気でやりたくねェよ―――」
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(SIDE:軽音部)
「唯、大丈夫かな―――。」
澪は落ち着かない。
部室には律、紬、澪の三人がいる。
尾形の家から出て、各自家に帰って準備を整えてから再び学校に来た。
そんな三人が学校に来た理由は、軽音部の練習でもあるが、やはり一番の理由は唯だ。
唯の追試。
これをクリア出来なければ、唯が学園祭に出れることもまず出来ないであろう。
澪にとってそれが一番恐れている事態であった。
流石に昨日かなり問題を解けるレベルまでいったのだから、大丈夫だとは思うのだが。
ガチャ、と扉が開く音がする。
三人はその音にバッと振り返る。
勿論の如く、唯がそこにいた。
なんというか、魂の抜けた感じが漂っている。
その状態に教師であった澪は動揺を隠せない。
「ど、どうだった・・・?」
「澪ちゃん・・・どうしよう・・・」
「えっ、またダメだった―――?」
「ひゃ、ひゃ、百点採っちゃったッ―――」
「極端な子―――ッ!!!」
澪のカメラで記念の一枚を撮る。
結局、唯は勉強してなかっただけの話。
やれば出来る子なのだ。
その事に澪は安堵する。
それは紬や律も同じ。
となればやることは一つだ。
「練習しよう!」
「そうだね~!」
「唯は試験期間中にも練習したってことだし、少し弾いてみせて!」
キラキラした表情で澪が告げる。
それに対し唯は自慢の表情で、
「XでもYでも何でも来い~!」
え、と場が固まる音を生で聞いたのは久々だな、と澪は感じた。
とりあえず澪は律と紬の方を見つめてみる。
彼女らは苦笑しながら首を振る。
「どうしたの・・・?」
「忘れた―――」
「ええええええッ!?」
「昔よく褒められたんだよね・・・唯は一つ覚えると他の事全部忘れちゃうって」
「多分それ違うぞー・・・」
「また最初から教えるの―――!?」
「お願いしやす、澪ちゃん!」
「もぉー・・・」
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(SIDE:尾形)
「えっ!?唯!百点だったのかッ!?おめでとう!」
とんだ朗報だった。
やはり彼女は天才肌ではないだろうかと思う。
練習が終わり颯爽と駆けつけた甲斐があったってもんだ。
「でもコード全部忘れちゃったって・・・」
やれやれ、という表情で律が告げた。
まぁなんとなく予想はしていた。
彼女の性格からしてそうだろう。
なんというか器用だけど不器用だよな。
「夏合宿をしますッ!!!」
唐突に澪が叫んだ。
ど、どうしたってんだ。
「どうしたの急に」
淡々と律が突っ込む。
「もう夏休みでしょ!?夏休みが終わったら学園祭あるし時間がない。だから、バンドの強化合宿をします!」
「ねぇねぇ、高校の文化祭って凄いんでしょ!?」
唯ちゃん、空気読みなさい。
「模擬店!」
「焼きそば!」
「たこ焼き!」
「私お化け屋敷やりたい!」
「いいや、メイド喫茶だな!」
律と唯が地雷を踏みまくっていく。
あー、怖い。
「バンドの強化合宿って言ってんだろォ―――ッ!」
律だけ何故か殴られる。
「うぅ・・・なんでアタシだけ・・・」
「それに私達は軽音部でしょ!?ライブやるの!」
「まぁまぁ」
ムギがその場を宥める。
「場所はどこにするの?」
「そうだぜ~宿とか使うなら結構高くね?」
「うっ、それは・・・」
その手を使うか、澪。
一瞬にして澪の視線で何を考えているか分かった。
「ムギ、別荘とかって持ってない―――?」
「ありますよ?」
あるんかい。
流石はお嬢様。
「あのー」
とりあえず素朴な疑問を一つ彼女らに叩きつけてみる。
「これって俺も行くの?」
「逆に問おう。行かないのか?」
「あん?」
「女子だけの宿に入れるんだぞ、花園だぞ。ありがたいと思え。」
「あ、うん」
「相馬も一応メンバーなんだから唯の指導役、よろしくな!」
「・・・えぇ~」
「澪の水着、見れるよ―――」
小声で律が耳打ちしてくる。
なんだ、そういうことか。
「よし、行こう―――」
その後、二人揃ってゲンコツを喰らったのは言うまでもない。
運命の時、近付く―――