魔法少女リリカルなのは 黒い鳥、星光とともに 作:如月シュウ
初任務から少し経って、いまの俺は安静中である。
前回の任務で少々無茶をしすぎたらしく、未だに魔力が回復しきってない。考えてみれば、大量の魔力スフィアをばらまいたり、ブースターで魔力放出し続けたり、出力を上昇させた黒月光を振り回したり、破壊天使砲を発射したりと、思い付く限りでもかなり無茶をした。
これで、体に異常が無いほうがおかしいな。
とはいえ、病室でじっとしているのも退屈なので、激しい動きはアウトだが、調べものをするのは自由だ。
ということで、俺の現在地は無限書庫。
ここにはありとあらゆるデータが収められている。それこそ、何でもあると言わんばかりに。
先の仕事で遭遇した、あの巨大兵器、あれについて調べるためだ。俺の記憶が確かならあれは、アーマードコアという、管理局が創設される前の、戦争に用いられていた兵器のはずだ。
一体誰が、あんなアンティークな代物を持ち出してきたのか。それについては俺の管轄外だ。
無限書庫には、一般公開されている区画とそうでない区画がある。アーマードコアという兵器は、その機構から、第一種危険指定遺物認定されている。
そのため用があるのは一般公開されていない区画なのだが、さて、どうやって入ったものか。
俺もかつては管理局員だ。まさかと思うが俺のパス権限が残ってはいないだろうが、一応試してみよう。
ガシャッ
……十年以上前の管理局員のデータぐらい消しておけよ……。
内心で無限書庫のセキュリティの低さに呆れつつも、今回は助かった。
早速、調べてみよう。
無限書庫の検索機械はしっかりしているもので、待ち時間などほとんどなく検索が終了する。
モニターに映された情報をデバイスにコピーし、さっさと立ち去る。
隠しておきたいことはどこかで落ち着いて、がモットーなので、以前クロノと会話した喫茶店にやってきた。
紅茶を一杯注文して、待っている間にデータを表示する。
『―――人型兵器、アーマードコアについて。
管理局の歴史が始まる前の時代に使用されていた、質量兵器の一種。
その力はかなり大きく、小型な物でも5m、大型のものだと10m以上もある。
通常のノーマルと呼ばれる型と、ネクストと呼ばれる型がある。
ノーマルは両手の武器、肩に装着される兵器。この二つを運用し、敵対者を破壊する。管理局黎明期以前の戦場の大半がこのノーマルによって支配されていた。
対してネクストは、前述のノーマルを一方的に蹂躙することができる、恐ろしい兵器だ。ノーマルには搭載できない重いブースターでとてつもない速さで動き回り、現在では使われていない、魔力を使った特殊バリアでノーマル程度の火力なら楽に防ぐことができる。だが、その特殊性ゆえに搭乗可能な人物がとても少なく、それぞれの切り札だった。
だが、管理局という組織が結成されると、ネクストは急激に数を減らしていった。ネクストに乗る人物、リンクス達は、そのほとんどが管理局に所属したからだ。
現在になっても、ノーマルやネクストの対処法は確立されておらず、もし、Aランク以下の魔導師がノーマル、もしくはネクストに遭遇したら、速やかに逃走することをお勧めする――』
管理局黎明期といえば相当に過去の話だ。その時代の兵器が今になって現れたというのはおかしいと思っていた。それに、俺の遭遇したアーマードコアは外観がやたらと綺麗だった。それこそ古代の代物とは思えない程に。つまり、アーマードコアは誰かの手によって再現されている可能性がある。
今のところ、俺が遭遇した機体以外目撃情報が無いのでそんなに数を揃えられるものではないのかもしれない。
とはいえ、並みの魔導師相手なら十分すぎる危険だ。
もし、アーマードコアが大量に市街地にやって来たら……。
間違いなく地獄が再現される。
そんなことにならないように、クロノか八神辺りに警告しておこう。
願わくは、アーマードコアがクラナガンに直接来ないことを祈るだけだ。
俺の嫌な予感というものは、よく当たるのだとこのときは忘れていた―――
本当はユーノ司書長を、登場させる予定だったのですが、このときはホテルにいるじゃん。
ということを思い出して、泣く泣く出番をなくしました。