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信じても
信じても猶 わが生活樂にならざり
ぢつと神にあたる
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犠牲を出しながら犠牲者0人で魔王軍幹部、ベルディアを退治した今日この頃、
ダクネスが犠牲になった人達やベルディアに祈り捧げてたり、
犠牲になった人がアクアに復活させられていたり、
ダクネスが弄られていたりしても、
特に戦後処理はありませんでした。
しかし、どうするよこの鎧。魔王幹部の鎧とか誰が買ってくれるかなぁ…
…ウィズに売り付けるか?でも、あそこ道具屋だしなぁ…
鎧なんて大きなものは消失手品のの範囲外だし…
ダクネスにあげる?いやいや、魔王謹製の呪いがかかってる防具だしなぁ…
飾るしかないかなぁ…置く場所もないのでウィズに預けたらなんか微妙な顔された。何故だろうか。
翌日、パーティから抜けることを伝えるのに緊張しながらギルドに向かった。
緊張し過ぎて、鉄のカップがすごく重く感じた。
皆はしゃいでいるがそんな気分じゃない。
パーティから抜け出すというかそういうのが苦手だ。
一度作った縁から抜けるのは大変で、結局の所いつまでも追いかけてくる。
そんなことすぐ忘れろと自分でも思うがめんどくさい奴なのだ僕は。
「あ、ヤマモトヒロキ様ですね?」
「…どうも」
「魔王の幹部討伐の報奨金が出ていますのでその支払いになります。」
「…どうも」
怒られる前の生徒というかそんな気持ちだ。
いまは受付から貰ったこのずっしりとした重みでさえ投げ出したくなる。
酒を入れてみようか?
パーティーの皆も盛り上がっている。
アクアは冒険者達と飲み比べをしていて、めぐみんはご飯を幸せそうに食べていて、ダクネスはつい昨日犠牲になった人と顔を赤くしながらからかわれている。
僕はどうにも馴染めなかった。話しかけてくる人も居ない。
「おいおい、どうした、暗い顔して」
「あ、おじさん、何でもないですよ、それよりどうでしたか昨日の手品」
「一時大騒ぎになったからもうするな、この野郎、返せばいいってもんじゃねーぞ」
…1人居た。
ふむ、歓喜の声だと思ったが悲鳴だったか。
「汝、何に迷っておられるのか?」
「何厳かに言ってるんです、そんな言葉かける相手じゃないでしょ」
「エリス教はお前らと違って万人を愛するんだよ」
「あいにく、異教徒の戯言は聞かないようにしてるんで」
「ったく、これだからアクシズ教は、せっかくの宴会だ、沈んだ顔すんなよヒロキ」
「パーティから抜け出したいんですよ、僕は」
「なにクール気取ってんだ、はしゃぐのもいいもんだ、明日、生きるか死ぬか分からんからな、楽しめるときに楽しんどかないと人生後悔するぞ」
そう言って喧騒の中へ戻っていった。
プリーストには心の弱さに付け入るスキルなんてものもあるんじゃないか?
そんなこんなグダグタしてると、めぐみん、ダクネスが自然に集まってきた。
チームがあるとなんとなく集合しなきゃってのがあるよね。
「ん?アクアは?」
「あそこで混ざって飲み比べてる」
「そういえば、様呼びはどうしたんですか?」
「本人がいない時ぐらい様呼びしなくても良いでしょ」
「別にアクアに合わせなくてもいいと思うんだが」
「あ、めぐみん、昨日はありがとな、ほれ、褒美の眼帯」
「いや、9枚もいりませんよ…それに引っ張るじゃないですか」
「もう引っ張らないから、ごめんね」
「なぁ…あの鎧はどうしたんだ?」
「預けた。何?装備したかったのダクネス?」
「いや、墓でも作って添えてやろうと思ったのだ。デュラハンは不条理な処刑で首を落とした騎士が、恨みでアンデッド化するモンスターだ。安らかに眠った今、ちゃんと弔おうと思ってな」
「もう来世に行ってるから関係ないと思うけどね、鎧をあげる気は無いよ」
「いや、そこまで欲しいわけじゃないから大丈夫だ」
そんなグダグダーとした雰囲気でカズマを待っていた。
今思ったけどこの状態、両手に花じゃね?
でも悲しいかな、実態は爆裂魔女とドMクルセイダー。
…いやいやそれ差っ引いってもプラスじゃね?
どうせ最後なので口で正直に伝えることにした。
「…ふたりとも可愛いよな」
「「変な目で見るな、アクシズ教徒」」
辛い、とても辛い
「そんなナンパなんて置いておいて、私お酒飲んでみたいです」
「やめとけ、やめとけ、そのちんちくりんがちんちくりんのままになるぞ」
「…喧嘩売ってます?」
「売ってないよ、事実を言ったまでだよちんちくりん」
「よーし、その言葉買いましたよ、謝っても許しませんからね!この変態神官!」
「吐いた唾飲む真似誰がするか!爆裂娘!」
「やめないか二人とも!おぉ、カズマ!ちょうどいい!この二人を止めてくれ!」
いつも通りに喧嘩を売って緊張をほぐそうとしていた所に我がパーティのリーダー、カズマさんがやってきた。
「何やってるんだおまえら」
「聞いてくださいよ、ヒロキが私のことをちんちくりんと」
「事実じゃん」
「…!…!」
声にならないほど怒りの頂点に達しためぐみん。
まぁ、ポカポカされるぐらいだったらご褒美だから、顔だけは狙うなよ、身体を狙え。そう、いい子だ。レバーに来てるが後で回復させよう。
そんな重たい攻撃を受けながら僕は言う。
「カズマ、賞金受け取ったら話あるから」
「おう?わかった」
カズマが受け取りに行くとなぜか微妙な顔を浮かべた受付のお姉さんが見えた。
おい、顎を狙ってくるな。それどころじゃないんだ。
「あの…まずはそちらのお二方に報酬です」
そう言ってダクネス、めぐみんに小さな袋が手渡された。
まだ受け取ってなかったのか…
…あれ?カズマの分は?
「あのですね…、実は、カズマさんのパーティには特別報酬が出ています」
…まぁ、たしかに?僕達の組が倒したから当然っちゃあ当然だが…何かおかしい。
そんな疑問に気付かないカズマ。
「え、なんで俺たちだけが?」
「おいおい、MVP!お前らがいなきゃデュラハンなんて倒せなかったんだからな!」
酔っ払いが騒ぎ出して場は暖まっているが反比例してお姉さんの顔が微妙になっていく。
…あ!?こら!掴むな!逃げられんだろ!
「サトウカズマさんのパーティには、魔王軍幹部ベルディアを見事討ち取った功績を称えて…ここに金三億エリスを与えます」
「「「「さっ!?」」」」
僕達は、思わず絶句した。めぐみんの手さえ止まっている。
たしかに肩書き的には凄い奴だったけどそんな大金かけられていたのか!
就活のプラスになるな。やったぜ。
一瞬静まり返った酒場が一転して奢れコールを発するなかカズマは宣言した。
「お前らにひとつ言っておくことがある!俺は今後、冒険の数が減ると思う!大金が手に入った以上、のんびりと安全に暮らしていきたいからな!」
「おい待てっ!強敵と戦えなくなるのはとても困るぞっ!というか、魔王退治の話はどうなったのだ!?」
「私も困りますよ、私はカズマについていき、魔王を倒して最強の魔法使いの称号を得るのです!」
「あーちょうどいいね、だったら僕パーティ抜けるね?短い間だけどありがとうね?」
さらっと脱退宣言をかましてやったがそんな声をかき消してどんどん盛り上がっていくギルド内。
ふっ、ここで立ち去っても後腐れはないはずだ、ヤマモトヒロキはクールに去るぜ…
そんな中、申し訳無さそうに表情を浮かべる受付のお姉さんが印象的だったが、関係ない!じゃあな!
「ええと、ですね。今回カズマさん一行の…その、アクアさんの召喚した大量の水により、町入口がですね…洪水被害が出てましてね…その、全額とは言わないから一部払ってくれと…」
三億が減る?かまへんかまへん!どうせ一億くらいだろうと小切手をのぞいたのが悪かった。さっさっと去れば良かったのだ。
「一、十、百、千、万、十万、百万、千万…さ、三億四千万エリス…!?」
あぁ、声をあげてしまった。
冒険者達がサッと目を逸らして元のテーブルに戻って各自で騒ぎ始めた。
めぐみんが逃げ出そうとするが僕はマントを掴んだ。
アクアも逃げ出そうとするがカズマに捕まっていた。
ダクネスはポンとカズマの肩に手を置いて心底嬉しそうな笑顔だった。
「えぇっと…明日から頑張って?じゃあ抜けるから…」
「…連帯責任だバカヤロー!」
「皆、明日から金になる強敵相手のクエストに行こうな!」
「なんで!私は街を救ったのよ!なんで払わなきゃいけないの!」
「そ、そんな!貧乏は嫌なんです!明日の食費にも困りたくないんです!」
…このどうしようない女神のせいでまだ付き合わなければならない…?
まだこの凸凹パーティに居ろとの神のお告げかな!畜生!
借金を早く返済して離れることを決意する!
この貧乏女神に災いあれ!コンチクショウ!