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前略
どこか別の次元にいる女神アクア様
いかがお過ごしでしょうか、ちゃんと死者を導いていらっしゃいますか?
お菓子を食べ過ぎていませんか?若者を煽って逆襲されていませんか?
僕の方はというと
「我は神の代理人、神罰の地上代行者、我らが使命は我が神アクアに逆らう愚者をその肉の最後の一片まで絶滅すること…」
神父として頑張っています。
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異世界に飛ばされ約三ヶ月、最初はアクシズ教徒である事を言って回る度に、頭がおかしい子扱いをされ厳重警戒から入った会話が、ギルド内では警戒態勢から入れるようになった今日この頃、
僕は冒険カードの手数料を怯えられながら立て替えてもらったり、
冒険者カードで全てのステータスが高い代わりにプリースト系しか選べなかったり、
何でも屋が宗教上の理由で断られたりで地道に稼ぐの大変だったりしましたが、特にこれと言ったイベントはないです。
しかも現在の目標はアクシズ教徒と言うだけでパーティに入れてもらえないのでパーティを組めるレベルまでアクシズ教の名誉を回復させる事です。
デフコン1がデフコン2になるのに三ヶ月掛かったのだから、デフコン5になってパーティが組めるようになるまで単純計算であと一年だ。そんなに長くない。
で、最近の僕はと言うとプリースト系が好んで狩るアンデッド系の依頼系を片っ端から片付けていた。
受けなくても成仏させてた。
常時頭がおかしい子扱いされてみてください。頭がおかしく無くてもおかしくなります。
そこでサンドバックとして死んでいるアンデッドをぶっ殺す。
プリーストなら楽勝で倒せるし、経験値も手に入り、ストレスが発散できる。夜遅いのだけ抜かせば、ローリスクの上一石二鳥だ。
一回共同墓地に仕事をしてから良い狩場が見つかったと一人喜んだりしたものだ。
そして僕は剣を携え、今日も一人共同墓地へと赴くのであった。
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「良い月だな、化け物共」
一人厨二病ごっこしても誰にも止められないとは良い気分だ。
そうして、僕は墓地を練り歩く。
誰にも見られない、誰にも聞かれない。
青いカソックと手に持った剣は現代日本でやれば確実にコスプレだ。
やりたくなるのがマンガや本など空想大好きオタクの男の子ってやつだと僕は思う。
ただ、僕がナイスシルバーではないのが残念だけど。
「塵に過ぎないお前らは塵に帰れい!『ターンアンデッド!』」
「お別れです!『ターンアンデッド!』」
「決着はつけるッ!「因果」を未来へ持って行く事は出来ないッ!『ターンアンデッド!』」
たいそうな口上をしてるが勿論中距離から撃っている。
近距離戦闘中にそんな喋られないからね。
そうやって大声を出しながらストレスの発散でいつも狩っている。
突然墓場の中心で青白い光が走る。
光源だと思われる妖しくも幻想的に青く光る大きな円型の魔法陣と黒いローブの人影を見た。
まず、この墓地には自分以外のプリーストは来ないはずだ。
パーティ参加特攻のついでにどんなプリーストがいるの見て回った時に僕より下の奴はいなかったし、何より依頼がない。
あの人影は、この魔法陣はなんだ?
敵影は周りにはローブの人影とあとはゾンビ、潜伏スキルで周りを警戒しているなら僕が声出して遊んでいる間に殺されているはずだからいない。
情報が少ない、観察する事にした。
魔法陣の中に何処からか集まってきた人魂のような火の玉が魔法陣の中に入ると天へと吸い込まれていく。
その間にも人影の周りにはゾンビ増えている。
…何をしているのか全くわからない。
しかし、ゾンビが周りにいながら対処をしないところを見ると人ではない。
ならとるべきは一つ、人影を巻き込みながらの範囲拡大のターンアンデッド!
これならばローブの人が人ならば殺す事はない。
「しかし…」
僕は予想以上に自分の深夜のテンションが上がっていた事に気づいてなかった。
「良い夜だ」
ローブを被った人影、リッチーのウィズは不思議がっていた。
(こんなに魂が少ないものでしたっけ?)
成仏出来ない魂が減る事はいい事だ。
でも前来たより何故か減っている。
原因がわからないで問題が解決すると妙にしこりがのこる。
しかし成仏出来たのだから祝ってあげよう思っていた。
『ターンアンデッド!』
急に場が光に包まれた。飛び出して来た青年を中心に湧き出る光は周りにいたゾンビ達や魔法陣の上に集まっていた人魂も一切の区別なく消滅させた。
勿論その光はリッチーにも及んだが…
「だ、誰なの!?」
リッチーの強力な魔法防御のおかげで何事もなかった
青年は問いにゆっくりと、答えた。
「我は神の代理人」
青年は続ける。
「神罰の地上代行者」
青年は嗤いながら、
「我らが使命は我が神アクアに逆らう愚者を」
青年は宣言する。
「その肉の最後の一片までも絶滅する事」
…
「お前はなんだ?化け物か?それとも人か?」
「え、あっはい!人です人です!」
こう答えねば殺しにかかられてしまう!
アクシズ教徒ならたとえ死ぬとわかって居ても、できぬとわかっていても、死ぬ気でこちらを成仏させようとしてくる!
仮に逃げられたとしてもこの街に居られなくなってしまう!
「にしては周りのゾンビを気に留めずに呑気に魔法陣のことを気に留めて居たが?」
…あれ?詰んでませんか?
「死者を弄ぶ異教の者め!我らが神の住居の天に早々送ってなるものか!お縄に付け!」
「…す…」
「す?」
「すみませーーーーーーーん!」
「えーと、つまり魂を天に返して居たんですか?」
「はい、そうです…」
「ゾンビが寄って来ても平気だったのは?」
「そ、それは…あ!これ!この魔道具です!この魔道具から出る魔力波がゾンビを寄せ付けないですよ!」
事情を聞くとこのお姉さん、後回しにされがちなこの共同墓地のさまよえる魂を善意で天に返してたらしい。
良くやるなぁ、ボランティアでそんなことやるなんて、ストレス発散でやってる僕とは大違いだ。
「へー、便利な道具もあるんですねぇ」
「え、えぇ!私のお店には他にもあるので良ければ…」
と、紙切れをもらった。
「こちらに来てください。少しは値引きしてあげますから」
なんで言葉を微笑みながら。
「えっ、あ、はい!」
ちょっとドキッとしながら、人の優しみと暖かさに触れたのはいつぶりだろうかと思った。
近づくだけで性犯罪者、エリス教会付近には近づかず、皆が目を逸らし、皆が嫌な顔をする。
あれなんだが涙が出て来た。
「ありがどゔございまず!」
「え、ちょっといきなりどうしたんですか!?」
「いえ、ちょっと宗教上の理由が…」
「えっ…ひっ!や、こ、ころ」
「さないですよ!?ちょっと変な事しただけで直ぐこれだ!久々の優しい言葉に感動して何が悪いんです!?人とこうして会話が成立するだけでも何日前だと思います!?みんながみんな僕をまるでおかしなものを見るようにするもんだからそんな目で見られない事がどんなに尊いか知ってます!?」
あげて落とされて、僕の中の何かが切れて、一気に言葉が出て来てしまった。
「…すみません、アクシズ教徒の言った事です」
「あ、いえ、こちらこそ…」
…気不味い雰囲気を作ってしまった。
「では、お気をつけて」
こう言う時は逃げるに限る、アクア様も言っていた、楽な方に楽な方に…
「あ、あの!」
足早にその場を去ろうとする僕をウィズさんが引き止めた。
「なんです?」
「お店いつでも来てくださいね?お話くらいならいつでもしますから…」
…涙が出そうなのでダッシュで上を向いて馬小屋に帰った。
ありがとうウィズ様アクア様!
数日後、お店で話し方が違うと言われてずっと大人のお姉さんにからかわれるのでその感謝の言葉は取り消した。