この素晴らしい女神に信仰を!   作:黄昏たそ

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三話・クズいカーくんと堕ちたアーちゃん

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目の前に居るのは誰だ?

それは男と女

女は神官から金たかろうと

しっかりと大声で喋っている

 

私よ、何を恐れて顔を隠す?

私には女神が見えないの?

美貌と羽衣をもった女神が

私よ、あれはただのコスプレをしたアクシズ教徒だよ

 

 

女神「そこのプリースト、宗派は聞こう

我は女神で

汝がもし信者なら

黄金を貸すのが当たり前だと」

 

 

私よ、私!

女神の頼みが聞こえないの?

落ち着くんだ私

レイヤーが雑にたかっているだけだよ

 

 

私は有頂天になり、財布に手を伸ばした。

貧乏に苦しむ男女を前に

上機嫌から一度恵んだ時には

何度も奢らされていた

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異世界に来て多分半年、周りの警戒レベルは妙な真似をしたら撃つレベルになって来て少しは会話が出来るようになって来た今日この頃、

僕はウィズと交代で共同墓地の魂送りをしたり、

『裏があるアクシズ教徒』とか周りから言われてたり、

エリス教徒と教義の論争をしたり、と何もイベントはありませんでした。

裏があるってなんだよ…なんもねーよ…

「何!手や足が飛んで来たり、落書きしたり、胸の話をしたりしてセクハラするのではないのか!?」ってどういう事だよ。なんで宗教の論争で人格攻撃するんだよ。

 

 

 

そんなこんなで最近の日課はパーティ就職活動だ。

なお、毎回最終面接で落とされお祈りされる模様。

お祈りするならエリスにじゃなくてアクアに祈れよ、僕はアクシズ教徒だぞ。

アークプリーストだぞ、何が悪いんだよ、上級職だぞ。

一神教と多神教にこんなにも考えが違うなんて…僕もう魔王退治辞めちまいそうだよ…

ってか僕以外の教徒ってどんな奴らだよ…自由を履き違えるなよ…

そんな愚痴をアンデット狩りで吐き出す今日この頃。

 

今日の僕の予定は午前就活の午後就活、次の面接は午後くらいから、お昼に酒場で酒を入れずにご飯を食べていた。

金ならたまに出ているアンデッドの依頼を一人で受けているため少しはある。贅沢をすると一気に消えるが。

 

席について料理を待っていると先日、パーティ内プリースト役割論争を繰り広げたエリス教徒のおっちゃんが声をかけてきた。

「あー、ヒロキ、君のところの神が降臨したんだが」

「すみません、そんなことよりご飯食べたいんで」

「頼むよ、アクシズ教徒にはアクシズ教徒しか勝てないんだから」

「いーやーでーすー」

「次のパーティの話には口添えしてやるからさぁ」

この注文してからの届くまでのワクワクも食事の一部だと言ってやりたいところだけど仕方ない、他のアクシズ教徒にも会ってみたいし

「わかりましたよ、で何処です?」

「あー、あの入り口のなんだけどな?」

言われた通りに目線を移した先には、

 

 

半年前に一度見た、人あらざる美貌を持つ我が主、女神アクアが確かにいた。

 

 

「あなたが私の信者ね!私はアクシズ教団の崇める御神体、女神アクア!その…あれなんだけど…お金貸してくれると助かるな」

「そうですか、助けたくないです、ではこれで」

「貸してください!」

「ちょっと言葉が足りないというか」

「貸してくださいお願いします」

図々しい態度に生命線の現金を直球で頼んできてイラっときたから少し神を試してしまったけど即折れてしまった。

神のプライド言うものがないのか。

 

「…はい、これは喜捨ですから返さなくても結構ですよ。でもいくら自由だと言っても自分は女神だって嘘ついちゃいけませんよ。大丈夫、同じアクシズ教徒ならいつでも相談に乗ってあげるよ。あと。あまり、アクシズ教団の事は言わない方が受け入れられるから言いふらしちゃダメだよ。エリス教団に多大な迷惑をかけてるから怯える人が多いからね。」

「あっはい…ありがとう…ございます…」

 

そう言って僕は2000エリスを貸してあげた。

あの死んだ魚の目をさせただけでお釣りが来るけどな、どうだ!最高の信者に神様扱いされない気分はよぉ!

これからはもう少しちゃんとした教義で信者が暴走しないように頼む!

そう心の中で言いながら、トボトボとジャージ姿の男子のところに戻っていくところまで見届けた。

なるほど、特典で神様選んだのか。

なんでアクア様がいたかの謎も解けたので心が満腹の状態で腹も満たすために僕は席に戻った。

なお、午後の面接は落ちた模様。ちくしょう。

 

 

 

 

 

 

アクア様とアクセルの街で会ってから早一週間。

僕はというとお祈りされた回数を順調に積み上げていた。

なんだよ、暴走しないから逆に怖いって、理不尽過ぎるだろ…

普通のアクシズ教徒はエリス教徒にどこにいても唾を吐くレベルで露骨に嫌がり、その上強引に入信させて来るのに対して、お前は何考えてるか分からないってなんだよ。いい事じゃねぇか!

そう落ち込んでいるとジャージと羽衣をそれぞれ着た男女が近づいて来て、

 

「お願いします!今日も奢ってください!」

 

 

 

 

 

 

 

「えっ!今日は大盛りを食べていいの!?」

「あぁ、好きなだけ食べろ…おかわりもいいぞ…」

「いや、それお前の台詞じゃないから、僕の台詞だから」

新人2名にたかられています。

5日前にアンデッド退治が終わって気分が良いからって一回奢るんじゃなかった…

その時は髪の色やら名前やらでお互い転生者であることを話したり、やっぱり気付いてたんじゃない!本気で傷ついたんだから!とアクア様に泣きつかれたりした。

で、今度もこっちに余裕があったら奢るとは言ったけど、毎日見つけられては奢らされるとは思わなかったな。

神様を選ぶほどの図々しさをこいつが持っている事を忘れていたぜ。

「何よ、もっと高級なお酒の方が欲しいけどご飯の奢りで勘弁してあげてるでしょう」

「…奢りだからと言って吐くまで飲まないでくださいね、勿体無い.」

つい昨日、奢った後に店の横で女神が吐いてたからな。

マジでぶん殴ってやろうかと思った。

僕の信仰心に揺らぎが出来そうだ。

 

 

 

「しかし、本当にいい奴だなお前」

 

ハンバーグを食べてる途中いきなりカズマが僕を褒めてくる。

 

「なんですか?お金は貸しませんよ?」

「ち、違わい!金が欲しいんじゃねーよ!」

「違うの?金が欲しいって言ったらもう奢るのやめようとしてたけど」

 

働かざる者食うべからず。働いているのは知っているから奢っているだけで働かない奴にあげるほど優しい僕じゃない。

 

「純粋にそう思っただけだっつーの」

「そうかなぁ」

「ちょくちょく奢ってくれるなんて普通に優しい奴だろ」

「異世界転生の後輩みたいなもんだしいいよ別に、最初が1番辛いのがよく知ってるからね」

 

本当に貧乏は実際辛いのだ。

それとあの針の筵のような半年前を思うだけで他の人にはあのような思いをさせたくないとは思ってる。

なんで僕、四六時中監視されなければいけなかったんですかねぇ。

 

「ふーん、そういえばお前は何もらったの?その神父服か?」

「ちょっと違うかな」

「じゃあなんだよ」

「これを崇めることで全元ステータスアップ、プラスこの服、プラスなれる職業プリースト系限定」

 

食べることに集中していた女神に視線を移して言った。

美味しそうに、幸せそうに、食べるとこだけは評価はいい。

女神かと勘違いしそうになる。あっ、女神か。

 

「マジかよ、よく選んだな、こいつに脅されたのか?」

「違うよ、あの時はすぐこっちに来たかったんだよ」

「バッカだなぁ、そういうのは焦って決めてもいい事ないぜ」

「全裸の時に、選んだら服をあげるなんて言われたら集中力も無くなるさ」

「いや、どうやって死んだんだよお前」

 

そう聞かれたので僕の死因を言って、カズマから死因を聞き出そうとしたけど教えてはくれなかった。

しかし同年代の同性と喋れることがこんなにも楽しいなら奢った甲斐もあったものだ。

ウィズさんとは喋り仲間だったがやっぱり同性の方が気が楽だ。

あぁ、男友達万歳!

 

 

たわいもないあの受付嬢かわいいよねみたいな男子高校生特有のエグくない可愛らしい下世話な話をしたり、

これからどういう方向性で生活して行くのか話し合ったり、

アクア様の芸を見たりと楽しんだ。

アクア様の芸は意外と凄いので感心する。

これもスキルの一つなのだとか。

…芸の女神?

 

で、こっちでの生活の注意とかもしたりと、キリがいいところで解散。

 

 

明日も工事員やらパー活やらでお互い忙しいから真夜中よりはちょっと早めに寝床につくためだ。

そうやって今日も異世界は日常のように特にヤマもオチもなく過ぎて行った。

毎日奢らされてはいるがこんな毎日が嫌いじゃない。

気軽に話せることがこんなにも素晴らしい事だと我が神が教えてくれた事によってこの日常も尊い物だと実感できる。

あぁ、なんと素晴らしきかなコミュニケーション。なんと良きかな男友達。

芸の女神を思い出しながら、明日もこのような日が続いて、明日こそはパーティに入れますようにと願いながら藁に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、アクアと会った時に勃ってなかった事とアクアではなくカズマによく話しかけることからあなたはホモね、とバカ女神から言われたのでデコに空手チョップで答えてやった。

カズマは距離を取ろうとしたので全力で否定しておいた。

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