この素晴らしい女神に信仰を!   作:黄昏たそ

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四話・爆裂魔法(かわいい)

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「どうもおかしいぜ。」

「ぼくもおかしいとおもう。」

「爆裂の呪文というのは、魔力を大量に消費してるんだよ。」

「だからさ、爆裂魔法の使い手というのは、ぼくの考えるところでは、爆裂魔法を、使える人ではなくて、爆裂魔法しか、使えない人とこういうことなんだ。これは、その、つ、つ、つ、つまり、か、か、彼女は……。」

がたがたがたがた、ふるえだしてもうものが言えませんでした。

「その、か、彼女は、……うわあ。」がたがたがたがたふるえだして、もうものが言えませんでした。

「追いかえ……。」がたがたしながら一人の紳士は少女を立たせようとしましたが、どうです、少女はもう一分も動きませんでした。

奥の方にはまだ女神がいて、その手のひらで、でっぷりとした蛙とやりあおうとして、

「いや、わざわざご苦労です。

大へん結構にできました。

さあさあおなかにおはいりください。」

と言わんばかりに食われておりました。

おまけに爆裂魔法を放った少女もたった今食われております。

「うわあ。」がたがたがたがた。

「うわあ。」がたがたがたがた。

二人はヌルヌルになりました。

 

 

 

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パーティ就職活動、略してパー活に勤しむ今日この頃、警戒レベルが変わったりと言ったことがなく、なんのイベントも起こっていません。

ここは異世界と言っても現実ですからパー活とウィズさんとたまに喋る、カズマとアクア様にご飯をあげる、アンデッドを狩る、道端や酒場でアクシズ教の新解釈を説くくらいの行動しか起こしていない僕はフラグなんか立つはずがないのでそれが当たり前だと思っていますし巻き込まれ主人公の体質でもないみたいなのでホッとしています。

今日の日程もパー活で、上級職のみと言うアクセルの街では珍しい絞り込みの条件なので期待しています。

力重視でアクシズ教徒でも問題無いのではないのかと藁にもアクア様にも縋る思いで面接会場へと赴くのであった。

 

 

 

「あ、ホモだああああああああ!がああああああ!」

「ヒロキやめろ!それ以上いけない!」

「大丈夫、痛いだけだよ、怪我しても治せるからヘーキヘーキ」

「そう言うもんじゃねーだろ!」

「痛い痛い痛い!やめなさい!やめて!本当にやーめーて!誰かー!助けてー!ぎゃああああ!」

「これは神罰です!神への罰なのです!僕からの神への愛なのです!」

「お前本当にこいつの信者か!?」

人に会うなり、先日チョップされた事を忘れ、いきなり失礼な事を言った面接官に人型でさえあれば神さえ極めるゴッドアームロックをかけてやりました。

水が流れるように自然に流れ、激流のような速さで腕を極めるこの技は神様だって止められはしない!ちなみにただステータスに任せた攻撃であってスキルではありませんのでそんなに強くありません。

「良いですかぁ、アクア様は言われました。汝、自由に生きなさいと。自由に発言するのは良いでしょう、自由に行動するのも良いでしょう。そして僕が我らが神アクア様に攻撃するのも自由だと僕は思うのです」

「悪かった!私が悪かったから解いて!解いてよー!」

「そして、こうも言われました。『僕は悪くない』他人が悪い」

「やーだー!やめてもうやめて!ギブ!ギブ!」

「あー…確かにこいつが悪い」

こんな感じで泣き喚く女神に肉弾説法を10分ほど続けました。

どんなに自由にと言われても皆は人が嫌がることはやめようね!アクシズ教徒とのお約束だぞ!

なお、このことを一般のエリス教徒に言ったらお前が言うな!とキレられました。解せぬ。

 

 

到着してアームロックをかけて話が終わって半日、面接は無事終了し内定を貰ったので他の候補を待っていた。

いくら僕が増えたとしてもアクア様もアークプリーストなので回復役×2になっただけ、役職がモロかぶりしているのだ。

「なぁ、ハードル下げようぜ。目標は魔王討伐だからしかないっちゃ仕方ないんだが…流石に上級職のみ募集しますってのは厳しいだろ」

「うぅ……だってだって…」

「それに上級職でしたらこの街にいる必要ないですから数少ないですし難しいかと」

そう、上級職なら普通はもうとっくに仕事をしているはずなのだ。

ヘッドハンティングでなきゃ難しいでしょう

「アークプリースト二人と冒険者一人では少し厳しいでしょう、少しハードルを下げた方が…」

そう僕が忠告した時だった。

「上級職の冒険者募集を見てきたのですがここで良いでしょうか?」

気怠けな、眠そうな紅い瞳、肩口まで届くか届かないかの長さの黒髪。

黒のマント、黒のローブ、黒いブーツに杖を持ち、トンガリ帽子まで被った正統派魔女っ子がそこにいた。

そして突然バサッとマントを翻し、

「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者……!」

…この子、出来る!

 

 

 

 

 

名乗り口上と応募見て来た魔女っ子、めぐみんは紅魔族と言う種族らしく一族皆エリートなのだそうだが、全員が変な名前だそうな。

父の名前といい母の名前といい日本らしさを感じるがまぁ、ないだろう。

しかしいきなり設定に突っ込んでオシャレ眼帯を躊躇なく引っ張るとはカズマ…恐ろしい子!

「俺はカズマ。よろしく、アークウィザード」

「…で、そちらの方は?」

おっと僕の紹介をわすれていた。

ならさっきの口上の返答みたいなものも合わせて答えさせていただこう。

「では僕も紹介させていただきます」

つい最近アクシズ教の自己紹介の仕方というものをアクア様から教わった。ってか適当に言ってた。

でも、女神が言うなら仕方ない、違くてもこれからこれがアクシズ教徒の自己紹介なのだ。

台詞を思い出しながら覚悟を決めて僕は言い放った。

 

 

「ご当家、パーティの仁義、失礼ですがお控えなすって」

 

 

そう言って中腰の姿勢になり、右手のひらを見せるように手のひらを見せる。

めぐみんとカズマはどうすればいいか分からないといった顔をしていたが、

 

「有難うござんす!パーティの仁義を失礼さんにござんすが、手前控えさせて頂きやす。」

そう言ってアクア様が同じような姿勢をとる。

 

 

「早速ながら、ご当家、三尺三寸借り受けまして、宗派、教義を発します。」

 

「手前、宗派の開祖で御座います。どうぞ、お控えなすって下さい。」

 

「手前、修行者で御座います。是非とも、姉さんからお控え下すって・・・」

 

「有難う御座います。再三のお言葉、逆意とは心得ますが、手前、これにて控えさせて頂きます。」

 

「早速、お控え下すって有難う御座います。手前、粗忽者ゆえ、前後間違いましたる節は、まっぴらご容赦願います。向かいましたる紅の瞳の姉さんには、初のお目見えと心得ます。手前、生国は日本国、宗派、縁持ちまして、我が主と発しますは、天に住まいを構えます、水の女神を継承致しますアクアに従いますアクシズ教徒の若い者で御座います。姓はヤマモト、名はヒロキ。宗派、昨今の駆出しアークプリーストで御座います。以後、万事万端、お願いなんして、ざっくばらんにお頼申します。」

 

「有難う御座います。ご丁寧なるお言葉。申し遅れて失礼さんにござんす。手前、天に従いますもの。姓はなし、名はアクア。宗派、宗教の熟練者。以後、万事万端、宜しくお頼申します。」

 

「有難う御座います。どうぞ、お手をお上げなすって・・・」

 

「あんさんから、お上げなすって・・・」

 

「それでは困ります。」

 

「では、ご一緒にお手をお上げなすって・・・」

 

「有難う御座います。」

 

「有難う御座いました。」

 

そうして両者、手を下げる。

 

 

 

 

「…完璧じゃない、さすがは最高の信者ね」

「アクア様こそ完璧な対応でした」

「な、なんですか今の!ヒロキさんにアクアさんですね!」

「かっこよかった?」

「かっこよかったです!」

「いや、これなんだよ!」

「これで間違えたら私がヒロキ介錯しなくちゃいけないのよ!命を張ってるんだから!」

「なるほど、だから迫真だったんですね!」

「挨拶だからね、出来なかったら切られても仕方ないよね」

「だったら短くすればいいじゃねーか」

「「「そしたらかっこよくない(じゃん・じゃない・です)」」」

その後3人でご飯を食べながらお互いの口上の感想を言い合った。カズマはなぜか釈然としない顔で会話を聞いていたが。

アクア様から聞いてから一人で練習していたのだ。命がかかってたのだから少しは大目に見て欲しい。

アクア様から鳩尾ゴッドブローを受けるわけにはいかないね。

 

 

 

 

で、食べてから僕たちはカエル退治のため平原へと赴いた。

「爆裂魔法は最強魔法。その分、魔法を使うのに準備時間が結構かかります。準備が調うまで、あのカエルの足止めをお願いします。」

「分かりました。」

そして手に芸能スキルの手品を用いて剣を出現させる。

「お前アークプリーストだよな?」

「冒険者は戦うものでしょ?」

「あー…いや、いいや、手遅れだな」

そう言って痛い子を見るような目で見て来た。

おいやめろよ、ソロでも狩れるように一人で戦えなきゃいけないし手品のスキル結構便利なんだぞ。質量を感じずに持てるし。

「めぐみんは遠い方のカエルを魔法の標的にしてくれ。近い方は…おい、行くぞアクア。今度こそリベンジだ。お前元なんたらなんだろ?たまには元なんたらの実力見せてみろ!」

「元って何!?ちゃんと現在進行形で女神よ私は!アークプリーストは仮の姿よぉ!」

「…女神?」

めぐみんが不思議そうに尋ねていた。

真実を教えるべきか…誤魔化すか…

涙目でカズマの首を閉めようとする女神様を見る。

「…を自称している熱心なアクシズ教徒だよ。彼女、信仰心は高いんだけど気持ちが高まり過ぎてたまに同じ名前のアクア様と自分を同一視して自分を女神だと思ってしまうんだ、だからそっとしておいてあげて。」

僕の言葉に、同情の目で可哀想なアクシズ教徒アクアを見るめぐみん。

涙目になったアクア様が、拳を握ってヤケクソ気味に近いカエルの方へと駆け出した。

「何よ、打撃が効き辛いカエルだけど、今度こそ女神の力を見せてやるわよ!見てなさいよカズマ!見てなさいよヒロキ!活躍して真の女神の力を今日こそはっ!」

カエルの餌になることが真の女神の力なのだろうか、流石は神、自己犠牲の精神も持ち合わせているのか。

確かにこれで足止めは出来ている。

…とめぐみんの周囲の空気がビリビリ震えだした。

これが爆裂魔法の前兆か。

魔法を唱えてるめぐみんの声が大きくなり、こめかみには一筋の汗が伝い緊張感が溢れる。

「見ていてください。これが、人類が行える中で最も威力のある攻撃手段。…これこそが究極の攻撃魔法です」

めぐみんの杖の先に光がともる。

膨大な光をギュッと凝縮したような、小さな太陽のような眩しい光。

紅い瞳を鮮やかに輝かせ、目を見開き、小さな体に似合わないくらい力強く宣言する。

「『エクスプロージョン』ッ!」

平原に一筋の閃光が走り抜ける。

杖の先から飛び出したその光は遠く、こちらに近づくカエルに吸い込まれるように突き刺さると、

目も絡む強烈な光と辺り一帯の空気を揺らす轟音と共にカエルが爆裂四散した。

爆風に吹き飛ばされそうになるが仁王立ちで強キャラムーブをしてみる。

カズマも倒れずに顔を庇ってる体勢だ。

爆煙が晴れるとさっきまでカエルがいた場所はカエルの影すらなく、クレーターのみが残っており、凄まじさを物語っていた。

その音でカエルが目を覚ましめぐみんの近くに這い出ようとしていたがとても遅い。

「めぐみん!一旦離れて、距離を取ってから攻撃を」

「それは無理そうだカズマ!」

だって打った後倒れてピクリとも動かないんですもん。

「あの、助けてくれません?近いのは分かってますからお願いします」

「すみません、アークプリーストはあまり攻撃するなとリーダーが」

「ちょっ、もっと融通して…ひぁっ…!?」

「すまないカズマ、僕が戦えないばっかりに」

「お前って最低な奴って言われた事ないか?」

 

そして動きを封じたカエル二匹をカズマと一匹ずつ分けてとどめを刺した。

 

 

その後、カズマとジャンケンで負けたのでめぐみんは僕が背負って帰っている。

くっそ、一時の楽しみの為に喰わせるんじゃなかった。

それとめぐみんは爆裂魔法だけしか使えないらしい。

いや、特化すぎるだろ常識的に考えて。

その潔すぎる技構成にカズマも捨てようとしていたが、めぐみんも必死に引き止めるよう喚いていた。

ここで目立つとヌルヌルめぐみんを背負っている僕にあらぬ目が向かい、アクシズ教徒か、彼が何かやることぐらいわかってたとか噂が広まってしまう。

だからこの場を収めるためにこう言ってやった。

「カズマ、めぐみんが入れないなら僕だけがパーティに入る形になるね」

「そうだな」

「そうしたらパーティに誰も入らなくなると思うけどね、カズマはアクシズ教徒の悪評の酷さを分かってない。そしてカズマの風評も悪くなるよ、まさかアクシズ教徒となんてつるんでる奴がまともな奴じゃねーだろ!そう言われるだろうがいいのかな?」

「…めぐみん、これからもよろしく頼むわ」

「えぇ!爆裂道を突っ走ってやりますとも!」

うむ、仲良きことは良きかな良きかな

…で、

「…あれ?僕は?」

「いや、お前今デメリット語ったじゃん…前衛が入ったらまた呼び直すから仮決定というか保留でいいか?」

「え、あれ?」

「まぁ、あれだ」

 

 

慎重なる選考を重ねましたところ、

残念ながら、今回はご期待に添えない結果となりました。

 

ヤマモト様の今後一層のご活躍をお祈り致します。

 

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