ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
親譲の頑固さで子供の時から損ばかりしている。
学校に居る時、学校の二階から飛び降りて、
一週間ほど腰こしを抜ぬかした事がある。
なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。
別段深い理由でもない。
新築の二階から首を出していたら、
同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、
そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。
と囃したからである。
父に負ぶさって帰って来た時、
父が紅い眼をして
二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす奴があるか
と云ったから、
この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。
だから爆裂魔法を無用の長物って言うのやめろー!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
友のために神様と戦争になりかけた今日この頃、
結局ゾンビマスターを討伐できなかったり、
あの後ウィズさんのお店で浄化しようとしてくる
アクア様との攻防戦があったり、
アクア様になんとなく五万エリスをあげたりと、
これと言ってイベントはありませんでした。
今日はみんなでいつもの酒場で集まっていた。
テーブルをバンと叩いて野菜スティックを気絶させ食べる。
このなんとも特別な食べ方にも最初は戸惑ったものだ。
カズマはこの席から離れ、情報収集をしている。
「カズマは何してるんすかね」
「まさか、他のパーティーへの移動とか…?」
「それは無いですよアクア様、あったとしても最弱職の冒険者があんなににこやかに受け入れられないですよ」
「…むぅ、でもあんなに楽しそうに」
「あぁ…そうだな」
「おやおや、お二人とも嫉妬ですか〜?」
「ち、ちがわい!」
「そうだ!嫉妬なんかしていないぞ、むしろ、このモヤモヤ感、そうこれが寝取られなのか!」
「あ、うん、そうなんじゃないですかね」
などと談笑していたら話題のカズマが帰ってきた。
「…どうした?俺をそんな変な目で見て」
別にー?と不安そうな目でチラチラ見るアクア様、
ちょっと怒り気味のめぐみん、
なぜか興奮しているダクネスといつものことだ。
「そうそう、何でもないよ。ただアクア様が他の所に行かないか心配してるのとめぐみんが嫉妬してるだけで」
「あ?情報収集は基本だろうが」
っと言いながらテーブルをバンと叩き、
野菜スティックを食べようとするが、
手からヒョイっと逃げ出した。
「…………だああああああああ!」
やーい、野菜に舐められてやんの
で、カズマがスキル取りたいからパーティ全員のスキルを知りたいと言った。
ダクネスは物理耐性、魔法耐性、各種状態異常耐性とか囮となるスキル全般らしい。
つまり当たらない矛と無敵の盾だな。
めぐみんはもちろん爆裂魔法のみ、威力上昇、高速詠唱も取ってるとか。
つまり弾道ミサイルだな。
アクア様は紹介するまえに黙らされていたけどもちろんアークプリースト全般のものを覚えてるに違いない。
つまり病院(BJ入り)だ。
お前はどうだと聞かれたのでアクア様の下位互換と言ったらなんか変な顔された。
失礼な、医者以上の働きはする。
…しかし改めて見ると攻撃の数が足りなさすぎる。
「「移籍しようかな…」」
そんなハモった小さな呟きに3人がびくりとした。
そんな何でもない日を過ごしていた数日後、野菜狩りの報酬がやっと出た。
纏まった金が久々に手に入ったのかみんな装備の買い替えをしていた。
皆に平等に分配ではなく、それぞれの分で報酬を得た。
めぐみんはもらったお金で新調した杖を抱きかかえて息を乱しながら頬擦りしてた。
…女の子がそんな声出しちゃいけません!
息をちゃんと整えなさい!
ダクネスは少し強化した鎧が修理から返ってきてたので見せびらかしてきた。
重厚さが足りないと言っておいた。
ゴテゴテしたのはは男の子のロマンだからな。
アクア様は…キャベツではなくレタスだったらしく五万ほどだと…
おいたわしや…喜捨せねばならないかな。
僕はめぐみんより少し少なめな、もらったお金の使い道を考えた。
うーん…そろそろ杖買うべきかなぁ…防具はアクア様からもらった神器のカソックがあったので心配してなかったけど、そろそろ魔法も使わねば。
カズマは…百万ちょい…だと…?
ふざけるなぁ!インチキ幸運もいい加減にしろ!
「カズマ様ー!前から思っていたんだけど、あなたってその、そこはかとなくいい感じじゃない?」
「カズマー!前奢ってやったお金利子をつけて返してくれー!」
「金を持った瞬間に寄ってくるな。もう使い道決めてあるからな、分けんぞ」
「カズマさぁぁぁぁん!私、クエストの報酬が相当な額になるの踏んで、持ってたお金全部使っちゃったんですけど!ツケが十万ほどあるんですけど!」
「知るか、それに個人でって言ったのお前だろ」
ごもっともである。
カズマは家が欲しいとのこと。
あぁ…うん、いいよね家。馬の家はもうこりごりだよ…
カズマに泣きつくアクア様の為にツケは僕が払っておいた。
その代わりにカズマとルームシェアする約束をしたのだった。
くっくっくっ、この杖が爆裂魔法を欲しているわとめぐみんが言ったのでじゃあ、クエストやるかだと皆の気持ちが一つになっただが、近くに魔王の幹部が来てるらしく高難易度のものしかないので解散となった。
…不完全燃焼だ!辻説法してやる!
辻説法とは、
近くのエリス教会の扉の前に立ち何やら深刻な顔をしている人たち呼び止めては話を聞いてやる。
で、なにか依頼があれば無料で引き受けてあげる。
そう、僕をエリス教徒だと見せかけて最後の最後まで正体を明かさないことでアクシズ教徒でも普通の人なんだと印象付けさせるこの作戦よ!
三日後、神殿内から偉そうな人が出て来たので全力で逃走した。
前回の作戦が失敗したから今回は大通りで大きな声でアクシズ教の教えを間違っていることを力説し更に、この教えがエリス教よりも優れてることを街頭演説した。
そう、この自由こそ最高!皆を平等にする為に!王など要らぬと、貴族など要らぬと、パンと自由のために立ち上がるのだ町民よ!
労働者よ!団結せよ!
二日後、鎧を着た人がいっぱい来たので走って逃げた。
今日は五日間色々やって疲れたのでいろいろな店を覗いてみたら女神に似ている人がいたのでコロッケを買ってあげた。あまり会話などしないでさっさっと立ち去った。あれは女神に似ている人でアクア様ではないのだ。別に赤くなってプルプルしてたけどアクア様ではないのだ。
今日は何をしようかと街中をブラブラしていると街中を緊急アナウンスが響き渡る。
僕が走って向かうと街の正門前に多くの冒険者が集まるが、皆、一体のモンスターの前に立ち尽くしていた。
デュラハン。
死を告げる妖精とも言われ、女の姿、鎧騎士の姿を取っており、コシュタ•バワーに牽引された馬車に乗っていて…あっ、馬車に乗ってないや、マイナス5点、そして死を告げる民家の前に立ってない、マイナス10点、あんたデュラハン舐めてる?血をダバーッとかけないマイナス10点。
もうこれデュラハンと呼ばないのでは?
そんなデュラハンもどきとも取れるモンスターは、
「俺は、つい先日、この近くの城に越してきた魔王軍の幹部のものだが…」
小脇に抱えてた首がプルプルと震え出し、
「毎日毎日毎日毎日っっ!!俺の城に爆裂魔法を撃ち込んでいく頭のおかしい大バカは、誰だぁぁぁぁぁぁぁ!」
騒音被害を訴えていた。
魔王幹部はお怒りのようです。
めぐみんが向かって行ったので後に付き従った。皆も来ていた。
なんか、デュラハンさんカンカンだった。
攻めてこいやら、喧嘩売ってんのか?とかなんなの?嫌がらせがしたいだけなの?お前らなんて一捻りなんだぞ?お前バカじゃないの?ねぇ?やめてくれない?バカじゃないの?
言い分を纏めると、こうだ。
正論すぎて気圧されるわ、そりゃ、自宅に火炎瓶投げられて怒らない人はいないわな。
「我が名はめぐみん。アークウィザードにして、爆裂魔法を操る者…!」
「お前馬鹿じゃねーの?」
つい言ってしまった。
「…それにめぐみんってなんだ?お?なぁ?」
ガチでキレてる…僕だって隣の家に騒音被害ですよって言われてこの名乗りされたら戦争するわ。
「ち、ちがわい!我は紅魔族の者にしてこの街随一の魔法使い。その爆裂魔法は貴方をおびき出すための作戦!」
え?まじ?そういうの先に伝えてくれません?
「…ほう、紅魔の者か…ふん、まあいい俺は雑魚にちょっかいかけにこの地に来た訳ではない。ある調査に来たのだ。しばらくあの城に滞在するからこれから爆裂魔法使うな、いいな?」
なんだろう、デュラハンが大人に見える。いや、騒ぎを起こして無駄な事をしたくないのだろう。でも、こちらが謝ってないのに引いてくれるって相当人間できてね?それとも人なんて眼中にないのか?
「私に死ねと申すのですね?紅魔族は日に一度、爆裂魔法を撃たねば死ぬのです。」
おい、見え見えの嘘をつくな。
「…どうあっても、爆裂魔法を撃つのをやめないと?」
やれやれとデュラハンは肩をすくめて見せ、
「弱者を刈り取る趣味がないがこれ以上城近辺で迷惑行為をするならこちらにも考えがあるぞ?」
まだ警告で済むのか、寛大すぎるだろデュラハン。
デュラハンの最後の警告にビクリと後ずさっためぐみんだが不敵な笑みを浮かべると…
「迷惑なのはこっちの方です!貴方のせいで仕事がないんですよ!こちらにも考えがあります!対アンデッドのスペシャリストがいるんですから!先生方、お願いします!」
…おい、こっちに丸投げすんなや。
アクア様もしょうがないわねーって満更でもない感じしないでくださいません?
固唾を飲んで成り行きを見守る冒険者たちの視線が…
それを見たデュラハンがこちらにも首を向かって前に出してきた。
大丈夫?血をダバーッてしない?
「ほう、これはこれは。アークプリーストが2人?魔王幹部がこんな街にいるアークプリーストに浄化されるだと?舐めているのか貴様?」
おい、お前女神舐めてんのか?
「ならばここはひとつ紅魔の娘を苦しませてやろうかっ!」
「なぁ!てめえ!」
まずい!デュラハンが苦しめさせる技といえば!
左手の人差し指をめぐみんに突き出してデュラハンが叫ぶ!
「汝に死の宣告を!お前は一週間後に死ぬだろう!!」
デュラハンが呪いをかけ終わった時に指先にいたのはダクネスだった。
「な!?ダ、ダクネス!?」
めぐみんが叫ぶ中、ダクネスの身体がほんのりと一瞬だけ黒く光る。
「『セイクリッド・ターンアンデッド!』っ!」
「ぐっ!効かぬといっただろうが!」
そう、黒い煙が上がるが耐えられた。畜生が!
「それに、俺が死んでも宣告は消えない!仲間同士の結束が固い貴様ら冒険者にはこちらの方が応えそうだな。」
デュラハンの言葉にめぐみんが青ざめる。
「そのクルセイダーはお前のせいで一週間後に死ぬ!お前の大切な仲間は死の恐怖に怯え苦しむのだ!そう、貴様の行いのせいでな!自らの行いを悔いるがいい!」
デュラハンは勝ち誇って宣言したら。
それにダクネスが戦き叫ぶ。
「つ、つまり、貴様は死の呪いをかけて、呪いを解いてほしくば俺の言うことをなんでも聞けと!そういう事なのか!」
うん、このクルセイダー馬鹿だよ!
この状況で普通そんなこと言えねぇよ!
「呪いなわけで私は屈したりしないぞ!このまま城に連れ込みハードコア変態プレイをするつもりだろう!」
なんなの、この人…
「いくら体を好きにできても、心まで縛れると思うなよ!あぁ!どうしよう!予想外に燃えるぞ!行きたくはないが仕方がない!ギリギリまで抵抗してはみる!止めるな!では行ってくる」
「止めろ、行くな!」
「そうだそうだ!デュラハンが引いてるし困ってる!」
お前の人生楽しそうだな。燃え尽きそうなのに燃え上がってるよ。
デュラハンがめぐみんに城まで来て俺のところまでくれば謝罪すれば解いてあげるよ、と言って高笑いしながら去った後、
集められた冒険者達、めぐみん、カズマが呆然としていた。
めぐみんが1人追うように街の外に出ようとしていたところをカズマが止めた。僕も行こうとした。
しかし、対照的になぜかなんともないような顔をしていた女神が気になった。
「…アクア様、どうして焦ってないんです?そんなに薄情な女神だったんですか?」
「…?だってデュラハンの呪いぐらいわたし解けるわよ?」
………女神って凄い、改めてそう思った。