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「おい異世界さ行えぐんだで!」
私はレンガの壁に寄りかかって、蝸牛が背のびをしたように延びて、異世界が抱かかえ込んでいるこの街を見ていた。
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違う!僕は布教がしたいんじゃない!僕の地位を向上させたいだけなんだ!アクシズ教って言われただけで白い目がされない世界を作りたいんだ!となぜか豚箱にぶち込まれそうになる今日この頃。
あの後、檻代をミツルギに支払わせたり、
魔剣を売っぱらったり、
アクア様がミツルギを泣かせてたり
アクア様が苦しいだろうから報酬全額あげたりとありましたが何もありませんでした。
しかし、ミツルギを見て少し思った。夢持ってるなぁって。
この街で半年間は稼ぐことに大変だったし、パーティーにすら入らなかったし、話しかけることすら不可能だったし。
あんな特典じゃなければミツルギみたいに高難度の依頼を受けてたりしたのだろうか。
そんなたらればを考えてしまうほどに。
普通に考えてクエストを受けるか受けないかは、
クエストの利益>クエストの難度で決まると思う。
当たり前だ。リスクを背負うのにそれ以上の利益を上げなければ骨折り損だ。
だからこそプリーストに簡単なアンデッドの依頼ばっかり受けていたのだ。ファンタジーが好きなだけで利益<興味にするのはなかなか難しい。夢が現実になったのだから堅実になって何が悪い。無謀に見える日雇い冒険者だって明日は欲しいのだ。むしろこの世界のスタンダードを楽しむ事こそ、本にも書いてない些細な元の世界との普通のズレを楽しむ事こそが幸せなのだ。
それにプリーストだから1人で特攻ができない。
だからパーティーに入りたいのだが入れない。
何故かってアクシズ教徒っていうと皆何かを察するからだ。
だからアクシズ教の地位を向上させねばならない。
よって僕の目標は日々、自由に何もせず楽に生きアンデッドでストレスを発散させながら、アクシズ教の布教である。QED。証明完了。
…?あれなんかおかしくないか?
もうパーティーに入ってるんだから布教しなくてよくない?
いやいや、こんな素晴らしい教えを世に広めなきゃ…いや?あれ?
広めなくてもいいじゃん。僕の名誉だけ回復させればいいじゃん。
何もせずって魔王退治しなきゃいけないじゃん。こんな街はよでなければならないじゃん。
自由に…楽に…アンデッド…アクシズ教…
…洗脳か!?
この神器やっぱり呪いの装備だこれー!?
そういえばあの行動がアレな女神をいつのまにか様付けに呼んでる!怖っ!
そういえば僕が何故か奢っていたり、何故か懺悔してたり、何故かあいつの手伝いしてたり、何故か理由も無く金をあげてたり、何故かコロッケ在庫処分してたり、何故か報酬を全額あげてたり…
実は何もなかったと言ってるけどなんか起きてたんじゃね?
え、僕の思考に無意識割り込むとか何それこわい。
…一度あげた手前返して貰うのはかっこ悪いから洗脳主に卍ゴッド固めをしてやろう。
本当に体つきだけは一人前だなぁ。すべすべな肌しやがって、おい?頭幼児が。洗脳なんてしやがって。
倒れたとしてもそのまま崩れほんずに色々触ってやってもいいんだぞ?最高の教徒だからあんな事当たり前?知らんなぁ。
さぁ、早くこのパーティーから抜け出してやる。
抜け出したとしても先が見えないがずっと洗脳パワーを食らってるよりはマシだ。他の奴らには悪いがこいつは一応アークプリーストだ。だから僕が抜けても大丈夫だ。
自分が女神である事を話したが設定だと勘違いされた哀れなアクシズ教徒を立たせる。
『緊急!緊急!』
技が決まったと同時にアナウンスが鳴り響いた。
『特に、冒険者サトウカズマさんとその一行は、大至急でお願いします!』
似非デュラハンさんちーす!お仲間引き連れてきたの分かったけど相変わらず馬車はどうしたんすか?売っぱらったんですか?
騎士?妖精さんでしょ?え!?アンデッド!?おまえそれスリーピー・ホロウじゃねーか!
見た瞬間、なぜかそんな事を思った。
そんなわけで鎧を準備して来るダクネスを抜かした4人で先に来ていた。
「なぜ城に来ないのだ、この人でなしどもがあああああっ!!」
こちらの姿を見るとデュラハンがそう叫んだ。
「なんで行く必要があるんですか?」
「そうだよ」
「当たり前ですよね?」
そう言ったらデュラハンが自分の頭を叩きつけようとするぐらい怒った。
「俺言ったよなぁ!?来たら解いてやるって!?なのに?毎日毎日毎日毎日毎日毎日!!変わらずに爆裂魔法放って行くってどう言う事だよ!」
「「えっ?」」
思わずめぐみんの方を見たらふいっと目を逸らした。
お前、行ったんか?馬鹿じゃねーの!?
「…お前が共犯者か!」
「いやいやいやいや!なんで僕が連れて行くんだ!んな面倒な事!」
「お前以外に誰が連れて行くんだよ!」
「はぁ!?カズマじゃねーのかよ!お前が前に連れてったろ!?」
「また来るに決まってるのに近付くか馬鹿!」
同時に青い奴の方を向いたらふいっと目を逸らした。
「「お前かああああああ!!」」
「わああああああー!だってだって、あのデュラハンにろくなクエスト請けられない腹いせがしたかったんだもの!私はあいつのせいで、毎日毎日店長に叱られる羽目になったのよ!」
「そりゃてめぇあんな態度でいたら怒られるに決まってるだろうがぁ!大量のコロッケ、僕に買わせやがってよぉ!」
「ヒロキが勝手に買っていったんじゃない!」
そんな醜い争いをしている僕らにデュラハンが言葉をぶつけた。
「俺が怒ってんのはそこだけではない!お前ら仲間見捨てたんだぞ!?分かってんのか!?あんな騎士の鑑のようなクルセイダー見捨てるなど…」
「…や、やぁ…」
「」
そこに騎士の鑑なんて言われて褒められたダクネスは赤い顔をして照れながら現れた。
「アレェェェーーーーー!?」
素っ頓狂な声をあげて驚いた。
「今じゃ!駄女神!パワーをスタッフに!」
「ちょっと!いっつもアクア様だったでしょ!なんで呼び方変わってるのよ!」
「後で教える!」
『『ターンアンデッド!』』
「!?…ふっ、プリースト対策を魔王の幹部がしてないとでも思っているのか?この俺を筆頭に、このアンデッド軍団はぎゃああああああああああああー!!」
不意打ち気味に完璧に慢心状態のところにターンアンデッドが入ったのに…
黒い煙が出るだけで消滅しないだなんて…
「ね、ねぇヒロキ!変よ、効いてないわ!」
「な、なぜだ!僕らの合体技が!」
クククッと笑いデュラハンがよろめきながら
「…説明は最後まで聞くものだ。この俺の名はベルディア、魔王軍幹部が1人、デュラハンのベルディアだ!魔王様から特別な加護を受けたこの鎧とそして俺の力によりそこらへんのプリーストのターンアンデッドなど効かぬわ!」
『『セイクリッド•ターンアンデッドー!』』
「ぬわぁぁぁぁぁぉぁぁぁ!」
そんな!地面にのたうちまわるだけで一向に消滅しないだなんて!
しかし、まだだ!
「カズマァ!スティールでこいつの鎧剥げ!」
「!『スティール』っ!」
「ぐっ!魔王軍幹部を舐めるなぁ!」
そういってカズマから何も取られず、プリーストに2人に切りかかって来るベルティアの攻撃をすかさず間に入って受け止めるダクネス。
「下がれお前ら!私が引き付ける!」
「サンキューダクネス!アイシテル!」
ひぃぃぃワニよりこえええ!
そうして街の冒険者が見守る中、対峙する僕らのパーティーとベルディア。
僕らが呪文をやめて後退する隙にベルディアは怒号をあげた。
「あぁ!俺のことをおちょくりやがって!もう我慢の限界だ!!街ごと滅びるがいい!軍団よ!街の連中を皆殺しにしろ!」