IS世界に世紀末を持ち込む少女   作:地雷一等兵

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タイトルだけで誰が出るか分かるっていう。

では本編をどうぞ↓


第127話 竜 VS.痴女

 

 

 

「さぁ…(ロマン)を始めよう…。」

 

「アハハハハハハ!!」

 

着々と2回戦が進み、次の仕合はスペイン代表で、専用機“恋するドラゴン(ドラゴン=エネモラーデ)”を操るソフィア・ドラゴネッティと、開催地であるイタリア代表、専用機“アナザーブラッド”を駆るアナスタージア・ブロットの仕合だ。

仕合前から睨み合う二人は、前回の第4回モンド・グロッソにおいて激闘を演じ、引き分け再試合という名勝負を作り上げた。その為、メディアでも彼女らの因縁を取り上げ、観客達はこれから起こるであろう激闘に胸を膨らませている。

 

 

 

「ガオーッ!」

 

「アハハ…。」

 

仕合開始と共に二人は同時に仕掛ける。

ソフィアは上空に飛び上がるとそこから急降下してアナスタージア目掛けて飛び掛かる。

それに対してアナスタージアは専用機の周囲に蠢く赤い流動体を展開する。

 

「血の水面に魅入る、写せ──」

 

ソフィアの拳が届く直前にアナスタージアの身体を赤い流動体が多い、四人のアナスタージアが現れる。

ソフィアが捉えたその内の1体は拳が当たった瞬間に赤い液体に戻り、弾けた。そしてその隙をついてソフィアの背後からアナスタージアが奇襲を行う。

 

「アハハッ!」

 

「一緒に踊ってもらおうか…!」

 

ソフィアはアナスタージアの奇襲を察知すると身体を翻し、手刀を打ち込んできたアナスタージアの顎を思いっきりアッパーでかちあげた。

 

(オレ)は知っているぞ、お前が格闘戦を苦手としていることなどな。」

 

「フフ、それがどうしたの?」

 

アッパーを食らい、宙を舞ったアナスタージアであったが、その顔にはまだまだ余裕の笑みを浮かべている。

そんなアナスタージアを見てソフィアはニヤリと笑う。

 

「ふふん、面白い。さぁ、お前の殺意を逆鱗に突き立ててみろ!」

 

「あらぁ、良いのかしらぁ?」

 

笑顔を浮かべる二人、仕掛けたのはソフィアだった。

ソフィアはずんずんとアナスタージアに駆け寄り、拳を伸ばす。

 

「血風を纏う、抱け!」

 

「っ!?」

 

ソフィアの拳がアナスタージアの出した赤い球体に当たると、その赤い球体は弾けて液体となりソフィアの足元に絡み付く。

そしてアナスタージアが両腕を振るうとソフィアの身体は大きく宙に投げ出された。

 

「禁忌の血を解放(はな)つ、侵せ──!」

 

大きく投げ出されたソフィアを見て、アナスタージアは前方に勢いよくブースターを吹かして突進した。そして丁度落ちてきたソフィアの頭を掴むとそのままの勢いで壁に叩きつける。

ソフィアが壁に叩きつけられると、まるで血飛沫のように赤い液体が辺りに飛び散った。

 

「ぬおぅ?!」

 

「アハハハハハハ!!」

 

ソフィアを壁に叩きつけたアナスタージアはその場から1歩飛び退いて喜びを表すように高笑いをした。

赤い液体を頭から浴びていることもあり、今の彼女の姿は鮮血を浴び、狂ったように笑う凶人にも見える。

 

「おおう、今のは効いたぞ…。」

 

ドラゴンも同様に頭から被った赤い液体を滴らせながら立ち上がる。

 

「いい物を貰ってしまったな…。これはお返しをしなくては。」

 

「あらぁ、気にしなくていいのよ?」

 

やり返す意思を見せるソフィアにアナスタージアはくすりと笑う。

笑う彼女の周りには赤い球体が浮遊しており、ソフィアはそれを冷静に観察していた。

 

(アレがアイツの新兵器か…、1回戦じゃ見せなかったくせに…。)

 

「うふふ。」

 

すっといつもの構えに戻ったソフィアを見てアナスタージアは周囲を飛ぶ球体を増やす。

 

「ドラゴンファイヤー!」

 

「っ!?」

 

ソフィアのいきなり口からビームを出すという突拍子もない行動に反応の遅れたアナスタージアは急いで眼前に赤い液体を展開してそれを防いだ。

しかし防御に気を取られ過ぎて、迂闊にもソフィアを懐に招き入れてしまう。

ソフィアは両腕を大きく回してアナスタージアを掴むと上空に放り投げる。

 

「ドラゴンファイヤー! アンド、ドラゴンアッパー!!」

 

そして上空にいるアナスタージアを撃ち落とすようにビームを吐き出し、落ちてきた彼女に向けて3連続の全身を使ったアッパーをお見舞いする。

 

「あぁんっ!?」

 

「ガオーッ!!」

 

アッパーの衝撃に悶絶しながら落ちていくアナスタージアであるが、ソフィアは手を緩めない。

アッパーの最後に跳ね上がったソフィアはそのまま上空から飛び掛かるようにアナスタージアに突撃する。

 

「己のターンッ!! ウァチャチャチャチャチャッ! ウゥ、乗ってきたぁ!!」

 

突進して浮かせたアナスタージアにソフィアは更に追撃する。

突進して一撃を入れると、激流のように何発も目にも止まらぬ速さで連撃を撃ち込み続けた。

そして最後、フィニッシュブローのようにアナスタージアを蹴り飛ばすと、ソフィア本人は上空へと飛び上がる。

 

「破滅のブラッドスクリームッ!!」

 

上空から巨大な龍のような物が姿を現し、その長大な口を開いて灼熱の息吹を吐き出した。

それは丁度正面にいたアナスタージアを捉え、こんがりと焼いていく。

 

「大喝采!!」

 

龍の姿が消えるとソフィアはぐるぐるとバク転してから着地する。

目の前の大地は熱されており、所々から湯気が立ち上っている。そんなアリーナの端で、アナスタージアは力なく横たわっていた。恐らくあまりの衝撃に気絶してしまったのだろう。

 

「…いかん、火力の調整を間違えた…。」

 

目の前の惨状を見たソフィアはばつが悪そうに頭を掻くと、ボロボロになったアナスタージアを回収してアリーナを去っていった。

 

 

 

「相変わらず派手ですね。」

 

「ふん、こういう時はこうじゃないとな。」

 

アリーナから退場し、通路を歩いていたソフィアはすれ違い様に楯無から声を掛けられる。そんな楯無の言葉にソフィアは得意になって返した。

その後、二三言葉を交わした彼女らは分かれ、楯無はアリーナへ、ソフィアはアナスタージアを担いだまま医務室に向かった。

 

 

 

 

「お久しぶりです、礼子さん。」

 

「ええ、久しぶり。」

 

次の仕合は国際企業連盟代表の巻紙=オータム・礼子とロシア代表の更識楯無だった。

面識のある二人であるが、そこまで親しいという訳ではない。むしろ礼子が楯無に対して少しながら苦手意識を持っている。

そんな二人だが、こと仕合となるとそんな事を微塵も感じさせない。アリーナに来てからの二人はお互い刺すような殺気をぶつけ合っている。そして仕合開始のブザーと同時に二人は動いた。

 

 

 

ジョインジョインタテナシィ ジョインジョインレイコォ

デデデデザタイムオブレトビューション バトーワン

デッサイダデステニー

ナギッペシペシナギッペシペシハァーンナギッハァーンテンショーヒャクレツナギッカクゴォナギッナギッナギッフゥハァナギッゲキリュウニゲキリュウニミヲマカセドウカナギッカクゴーハァーテンショウヒャクレツケンナギッハアアアアキィーンサラシキウジョウダンジンケンK.O. イノチハナゲステルモノ

 

 

「本当に速いわね…。あぁ、面倒臭い…。」

 

「コレが取り柄、ですもの。」

 

まず最初の一合は楯無のペースで進んだ。目にも止まらぬ高速機動で礼子の間合いを外し、初撃を入れてからは途切れることのない連撃で自分のペースをしっかり確保したのだ。

 

バトートゥーデッサイダデステニー

ハァトウケイコホウヒャッハーペシッペシッペシッペシッペシッペシッペシッペシッペシッヒャッハー ヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒ ヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒK.O. カテバイイ

 

次の一合は逆の展開だった。楯無が牽制に放った衝撃波を礼子は飛び越えて仕掛ける。カウンター気味に楯無を壁際まで蹴り飛ばし、追い詰めると拡張領域(パス・スロット)から大量の爆薬と液体火薬を取り出し続け燃やし尽くす。

しかしそれだけで全部のシールドエネルギーを削りきれないと判断した礼子は最後に蹴りを一発お見舞いしてから距離を取った。

 

 

「やってくれましたね…。」

 

「仕留めきれると思ったのに…。やっぱり火力不足かしら…。」

 

壁際から立ち上がって警戒を露わにする楯無に礼子はショットガンの銃口を向けて牽制する。

 

 

バトースリーデッサイダデステニー

ユクゾユクゾヒャッハー ハァンクラエェフンハァ

 

お互い互角の状態で始まった差し合いは均衡状態で時間が進んでいく。

楯無が自慢の高速機動で礼子を掻き回そうとするものの、慣れてきた礼子はそれを冷静に捌く。しかし礼子も礼子で迂闊には攻められないでいた。

 

「コイツはどうだ!」

 

「──っ!?」

 

しゃがんだ状態で待ち受けていた礼子は楯無のほんの一瞬の隙を見て石柱を使って上空にかちあげる。

そして宙に浮いた楯無を追うように礼子も飛び上がり、追撃を加える。

 

「ヒャッハー! 千手殺!」

 

上空からオーバーヘッドキックで楯無の体勢を大きく崩し、無数の突きでもって追い討ちを掛ける。

そして地面に叩きつけられた楯無に礼子は着地してから直ぐ様駆け寄って起き攻めを仕掛けた。

 

「ヒャッハー!!」

 

「更識酔舞撃!」

 

しかし楯無は起き上がりに仕掛けられたローキックを両手で受け止めて体当たりで礼子を突き飛ばす。

 

ゲキリュウニゲキリュウニミヲマカセドウカナギッカクゴーハァーテンショウヒャクレツケンナギッハアアアアテーレッテーサラシキウジョーハガンケンハァーン

FATAL K.O. セメテイタミヲシラズニヤスラカニネムルガヨイ ウィーンタテナシィ

 

 

「うわらば!?」

 

楯無は礼子を体当たりで突き飛ばした後、自慢の高速移動を使って追撃を行う。壁際で礼子を上空に蹴り上げると何発も突きを打ち込み、礼子が落ちるよりも先に着地して待ち構える。

そして落ちてきた礼子に上段突きを打ち込んで壁に叩き着けるとおもむろに座って両手を掲げた。そして掲げた両手から何かを出すと、勢いよくその両手を振り抜く。すると、一瞬で礼子のシールドエネルギーがなくなった。

 

「私の勝ちですね。」

 

「くぅ…、勝てると思ったのに…。」

 

礼子は立ち上がって楯無を軽く握手を交わすとそのままアリーナを後にし、楯無は暫くその場に残って観客達の声援に応えていた。

その後も二回戦は順当に進んで行った。

 

 

 





楯無対礼子は書いてて楽しかったです(小並感)

では次回でお会いしましょうノシ


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