ある呪術師の不気味な冒険   作:ホーボー

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執筆時間一時間構想一分
勢い万歳!


プロローグ

 星の輝き一つ。天に燃える陽光の一束(ひとたば)。

 糸の色一つ。織り上げられた布の一筋。

 雨の粒一つ。大海を満たす波濤(はとう)の一滴。

 冒険者の傷跡一つ。英雄叙事詩の一篇(いっぺん)

 千の千乗、万の万倍、重ねた高さは山河を超える。

 転がる骰子(サイコロ)に関わらず、かくして世界は紡がれる。

 

 

 今回の依頼はいたって普通の小鬼の巣への押し込み強盗(ハック&スラッシュ)であった。

普段ならこんな割に合わない依頼を彼は受けなかったが、日帰りでの依頼はこれが一番マシだったのだ。

早急に金と生け贄(新鮮な!)が要るのだ、主に彼が今日を生き残る為の糧と今夜のカードの資金が。

 

「クソ、何であそこで王様(キング)なんだよ、どうせなら英雄(エース)きやがれ」

 

ぶつくさと独り言を言いながらも周囲の警戒と罠の探知は忘れない。

仮にも単独(ソロ)で銅等級まで成り上がった腕は伊達ではない。

 

「そろそろ洞窟も終わりか、ちょいと多かったがそれまでだな」

 

小鬼の巣を虐殺した感想を漏らす男の右手の片手斧がランタンに照らされていた。

おおよそ十八の小鬼を貪った片手斧は刃こぼれ一つしていない。

銅等級に魔法の武器(エンチャットウェポン)はありえぬ、況や伝説の武器(ユニークウェポン)おや。

であればこれが呪われし武器(カースドウェポン)であることはその赤色の薄く鈍い輝きと

奇妙な紋様からも伺い知れた。

 

「呪術も一回使ったきり、親玉が下級悪魔(レッサーデーモン)でも大丈夫だなこりゃ」

 

そう余裕を零す男の左腕には何やら炎を暗示させる不気味な刺青(いれずみ)が施され、

まるで呻く様に時折動いているように見えた。

 

「さっさと頭目を贄にしちまって、酒場で一杯やりたいもんだ」

 

ぼやく男はやや短く年季の入ったローブと”金属製の”胸鎧を身に着けていた。

 

「ん?どうやらお迎えのようだな」

 

男がやや広めの部屋に出ると、

ゴブリンにしては大きめの頭目が一匹(おそらく田舎者(ホブゴブリン)であろう)

それを(見るからにいやいや)守るかのように取り巻きが五匹待ち構えていた。

最終対決(クライマックスパート)である。

 

「GOBUGGGBU!」

「はっはっはっ、何言ってんのかわかんねえから心臓捧げやがれえ!!」

 

呪われし武器(カースドウェポン)を操り、左腕の邪悪な刺青(いれずみ)によって呪術を扱う。

魔術師が嫌う金物を平然と身に着け、心臓を生け贄として捧げる儀式を行おうと堂々宣言する。

この独り言の多く、賭け事を愛してやまないこの男は正しく”呪術師”であった。




短編予定、早くも崩れ去るノ巻
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