大淀「失礼します。って寝てるんですか?」
八幡「あぁ、今回は大目に見てやってくれ。」
一番最初に目に入ったのはユーがソファーの上で熟睡していた所だ。傍で見ていた八幡は気にすること無く執務を行っている。
大淀「随分と心地よく寝ていますね。」
八幡「そうだな。目の下に隈ができてたから、あんまり寝れなかったんじゃないか?」
白い肌が特徴なユーの目の下にはくっきりと隈があるのだ。
大淀「追い込まれていたんですね…。」
八幡「多分な。」
Prrrrrr…
八幡「はい。」
葉風「やぁ、お疲れ様。」
八幡「お疲れ様です。どうしたんですか?」
着信音でユーが起きてないか心配するが杞憂のようだ。
葉風「そっちに送った彼女はどうだい?」
八幡「まあ初回から無茶な突撃かまして、部隊を危うく沈ませる所だった位には元気がいいですよ。」
葉風「君は…出撃させたのかい?」
リスクリターンをしっかり見極められる彼がそんな判断をするとは思えなかったのだ。
八幡「はい。うちの潜水艦はそれなりに実力がありますから、アイツが無茶しても対処出来ると考えた結果です。」
葉風「つまり…予想外の敵が現れたと言うことかい?」
八幡「いえ、アイツを庇いながら戦ったからとしか聞いてませんが、まあ大体想像出来ますよね。」
葉風「なるほど…ね。それで彼女は今どうしてるんだい?」
八幡「あー、まあ出撃停止処分を出してますよ。」
思わず寝てるって言うところだった。危ねぇ。
葉風「まあ妥当だね。君は彼女の身に何があったか聞かないんだね。他の鎮守府の人達は最初に必ず聞いてきたというのに…。」
八幡「それも見てれば想像つきますよ。艦娘も思考回路は人間と差程変わらないんですから。こういうこと言ったらアイツらに怒られそうですけどね。」
葉風「流石、よく見ているね。念の為だ、答え合わせをしよう。君の見解を聞かせてくれないか?」
八幡「提督が暴力を振るっていたのは間違いないです。でも一番酷かったのは提督では無く、艦娘同士だった。じゃなきゃ俺に懐いてきた理由が分からないですから。」
葉風「概ね正解だ。MVPを取ったら何かしらの報酬があり、それ以外は何かしらの罰があったらしい。長年続けた結果、艦娘同士で亀裂が生まれたらしい。」
八幡「概ねって事は間違いがあるんですか?」
葉風「勿論。実は言うと、提督からの暴行は無かったんだ。暴言といった精神的攻撃は色々あったらしいけど。」
マジか…。だとするとアイツの痛くて暗くての言葉の辻褄が合わない。
葉風「暴行があったのは、艦娘からだよ。日によっては閉じ込め出撃させず、殴る蹴るなどして戦闘に支障をきたすようにする。無知な提督は本人の責任と思い込んで言葉の暴力。負の連鎖が生まれたんだ。 」
八幡「なるほど…。把握しました。」
葉風「君が1番淡白な反応なのは予想通りかな。」
八幡「何変な予想してるんですか。他に無いなら切ってもいいですかね。執務に追われてるもので。」
葉風「ごめんよ。ちょっとした出来心さ。それじゃ何かあったらいつでも連絡をくれ。」
そう言って電話が切れる。
大淀「葉風提督ですか?」
八幡「ん?ああ。よく分かったな。」
まあ電話なんかかけてくる人葉風さんくらいか。
大淀「ユーさんの件…ですよね。なんと仰っていたんですか?」
八幡「それは、アイツから聞け。俺が易々と言っていい内容じゃない。ほれ、昼の書類終わったぞ。」
大淀「……はい。ありがとうございます。」
執務室から出て行く大淀。
八幡「そろそろ夕食の時間か。」
コイツずっと寝てたな。と言ってもご飯を抜かせるのもどうかと思うし、起こすか。
八幡「おい、起きろ。」
ユー「ん…あれ、」
八幡「随分とぐっすり寝てたな。もう夜だぞ?」
ユー「え、あ、すいません…。私、仕事を…」
八幡「腹一杯になったら眠くなるのは仕方ない。もう夕食の時間だが、食べれるか?」
ユー「は、はい。食べれますけど…。」
八幡「気にすんな。仕事は終わってる。けど、次は爆睡は勘弁してくれ。他のヤツらに見られたら俺が怒られる。」
決して寝たことに対して怒りはしなかった。ブラックでなかろうと良い事では無いのに。仕方ないの一言で済ませてしまう事に驚く。
ユー「ダンケ…。」
八幡「ああ。ほれ、行くぞ。」
執務室から出て行く八幡の背中を追う。
赤城「提督遅いです!!お腹空きました!!」
八幡「口元にケチャップ着いてるぞ。」
赤城「はっ!不覚!」
ははは、と笑いが生まれる。
時雨「珍しいね。司令官が遅れるなんて。」
八幡「どうしても片付けたい仕事があってな。すまん。」
普段からサボりたがる癖にちゃんと仕事は終わらせて時間通りに来る彼が、仕事で遅くなるだなんて考えにくい。と時雨は思うが、深く考えないようにした。
八幡「特に報告は無いからさっさと食べるか。」
大淀「はい、それではいただきます。」
「「いただきまーす!!」」
八幡「はぁ、雨のせいでベストプレイスで食べれん。」
最早習慣と化しているせいかいつもより物足りない気分だ。明日は晴れますように。
イムヤ「提督。休んでても暇だから出撃してもいいかしら?」
1週間出撃無しと言われた潜水艦達が来る。
八幡「お前ら、暇という大切さを分かってないな?そんなに暇が要らないなら俺に分けてくれ。」
ゴーヤ「あげるでち。出撃じゃなくても仕事が欲しいでち。」
イク「イクは暇のままでいいかなぁって思ってるの。」
可哀想に…。多数決でこうなってしまったんだな。
八幡「そうだな。本当に出撃する必要が今の所無いからら、駆逐艦達が出てる授業にでも参加してみるか?」
イムヤ「まぁ、何もやらないよりマシね。」
イク「えぇ〜勉強はいやなの〜。」
ゴーヤ「イクうるさいでち。」
八幡「話は通しておく。明日から参加してこい。」
了解という返事をし、その場を去ろうとする。
イムヤ「アンタはどうするの?」
ユー「私は、遠慮しておきます。」
旗艦として一応聞いておく配慮。流石だなと本心から思った。
八幡「いいのか?」
ユー「私は、アドミラルと一緒に居たいです。」
ピシッと食堂の空気が凍る。
イク「え、えっと〜。一緒に仕事したいってことなのね?」
若干慌てながら聞くイク。
ユー「仕事以外でも居たいと思ってます。」
あぁ、これ。めんどくさくなるやつだ。
八幡はこれ以上考えるのを止めた。
次回に続きます!