とりあえず、まずはユーチューブで動画見ながらFGO編から始めていきたいと思います。
黒く染まった騎士――――名高きアーサー王は英霊の中でも破格の存在であることは間違いない。世界的な知名度を誇る常勝の王は軍略だけではなく武勇でも優れている。漆黒の星の聖剣が描く軌跡は鋼を両断し、大地を割る一撃の前には木っ端英霊など物の数にはならない。そんな
故に誰も想像しなかった。星の聖剣を相手に素手で挑む愚か者がいるなどと。
ふざけた格好をした男だった。2015年現代の衣服の価値観が分からなくともどこか安物を思わせる黒いスーツと、デフォルメされた雄獅子の被り物で顔を隠した男。戦場に出てくること自体が侮辱ともとられる道化のような姿だが、その戦技はまさに息を呑むがごとし。
アーサー王が振るう撫でるだけで腕を切り落とす黒い聖剣、その刃の側面に手を当てて受け流し、反撃までできる戦士が英霊を含めて一体どれだけ存在するのか。
強化の魔術を使ってはいるのだろう。しかしそれを踏まえたとして、力でも速さでも頑強さでも額面上のステータスはアーサー王の方が上回っているのは明らか。だが追い詰められているのは彼女の方だった。力を巧みな技で、速さを優れた眼で、鎧を洗練された一撃をもってして打ち砕き、傷つきながらゆっくりと、しかし確実に追い詰めていく。
このまま近接戦闘を続ければ敗北するのはこちらだと直感のスキルが訴えかける。属性が反転し、悪と混沌を良しとするようになった彼女には業腹だが、己の切り札をもってして勝負を仕掛けた。
「卑王鉄槌、極光は反転する――――」
魔力放出が生む強風で強引に間合いを取り、その真名を高らかに謳う。たとえ悪意によって染められたとしても、その剣は人々の『こうであって欲しい』という尊き願いに応え、星の中枢で鍛えられた
「光を呑め……《
ランクA++対城宝具。無限にも思える規格外の魔力は闇の極光となり変換、収束、加速し、光の断層により放たれる究極の斬撃。アーサー王は聖剣の黒い輝きに呑まれた男を確かに見た。故に勝利を確信する。その真名が示す通り、この一撃を受けて生き永らえる者はいない。当たればその圧倒的な威力をもってして勝利を約束される堕ちた星の光。
だからこそ、光が収まり舞い上がる土埃の中から五体満足で飛び出す男を見た時、アーサー王は思考を手放してしまった。
どのような手を使ったのかは皆目見当つかない。だがこの男は彼女が振るう究極の一を凌ぎ、再び肉薄してきた。自身の誇りの象徴たる宝具、その最強の一撃を以ってして勝利を奪えなかった事実に、ほんの刹那の間意識に空白が生まれる。だがアーサー王とて剣の英霊、その頂点にも君臨しうるサーヴァントだ。
「舐めるな……っ!」
すぐさま思考を取り戻し、迎撃の一閃を振るう。ここでステータスの差が出てきた。男の四肢の間合いに入るよりも、聖剣が男の胴体を両断する方が早い。『仕留めた』と、直感すら認めた絶好の間合いをもって、黒い騎士王の顔に勝利の愉悦が先んじて浮かぶ。
だが男はその更に上を行く。
「嶽間沢、顎砕き……!」
柄尻を掌底が捉え、手から聖剣が弾き飛ばされた時、彼女はついに呆然とした。よもや格下相手との戦いの最中に自慢の聖剣を手放す事態になるなど夢にも思わなかっただろう。宙を舞う剣を視線で追いかけた時間は1秒にも満たない。だがそれは、近接戦においてはあまりに大きな隙だ。
「死ねぇぇぇええいっ!!」
聖杯が与えた仮初の肉体から血飛沫が舞う。乾坤一擲の四本貫手は的確に彼女の霊核に繋がる心臓を貫いていた。
----------------
魔術協会、聖堂教会という云わば世間の裏である魔術の世界において双方を敵に回し、命を狙われる《怪人A》と呼ばれる人物がいる。
2015年現代より遡って500年以上も前にその存在が確認され、組織の重鎮の殺害や、秘奥の神秘を暴いては外部の魔術師に横流しにしてきたが為に封印指定執行者から埋葬機関まで、両組織は英霊にも比肩しうる刺客を送り込んできた。
だが、《A》に挑んで帰ってきた者はただ一人として居ない。一人残らず惨殺されているからだ。
いつしか神秘の二大組織から徹底的にマークされ続けて尚、捕らえることが叶わない裏の世界の大罪人。死徒二十七祖にも匹敵するとされる魔術師だが――――
「どうしてこうなった……?」
実際は、冤罪掛けられただけの特に事を荒立てたくない小心者のヘタレである。
執行者や時の埋葬機関と戦い、勝利してきたのは事実である。それだけでも十分狙われる理由にはなるかもしれない。だが前提として、両組織を敵に回す騒動を起こしたことは一度たりともない。慎ましく、それでいてバレないようにコッソリと魔術の研究を進めてきた。
だが、彼にとっても古い知人たち(全員質の悪い封印指定とか色々)が騒動を起こした挙句、物的証拠ないし状況証拠を用意して口を揃えてこう言うのだ。
『全部《A》君がやりました』
アイツら全員ブチ殺そうと決心したのは、当然と言えば当然だろう。
当然誤解を解こうと両組織の中でも話が通じて権力のある人物とコンタクトをとったりもしたが、《A》は何かと運の悪い男だった。
例えば、靴紐踏んで転んだ拍子に人前で宝石翁のズボンをパンツごと引きずり下したり。
例えば、段差で躓いた拍子に埋葬機関のトップの顔面に手土産の洋菓子をぶちまけたり。
謂れのない怒りに油を注いでしまい、関係は悪化。珍しくマジギレした宝石翁からも命からがら逃げ続けること数百年。魔術の世界に関わってから様々な厄介ごとに(不本意ながら)首を突っ込んでしまって更に敵を作り、それらから逃げ回って500年以上。波乱に満ちた逃走劇を爆笑しながら鑑賞する知人と喧嘩しながら《A》は叫んだ。
「俺の平穏カムバァアアアアアアアアアアアック!!」
そうして逃げて戦い、ちまちまと自分の研究を続け、今度は平穏どころか未来まで奪われるような圧倒的危機が襲い掛かる。
すなわち、輝かしい軌跡を辿っていた人類が来年には滅ぶという人理焼却。訳あって長年生きながらえてきた《A》にとってもそれは最優先で避けなければならないのだが、(不本意にも)悪名高い彼は協会の魔術師、アニムスフィアを頂点とした人理継続保証機関フィニス・カルデアと正面から協力は望めない。だからといって他人任せにし、いざ人類が滅んだ時に後悔するのも嫌なので、カルデアの防犯システムも何とか突破して忍び込み、誰にも気づかれないよう影から協力することにした。
結果として、《A》はカルデアへの潜入に成功する。気配を殺して天井裏に忍び込み、トイレに降り立った時にアジア系の少年とばったり鉢合わせた時には心臓が飛び出るかと思ったが、どうやら魔術師とは関係のなくカルデアに召集された人理継続のための戦力である英霊の楔であるマスターの適正をもっただけの一般人だったらしい。
どこか眠そうだったので眠気覚ましのガムを口止め料に何とか誤魔化し、トイレをすまして何だかよく分からないが人類が滅びる要因を探るために過去へレイシフトするとか言い始めていたので気になってコッソリ付いて来てみると――――
「だからどうしてこうなった……?」
気が付けばカプセルらしきものが陳列する部屋が突如爆発炎上。アニムスフィアの当主を名乗る白髪の少女や40数名のマスター候補の魔術師、ガムをあげた少年に至っては何故か眼鏡を掛けた少女の手を握って揃って昏倒していた。
「まるで意味がわけシンジ」と、自分でも意味が分からないことを叫んでいると、ノイズの酷くて聞き取れないアナウンスが聞こえてきた。混乱極める庶民派怪人の視界を光が覆う。
気が付いた時、事情を与り知らぬまま《A》は火の海に飲まれた街の中にいた。『また厄介ごとに巻き込まれたよコンチクショウ!!』と両手両膝を地面に付けて一通り落ち込んだ後、深ーい溜息とともに立ち上がる。《A》は怪人として活動するため、雄獅子の被り物を被って顔を隠し、燃え盛る町を探索する事にした。
これは、盾の少女も人類最後のマスターも居ない、小心者でヘタレな魔術師である怪人(推定600歳くらい)による人理救済物語である、
藤丸君には爆☆殺(死んでないけど)してもらいました。ついでにマシュも。だって、公式でもなんかコミュ力モンスター系のハーレム気質的な認識されてて、ほっといたらハーレム作りそうですし。
この作品では、後書きに徐々に明らかになる主人公のTYPEMOONWiki風のステータスとか色々を随時書いていく予定です。とりあえず、初回なのでこれだけ。
名前:不明(怪人Aは通称)
身長:180cm/体重:90キロ
性別:男性
イメージカラー:蒼焔色
特技:嶽間沢流
短編時と同じく本名隠した主人公。短編の時との違いは、まず純粋な嶽間沢流の使い手であることと、被り物が熊からライオンになったことですかね。あとスーツの着こなし方とか。
ちなみに、詳しい内容はまだ明かしませんが宝具とかスキルの内容はとんでもなく弱体化しています。