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1900年3月24日 オレンジ自由国
私はアフリカのジャングルのど真ん中にいた。こうなった経緯を話すには時間を半日前に戻す必要がある。
私のいた連隊はサバンナを横隊陣形で進んでいた。目的はオレンジ川の北50キロの地点にある敵の拠点を潰す事。
しかし、敵は中々の知恵を持っており、地形や茂みに身を隠し、高い命中率の射撃で味方を撃ち殺していった。
退却した私たちはジャングルへと入っていった。ところが敵は、味方から奪った大砲を使ってジャングルへ砲撃してきた。
味方は四散し私は必死に逃げたものの、この通り見事なぐらいの遭難をしてしまったというわけだ。
とりあえず先ずは、自分の場所を知らなければならない。地図とコンパスだ。電探が使えればよかったのだが、完全に故障しており使えないのだ。瑞雲は燃料がない。故にこれしか場所を調べる方法がないのだ。
(調査中)
よし、大体の場所がわかった。北に20キロ進むと名もなき川に出る。そしてそこから東に30キロの地点に味方の陣地がある。とりあえず川に向かおう。
私はジャングルの中を愛銃であるリー・メトフォードとウェブリーを手にMk VI リボルバーを腰に下げ、ゆっくりと警戒しながら進んだ。
警戒すべきなのは敵だけではない。
少し開けた場所が見えた。敵兵の死体が転がっていた。何かの動物に食い殺されたのだろう。
ガサガサッ
向こう側から物音だ。身を隠そう。敵兵か?そっとのぞいてみるか。
ヒョウだ。とにかく腹を空かせてないことを祈ろう。撃ち殺せばいいのだが、敵兵いるかもしれないのでおいそれと撃てないのだ。銃を使うのは本当に危険な時だ。
ヒョウがいなくなるのを待ってから通った。少し進むとまた開けた場所に死体が転がっていて、そのまわりをヒョウが動き回っていた。
両方にはかなり大きな大岩がありここを通過するには茂みのかなり外側を通るしかないようだ。
身を屈めて音を立てずに進む。どんな些細な音でも銃声のように大きく聞こえる。最接近した時は息を殺して通り過ぎるのを待つ。
どうにか無事に切り抜けられた。さてもう数キロ程で川が見えてくるはずだ。
もうすぐ日が暮れる。出来れば日が沈まないうちに川を渡りたい。
敵兵だ。だが相手も一人だ。私と同じく道に迷ったか?とにかくこのままいれば、確実に見つかる。ここで仕留めるしかないようだ。
木の幹の陰に身を隠す。ナイフを手に息を殺して敵が来るのを待つ。敵が最接近した瞬間、私は陰から飛び出した。敵兵に馬乗りになり手で口を塞ぎ、ナイフを振り下ろす。
周囲に変化はない。どうにか気づかれずに済んだようだ。
小川が見える。まずは水分補給だ。数日ぶりの水分補給は乾き切った私の喉に潤いを与えた。よし、水筒にも水を入れた。とりあえず川を渡り、今夜の寝床を探そう。
数時間後
今夜の寝床は木のうろにしよう。雨風がしのげればいい。食料はさっき捕まえた小動物だ。名前はわからんがきっと食べれるに違いない。
うまくもなく不味くもなくって感じだった。さて、明日も早い。もう寝よう。
しかし、夜というのは不思議なものだ。昼間は任務達成を考えるのだが、夜になるとやはりみんなの事を考える。姉は元気にしているだろうか。みんなは無事なのか。みんなに会いたい。帰りたい。自然と視界が滲んでいた。
翌日
まずい事態になった。敵の補給拠点を見つけてしまった。ここを回り道するのはかなり面倒だ。
強行突破。この言葉が頭をよぎったが、すぐに打ち消した。ダメだ、ダメだ!銃弾もかなり限られている。それに対し敵の銃弾は無尽蔵に近いだろう。
あのジャングルを攻撃してきた大砲があったら・・・ ん?大砲?ハハッ長いこと使ってなかったからなすっかり忘れていた。特大の大砲があるではないか。
「見張交代だ」
「ん?何だあいつは?」
「あの背中に背負っているデカい筒は何だ?」
「主砲斉射、撃てぇぇぇぇ!!!」
ドゴオオオオ
敵は大混乱だ!
「おい何だあの攻撃は!?」
「でかい音が聞こえたら、建物が吹き飛んだぞ!!」
「撃て!とにかく大砲を撃ち返せ!!」
「第二射、撃てぇぇぇぇ!」
ドゴオオオオ
この第二射で大砲は破壊され敵の拠点は完全に崩壊した。私はそのまま乗り込んで何かいいものはないかと探した。本部と思われる半壊した建物に入っていくと、一枚の書類を見つけた。
「○月×日、○○○にある敵の拠点を攻撃する」
1週間だな。これはマズイ。早く本拠地に帰らなければ!
---第三者side---
翌日の夕方、彼女は無事に本拠地へ生還することができた。彼女の手に入れた情報によって直ちに対抗策が考案され、敵の撃退に成功した。そして大英帝国はこの戦いに勝利を収めた。彼女はまさに英雄となった。
『最も良い組み合わせは力と慈悲、最も悪い組み合わせは弱さと争い』 ーウィンストン・チャーチル