プロローグ~幼い刀
初めは興味本位だったと思う。
母譲りの頭の良さもあって、人よりは早く色々と把握できたのも大きかった。
人より身体が丈夫だったのも大きい。
とにかく、そんな事もあって私は父に興味を持った。
魔法を振り回す人のはびこるこの世界で、手持ちの剣二本と針と糸。
そんなものを持って何をする気なのかとも思った。
でも…
初めて見た父の姿は、とても格好良かった。
叔父も、よく来ていた槍使いのお客さんも、父の剣を超える事はできなかった。
単純に誇らしくて、私も真似したくなって…
そんな単純なものじゃない事を思い知った。
私の身体は生まれた時から普通の人体より強いはずだった。
それこそ、ただ魔力があるだけの子供ならスポーツで遊べるくらいには。
そんな私が倒れそうなくらいの距離と速さを軽々走る父。
その後、基本訓練。
ひたすらに素振りや投擲を繰り返す。
私ですら疲れきるほどの時の後に、こんな目立たない事を淡々と繰り返す。
普通の子供なら飽きているだろうその光景。
けど、飽きもせずにその目立たない鍛錬を見ていられた私は普通じゃないのだろう。
やっぱり父の子供だからなのだろうか?
本格的に訓練に入ると決めて、父に問われたのは覚悟。
十分に色々見ていたつもりだったが、其処から先は酷かったと思う。
今となっては感覚が麻痺してしまっているけど、ぐずった事なら何度もあるし、ごねたいと思った事もあった。
そんな時、厳しい父はまだよかった。
でも…『嫌だったら俺が必ずやめさせてやる。兄さんは俺が止めてやるから、な?』と笑顔で慰めてくる叔父の言葉は、本当にずるいと思った。
父がどうしてあそこまでの強さを手に入れたのかを見ていた私は、やっぱり剣を捨てる気になれなくて、だからついていくしかなくて…
そうして、ちょっとの自信とありとあらゆる私以上をこなす父への強い畏敬の念が芽生えた頃、その事件は起こった。
Js事件。
未曾有の大型テロとしてその名を残す事になるこの事件の中で、父と叔父は戦った。
詳細までは知らない。けど、父は敵の主犯格との交戦が原因で局員の人に少し呼び出されて話したりしていたし、叔父に至っては意識不明の重体にまで陥って、二人の女性を救って見せた。
それが報道されたり、讃えられたりする事はなかった。
当たり前だ、そんな事をされたら厄介なだけだし、尤も大事な救い手であるために力を振るうという事は完遂している。
叔父の方は調子に乗って見せるだろうからあまり直接言いたくはないけど…誇らしい二人だった。
だからこそ…思う。
英雄扱いされている魔導師達は、一体何なのかと。
絶対に違う。
あの二人を差し置いて貴女達が英雄と称されるなんて認めない。縁の下の力もちではあるけれど、貴女達程度の引き立て役なんかじゃ、絶対にないんだから。
戦いが…力を振るうって事がどんな事か、口先だけでしか知らないような連中なんか…
他の誰が認めても―
―私は絶対認めない。
もうちょっとだけつ(以下略)
案としては先に浮かんでいたものの、歴史順序的に後になる事に(汗)。
長いのは承知しているものの、投げ出さずに進めたいと思いますので、良かったら覗いていただければ幸いです。