僕と精霊と異世界と   作:森野熊漢

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スモモイベントのガチャは、金太郎が二枚でした。
割と強いですね。

そんなことしてるから投稿が遅くなるのですが。


メリィ・ミツボシとの出会い

「お前、魔術を使えるのではないか?」

 

「……はあ?」

 

今イーニア先生はそう仰ったのか?この俺に?

魔術なんて空想のものでしかない現代社会から来た俺に?そう仰ったか?

 

「何もそんな声を上げないでもいいだろう。きちんとした根拠があるのだから」

 

俺の返答に不満を感じたのだろう。ぷくっと頬を膨らませながら話すイーニア先生。

かわいすぎるんですけど。ちょっと、ロリな容姿で拗ねた表情されるの、すごくかわいいんですけど!

 

「しかし、使えないものを使えるのではないかとか言われてもピンと来ないのが実際なんですが……」

 

「ソウジは魔術が存在しない世界から来たと言っていたな」

 

うん、じゃなければファンタジー世界を想像したときに魔法って言葉は出てこないと思う。

 

「だが、お前からは魔力を感じるんだよ」

 

「マジですか!?」

 

そんな馬鹿な!んなもの有してるなら何故魔法を使えない!

これまで映画や本の影響で浮遊呪文の「ウィンガー○ィアム○ヴィオーサ」とか頑張ってたのに!

ビューン、ヒョイ!を忠実に守ってたのに!

 

「魔力があってもそれの使い方を知らなければ使えないというのはわかるだろう?いくら使おうとしたところで使い方を間違っていたら術が発動するわけがない」

 

イーニア先生はそう言いながら椅子から降りて俺の隣に来る。

 

「……ん?右ポケットに何が入ってるんだ?」

 

「ああ、これですか」

 

隣りに立ったことで右ポケットが不自然に膨らんでいるのに気付いたのだろう。

隠す必要もないのでスマホを取り出す。

 

「なんだこれは」

 

まあ当然ながらイーニア先生は初めて見るよね、これ。

 

「まあ、僕の世界の文明の利器ってやつですよ。この世界ではあまり使えませんが」

 

「なるほど……だとすると素人が触るのはあまり好ましくないか」

 

「いえ、そこまでのものではないですし、今現在ほとんどの機能が使えないですからね」

 

まあ、黒猫を開きっぱなしにしてるからそれは見られると恥ずかしいものがあるのだが。

 

「ふむ、あとで色々と聞かせてくれ……なるほどな……」

 

俺の手をにぎにぎしながらぶつぶつつぶやくイーニア先生。なにこの生物かわいすぎないか?

すっごくやわらかくて、感触のいい小さな手が俺の手を余すことなく触っていっている…って、すごく変態チックな感想になったんだけど!

 

「ふむ…特別なところは他にはなさそうだな……」

 

「え、今ので何かわかるんですか」

 

あああ、俺の手を離さないまま喋ってくれるイーニア先生に感謝しか出ないよ。

 

「……なるほどな、とりあえずなにもやったことがないのだから、色々と手を付けてみるのもいいと思うが」

 

「…………」

 

どうしよう、すごく真剣に見てくれてるのはわかるんだけど。すごくわかるんだけど。

申し訳ないことにそろそろ俺の方が耐えきれなくなりそうだ。

いや、理性とかそういったのではなくただ単純に。

 

「あの、イーニア先生、トイレに行きたいんですけど」

 

生物としての生理現象に。それも第一次欲求。

 

「ああ、それはすまない。だいぶ夢中になっていたな」

 

解放された瞬間、トイレの位置を訊き、ダッシュで廊下に飛び出す。完璧なコーナリングを見せつけつつも通りがかる人たちの迷惑にならないように走り抜け。

そして、そして。

 

「間に…あった……ふぅ…」

 

~青年欲求解放中~

 

危なかった。非常に危なかった。完璧なコーナリングのお陰もあって間に合ったものの。

 

イーニア先生の部屋へ戻りながら、窓から外を見てみる。

今現在、何階にいるかは確認できていないが、そこそこ高い階層にいるため外の様子がある程度見える。

 

(…にしても、グリモワールグランプリ、ね……)

 

丁度窓から見えるいい位置で、魔法の打ち合いをしているのが見えた。片方は火を操り、もう片方は水だろうか。

お互いがお互いの魔法を打ち消し合い、そのたびに歓声が起こる。

 

(マジで魔法で戦ってるよ……)

 

話には聞いていたけど、目の当たりにするとやはりそういう世界に来てしまったという感覚が強くなる。

(やばいよなあ、俺)

何も使えないから巻き込まれないようにだけしないと。魔力があるとは言われたけど、現状使い方がわからないから、巻き込まれたらそれだけで死ねる。

 

思考が現実逃避を始めるのに任せていると。

 

「きゃっ…!」

「ん?」

 

少し離れたところで声が聞こえた。そちらを向くと、廊下に何かの書類と思われる大量の紙がばらまかれており、その手前で女性がこちらに背を向けた状態であわあわとしていた。

なぜあわあわしていたか断定できるかというと。

 

「あわあわあわあわ、どうしましょう……早く片付けないと邪魔になってしまいます……」

 

絶賛声に出していたからなんだけどね。

 

(でも魔法で拾うだろうしそんなあわあわしないでもいいと思うんだがな……)

 

そう思っていたのだが。

 

「はぁ……よいしょ……」

 

女性はしゃがみ、自らの手で書類を拾い始めた。予想外過ぎる。

 

「うぅ……はぁ……」

 

しかもめっちゃ溜息ついてるし。

……仕方ないか。

 

「手伝いますよ」

 

「えっ」

 

背を向けながらそう言って拾い始めることにした。理由としては、断られる可能性があるから。

だがこうして背を向けておけば、直接言われない限りはそういったことを気にしないでいいからである。

大体こういうので断られるのって顔をお互いが見ちゃってる時だから、逆に顔も見ずに先手を打って始めてしまえば、無理やりやめさせてくるなんてことはほぼ無いはずだ。

 

「その、ありがとうございます」

「あーうん、いいですよ、気にしないで」

 

適当に返しつつ、神を拾い集めていく。何か色々と書いてあるけど、何を書いてるのかよくわからないな。

まあ素人が知っても得をしないことだろうし気にしないで……ん?

 

(これ、ご丁寧にナンバリングされてるな)

 

右上の方にプリントのナンバーが書かれていた。これから纏めにでもいくところだったのだろうか。

書かれているナンバーはそこまで多くないのに枚数が多いってことはそういうことなのだろう。難儀なことだ。

 

「よいしょ、と。はい。これでいいですかね」

 

一応後で纏める際に楽なように、冊子を作れる体裁にしておいた。崩れていた状態がもともとそうだったからそこまで苦ではなかったのが幸いだった。

「あ、ありがとうございました!すみません、手伝わせてしまって……」

 

頭を下げながら差し出した書類を受け取る女性。そして頭を上げたときに初めて顔を見たのだが。

 

「え、ミツボシ、さん……?」

「え、あ、はい。そうですけど……何故私のことを?」

 

まさかまさかのミツボシさんだった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「おお、やっと帰ってきたか……と、メリィも一緒なのか。迷子にでもなっていたのか?」

「えっと、それは……」

「イーニア先生、すみません。私の不手際でソウジ様のお手を煩わせてしまったせいです」

 

……ミツボシさん、そこまで大袈裟に言わないでも。

ちなみにここまで戻ってくる道すがら、お互いの自己紹介はしておいた。

 

「まあいい。メリィにも紹介しようと思っていたからな。手間が省けた」

「ソウジ様。本当にすみませんでした」

「気にしてないですって。誰にだってミスはありますし、あの量は大変ですからね」

 

魔法だとナンバリング順にっていうのが難しそうだったから手作業だったのだろうし。

 

「ほう、メリィとはうまくいってるようだな」

「ちょっとその言い方は変な誤解を生みそうなので控えていただけますかね」

「変な誤解って……?」

 

こちらとしては正直オッケーなんだけどね。ミツボシさんの体裁的に避けたいよね。

これだけ綺麗な人なんだから、変な噂なんて無闇に立てたくないだろうしね。

 

「いや、なんでもない。ところでメリィ、この後の予定は空いているか」

「はい、急ぎの用事は何もありません」

「そうか。なら、ソウジ」

「ん?あ、はい」

 

おっと、気が抜けてたから目上に対する返答でなくなりかけた。危ない危ない。

 

「部屋を一通り確認してからでいい。私とメリィとソウジで少し街に出るぞ」

「街……ですか。わかりました」

 

後で一人でぶらついてみようかと思っていたんだけど、これは嬉しい。

 

「いや、お前……一人で出歩いたらまずいだろう」

「え、なんでですか」

「はぁ……」

 

急に頭を抱え始めたイーニア先生。どうしたんだ一体。

 

「あの、ソウジ様。今この街で何が行われてるかはご存知でしたよね」

「ええ、確かグリモワールなんとかとかいう大会ですよね。あと、様づけやめてもらってもいいですか?むず痒いんで」

 

さっきドンパチしてるのは見たし。

名前?別にいいだろ覚えてなくても。

それよりも「様」を外してもらう方が重要だよ。

 

「わかりました……でも、そこまでわかってるならわかりそうなものですが……」

「いや、だっておr……僕は一般人ですからね」

「そう思ってるのはあなただけ、ということです」

「???」

 

ミツボシさんが説明してくれているけど、いまいちピンと来ない。

 

「いいですか?あなたは確かに一般人と言っていました。ですが、それを知っているのは私たちだけですから、一歩外に出ようものなら、知らない人たちから攻撃される可能性が大いにあります」

「あ、そうか」

この街にいる以上、俺も魔導士として見られてたのを思い出した。

……そういえば、色々と貰っていたものがあったけど、エリスはそのまま持ち運んでいるのだろうか。後で訊いてみよう。

 

「だから私たちが一緒に行くんだ。私は不参加を表明しているからな」

「私も不参加「メリィ、お前は参加させただろう」……はい、そうですね……自信はないですが……」

 

ミツボシさん、苦労してるなあ……。

 

「もし攻撃されても私が反撃するのは合法ですので、ソウジさんは気にしないで大丈夫です」

「万が一ということで私もいる。安心していい」

「先生だけでも十分だと思いますが……」

 

なんだか俺、ものすごいことになってないか?

 

片やこの大会で優勝するはずのミツボシさんに、魔導士理事会の長であるイーニア先生。

この二人に守られての外出だなんてどれだけの対応なんだ。

 

「わかりました。では、お願いします」

「ああ、じゃあしばらくしたら呼びに行く。それまで部屋にでも行っててくれ」

「わかりました」

 

ミツボシさんが部屋まで案内してくれるらしく、一緒に部屋を出てきた。ほんと、お世話になります。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

案内された部屋に到着し、ひとしきり見渡した後、ベッドに躊躇なく寝転がる。

なんというか、うん。感想を言わせてもらうとすると。

 

「普通だな」

 

圧倒的に普通だった。いや、それで不満も何もないんだけど。

寝転がりながらスマホを取り出し、とりあえず黒猫は置いておく。

今開いているのは、写真。以前からイベントがあるたびにで「これは」と思うようなセリフ等々をスクショして保存していたのだが、唐突にそれを見たくなったのだ。

ちなみに正月イベントも一応少しは撮ってある。というか、ほとんどイーニア先生なのだが。

 

(だって表情がどれも可愛いから仕方ないだろ!って誰に突っ込んでるんだか)

 

あとはエリスに若干バカにされてる感じの所とか。

ただこれらは見られてはマズイってのはなんとなくわかる。

あと、俺の立ち位置も一つだけ確定している。

 

ウィズがいない。

特にローブ姿でもない。

魔法は使えない。

 

以上三点セットより俺は黒猫の魔法使いという立ち位置にはなり得ないのは確定。

 

ではどういう立ち位置になってくるのかと考えてもわからないのが現実である。

 

(ま、いいか……っと、あったあった)

 

一枚の写真をようやく探し出す。イーニア先生の写真ではあるのだが、これは台詞とかそういうのではない。

俺が未だに覚えられないってのもあって、撮っていたものだ。

 

「えっと、イーニア・ハーメティック・ソルルスト・ラクトリティシア・ウォルヴィアラ・メメスリスムルナ・ストラマ―3世……っと?」

 

扉をノックする音が聞こえたので、スマホをポケットにしまい「どうぞ」と返す。

 

「待たせたな。準備ができてるならすぐに出るぞ」

 

イーニア先生直々に迎えに驚きつつも、俺は後をついていった。




次話で「キミ」が出るかもしれない。
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