私は20連引いて、200マナ獲得できました!
運営この野郎!100クリスタル返せ!
ってことで、遅くなりました。
ようやく超魔導列伝の本編に入って行けそうです。
「はー、改めて見てもすげーな……」
街に繰り出したのは良いけど、さっきからそんな感想しか出なかった。
だって、魔法だぜ!? 現代社会で空想の産物と言われていたアレが目の前で展開されているんだぜ!?
こんなのテンション……!上がる……!上がる……!
「上がるはずだったんだけどなあ……!っとぉ!」
絶賛テンションダダ下がりな俺だった。なぜかって?
さっきから近くでドンパチやってるやつらの流れ弾がやたらと飛んでくるからだよ!
「ふむ、ソウジ。いい機会だ。魔法というのをよく感じておけ」
「死にそうなんですけど!? 素人にこの状況は死ねって言ってるのと変わらないと思うんですけど!? 被害が来ないようにしてくれるって言ってませんでしたっけ!?」
「私が手を出せば確かに完璧に守ることはできるが、それだとソウジのためにならないだろう? きちんとどういうものかを体験しておかないと後々のためにならない」
「その後々っていうのが体験できない状態になり得そうな気がしてるんですけど!」
「大丈夫だ。その程度なら気合で避けろ」
「マジかよ!」
頼みの綱のイーニア先生はこの調子である。若干涙目になりながら隣のミツボシさんを見るが。
(すみません、ですが私もソウジさんに慣れてもらいたいので……)
苦笑しつつ、小声でそう伝えられた。ミツボシさん、貴女も鬼か!
ってか! 周りの人たち!すっげー歓声を上げてるけどなんで被害がいってないんだよ!
あれか!? 魔法が使えるってだけでそんなに余裕が出るものなの!?
「ふむ、ソウジもそろそろ避けるのに慣れてきたか。なら障壁を張り直すとするか」
今すごく不穏な言葉が聞こえた。え、なに?障壁?そんなのあったの?
俺の所だけ失くされてたの?
「よし、と。で、ソウジ。魔法を近くで感じた感想は?」
「もっと穏当なやり方があったでしょうに!」
お陰で背中が冷や汗でぐっしょりだよ!
「仕方ないだろう。この大会の間、いつどこで狙われるかわからんからな。そのためにも魔力の気配、特徴、魔法の軌道を多少なりとも知ってもらいたかったんだ」
ほれ、とイーニア先生は少し距離をとり、小さな火の玉を俺に向かって飛ばしてきた。
「ちょ!?!?!?」
とっさのことに俺は反応できないと思いきや
(スッ)
「え?」
自分でも意識していないうちに身体が自然と火の玉を避けていた。
「ふむ、思ったよりも順応できているな」
「そうですね、先生。たったあれだけでここまでとは」
イーニア先生とミツボシさんが何やら納得してるが、俺はというと。
「死ぬかと思った……」
かなりまいっていた。いや、ほんと冗談抜きで。
「大丈夫ですか?」
「いや、無理です……当たったら死ぬ一撃をくらうところだったんですから」
「そんな、大袈裟な……あんな小さな火炎呪文ですのに」
確かに小さかった。見た目だけで言えばすぐ消えそうな火の玉だったかもしれない。
「いえ、さっきのあれ、当たったら確実にやばい奴でしたよ……説明しづらいですがすごく濃い感じがしましたし……さっきからこっちに飛んでくるやつなんか比較にならないくらい」
「……え?」
「………………」
ミツボシさんはまさか、といった表情をし、イーニア先生はというと
「お前、気づいていたのか」
驚きと喜びをないまぜにしたような顔をしていた。
「見た目ではそこまで危険なようには見えないようにしてたのだが……」
「いや、確かに見た目はそうでしたけども……近くに来ると……」
「なるほど……メリィ」
「はい」
なんだなんだ、俺に危険なものを投げつけたあとは適当にいじって、挙句の果てに内緒話ですかそうですか。
……この二人のことは好きだけど、放置プレイされて喜ぶ趣味はないからちょっと傷ついてるのは内緒だ。
「すまん、ソウジよ。私はやることができてしまった。メリィも大会に参加しないといけないからここで一旦解散することにしよう」
えっ? 俺一人だと危ないとか言ってませんでしたっけ?
そんな俺の疑問が口から発せられるより前に、そそくさと二人はどこかへ去って行ってしまった。
その場に残された俺がしばしフリーズしていると。
「あら、ソウジじゃない」
後ろからの声に振り向くとそこにはエリスがいた。
ん? 後ろに誰か引き連れてるな。
「ああ、エリス。久しぶり……久しぶり?」
「なんで疑問形なのか、とかなんで久しぶりなのかとかはおいておくわ……」
なんだろう、すごく残念なものを見ているような目をされてる気がする。
「ところで、一人でどうしたの?」
「ああ、イーニア先生とミツボシさんに連れられてきたんだけど……なんか置いてかれた」
「は?」
うん、俺もエリスと同じような反応してたからね。
「で、エリスの方は? 後ろの人が待ってるみたい……」
そこで初めて俺はエリスの後ろについてきた人に目をやった。
えーと、真っ黒なローブに身を包んで、顔はフードで隠されててよく見えない。
なんかこの世界でいろんな人を見たとは思うけど、そのどれにも当てはまらないような恰好。
そして方には黒猫。なんか服っぽいものを羽織ってる。
うん。
これ。
「なんか、ソウジと同じようにこの世界に急にきたみたいなのよ。この黒猫の魔法使いと黒猫は」
やっぱりか。
「案内ついでにちょうどそこで戦い始めたのが私の知り合いだから、少し見に来たの。そうしたらソウジがいたから声をかけたんだけど……迷惑だったかしら」
「迷惑どころか助かったよ」
あのままだとどうしようか本気で涙目になるところだったからね。
頭に疑問符を浮かべてるエリスが妙に可愛いけどそこにはあえて突っ込まない。
「っとそうね、あなたたち、まだ互いに自己紹介してないわね」
「そういえばそうだったな、俺は……」
(自己紹介割愛)
「なるほど、あんたはこの世界に不慣れ系魔導士か……」
「いや、ソウジもでしょ」
「俺はこの世界に不慣れ系一般人だ。そこのところは間違えないで……」
掌から火の玉なんて出ないから一般人を名乗る資格は十分あると思うんだ。
「にゃー……」
多分退屈したのだろう。黒猫……いや、まだ正体を隠してるけどウィズ師匠か。
彼女がすり寄ってきた。「おいで」と腕を差し伸べ、肩に乗せてやる。
……まだ知らないふりをしておいた方がいいかな。驚かせたいという理由だけしかないけど。
「可愛い猫だな、ほれほれ」
かるく頭を撫でてやると気持ちよさそうにするウィズ。贔屓目抜きにしても可愛い。
黒猫の魔法使いも、ほほえましそうにこちらを見ている。
顔がほとんど見えてないけど、なんとなくわかる。
「あ、忘れてたけどその猫喋るわよ」
「あ、うん。知ってる」
「にゃ!?」
唐突なエリスの告白に俺も平然と返す。
呆然としてるウィズの顔が何とも面白い。猫なのにこんな顔できるんだな。
「私、ソウジの前で喋ったかにゃ?」
「いや、なんとなく?」
もう隠す必要もなくなったからか、俺に話しかけてくるウィズに苦笑を返す。本当の理由なんて言えたもんじゃないしな。
「そこの黒猫の魔法使いとして一緒にストーリーを追ってたから知ってます」なんて特に。
「まあいいにゃ、あとでまた色々と話がしたいにゃ」
「ああ、俺でよければ」
「にゃはは、ソウジは話やすそうだから楽しみにゃ」
俺としてはボロが出ないか冷や冷やだにゃ。
「で、エリス。さっきの続きにゃ。エリスはグリモワールグランプリに出るのかにゃ?」
「私は……」
エリスがそこまで言った時だった。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
「うわっと!?」
唐突な地鳴りにバランスを崩し、しりもちをついた。あたりを見ると、黒猫の魔法使いも同じくバランスを崩したらしく、しりもちをついている。
俺が見てるのがわかったのか、恥ずかしそうに苦笑していた。
「出たわね……」
「何が出たにゃ!?」
人々がこちらに走ってくる中
「怪獣……アリエッタ・トワ」
エリスのその一言だけは、やけにはっきりと聞こえた。
多分次がクエストで言うと中級あたりの話になるかと。