お前のような踏み台がいるか!(白目) 作:ジャック・ザ・リッパー
俺の名前は伊織朱音、(自称)踏み台の中の踏み台だ!
学校に入学してから一年がたった。俺は、なのは経由でアリサ達と友達に、イリヤさんは俺経由でなのは達と友達になった。
俺には他に友達ができたが、イリヤには他に友達がいない。作りたくてもうまく話せないようだ。イリヤさん、もう少し頑張れよ。
クラス替えも俺、原作キャラ三人、イリヤさんはまた同じクラスになった。出来ればこのまま何の問題もなくオリ主君が登場して原作開始になってほしい。
そう思っていた時期が俺にもありました。
今、目の前でアリサとすずか、おまけにイリヤさんが黒塗りのリムジンに乗せられ拉致られた。あれ?こんなシーンあったっけ?まぁ、原作前に起こった出来事だし、問題ないよな。
でも待てよ、確かにアリサとすずかは無事に帰ってくる筈だが、この世界に元々いない存在のイリヤさんが無事だという保証がない。俺はそれに気がつくと、急いでリムジンが移動した方向に向かって走った。
リムジンは、結構近くで発見できた。
ご丁寧に、いかにも怪しい廃ビルが立っている近くに止まっていた。見張りがいないが好都合だ。もしトラップがあったとしても、逃走スキルが危険を察知して知らせてくれる。俺は、順調に廃ビルに侵入した。
三階にたどり着くと、逃走スキルが危険を察知した。こっそりと部屋の中を覗くと、銃を持った男が三人いた。どうやって皆を救い出すか考えるが、何度考えても自分、もしくは人質が撃たれて死ぬ未来しか思い浮かばない。どうすればいいんだ!
考える中、銃を持った男の一人が他の二人に命令している。
「ターゲットとそこの金髪のガキは殺すな。金髪はバニングスのお嬢様だ。身代金を要求する。もう一人の銀髪のガキは、一般家庭のガキだ。好きにしろ。」
「まさか!?やめて!イリヤちゃんに手を出さないで!」
その言葉を理解したすずかが、止めようと声をあげるが、その言葉を聞いた三人のうちの一人が、ナイフを持って手足を縛られたイリヤさんに覆い被さろうとした。イリヤさんは、必死に抵抗する。
「何するの!?やめて!触らないで!」
「五月蠅え!おとなしくしろ!」
男はイリヤさんの口を押さえると、ナイフでイリヤさんの服を切り裂いた。男は、切り裂かれた服の隙間から白い肌を見る。涙を流すイリヤの表情が俺の見える位置から見える。男の手がイリヤの口から離れたとき、俺の耳に彼女が助けを呼ぶ声を聞いた。
「助けて......あかね...」
その言葉と共に俺の中でプツンッと何かが切れ、何も考えずにイリヤに覆い被さる男の股を蹴り上げた。男は、声にならない悲鳴を上げ失神した。俺は、誘拐犯に向かって怒りの声を上げた。
「...お前ら...!皆に...俺の女(友達)に、何をしたァーーッ!」
誘拐犯は俺の姿を確認するとすぐに落ち着き、俺に話しかけてきた。
「やぁ、君すごいね。子供なのに大の大人を気絶させるなんて。」
「さっさと答えろよ、このモブ野郎がッ!お前は、何をしたんだ?」
「簡単だよ、化け物を捕獲したのさ。」
「やめて!」
男の一人はそう言うと、すずかの髪を掴み頬にナイフを切りつけた。すずかの表情は苦痛に歪み、頬からは血が流れたがすぐに流れなくなった。男が血を拭うと、切られた傷はなくなっていた。
「凄いだろう。このガキは、夜の一族と呼ばれる吸血鬼なんだよ。俺は、そんな人の害となる化け物を捕獲して売るハンターをしているのさ。どうだい君、君はそこで転がっている男より役に立ちそうだ。僕達正義のハンターの仲間にしてあげるよ。」
ハンターは、笑顔で俺に問いかけてきた。すずかは、皆に秘密を知られたことがショックな様で、人形のように力なく無抵抗になっている。
俺は、この真実を聞いて何を思っただろう?
すずかが吸血鬼、人間じゃない。そんなことをどうでもいい。だからどうした!
俺は、ハンターに向かって走り出す。ハンターは、銃を俺に向かって発砲するが、逃走スキルが銃弾を最低限の動きで避けるように動かしてくれる。右頬、左二の腕、右足、三ヶ所に銃弾が掠るが問題ない。ハンターは、油断していた事もあったのか、銃を撃たれてなお突き進む俺を見て動揺していた。俺は、動揺して隙だらけのハンターの腹に向かって拳を叩き込んだ。ハンターは、鳩尾に貰ったようでその場で気絶した。
「すずかが人間じゃない?だからなんだよ。すずかはすずかだ!人間だろうがなかろうが関係ない!すずかは俺の大切な人の一人なんだよ!誰かがすずかを化け物だって言うなら、俺は許さない!その腐った性根を叩き直してやる!」
「......朱音君。」
俺の言葉を聞いたすずかが、涙を流しながら俺を見ていた。そんなことよりもう一人の誘拐犯はと確認すると、もう一人の犯人は、アリサの頭に銃を突き付けていた。
「おい、糞ガキ!少しでもおかしな真似してみろ!このガキの頭が弾け飛ぶぞ!」
くそッ!油断した!
だけど、まだチャンスがある。あいつがある行動をすれば、アリサを助ける可能性が出来る。だが、その場合は一撃で決着をつけなければならない。やるしかない!
誘拐犯は、俺が動けないとわかると、ニヤリと笑い銃を俺に向けた。
「死ねッ!糞ガキ!」
俺は、逃走スキルを発動させた。逃走スキルは、俺を危険から遠ざけるためのスキルである。このスキルは、逃げることで真価を発揮するが、もう1つ裏技がある。
俺は、誘拐犯に向かって走り一瞬で距離を積めた。そして、アリサを引き剥がし必殺の拳を叩き込んだ。
「覇王ッ!断空拳!!」
誘拐犯は、文字通り吹き飛び壁にめり込んだ。
俺の叩き込んだ拳は、指の皮が剥がれ、骨にはヒビが入ったのが痛みで伝わった。俺は、アリサが無事なのかを確認する。
「アリサ、無事か?」
「え、ええ。でもあんた、何であんなに早いの?それに、その手どうしたのよ!?」
さっきの移動は逃走スキルの裏技で、危険から遠ざかるために障害を排除するカウンターアタックである。便利なようにも思えるが、この方法での移動はまだ幼いせいか全身が悲鳴をあげるのだ。
やはり、この身体じゃ覇王流の技はまだ使えない。もっと強くならないと。
俺が全員を助けると、恭也さんとすずかに似た人がやって来た。遅いですよ恭也さん、あなたがもう少し早く来てくれればここまでボロボロにならなかったのに、と内心思った。
だが、この事件はまだ終わっていなかった。
「お前も道連れだ!死ねッ!化け物!」
気絶した筈のハンターが、イリヤとすずかのいる方に銃を向けていた。パンッ!と発砲音が聞こえたと同時に自然と身体が動いた。回避スキルが逃げようとさせるが、関係ない。銃弾がスローモーションで見える。その弾丸は、俺の額の真ん中を撃ち抜いた。
ハンターが、恭也に気絶させられるのが見えた。
額から流れる血が目に入り、視界が赤く染まる。アリサとすずか、イリヤが涙を流しながら何かを言っている。
俺は、薄れ行く意識の中でみんなが無事とわかり安堵して意識を失った。