俺は、松野家長男、松野おそ松。
突然だけど、最近、カラ松の様子が変だ。演劇の練習も真面目に受けてねーみてぇだし、毎日早く学校に行って何かを探してる。
「なぁ、カラ松ぅー。何探してんの?」
そんな不意な言葉だった。カラ松は、真剣な顔で鞄から台本を取り出しながら言った。
「…凄く綺麗で、演技の上手い奴をな。」
人か、まずは色々話を聞こうとおそ松は質問をする事にした。
「…へぇ、名前は?」
「…………知らない。」
「馬ッ鹿じゃねぇの?!そんな奴を片っ端から探してたの?!」
カラ松は、おそ松に容姿の詳しい説明をし始めた。
「…異種族…………」
おそ松は、小さくそう言った。
「……何か言ったか?おそ松。」
「ソイツの外見、異種族じゃね?そん中でも《ヴァルキュリア》、《アルビア》、《コントバース》とか?もっと他にもあるかもしんねーけどなw」
「……かもしれないな。……おそ松も、探すの手伝ってくれないか?」
「はぁ?何で……」
カラ松は、財布からすっと千円を取り出した。おそ松は、突然やる気を出し、授業をサボってまで探し始めた。
「居ないなぁ……。よーしっ、一丁色々調べますかー!!」
そして、化学基礎の先生に話を聞くことにした。この先生はサボり魔のおそ松に授業に出ろと言わずに色々と世話をしてくれる。時には叱り時には優しい生徒思いのお爺ちゃん。
「セーンセッ!なぁ、聞きたいことあんだけどー」
「はいっ、何でしょう。」
優しい声で答える。おそ松にも優しく、どんな生徒にも優しい。だが、それが少し仇でよく不良に絡まれる。そこによくチョロ松とトド松が現れて助けたりしている。
「何かー多分、異種族なんだけどー、髪は真っ白、目は真っ赤な赤いカーディガンの女知らね?」
「んー、分からないなぁ…おじちゃんちょっと調べてくるから放課後職員室来て!」
「マジ?!やったー!!お兄ちゃん。今度、授業受けに来る!」
「本当?」
おそ松は笑顔で「本当」と少し声を張って言った。ルンルンで教室を出る。同じクラスのカラ松が急いで走り寄ってくる。
「おそ松、そんなに頑張ってくれてるのか…もう五百円足すな」
「マジか!…でもよー、これだけ探しても居ないっての可笑しくない?」
「…だな。……不登校……?」
「まっ、兎に角、おじ先生が名前探してくれるって!」
安心しろとおそ松は、カラ松の背中を強く強く叩く。苦笑いを見せるカラ松の口元は緩んでいた。
放課後になると、職員室前の半開きになった扉からおそ松とカラ松は顔を覗かせた。
すると、その姿に気付いた化基の先生がまとめた資料を細い指の両手に持ち、笑顔でおそ松達の所へ駆けてきた。
そして、教室の廊下に3人で立つとおそ松が代表をしてその資料を預かった。
「小此木樹ねぇ〜、……おっ、顔写真と全身画!」
異種族の写真の全身画と顔写真は、いつもマグショット撮り。【小此木 樹(おこのぎ いつき)】と異種族の族が書かれていた。
「……《ツクヨミ》。……先生、……これって……?」
カラ松がおじ先生に問う。先生は質問されるのは好きらしく自前に色々調べている。
「《ツクヨミ》ってのはね、《アマテラス》の種族と対になる存在でね。」
《アマテラス》、太陽を象徴する種族で男も女も多い主にチャラい感じのギャル系な女が多いかも。それに対して《ツクヨミ》はちゃんと授業でも習わないし、辞書でも引かないと目にも入らない。最近発見されたばかりだから。
「《ツクヨミ》って、最近の辞書にしか書いてないからねぇ〜。あっ、チョロ松くんなら知ってるんじゃないかな〜…?」
「チョロ松?チョロ松か〜、……。 よしっ、カラ松!チョロ松んトコ行くぞー!!あっ、センセーッあんがと!!!次のテスト、百点取るから!!!」
「良かった〜カラ松くんも取ってねー、演技楽しみしてるよー。」
「フッ、ありがとうteacher!」
そう言って2人で廊下を走り出すカラ松とおそ松。向かう先は、自分達が通っているクラスの隣。其処には、チョロ松と十四松がいる。
チョロ松と十四松は、チョロ松が前を向いて席に十四松が前の席の椅子に座り後ろに向いている。
「十四松、十四松……」
「はいはいはいはははい!」
「何してるの、」
「あんねーっ!!」
たわいもない話をしている。そこにドタドタと音を立ててチョロ松と机におそ松が両手で強い衝撃を与える。
「俺のチョロ松!」
「〝俺の〟付けんな!」
「《ツクヨミ》って何か知ってるか?」
カラ松がズボンのポケットに両手を入れ込みながら、話しかけに来た。
「《ツクヨミ》…ねぇ、最近発見された新異種族で、100人の中に1人居ても居なくてもいい位の珍しい異種族で他の異種族とも判別出来ないから今、色んな異種族が再検査されてるんだ。…それが何?」
「もっと、詳しく話してくれるか?」
「…良いよ、カラ松兄さんの頼みなら。あのね、新異種族《ツクヨミ》はまだその才能を知られていなくて、まぁ再検査に専念されてるから余り《ツクヨミ》への実験は実践されてないらしいし、……あっでも、一つだけ分かることは〝感情共感〟。感情についての力を持っている。その代わりに感情についての何かを失っている。……って事くらいかな?」
カラ松は、顎に手を当てて考えていた。おそ松は、鼻をほじりながら聞いていた。
「…ありがとう、チョロ松。お前は本当に勉強熱心でいい奴だな。」
と、カラ松はチョロ松の頭を撫でる。
「べ、別に。当たり前の事を当たり前のようにこなしてるだけだし……」
「それこそ、本当のいい子だ。よし、おそ松。明日に備えてすぐに帰る、…って資料見てたのか……?」
おそ松は、資料に目を通している時に次のページへ行った時、目を細め始めた。
「どうした、おそま────」
「帰りマッスル!マッスル!」
十四松が急に立ち上がり叫ぶ。チョロ松が携帯を見て「トド松と一松が校門で待ってるって」と言って机の物全て鞄にしまってその鞄を持って校門に向かった。窓から校門で待ってる紫と桃色の姿が見える。何か言い合ってるのが目に見える程桃色の姿が跳ねたりする。紫はそっぽを向いたりしかしない。
その後、帰る途中に駄菓子屋に寄ってアイスを買ったりしたり猫と戯れたりした。
無菌室と書かれた真っ白な部屋に四角い淵の眼鏡をした白衣の男が1枚のカルテを持って入る。其処には真っ赤な目を持った少女が病人服を身にまとって顔を僅かに赤く染めて点滴を両手首に何個も付けられて真っ白なベットに寝かせられていた。
その状況を全て見た上で白衣の男は赤い少女に問う。
「痛いか?苦しいか?」
「……く、苦しっ……あっ……いっ……!!」
震える体に反響して点滴が揺れる。
「動くな、……今から外す。」
と、無理矢理全部鷲掴みにして外す。
「ああああッ!!!」
溢れ出す血が真っ白なベットを赤く染める。
「……明日から1週間、薬を飲んで暮らせ。痛み止めは1日1錠1回までだ。」
と、白衣の男は今いる場所が無菌室にも関わらずタバコを吸い始める。
「分かりました……。」
少女は白衣の男からカルテを受け取るとマジマジと見つめた。血が未だに溢れ出ているのも気が付かない。
「早く帰れ。」
「……はい。ありがとうございました。」
カルテを両手に持ち、小走りで無菌室の部屋を見た。