彼女の目に映るのはいつ美しき。   作:Now Loading

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#2 不完全色

 僕は、松野家三男、松野チョロ松。厄介な事は、いつも僕とかトド松任せな長男に悩まされている。

 まあ今日も、そのせいで学校に早めに来る羽目になったんだけどね。僕がおそ松兄さんの真似をして色々しなくちゃならない。

「……はぁ、糞あの長男は───!!」

そう言って、靴を履き替えようと取り出した時、後ろに微かな気配を感じた。行き良いよく後ろに振り向くと、隣に赤いカーディガンを着用した白髪の少女が立っていた。

僕の視線に気付いたのか、こちらを見る。

「…あ、お、おはよう!」

「おはようございます。……朝から大変、どうしたの。」

「え?!あっ、えっと、……掃除とかしなくちゃいけないから…………」

「…朝学まで後、1時間半。……手伝う事は可能、」

と、僕に背を向け何かをブツブツと言い始めた少女。すると、突然振り返って言ってきた。

「手伝っても宜しいでしょうか、」

「えぇっ?!良いの?」

「はい、私は早く来てしまったので。」

「……なら、お言葉に甘えるね。」

彼女は小声で何かを言ったが、聞こえなかった。

 校庭の掃き掃除をしている時と、ふと疑問に思った事を掃き掃除の手を止めて彼女にぶつけてみた。

「何年何組?」

「1年、3組…。」

「それじゃ、僕と一緒だ。名前は?僕は松野チョロ松。」

戸惑いながらも彼女は教えてくれた。

「…小此木樹。」

「小此木さんね!宜しく!」

「宜しくお願いします、松野さん。」

ぺこりと深々とお辞儀をしてくる小此木さんの長い髪が枯葉が沢山落ちた地面に付く。

「ああああ!顔上げて?!髪に枯葉がつくよ?」

急いで小此木さんの髪を持つと2、3枚程付いた枯葉を取る。

「ありがとうございます、とても助かりました。」

「如何いたしまして。」

 そして、その後も小此木さんは全て手伝ってくれた。

「本当にありがとう。お陰で早く済んだよ!」

僕はそう言いながら、箒を片付ける。

「いえ、お礼には及びません。」

「…んー、でも、お礼になにかしたいなぁ……」

「お礼には及びません。」

頑なに小此木さんは、〝お礼には及びません〟と言ってくる。

「本当にお礼要らないの?」

「お礼には及びません…でも、お礼としたお礼ではないと思うのですが……良いですか」

「全然良いよ、言ってみてよ」

「お友達になっては頂けませんか、私お友達と言うものがあまり分からなくて、勉強などで分からないのは初めてでして。……松野さん?」

僕は少し苦笑をしてしまった。そんな僕を見て小此木さんは何が起こっているのか分かっていないので僕の顔を覗こうか迷っている。

「良いよ、寧ろ歓迎。」

「ありがとうございます。」

 彼女は深々とまたお辞儀をする。僕等は、教室に向かいながら話を小さく続けた。

「あ、昼ご飯ってお弁当?購買?」

「コンビニ弁当です。」

「そうなの?誰と食べてるの?」

「…空を見ながら食べてるのが多いです。」

そう言いながら廊下の窓から見える空を見上げる。

「僕さ、兄さんと一緒に食べてるんだけど一緒に食べる?」

「良いのですか?私みたいな赤の他人がはいって、」

「寧ろ大歓迎だと思うよ!」

「……では、嫌な空気ならなければ一緒に食べます。」

 

 あ〜、朝は眠いね〜。と思いながら、携帯の電源ボタンを押すと其処に映し出されたのは【6月25日 10:15】。

「……学校に着くのは俺の気力次第…。どうしよう…………」

布団の中に1人だけ少しだけ肌寒い。ゴロゴロしても、暴れても良い時間帯。母さんは出掛けてるし、父さんも。

「お兄ちゃん、寒いのは苦手だから学校行こ。…て、ん?」

携帯画面をよく見るとチョロ松からメールが来ていた。

【チョロ松:今日、兄さんの為に掃除とか全部やったからね。後、とある子が手伝ってくれたからお礼言っとけよ。】

とある子ねぇ〜、…チョロ松は男の場合とある奴って言うからなぁ。一丁お兄ちゃん突っ走って学校行きますか!!

 学校に突っ走っている途中、変な奴に何人かに絡まれたがラリアットや飛び蹴りとか色々なの御見舞しまくった。

 そして、学校に着いた時はもう11時でご飯の食べ時だった。

「……屋上行くか、」

其処には少しそわそわしたチョロ松と他の3人の弟が居た。

「シコ松、どうしたの?」

十四松に近付きながら言った。

「あははは!わかんなァい!発情じゃないかなーっ?!」

「おっそうか。」

「おいそこの長男!納得すんな!!それに、十四松も!」

鋭いツッコミが背中に降り掛かる。

「飯食わねーの?」

「食べるよ、でも……」

「……何かお待ちの様だけど、とりあえず、ご飯並べようぜ。」

と、俺は朝ご飯を食べずに走って空腹を耐えながら来たんだ。耐えられる訳ない。

皆で輪を作りご飯を囲んだ時、鉄の扉がゆっくり開く。一斉に振り向くと、一生懸命扉を押している〝あの少女〟が居た。

「小此木ちゃん!大丈夫?」

チョロ松が名前を呼びながら少女が必死に押している扉を軽々と押す。

「…チョロ松さんは、私より力持ちなんですね。」

「ちゃんと名前呼びにしてくれたんだ。」

「はい、チョロ松さんから全員松野だから名前呼びにして欲しいとの事でしたので、要望に応えました。」

小さくお辞儀をする〝小此木 樹〟。

「チョロ松ぅー……ちょい来てー、そこの君もー」

俺は、軽く手招きをする。

カラ松の顔の方に目をちらっと見ると、目を見開いていた。

「あの人は、僕の兄さんで。松野おそ松。」

「初めまして、小此木樹です。」

ぺこりとお辞儀をするその小さな体に生えた細い手に握られた手にはコンビニ弁当。

すると、カラ松の方をじっと見つめた。

「あの、すみません……チョロ松さん、……私来ても本当に良かったのでしょうか。」

「うん、良いの。……って、カラ松兄さんの視線が小此木ちゃん怖がらせてるんだけど……?」

「いえ、違います。その場合、全員に友達申請をした方がいいかと思いまして。」

「と、友達申請……?」

カラ松がきょとんとした表情になる。それらに気付いたチョロ松が解説を始める。

「小此木ちゃんは、その、友達についての事とかが分かんないらしくてさ。……僕が友達申請されたから……そのー。……うん……。」

「友達になってもらいました。」

「あ、そうそう!おそ松兄さん、お礼言って。小此木ちゃんなんだからね?朝色々と手伝ってくれたの。」

「チョロ松、……朝勃ちした?」

チョロ松は顔を真っ赤にしてそう発言したおそ松の顔を蹴ると、少女の方に振り替えると必死に訂正しようと言葉を並べていると。

「朝勃ちとは、男子の性器が朝から勃つ事で実質夜立ちでもあり、自意識や性的興奮などは関係無く朝起きても維持されている事……で合ってますか?」

おそ松は呆気に取られた様な顔をして笑う。

「…え、ちょっ、ハハハハハハッ!!!」

「小此木ちゃんに何て事言わせてんだ、このクソ長男!!」

「まぁ、男の運命って奴?」

「フッ、これが抜け出せないディスティニー!!」

カラ松が探していた小此木ちゃんは、印象が違って少し楽しかった。

「え?!僕と同じ教室だったの?!気が付かなかった!!」

十四松が騒ぎ出す。

「…はい、3日間程休んでいましたから。」

小此木のお弁当を食べる手が止まり、少し顔が俯く、その時、小此木ちゃんが一瞬ビクッとなる。

「あの、少し離れます。」

コンビニ弁当の蓋を閉めて、屋上でおそ松達の死角になる所に小走りで行く。

 俺は静かにカラ松と目を合わせると、カラ松は笑顔で小さくこう言ってきた。

「後で1500円渡すな。」

「……よっしゃ、……!!」

用事を済ませた小此木ちゃんが歩いて来た。

「なぁ、カラ松girl」

「はい」

「?!小此木ちゃん、え、これは……?」

今まで携帯を弄っていたトド松が携帯の画面から目を離し、小此木を見る。

「ここで女は居ないと見て反応をしました。…不味かったでしょうか、」

「嫌、うん、そうだねー。」

「それで要件は何でしょう、カラ松さん」

「カラ松girlは、演劇部ではないか?」

演劇部と耳にした時、小此木は胸ポケットから急いでメモ帳を取り出した。

「……確かに……入っているようですね。」

「…入っている〝ようです〟?」

一松の小さな声が聞こえなかった様でカラ松を見つめる。

「…では、放課後……活動ですか?」

「!!来てくれるのか?!」

「はい、部活動は行かなくては…出来れば毎日行きたいですね。」

「なら、学校に来れる間一緒に行かないか?!」

その時、トド松が「カラ松にーさん狡いよ、カラ松にーさんの癖に」と叫んだ。

「良いですよ、カラ松さんさえ良ければ。」

「本当か?!なら一緒に行こう!」

 

 放課後、チョロ松と十四松と小此木が3人で喋っているとおそ松を置き去りにして走ってきたカラ松が台本と鞄を手にして息を切らしながら来た。

「カラ松girl!!行こうではないか、我がマイフィールドで奏でゆく鮮やかな色を見せに!」

「…分かりました。」

そう言って小此木は鞄を持つ、その際にカラ松が一言。

「持とうか?」

「大丈夫です。常に自分のモノは自分で、と教わってきましたから。」

「……でも、小此木ちゃんが演劇部かぁ…。何か不思議な感じだな。」

「チョロ松、カラ松girlはとても上手いんだぞ。」

すると、小此木がその言葉に反応を示した。

「見た事あるんですか?」

「ああ、あれは、【アーケード・ライン】の時だったな!」

「…三日程前の……台本…すみませんでした。」

カラ松は小此木がメモ帳に何かを書きながら言ったのを気にしてしまい見てしまった。

【・記憶が残ってしまっている人物発見←Dに報告。】

(D……?報告?何だ?)

当たり障りのない日常に赤い赤い血の様な絵の具が足される。その赤い絵の具は黒が少し混ざっていた。

その色は完全に染まってはいない。

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