パラサイトを知っているだろうか?簡単にいうなら寄生体のことであるが、この世界のパラサイトは一味違った。
端的にいうと人間に寄生するという想像しただけで恐ろしい存在なのである。
そんな存在に俺は寄生されてしまったのである。
寄生獣見たく右腕が自由自在に動かせるというわけもなく、乗っ取られた(?)という謎の実感だけを味わうだけというよく分からない状況だけである。
このパラサイトだが、なんでも吸血鬼呼ばれているらしい。
もう正直全然覚えてないけど仲間増やすために血をたくさん吸ってたらいつの間にか吸血鬼といかにも厨二くさい二つ名をもらい、そこそこの脅威度で危険視されていたのだとか。
でも一般人の俺が吸血鬼なんて聞いても運命を操れそうな幼女となんでも壊せそうな妹くらいしか思い浮かばないし、まぁ、大丈夫だろう(小並感)
さぁ、俺は吸血鬼になったわけだからそれなりの能力があるだろうから実験することにした。
手を適当に壁に向かって伸ばす。
なんの変哲も無い白い壁が破壊されるイメージを浮かべる。
そして...
「キュとしてドカーン」
何も起こらなかった。
ショックである。死にたい。
まぁ、世界が違うし仕方なあのかもしれない。
なんとこの世界、東◯なんて弾幕シューティングゲームは存在しない。それどころかワン◯ースやNAR◯TOとかドラゴ◯ボールという世界的有名な作品も無いのである。
ここは21XX年。なんやかんだで人類が魔法を使えるようになった時代なのだ。核戦争なんて無かったんや。
え?俺?なんでそんなこと知ってるのかって?
そりゃ、アレだよ。パラサイトにきまってるだろ?
もともとこのパラサイトは別の次元から来てるとか言われているらしい。そう、俺は別次元からやって来たのだ!やったね!!
なんやかんだで俺という人格を持っていたパラサイトがなんやかんだで別次元から記憶を呼び起こし俺という人格が再び形成されたのだ。
うん、よく分からん。
そして同時にここは俺が知ってる世界でもあることが確定したのだ。
ここは「さすおに」で有名な魔法科高校の劣等性という物語の世界なのである。
この物語、主人公が実は最強なのに弱いもの扱いされ、主人公の妹に下手に絡むとお兄様が強制登場してくる恐ろしい物語なのだ!
主人公と関わりたくなさすぎワロエナイ。
まぁ、一般人市民の俺には関係ないよね。
そして机の上に置いてある予定表で知る真実に俺は驚愕することとなる。
第一魔法科高校の始業式がなんと明日だったからである。
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まず朝起きた俺は気持ちを改めるべく顔を洗うことにした。自分の部屋から少し進みリビングを通り過ぎた辺りに洗面器がある。
手に水を溜め、一気に顔を濡らす。うむ、冷えた水が心地良い。
そして俺はなんと無く自分の顔を眺めることにした。前世とは違う体。イケメンであってくれと思いながら観察した。
うん、顔は普通だな。黒髪に中背太ってもなく痩せすぎでも無く。そしてウロボロスの印が刻まれた右目。
や、やばい。こんな目見られたら笑われる。
いや、それよりもなぜにキングブラッドレイ?
パラサイトだと思ったら吸血鬼で、吸血鬼だと思ったらホムンクルスなのか?もう訳がわからないよ。
ちなみにキングブラッドレイまたはラースとは『鋼の錬金術師』という漫画のキャラクターである。
大総統閣下でおじいちゃんなのにめちゃめちゃ強いという正にぶっ壊れキャラなのである。ホムンクルスの中で唯一再生能力がなく、歳をとり、全盛期ではないにも関わらずに作品では最後まで活躍したのである。
そのラースの持っている能力が最強の目。
つまり最強の動体視力であった。
そしてラースはホムンクルスになった時に右目にウロボロスの刻印が刻まれたそうである。
まさかの結果に喜んでいるのもつかの間。
重大なことに気づいてしまった。
想像してほしい。まさかの入学式早々からこの右目。
完全に痛い子であすね。ありがとうございます。
そうならないために今の内に眼帯を買わなければ!
幸いにもまだ家族は眠っているはず。今買わずしていつ買うというんだ。今しかない。
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眼帯しながら家族に会ったらドン引きされた件について。
突然の眼帯に何も言えずにそうなんだぁといわれる始末。
完全に痛い子認定されてしまった。
もう、どうしようもないから部屋でめちゃめちゃ筋トレした。
知ってた?健全な肉体は健全な魂にやどるんだよ。(真理)
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物語主要メンバーとクラスが全く違う件。
そこは同じになるってのがお約束なんじゃないんですかね?転生(?)チートナニソレおいしいの?
しかも自己紹介のとき完全に痛いと思われたわ。何が「私の名前はない。自由に呼びたまえ(キリッ)」だよ。死ねよ。過去の俺消えろよ!
そしてボッチな高校生活が始まってしまったのである。
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何も物語が始まらない件について。
いや、物語はきっと始まっているのだろう。俺の知らないところでな。
そうだよ。そもそも同じクラスになる方がおかしいんだよ。
そもそも主人公の周りがおかしすぎすんだよ!そもそもこの世界、血統で魔法の適正が決まる的なことを言って起きながら、妹が凄いのに兄が弱いはずないじゃん。なぜ誰も気づかない。
というか兄様ヤバすぎ。回復能力持ってて超広範囲大火力の魔法使えて体術も凄くて、そもそも死角が無くて、自分でブランド出すくらい頭が良いんだぜ?
さすが改造人間。もうほとんどセルだな。
忍者の師匠がいるとかまず意味わかんない。
というか誰か主人公がシルバーズホーンだって気づくだろ。だって飛行魔法を突然、夏の大会でやり出して、「これはもう発表されている(キリッ)」と言われてもおかしいだろ。そんな魔法を使ったならまず世界的な大ニュースになるのは当たり前。しかし、他の生徒は知らなかった。ということはまだ世界の誰もが認知しない中、発表されたからという理由で誰よりも早く実用したのだ。
これが世界の理なのか。
他にも色々さ、エレメンタルアイとかさ、昔神童だった奴とか、めっちゃ刀強い奴とか、とにかく頑丈なハーフぽい純日本人とかさ色々おかしくね?
閑話休題。
とりま最強の目がどれだけ強いか試すためにバッティングセンターに行った。結果はホームラン連発。もうね、止まって見える。そして身体能力が軒並みヤバイ。
これが吸血鬼ボディなのか。それでも毎日筋トレは欠かさないがな。
しかしなぜか魔法が使えない。
パラサイトって思念体でも魔法使えるんじゃなかったけ?
後ホームセンターでサバイバルナイフ三本買った。
一つは護身用。もう一つは訓練用。あとは予備。
早く話し進まないかなぁ。早くあの魔法を打ち消す石と武器が欲しいんだよなぁ。
え?なんでいるかって?そりゃラースだからだよ。
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討論会が今日だった件。
ヤベェ、全く知らなかった。
俺はいつでも襲撃できるように紙袋とナイフを準備してあった。
なんで紙袋か?顔が割れたらマズイだろ?
目標は主人公より早くアジトにたどり着き、石と武器を集めて間違えることだ。
ミスは許されない。
確かアジトは廃工場みたいなとこだったような気がする。
まぁ、イケるっしょ(小並感)
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アジト見つけるのがクソ大変だった件。
学校で爆発音がなるころにはアジトを探していた訳だがどうにも見つからない。
そもそも簡単に見つかるならそれは先ずアジトじゃないけどな。
そして俺はアジトからまっすぐ正面から進んだ。
「しょ、正面から!?」
なんとも気弱そうな男が発した一言。
お、これはあの名言を言えということかな?
「自分の城に入るのに 裏口から入らねばならぬ理由があるのかね?」
紙袋越しだから聞こえづらいけどまぁいいか。
俺はナイフ片手に走り出した。
銃声が鳴り響くこの場は正に戦場というものだろう。
銃弾が飛び交う中、銃弾を避けナイフで弾く。
どれも初めての体験。
一発でも当たれば即アウトの世界であれは確かに興奮を覚えていた。
加速していく世界で、ここが自分の居場所だと心が歓喜の叫びをあげる。
そこはパラサイトとしての本能なのか、こういう死と隣り合わせの感覚は不思議と胸が踊る。
俺は走りながら銃を持っている兵士にすれ違いざまに首など確実に急所を切りつける。他人が見たらすれ違っただけで血が溢れているように見えるだろう。
俺の目的は武器と石。素早く奥の部屋に行った。
そこには石が沢山あった。これなら少しくらい取ったところで気づきはしまい。
丁度去ろうとした時、5つのサーベルを見つけた。ホクホク顔で外に出た瞬間に銃で撃たれた。ま、避けたけどさ。
このあとめっちゃ必死に逃げた。
#お兄様サイド
結果だけ言おう。ブランシュはたどり着いた時にはもうほとんど壊滅状態にあった。
そしてアンティナイトと呼ばれる希少な軍事物質もその何者かに半分以上持ち去られていた。
この人物。話によれば、ナイフ一本で銃弾が飛び交う中一人で特攻し、そして数人を殺したらしい。
問題はなぜ奴はアンティナイトを奪い取ったのかだ。確かに希少的価値は高い。だが、そこまでの危険を冒してまで一人で行動するだろうか。
お兄様の夜はまだ長い。