投稿が遅れてしまい、本当に申し訳ありません。
前回からもわかる通り、シリアス出します。
今回は、その前準備みたいな感じです。
しばらくはストーリーは遅めで進めます。
天君の二つ名は、この話では出しませんが、近い内に出します。
では、本編どうぞ!
部屋から出てしばらく歩き、台所についた。
今度の妖夢は、先に俺に気付いたみたいだ。
「おかえりなさい、天君」
彼女の美麗な笑顔。いつ見ても飽きない。
その優しそうな微笑みに、いつも甘えたくなってしまう。
けれど、甘えていては、ずっと弱いままだ。弱いと思われたくない。
「ただいま、妖夢。手伝うよ」
「いえ、いいんですよ。今日くらいは、ゆっくりしててください」
妖夢は優しい。その優しさが、俺にこう考えさせた。
『この優しさは、俺自身に向けられたものなのだろうか』、と。
『本当は俺に向けていないんじゃないのだろうか』、と。
「……悪いな。そうさせてもらうよ」
「ええ。休んでてくださいね?」
妖夢にそう声をかけてもらい、向かったのは、自室。
――否。外だ。刀を持って、外へ。
一刻も早く、少しでも力をつけないといけない。
俺は、強くならないといけないんだ。
強くならないと、信頼されなくなる。
強くならないと、守りたいものさえ守れなくなる。
『守りたいものは、強いだけでは守れない』、とはよく言う。
しかし――
――力がないと、守れないものも十分にあるんだ。
しばらく修行し続けて、栞に問う。
(なぁ、栞。今の動き、どう思う?)
(……知らない。――まだ、気付かないの?)
怒ってる、のか?
なんで栞が。訳がわからないのだが。
それに、『気付く』の意味もわからない。何に『気付く』というのだろうか。
(『気付く』ってなんだよ。それに、どうして怒ってんだよ?)
(……もういいよ。自分で考えな)
栞は、そう冷たい言葉を出しただけだった。
俺が不思議に思い、栞に呼びかける。
(栞? ……おい、栞?)
(…………)
彼女から、返事が返ってくることがなくなった。
無言を貫いて、俺の呼びかけに答えようとしない。
……いったい、どうしたのだろうか。何か悪いことでもしただろうか。
そんなことを考えつつ、修行を続けて。
「……あ、天君。……ここにいたんですね。探しましたよ?」
「あ……? 妖夢?」
妖夢が玄関から出てきた。何しに……
……あ、『休んでてくださいね』って言われたのに、部屋に戻らず、外に出てしまった。
妖夢には、一声かけるべきだったか。
「もう昼食が出来上がりましたよ。一緒に食べましょう」
「ああ、わかった。ありがとう」
それだけ言って、一緒に玄関へ。
幽々子の部屋に向かって、三人で昼食をとった。
昼食も終わり、修行の時間になった。
俺は妖夢より一足先に、中庭に出て、修行を始めていた。
刀を振っていて、一つ気付いたことがある。
「……あれ? あの桜の木、去年も咲いてなかったよな?」
周りの桜の木よりも一際大きく、目立つ桜の木。
その木には、今年も桜が咲いていなかった。
あの桜が満開になれば、どれだけ綺麗なことだろうか。
少し見てみたい気もするな……
「お待たせしました~……さぁ、始めましょうか――って、どうしました?」
「ああ、いやな? あの桜、昨年も咲いてなかったから、何かあるのかな~って」
追いついてきた妖夢に、その木について尋ねることにした。
二年連続でこの桜だけが咲いていない。他は咲いているのにな。
この一本だけ、っていうのも、不自然に感じたのだ。
「あ~……それは、
え、異変起こしたの? となると、霊夢とかが動いた訳だよな?
となると、首謀者は妖夢か幽々子のどちらかだ。
自然に考えて、幽々子だろう。従者の妖夢が首謀者だとは、少し考えにくい。
……あれ? それって、妖夢は最低でもそれを許容してるよな?
むしろ、従者の立場上、協力している可能性も高い。
「……それで?」
「その……『春』を、集めてました。幻想郷に春が来るのが、とても遅かった時があったんですよ」
ふ~ん……ずっと寒い春だったのかな?
それで、妖夢の顔が少し曇り始めた。何故かはわからないが。
まぁ少なくとも、聞いてよさそうな内容じゃないようだな。
……もしかして、異変関係者だからだろうか?
「ま、いいや。じゃ、修行を始めようか?」
「……そうですね。始めましょうか!」
妖夢との修行が始まった。
……さて、新技の開発もしていきますかね。
―*―*―*―*―*―*―
天君と修行していた。今は終わって、買い物に来ているところだ。
次のお店に移動している途中、修行の時の天君を思い出していた。
天君が、おかしかった。
今まで、天君は修行を楽しんでた、というか……そんな感じだった。
いくら修行と言っても、笑顔は絶やさない。それが彼だった。
けれど、今日の天君は違った。
笑っていなかった。苦しそうだった。笑顔が乾いていた。
何故かまでは、わからないが。
今日はたまたまかもしれないし、三日の休みで感覚を忘れた分を取り戻すためかもしれない。
修行に限ったことじゃないかもしれない。
そう思いたい。けれど、恐らく違う。
先日の病室でもそうだった。笑顔が少なかったし、笑っても胸を締め付けられた。
彼は言った。『何でもないよ』、と。
私は思った。『嘘を吐いているのは明白だ』、と。
私は何を思って、何が理由でそう思ったんだろうか。
ふと、昨日の会話の一言が頭をよぎった。
『明日から帰って修行だな』
……これだ。恐らく、これ。
私はあの時、明日帰ってくる、としか言っていない。
なのに彼は、修行を話題として挙げたのだ。何かある。
そうなると、原因はこれに関連することにある。
修行に関する何か。
……もう少し、様子を見てみようか。
―*―*―*―*―*―*―
あれから――白玉楼に戻ってから。夏になった。
月は七月。日は一日。ちょうど今日から七月だ。
俺は、相変わらず修行にうちこんでいる。
心なしか、夜の修行の時間が増えた気がする。
まだ、栞は俺と話してくれない。しかし、返事が少しそっけないくらいにはなった。
良かったのか悪かったのかはわからない。
進歩したとは言えるかな? 原因はまだ全くもってわからないが。
「まぁ何にせよ、強くならないと、意味が無いんだ」
独り言の様で、自分に言い聞かせる様な言葉。
今は、朝食を食べ終わり、修行に取り掛かろうとするところだ。
強くなる。それだけを目標に、永遠亭を出てから過ごしていた。
少ない時間でも、暇さえあれば、修行に
あれだけ気になっていた二つ名も、もうどうでもよく感じてきた。
そんな時。ある日の夜。俺が寝た時にユメを見た。久しぶりに。
――なぁ、俺。最近どうしたよ? やけに力に貪欲じゃねぇか。心変わりか? オレはいつでも用意できてるぜ?
いや。信頼されるには、力が必要なだけだ。それに、皆だって守りたい。
――俺にしては、やけに極論じゃねえか。マジでどうしたよ?
檮杌戦でわかったんだよ。俺が信頼されるには、幻獣に勝つことが一番だって。
――オレがあえて言わせてもらおうか。
考えた結果がこれだ。そもそも、俺が幻想入りしたのもそのためだ。それをスムーズに進めるのが一番だ。
――やっぱ変わったな。失望しそうだぞ。オレでもわかるくらいなのになぁ?
……何が正解とかの問題じゃないだろ。じゃあな。
そう言って、俺が一方的に去ったのを覚えている。
俺も、しっかり考えているのだ。その上の結果だ。
考えなしに、動いている訳ではないのだ。
今、妖夢は幽々子に呼び出されている。遅れてくるそうだ。
この時間も、無駄にできない。
強くならないといけないんだから。もっと強く、強く。
―*―*―*―*―*―*―
「えっと……その、最近の天君、変ですよね?」
「ええ。私は、彼が帰ってきてすぐに気付いたけどね?」
やはりそうか。感じていたのは、私だけじゃなかった。
今まで、ずっと彼の様子を見てきた。
どうやら、彼は修行熱心どころじゃなく、修行だけを追い求めている様だった。
前は、そんな人じゃなかった。変わったのは、檮杌戦の後。
永遠亭で、何かがあったのだろうか。何か、心を一新させるようなことが。
「幽々子様は、何故かわかるのでしょうか?」
「……さあね、そこまではわからないわ。修行に関すること、ってだけね」
幽々子様は、今までずっと見た私よりも、彼のことをわかっているのだろうか。
少し、嫉妬してしまう。
「私もそうだと思います。ですけど……」
「それだから何だ、って話よねぇ……」
修行が原因なところまではわかっている。けれど、何故そうなのかがわからない。
つまりは、裏に隠された理由が見えない。
見えないから、解決もしにくい。
修行をすること自体に、意味があるかもしれないし、それがあくまでも、副産物であるかもしれない。
とにかく、もどかしい感じだ。
彼のことを、わかっていたいのに。
「じゃあ聞くわ。……妖夢は、どうしたいの? 彼が悩んでるのは、既にわかってるんでしょ?」
どうしたいか、だなんて。そんなの、決まっている。
随分と前から決まっていたし、原因がわかる前にもはっきりしていた。
「勿論、助けたいです。絶対に」
「それがいいでしょうね。ただ……」
「ただ……何でしょうか?」
「……発言には、十分に気を付けてね」
……どういう、意味だろうか。
不思議に思っていると、幽々子様が補足の説明を入れてくださった。
「今まで天が、あんな感じになったの……見たことある?」
「……いえ、ないですね」
彼は一人で
できるだけ自分で解決しようと、頑張っている。
けれど、本当に助けて欲しい時には、すぐに助けを求めていた。
――今の天君と違って。
「いつもとは違う。だから、少し会話の仕方を間違えただけで、爆発する可能性も十分にある」
いつもよりも無理をしている。それはわかる。
だから、その分いつもよりも敏感になってしまっている、ということだろう。
何とはなしに言った言葉でも、彼を傷つけかねない。
それほどまでに、追い詰められているのだろうか。
「わかりました。出来る限りの範囲でやってみます。では、失礼します」
「ええ。早く彼の元に行ってあげなさい。疲労で倒れかねないしね」
幽々子様の言葉に頷いて、外に出る。
彼は案の定、というべきか、いつものように。
……まるで取り憑かれた様に、修行に専念していた。
それに、疲労の色も見える。無理な修行を積んだいるのだ。当然だろう。
その光景は、私の胸を締め付ける。
私が、彼に出来る限りのことをしたい。
――早く、支えたい。助けたい。
その思いで、彼に向かう足が加速した。
―*―*―*―*―*―*―
俺がいなくなった後のユメの中、オレは一人呟いていた。
――あ~あ、ホント、俺は何してんだかな。
当然、ユメの中で声が反響するだけ。
俺に届くことなんてない。俺はもう去ったから。
聞こえるはずがないのだ。
――全く、手間のかかる奴だ。オレには俺の気持ち、わからないでもない。元は一つだからな。
淡々と、響く声。しかし、俺には届かない。
――だからこそ言える。
それは、俺に向けられたものである。
――でも、俺自身が気付かないと、意味ねぇんだよ。
そして。
――今、『孤独』なのはどっちだよ、俺。
そう言って、オレはユメの中の闇に消えて。
オレの言葉も、闇へと消えていった。儚く、脆く。しかし、芯の通った言葉は。
――やはり、俺に届くことはなかった。
ありがとうございました!
今回は少し短めになりました。調整のためです。
これからは、活動報告を書く時は、特別な時にします。
基本、平日は午前6時、週末は正午に投稿です。
皆さんは、コーラは好きですか?
私にとってのコーラは、天君にとっての神憑とか妖夢にあたります。
つまりは、必須の存在なわけです。
次回、天君は、そんな必須の存在な妖夢に――!
ではでは!