黒森峰女学園 対 プラウダ高校
戦車のスペックではプラウダも負けてはいない
しかし、多くの者は黒森峰が勝利すると予想していた
『どれだけ優秀な隊長でも、西住流相手には勝てないだろう』
『アクシデントでも起きない限り無理だな』
当然だ
西住流は島田流と双璧を為す日本戦車道の頂点
高校戦車道連盟理事長も西住流の人間
プラウダの卒業生か、もしくは黒森峰の10連覇を阻止を期待する者以外にプラウダの勝利を
予想する者などいないだろう
『勝者、プラウダ高校!』
悲惨な内容だった
観戦していた者は目を疑っただろう
『本当に西住まほの指揮なのか』と
『撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心』
それが西住流
しかし、決勝戦にはそれが感じられなかった
無様な試合としか言いようがない
アクシデントがあったわけでもない
西住まほが指揮していなかったわけでもない
西住まほは、西住流はどうしてしまったのか……
「今大会で黒森峰の10連覇はならず準優勝……」
「…………」
「この結果は黒森峰だけでなく、西住流の名に泥を塗ったということを理解しているわね?」
「……はい」
「まったく、あそこまで無様な負け方をするなんて…… どう責任を取るつもりなのかしら」
「それは……」
「まあいいわ あなたが何と言おうと、私の考えはもう決まっています」
「え?」
「まほ、あなたを破門します」
(……!)
「お母さん! いくらなんでもそれは!」
「みほは黙っていなさい」
「は、はい……」
「まほ、あなたの戦い方には勝つことを重んじる西住流の精神がまったく感じられなかった
勘当されないだけでも有情な処罰だと思いなさい」
「……挽回する機会は与えてくださらないのですね」
「西住流に於いて負けることは許されないこと 挽回の余地などありません」
「……わかりました」
「お姉ちゃん!」
「みほ、いいんだ すべては私が招いたこと 私が責任を取るのは当然だ」
「でも、でも……」
「数日中に荷物をまとめて出て行きなさい どこに転校しようがあなたの勝手です」
「……はい」
「お母さん、どうして……」
「言ったでしょう、西住流に於いて負けることは許されない」
「でも……」
「今、西住流を受け継ぐのはあなたよ わかっているわね?」
「……はい」
(お姉ちゃん……)
数日後
「なぜ、受理していただけないのですか?」
『我々としても、ぜひ我が校へ来ていただきたかったのですが、今回は残念ながら……』
「……そういうことですか」
『おそらく、あなたが考えている通りです 他の学校も同じ判断をするやもしれませんね』
「……そうですか ありがとうございました」
「お母さん! どういうこと!?」
「まほが破門されたということが噂になっている それだけのことよ」
「でも、有力校に断られるなんて!」
「それは相手方が考えることよ 私たちには関係ないわ」
さらに十数日後 仮住まい
(結局、ベスト8に入るレベルの高校にもすべて断られた どうしたものか……)
トゥルルル トゥルルル
(電話? 誰からだ?)
「……もしもし」
『……まほお嬢様』
「! 菊代さん? どうしたんですか? お母様から何か……」
『まほお嬢様が何をお考えになっているかはわかっています 協力できればと思い、
電話を致しました』
「菊代さん……」
『おそらくですが、戦車道の有力校に断られているのではありませんか?』
「……その通りです」
『やはりそうでしたか 何としても戦車道に関わりたいのでしたら、一つ案があります』
「提案?」
『かつて戦車道があった学校へ行き、戦車道を復活させることです』
(!)
「菊代さん、あなたがそのような助言をしたとお母様に知れたら……」
『私のことはご心配なく』
「ですが!」
『私はまほお嬢様に、まほお嬢様として道を歩んでいただきたいのです 戦車道をなさらない
まほお嬢様は、私の知るまほお嬢様ではありません』
「菊代さん……」
『それに、奥様は「二度と戦車道に関わるな」とはおっしゃっていないと伺いました
私は奥様の意向に沿わないことは致しませんが、奥様がおっしゃっていないのであれば私は
まほお嬢様を応援致します』
「……ありがとうございます」
『それでは、失礼致します』
(かつて戦車道があった学校で戦車道を復活させる、か…… 大会には出られなくとも、例え
私1人だけだったとしても、戦車道に関われるなら……)
(……ここが大洗女子学園か)
かつて戦車道が存在し、今は廃止されている学校を調べた
どこかで聞き覚えがある気がするが、戦車道が廃止されたのは私が生まれる前だ
廃止されたのは20年前 当時を知る人が学園艦にいるかもしれない
もしかしたら、部品や戦車そのものも存在するかもしれない
そう考えて私は大洗女子学園を選んだ
行動を起こさなければ何も始まらない
しかし、転校生がすぐ行動を起こしても相手にされないだろう
今は動くべき時ではない
この学校に慣れることが先決だ