超えられない壁   作:食べきりサイズ

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#10 のぞえり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「亜里沙は他にどの学校を見に行くか決まってるの?」

 

 

「ううん。音ノ木坂しか行かないつもりだよ!受ける学校が決まってるのに他の学校を見ても仕方ないかなって思って。でも雪穂は他の学校も見に行くんだったよね?」

 

 

「うん。亜里沙みたいに音ノ木坂に決めたわけじゃないしUTXとか他の学校がどんな感じなのか気になるからね」

 

 

「ふーん。じゃあ雪穂が見学に行く所には一緒に行こうかな!夏休みはお姉ちゃんがμ’sの練習行っちゃうし家に居てもつまらないから」

 

 

 

 

遊び感覚で高校のオープンキャンパスに行く人なんて滅多にいないだろうな。それでも、絢瀬さんが一緒に行ってくれるなら高坂さんも心強いだろう。

 

 

「高坂さんは女子校に興味があるの?音ノ木坂も元々は女子校だしUTXもそうだからさ。」

 

 

「そんな事ないよ。たまたま気になってる学校が女子校だったっていうだけ!」

 

 

 

 

最近は三人で話していても進路の話をすることが多くなったが絢瀬さんは志望校が決まっているので話の主役は必然的に俺と高坂さんになる。俺は進学校か普通科高校の特進クラスに行くと決まってはいるが高坂さんはまだ何も決まっていないみたいなので少し焦っているようだった。そのため気になった高校のオープンキャンパスには可能な限り行くらしい。

 

 

 

 

家に帰りシャワーを浴びた後リビングのソファーに座りながら気になる高校の情報を見る。距離は遠いが校舎を新しくした学校や都内の有名大学への進学率が高い学校、UTXのようなオフィスビルをモチーフにして作られた学校、見れば見るほど魅力的に感じてしまう。

 

 

母さんはどこでもいいとは言ってくれたものの音ノ木坂なら近場なので交通費もかからないし成績次第では特待生として入学できる。お金がかからず進学できるのならその方がいいに決まっている。それに音ノ木坂に行けば絢瀬さんもいるし、μ’sもいる。高坂さんだって音ノ木坂に来ないとも限らない。

 

 

 

 

なかなか決められず小さな溜息を一つ吐いたところで絵里さんから電話がかかってきた。

 

 

 

 

「もしもし。どうしたんですか?絢瀬さんなら高坂さんの家に行ってますよ。」

 

 

『それは分かってるわ。この前も言った通り希と和樹君にはお世話になっちゃったからお礼がしたくて。希もバイトが休みだし亜里沙もいないからちょうどいいかなって思って。』

 

 

「そこまでしてくれなくてもいいですけど俺も希ちゃんと絵里さんに聞きたいことがあったので今から向かいます。」

 

 

 

二人になら進路のことに関しても話を聞きたいし、希ちゃんともゆっくり話したかった。

 

 

 

 

「お邪魔します。」

 

 

「あ、かず君いらっしゃい。そろそろかなって思ってたんよ。」

 

 

 

 

絵里さんの家に来たのに希ちゃんに出迎えられリビングへと案内され、台所にいる絵里さんに挨拶をした。

 

 

 

 

「和樹君いらっしゃい。急に呼び出しちゃってごめんなさいね。今ご飯作ってるから出来上がるまで希の話し相手にでもなってあげて。」

 

 

「えりち!言っておくけどかず君がウチの相手をするんやなくてウチがかず君の面倒を見てあげるんやから勘違いせんといて。」

 

 

 

 

はいはい、と呆れたように絵里さんは返事をする。

 

 

なんか絵里さんの表情が凄く柔らかくなった気がするな。希ちゃんが一緒にいるからなのかな?理由はともかくオープンキャンパスの前に会った時の切羽詰まった感じではなくなっていたので安心した。

 

 

絵里さんはμ’sに入ってからよく笑うようになったって絢瀬さんから聞いたのを思い出す。今日は二人に聞きたいことがたくさんある。絵里さんは料理中だし、まずは希ちゃんからかな。

 

 

 

 

「希ちゃんっていつ頃からこっちに帰って来てたの?」

 

 

「お!まずはウチの過去から知りたいわけやね。と言っても面白いエピソードなんてないと思うよ?あるとすればえりちの失敗談くらいやな。」

 

 

「それはそれで気になるから後で教えて!」

 

 

「ちょっと希!余計なことは言わなくていいわよ!」

 

 

 

 

今度は希ちゃんがはいはいと返事をし、読んでいた雑誌を置くと話をする体制に入った。

 

 

 

 

「まず、こっち帰って来たのは小学生の中学年の時やな。かず君達とは少し遠い所に引っ越して来たから小学校は別だったんよ。だから、気づかなかったのも当たり前やね。」

 

 

 

 

「そうなんだ!じゃあこっちにいた期間の方が長いってわけか。あと、一つお願いなんだけど俺の前では関西弁はやめてくれないかな?慣れてないっていうのもあるだろうけどやっぱり希ちゃんには標準語で話してもらいたいな。」

 

 

「んーーー………しょうがない!可愛い弟の頼みなら聞いてあげよう。」

 

 

 

 

昔も俺と雫がこうしてお願いすると大体のことは受け入れてくれていた。早く雫にも会わせてやりたいな。

 

 

 

 

「ありがとう。でもどうしてこっちに帰って来たのに連絡してくれなかったの?希ちゃんの親とウチの親は仲が良いんだから知らせてくれても良かったのに。」

 

 

 

 

「…………まぁその辺は色々あって連絡できなかったんだよ。」

 

 

 

 

希ちゃんの表情が少し曇った。何かまずいことでも聞いてしまったのだろうか。とにかく親の事には触れない方が良さそうだな。

 

 

 

 

「そっか。それで希ちゃんは何でμ’sに入ったの?」

 

 

 

 

「一番の理由はえりちが入ったから……かな。元々スクールアイドルには二年生の時くらいから興味はあったしμ’sが結成された時からやりたいなとは思ってたよ。でも、やるならどっかの意地っ張りな生徒会長さんが自分の気持ちに素直になってスクールアイドルを始めるってなってからにしようって自分の中で決めてたんだよ。」

 

 

「それに、μ’sは九人になった時が本当のスタートだって占いで出てたし、μ’sって名前をつけたのも私なんだよ。」

 

 

 

 

そう言うと希ちゃんは自分の鞄からタロットカードを出した。穂乃果さん達がスクールアイドルを始めてグループ名を募集していた時に占いをし、このグループは九人揃った時が一番輝けるという結果になったので神話に出てくる歌の女神から名前を取りμ’sと名付けた。

 

 

このことは穂乃果さんや他のメンバーも知らなかったため加入した時に伝えたそうだ。

 

 

 

 

「意地っ張りなのは認めるけど自分からやりたいなんて言える状況じゃなかったじゃない。それとね、聞いてよ和樹君!希ったら私に隠れてコソコソと七人をずっとサポートしてたのよ。名付けの親って聞いた時は本当に呆れちゃったんだから。」

 

 

 

 

希ちゃんもやりたいならやりたいって言えば良かったのに。俺から言わせれば意地っ張りなのは絵里さんだけではなく希ちゃんもだろう。

 

 

 

 

 

 

食事を食べ終えた後お皿くらい洗わせてくれと絵里さんを説得し洗い物を済ませた。さっきは希ちゃんの話を聞いたから今度は絵里さんの番だ。

 

 

 

 

「あの、今度は絵里さんがどうやってμ’sに入ったかを聞きたいんですけど。」

 

 

 

 

挨拶文を聞きに来た次の日からダンス指導を始めたらしいがそれよりも前から興味くらいはあったはず。

 

 

 

 

「和樹君になら全部話してもいいかしらね。ちょっと長くなっちゃうと思うけどいいかしら?」

 

 

「平気ですよ。絢瀬さんから聞いてる話だけだと絵里がどう思ってたかは分かりませんでしたから。」

 

 

 

 

急遽呼ばれて今日は家に来ているが遅かれ早かれこの一件に関しての絵里さんの気持ちが知りたかったからちょうど良かった。希ちゃんがこの場にいなかったとしても来ていただろう。

 

 

 

 

「まず何から話せばいいかしら。そうね廃校の件を聞いたところからかな。生徒の数が減っているのは各学年のクラス数を見れば分かる事だけど廃校になるなんて思ってもいなかったから廃校になるかもしれないと聞いた時は本当にびっくりしたわ。」

 

 

「私と希は生徒会やってたし会長っていう立場だから何としても廃校だけは阻止しないといけなかった。でも自分ではいくら考えてもいい案なんて出てこないし、希に聞いても真面目に答えてくれたことなんてなかったから自分でどうにかするしかないって思ってたの。でも、今思い返せばその時にはすでに間違っていたのかもしれないわね。」

 

 

「そんな時、穂乃果達がスクールアイドル部を設立したいからと言って生徒会室に来たの。確かに人気が出れば生徒は集まるとは思ったけど現実はそんなに甘くないって思ってしまって三人のことを全否定して対立したの。講堂でやったライブの映像をネットにあげたのも彼女達に無理だと分かってもらうためだった。でも私の思惑とは反対にメンバーも増えて人気が出てきてしまったの。」

 

 

 

 

ここまで言うと絵里さんは少し俯き、目線を下げた。

 

 

 

 

「……………本当はね、羨ましかったの。自分のやりたいことができて楽しそうにダンスや歌の練習をしているあの子達が。でも私にはやらなきゃいけない事があるって分かってたし自分のことは二の次にするしかないと思ってたの。結局、理事長や希や亜里沙には全部お見通しだったみたいだけど。」

 

 

「まぁ最後は希が穂乃果達に告げ口したせいで全部バレちゃったんだけどね。でも穂乃果が手を差し伸べてくれたおかげで私もμ’sには入れたし、こんな私と一緒にスクールアイドルをやりたいって言ってくれた時は本当に嬉しかった。だから穂乃果達には感謝してるのよ。もちろん希や和樹君にもね。二人して同じこと言うんだもん。あれにはびっくりしたわ。」

 

 

 

 

最後は優しく笑いながら話してくれた。でも希ちゃんが俺と同じことを言ったって何のことだろう。

 

 

 

 

「希ちゃんは絵里さんに何て言ったの?」

 

 

 

 

「私?んー……強いて言うなら、理事長がえりちの行動に反対してたのは自分に嘘ついてるのが分かってたからであって、えりちの本当にやりたい事って何?みたいなことは言ったかな。そういえばその後、えりちが泣いちゃったのには少し驚いたなー。」

 

 

「希!余計なこと言わなくていいって言ったじゃない。………はぁ。まぁいいわよ泣き顔見せられる相手なんて希くらいしかいないもの。」

 

 

 

 

元々色白だから絵里さんだから少しでも照れるとすぐに分かっちゃうな。…というか本当に希ちゃんと同じこと言ったんだな。初対面だった俺でさえも分かるくらいなんだから希ちゃんは毎日そういう姿を見ていたのか。

 

 

 

 

「かず君は何て言ったの?」

 

 

「俺も希ちゃんと同じようなことだよ。オープンキャンパスでの挨拶文を予め用意しておきたいからって俺と高坂さんと絢瀬さんの三人で聞きにきた時に、絵里さんの本当にやりたいことは何ですかって。」

 

 

「えりち、やっぱり分かる人には分かっちゃうんだよ。これからはもっと素直になりなよ!μ’sのみんなだってちゃんと受け入れてくれるから」

 

 

 

 

希ちゃんの優しい笑顔を見て俺と絵里さんも自然と笑顔になれた。

 

 

 

 

「それにしても希が標準語だけで話す姿が見れるなんて思っても見なかったわ。一年の時に声かけられた時からずっと関西弁だったものね。新しい希が知れたからまた和樹君に感謝しなきゃね。」

 

 

 

 

「こ、これはかず君が居る時だけだからね。学校とか、えりちと二人きりの時も今まで通りにするから。」

 

 

 

 

どうしてそこまでして関西弁にこだわるのかな?関西弁だと人当たりが良くなるとでも思っているのだろうか。だとしたらそんな気遣い希ちゃんには必要無いと思うけどな。

 

 

 

 

「ところでかず君。もう一つ気になったんだけど雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんのどっちが本命なのかな?」

 

 

 

 

いきなりとんでもない質問をしてきたので俺と絵里さんは飲み物を吹き出してしまった。

 

 

 

「ちょっと希ちゃん!いきなりにも程があるしそんな事気にしなくていいよ!」

 

 

「そうよ希。気になるのは勝手だけど姉がいる場でわざわざ聞かなくてもいいじゃない。」

 

 

「でもえりちだって気になるでしょ?」

 

 

「亜里沙がどう思ってるか聞いたことないけど………………確かにちょっと気になる……かな。」

 

 

「絵里さん。そこは止めてくれないと困りますよ。それに絢瀬さんのことが好きって知ったところで絵里さんには関係なくないですか?」

 

 

「あるわよ!大アリよ!私は亜里沙の姉だけど今は親代わりでもあるんだから変な男に捕まらないように見張らなきゃいけないんだから。」

 

 

 

 

それはそうかもしれないが今の話からすると俺もその変な男に見られてしまう可能性があるということでいいのだろうか。どちらにせよ二人のどちらかと付き合ったとしても、今まで通り三人で仲良く過ごしていきたい。

 

 

 

 

「まぁ確かに絢瀬さんの場合は変な男に騙されてついて行っちゃいそうな感じはしますよね。そこは俺も心配です。」

 

 

 

 

「そうでしょ?この二人で買い物に出掛けた時なんて、私が少し目を離したすきにどっか行っちゃって、見つけた時には違うお店で試着とかしてたのよ。そりゃ心配にもなるわよ。」

 

 

 

 

絵里さん。それはそれで別の話のような気がするんですが………。

 

 

 

 

「えりち。それ、話の趣旨が違ってるって気づかないの?ウチからしたらえりち達姉妹のことが心配だよ。そんな事よりかず君の本命はどっちなの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー!」

 

 

 

 

これ以上ないくらいのタイミングで絢瀬さんが帰ってきて小走りでリビングへと入ってきた。手には穂むらの紙袋を持っているので帰りにお土産にとでも渡されたのだろう。

 

 

 

 

「希ちゃんこんばんは!あれ?どうして三嶋君までいるの?あ、お姉ちゃんこれ雪穂からお土産もらったよ!」

 

 

 

 

絢瀬さんが帰ってきた途端部屋の雰囲気が変わり騒がしくなった。それでも帰ってきてくれたおかげで俺の話をする必要がなくった。

 

 

 

 

「お帰りなさい。希にはいつもお世話になってるし和樹君は挨拶文を考える時に協力してくれたからお礼も兼ねてご飯をご馳走したの。それから帰ってきたら手洗いうがいしなきゃダメよ。」

 

 

 

 

絢瀬さんははーいと元気に返事をして洗面所へ向かった。

 

 

 

 

「かず君。この話はまた後でゆっくり聞かせてね。」

 

 

「あ、希だけなんてズルいわ。ちゃんと私のことも呼びなさいよ。」

 

 

 

 

そこまでして聞きたいのか。まぁ希ちゃんになら言ってもいいが絵里さんは……ちょっと……。絵里さんも自分で言ってた通り身内のことだし、知られるとこっちも顔合わせにくくなりそうだから嫌だな。

 

 

 

「そうなってくると亜里沙はどう思っているか気になるわね。ちょっと聞いてみようかしら。」

 

 

「いやいやえりち!今じゃなくてもいいんじゃない?かず君も居るんだし聞くならせめてかず君が帰ってからにすれば?」

 

 

 

 

それもそうだ。希ちゃんは今日はこのまま泊まっていくって言うし、こういう話はお泊まり会の定番として夜中にするべきだと思う。

 

 

 

 

「……それもそうね。ごめんなさい。変に興奮しちゃったわ。」

 

 

 

 

「ウチら二人だとこういう話はしないから、えりちの気持ちも分からなくはないけどね。それよりかず君時間は大丈夫?あんまり遅くなるとお母さん心配するんじゃない?」

 

 

 

 

時間はすでに二十一時を回っていた。母さんには二十二時までに帰ると伝えておいたので平気だと思うがさっきから嫌な話の流れなのでそろそろ帰ろうかな。

 

 

 

 

「遅くなるとは連絡したけど明日も学校だしそろそろ帰るよ!絵里さん今日はご馳走様でした。色々とお話が聞けて良かったです。これからは希ちゃんや他のメンバーの事もちゃんと頼って、抱え込まないようにしてくださいね。それじゃお邪魔しました。」

 

 

 

 

部屋着に着替えてきた絢瀬さんにも一声かけて家を出た。夏とはいえこれだけ時間が遅くなれば日中と比べると気温も下がりだいぶ過ごしやすくなる。

 

 

 

 

「かず君待ってー!」

 

 

 

 

マンションを出てしばらくしたところで希ちゃんに声をかけられた。何か忘れ物でもしたかな?

 

 

 

 

「男の子とはいえまだ中学生だし時間も遅いから家まで送っていくよ。」

 

 

 

 

追いかけてきた理由を少し息を切らせながら説明した希ちゃん。絢瀬さんの家からまではそれほど距離は無いので一人でも平気だとは思うがこうして希ちゃんと二人で並んで歩くと小さかった時のことを思い出す。

 

 

昔の俺と雫は常に希ちゃんの後ろについて行って遊んでいた。希ちゃんを間に挟んで二人で手を握って歩いたこと。どっちが希ちゃんのことが好きかで雫と言い合いになって希ちゃんの取り合いをしたこと。きっと俺だけではなく雫も覚えているはず。

 

 

 

 

「こうして二人で歩くのは久しぶりだね。っというか二人きりは初めてかな?いつも、しずちゃんも一緒だったからね。昔の二人は本当に可愛くて引越しの時に一緒に連れて行きたいくらいだったよ。」

 

 

「俺らも寂しかったよ。お姉ちゃんみたいな存在だったし雫も俺より希ちゃんの方が好きだったからね。」

 

 

「私も二人のことは昔も今も大好きだよ。………………好きといえば亜里沙ちゃんと雪穂ちゃんのどっちが好きなの?」

 

 

 

 

あぁ。送ると行って追いかけてきた本当の理由はこれか。上手く切り抜けたと思ったんだけどな。

 

 

 

 

「まさか追いかけてきたのも今までの話の流れもそれを聞くためにわざと仕組んだの?」

 

 

「ん?何の事かな?よく分からないな。」

 

 

 

 

呆れ顔で希ちゃんを見るとあからさまに目を逸らした。

 

 

 

 

「俺はーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっか。教えてくれてありがと。いやーまさに青春って感じだね!羨ましいよ。まぁあれだ!何か相談事とかあったら何でも希お姉ちゃんに話しなさい!頼りないかもしれないけど力にはなるからさ!じゃあね!また連絡するよ。」

 

 

 

 

「え?寄っていかないの?」

 

 

 

 

「明日も学校だし、μ’sのことでえりちと話があるからさ!」

 

 

 

 

せっかくなら少し顔だけでも見せていけばいいのにと思ったが久しぶりの再会だし少しで済むはずがないと希ちゃんも分かってるのかな。

 

 

 

 

家に帰った後、すぐに寝支度を済ませベッドに横になる。

 

 

 

 

今日、希ちゃんにというか自分以外の人に初めてあの二人の事をどう思っているかを話した。今まではあくまで友達として一線を引いて異性という意識をあまりしないようにしていて、俺ら三人にとってそれでいいのだと思っていた。それでも自分の気持ちを希ちゃんに言葉として伝えた時に気がついた。

 

 

 

 

桜が満開に咲いていた春。初めて見た時からずっと好きだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高坂さんのことが。

 

 

 

 

 

 

 

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