超えられない壁   作:食べきりサイズ

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#13 夏休み

 

 

 

 

 

「今日までの二週間、本当にお世話になりました。」

 

 

「おかげで私と亜里沙の宿題全部終わっちゃったし受験勉強もいっぱい出来たので三嶋君には感謝の気持ちしかないです。ありがとうございました。」

 

 

 

 

ウチに泊まり込んでの勉強合宿はとりあえず終了。最終日の今日はせめてものお礼という事で朝から晩まで二人が家事全般をこなし、夕食を食べ終え片付けを済ませた後、絵里さんと穂乃果さんがそれぞれの妹を迎えに来た。玄関では雫も含めた女六人の騒がしい声が響いている。

 

 

 

 

「和樹ー。もうみんな帰るからお見送りくらいしなさい。」

 

 

 

 

あたかも俺が放ったらかしにしているようにも聞こえたが細かい事は気にせず再び玄関へと向かった。

 

 

 

 

「和樹君。亜里沙がずいぶんお世話になったみたいね。本当にありがとう。これからも亜里沙のことよろしくね。」

 

 

「同じく雪穂が大変お世話になりました。不束者ですがこれからも妹のことをよろしくお願いします。」

 

 

「いえいえ。俺も楽しかったですし妹の面倒を見てもらったのはこっちも同じなんで感謝してます。二人ともありがとね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。なんだかあの二人が居ないだけでずいぶん静かになるわね」

 

 

 

 

風呂から上がりコップに麦茶を注いでいると母さんが声をかけてきた。リビングには俺と母さんの二人。雫は明日も部活のため既に自分の部屋で寝ているだろう。高坂さんと絢瀬さんが泊まりに来る前は今のこの状況が当たり前だったのにたった数週間の間に変えてしまうほど二人の存在が大きかった。

 

 

 

 

「……そうだね。あの二人がいる時は雫も毎日うるさかったから余計そう感じるね。」

 

 

「和樹。少し寂しいんじゃないの?」

 

 

 

 

元々家では静かにゆっくり過ごしたいタイプだったのでなんとも言えない。ただ、この静かさに違和感を感じてしまっているのだから少なからず寂しいという気持ちがどこかにあるのだろう。

 

 

 

 

「少しね。あ、そういえば明日は出かけるから夕飯いらないよ。」

 

 

 

 

「分かったわ。それと、明後日お父さんが帰ってくるから進路の事、相談してみなさい。」

 

 

 

 

「ん。分かった。おやすみ。」

 

 

 

 

明後日から世間はお盆休みに入るため大人達は大型連休へと突入する。父さんは現在、仕事の都合で京都へ単身赴任中のため家に帰って来るのはお盆休みと年末年始の休みくらいしか帰ってこれない。去年までは海外に居たから帰ってこれるだけマシだと母さんは言っていた。

 

 

進路の事については電話で伝えたこともあるし、一応進学校に進むので反対はされないはずだが父さんには父さんの考えがあるだろうから意見くらいは聞いておきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、ある人と会うため音ノ木坂学院近くの喫茶店へと向かった。

 

 

 

 

 

「あ、和樹君!こっちこっち。」

 

 

 

 

お店の一番奥の席で手を振りながら名前を呼んでくれたので奥へと足を進める。声の主はことりちゃん。先日電話がかかってきて少しお茶でもしようと言われた。同じタイミングで俺もことりちゃんに相談したい事があったのでちょうど良かった。

 

 

 

 

「遅れてすみません。少し道に迷っちゃって。」

 

 

「平気だよ。私も今来たところだし。それより喉乾いたでしょ?飲み物どうする?」

 

 

「んーどうしようかな。……アイスティーにしようかな。」

 

 

「私もそれにしよ。あ、すみません。アイスティー二つください。」

 

 

 

 

慣れたようにアイスティーを二つ頼みお冷やとおしぼりを渡してくれた。照明が少し暗く、ジャズが流れているお店をゆっくりと見渡すと俺とことりちゃん以外お客さんがいなくてとても静かだった。

 

 

 

 

「ことりちゃんはよくここに来るの?」

 

 

「うん。μ’sを始めた頃に衣装のアイデアが出なくて外をフラフラお散歩してたらこの喫茶店を見つけたの。それ以来、お店の雰囲気が気に入っちゃって衣装のデザインを考える時はよく来るようになったの。」

 

 

 

 

もし俺が同じ状況でこのお店を見つけたとしても入らないんじゃないかなって思うくらい外見は老朽化している。が、そんな事は気にしなかったよ、とことりちゃんは言った。その決断力に感心したのと同時に羨ましくも思った。

 

 

 

 

「スクールアイドルを始めたのも、この喫茶店に初めて入ったのも私が自分でこうしたいって思ったから一歩が踏み出せたの。だから和樹君もそういう時が来たら自分の気持ちに正直になってね。」

 

 

 

 

笑顔で話してくれることりちゃんの顔にしばらく見惚れてしまっていて後半は何を言っているのか全く覚えていなかった。だけど、時折見せた寂しそうな表情だけはハッキリと覚えていて、何か悩み事でもあるかのように見えた。それと、気になる事がもう一つ。

 

 

 

 

「ことりちゃん。少し焼けた?」

 

 

「え。うそ!本当に?ちゃんと日焼け止め塗ってるのになー。」

 

 

 

 

夏空の下でダンスレッスンを行っていては日焼け止めクリームも汗と一緒に流れてしまい焼けてしまうのは仕方の無い事だろうし防ぐのは無理だと思う。それに元々が色白なため少し日焼けしただけでも差が出てしまうのだろう。

 

 

 

 

「外で練習してるし、先週は合宿で海とか行ってたからそのせいもあるのかな。」

 

 

「合宿ってことは泊まり込みって事ですよね?費用とか大変だったんじゃないですか?」

 

 

「メンバーの西木野真姫ちゃんって子が居るんだけど分かる?」

 

 

「あの髪が赤い先輩ですよね?たしか作曲者の人って聞きましたけど。」

 

 

「そうそう。その子の家、病院を経営しててすっごくお金持ちだから別荘を待ってるの。今回はその別荘が借りられたから宿代が浮いたの。だから交通費と食事代だけだったんだよ。」

 

 

 

 

西木野総合病院はこの辺一帯だけではなく都内でもかなり有名な病院でとても大きな病院だ。μ’sメンバーの中では名前で呼び合っているし高坂さんと絢瀬さんも真姫さんと呼んでいるため全く気が付かなかった。西木野さんは病院の後を継ぐ事が決まっているそうだが何故音ノ木坂学院のような高校に入学してスクールアイドルをやっているのが気になった。後を継ぐとなると大学は医学部に進むだろうし高校生のうちから勉強しておいた方がいいとは思う。ましてやスクールアイドルなんてやっていたら家での勉強時間なんてこれっぽっちも無いはず。しかも作曲もやっているなんて俺には到底理解できない思考だ。

 

 

 

 

「合宿なんてやろうなんて言い出したのは誰なんですか?この前の雰囲気を見てる限りだと下級生が言い出したとは思えないんですけど。」

 

 

「やっぱりそういう風に見えてたんだね。合宿は穂乃果ちゃんがやろうって言い出したんだよ。それでね、絵里ちゃんが合宿を機に先輩後輩を無くそうって言ってくれて、みんなが打ち解けられたの。」

 

 

 

 

絵里さんは生徒会長でありダンスレッスンでは中心となってやっているだろうから威厳があって当たり前だしそういう事に関しては加入の順番なんて関係ないとは思う。だがそれが悪い方向に働いてしまっていてライブの打ち上げの時は下級生が少し気を使っているようにも見えたし俺も少し引っかかるところはあった。

 

 

おそらく絵里さんもそして希ちゃんも同じ事を感じていたに違いないしだからそういう提案をしたのだろう。

 

 

 

 

「だからね。和樹君も私には敬語じゃなくて普通に話してほしいの。他のメンバーよりはお話ししてる回数も時間も多いし何より休みの日にこうやって会ってくれてるんだから。だめ……かな?」

 

 

 

 

ことりちゃんは少し上目遣いでお願いしてきた。名前で呼んでほしいと言われた時もそうだったがこんな顔をされたら断りたくても断れないだろう。……まぁそもそも断る気は無いけど。

 

 

 

 

「は……う…うん。分かった。」

 

 

「やったね。ありがとう。」

 

 

 

 

今まで見たこともないくらい眩しい笑顔で喜んでくれた。おそらくこの先、ことりちゃんのこの笑顔に何人もの男が虜になってしまうに違いない。本人は無意識なんだろうがさっきの上目遣いといい笑顔といい反則にも程がある。

 

 

この後もμ’sの合宿の話やメンバーの事、最近の練習などについて聞き、俺もこの前の勉強合宿の事なんかを話した。

 

 

 

 

「それで?雪穂ちゃんとは進展あったの?亜里沙ちゃんと一緒だったとはいえ、ずっと一緒に居たんでしょ?」

 

 

「そうだけど特に何も無かったよ。俺自身、付き合いたいとかそういうのじゃないし一緒に居れるだけで楽しいから。」

 

 

「ふぅーん。そうなんだ。でもたまには二人きりでお出掛けしたいなとかも思わないの?」

 

 

 

 

高坂さんと二人きりになることなんて今までほとんど無かったし、あったとしても絢瀬さんの家から帰る時くらいしかない。それにことりちゃんにこう言われるまで考えもしなかった事だ。

 

 

 

 

「二人で出掛けるなんて考えた事ないや。三人で居るのが当たり前になっちゃってるし今さら高坂さんと二人きりなんて緊張しちゃうに決まってるよ。」

 

 

「まさに青春って感じで羨ましいけどなー。」

 

 

「それに……来年からは高校生だし………きっとこの先も楽しいことがいっぱいあるよ。」

 

 

 

 

 

アイスティーに刺さっているストローを回しながら話を聞いていた俺はことりちゃんの声のトーンが急に下がったのと、変な間が空いたことに違和感を感じた。それと同時に寂しそうな表情をしていたのを思い出す。

 

 

 

 

「ことりちゃん。何か悩みでもあるの?」

 

 

「え?ど、どうして?…特に何もないよ。」

 

 

「ことりちゃんは気付いてないかもしれないけどたまに寂しそうな顔してるし今だって変な間が空いてた。もし何かあるなら話だけでも聞かせてよ。」

 

 

「そっか。」

 

 

 

 

そうは言ってくれたもののことりちゃんは本題にはなかなか入らず五分ほど黙ったまま空になったコップを見つめていた。

 

 

無理には聞こうとは思わないし、ことりちゃんが言いたくないのならそれでもいい。ただ、どう見ても思い込んでいるようにしか見えないし解決できないにしろ話せば少しは楽になると思ったからああ言ったのだ。

 

 

「今は話せそうにないね。じゃあ時間も時間だしそろそろ帰ろう。」

 

 

席を立ち伝票を持ってレジへと向かおうとするとことりちゃんに伝票を取られてしまった。

 

 

「ごめんね。気使わせちゃって。……ここは私が払うよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?電話だ。」

 

喫茶店を出てから少し歩いた所で高坂さんから電話がかかってきた。お互いが一言も話さずに並んでだ歩いていただけだったので結果からして高坂さんな助けられたことになった。

 

 

 

「もしもし?どうかした?」

 

 

『あ、急にごめんね。今さっき亜里沙から連絡が入ったんだけどやっぱりロシアに帰るみたい。それでね、一人で帰るのは初めてだし空港でずっと一人だと寂しいだろうから私達だけでも見送りに行ってあげたいなって思ったんだけど、どうかな?』

 

 

「そう…なんだ。うん。俺もそうしたい。じゃあ詳しい事はまた後で決めようか。」

 

 

 

 

絢瀬さんがロシアに帰ることになった。帰ると言っても四、五日間だけらしい。もう少しゆっくりしてきてもいいとは思うが絵里さんが一人になってしまうのでその辺りのことも心配なのだろう。

 

 

 

 

「電話の相手は雪穂ちゃんだよね?」

 

 

 

 

そうだよ。と返事をしてことりちゃんの顔を見ると何だか嬉しそうな表情をしていた。喫茶店での最後の会話の後味が悪かっただけに今まで通りのことりちゃんに戻ってくれたみたいで俺も嬉しくなった。

 

 

 

 

「和樹君。雪穂ちゃんと話してる時の顔って誰かに見られたことある?」

 

 

「え?なんでそんなこと。んーと、母さんと妹と穂乃果さんと絵里さんと絢瀬さんくらいで、あとはクラスメイトもかな。でもどうして?」

 

 

「ふふ。なぁんでもない。じゃあ私はこっちだから。今日はありがとね。またいっぱいお話ししようね。」

 

 

 

 

最後は笑顔で手を振ってくれた。結局ことりちゃんが何を悩んでいるのかは分からなかったけれどことりちゃんだって一人じゃない。穂乃果さんと園田さんという幼馴染がいるし他のメンバーもいる。次に会う時にはその悩みも解決していて今まで見せてきた明るい表情のことりちゃんに戻っているはず。

 

 

……それにしても今日着てた白のワンピース…似合ってたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか。和樹がそう思ってるなら俺は何も反対しない。やりたいようにやりなさい。」

 

 

 

 

次の日の夕食後、父さんに進路について今自分がどう思っていてどんな学校に進みたいかを正直に伝えた。夏休み中に行く予定だった二校のオープンキャンパスを終えた後、自分なりに考え二校に絞った。音ノ木坂かもう片方かまでは決まらなかったが夏休み中には決めてもらいたいという先生からの希望には一歩近づいた。

 

 

 

 

「ただ、特待生として入学して学費を少しでも浮かせようと思って音ノ木坂にするのなら反対だ。お前と雫にはお金の事なんか心配せずにやりたい事をやらせてやりたいから父さんは仕事を頑張っているんだ。それだけは忘れるなよ。」

 

 

「うん。分かってる。……ありがとう。」

 

 

 

 

父さんは元々口数の少ない方で家に居ても俺とはあまり話さない。母さんと雫とはよく話をしているみたいだがこれといって用事がない限りおはよう、おやすみのような軽い挨拶程度しかしないため会話らしい会話をしたのは久しぶりだし、こう言ってくれたことがとても嬉しかった。父さんの隣に座っていた母さんも柔らかい表情で俺と父さんの会話を聞いている。

 

 

 

 

「ねぇ。話し終わった?早くケーキ食べたいんだけど。」

 

 

 

 

夕飯を食べ終えた後すぐにソファの上に横になっていた雫が起き上がりこちらへ歩いて来る。父さんが単身赴任になってから帰ってきた日は決まってケーキを食べるのが習慣になっていて、今日も母さんが昼間に買いに行っていた。早く食べたいと言っているがついさっきアイスを食べていたような気がした。

 

 

 

 

「雫。お前さっきまでアイス食べてなかったか?食後にデザートばっかり食ってると」

 

 

「何?お兄ちゃん何か言った?」

 

 

「……デザートばっかり食べてるとお茶が飲みたくなるだろ?って聞こうと思ってたんだ。」

 

 

「そうだよね。ありがとう。……お父さんとお母さんの分も用意して。」

 

 

 

 

一見笑顔に見えるが目が全く笑っていなかった雫と入れ違うように席を立ちケーキと飲み物を用意しに向かう。

 

 

「お兄ちゃんの成績ならどうせどこだって行けるんだからそんなに話し込まなくてもいいのに。」

 

 

「そうね。でも大切な事なのよ。雫も来年になれば分かるわ。」

 

 

 

 

どうせってなんだ。どうせって。俺だってそれなりに考えて決めているつもりなのにそんな言い草はないだろう。まぁ母さんの言う通り雫も来年になれば嫌でも考えなくてはいけない問題だし、俺の辛さも分かってくれるだろう。それに、高校でも部活を続けていくつもりならなおさらだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はもう一度ピアノを始めてもいいんじゃないかなって思うけどなー。」

 

 

 

 

 

お昼を食べ終えソファでゆっくりしようとしたが雫からそろそろ帰るとの連絡が入ったので雫の分の昼食を作りに再びキッチンへと向かい、高坂さんと二人で雫の高校受験と部活について話をしていたところだ。

 

 

父さんと母さんは朝早くから仲良くお出かけ、雫は部活があるため学校へ、そうすると必然的に家には誰にも居なくなるし変に気を使わなくて済むという理由で高坂さんが家に来て一緒に勉強することになった。高坂さんが気を使わなくて済むのはいいが高坂さんと二人きりという状況なので俺が緊張してしまわないか心配だったが思っていたよりも平気そうで安心した。

 

 

 

 

「三嶋君的にはどう思ってるの?。」

 

 

「音楽は続けて欲しいなって思うよ。雫のピアノも好きだし吹奏楽も好きだからね。ただ、最近は絢瀬さんの影響でスクールアイドルの話をするのが多くなったからもしかしたら興味あるのかも。」

 

 

「亜里沙はスクールアイドルっていうかμ’sが大好きだからね。この前、合宿に行った時に作ったPVの曲なんてもう歌えるし踊れるんだよ。ちょっとビックリしちゃった。」

 

 

 

 

さすが絢瀬さん。つい最近動画がアップされたばかりなので歌だけならまだしもダンスまで完璧に踊れる人はそうそういないだろう。きっと家で一人で練習したり絵里さんに教えてもらっているに違いない。そんな二人の姿も容易に想像できる。でも、何故だが高坂さんと穂乃果さんのそういう姿はあまり考えられない。

 

 

 

 

「高坂さんはスクールアイドルに興味は無いの?」

 

 

「私?私はどうなんだろう。亜里沙と一緒に曲を聞いたり動画は見たりするけど一人でダンスの練習とかはしないよ。亜里沙ほどスクールアイドルに対して熱があるわけでも無いし。」

 

 

 

 

頬杖を立てながらそう言った高坂さんの言葉はあくまでも絢瀬さんに合わせているだけ。という感じにも聞こえた。音ノ木坂へ進学したとして絢瀬さんに一緒にスクールアイドルを始めようって誘われたらどうするのだろうか。二人とも可愛いし人気はすぐに出ると思う。なにより、アイドルの衣装を着て歌ったり踊ったりしている二人を見てみたいとも思った。そんな二人の姿を想像していると高坂さんが一度大きく息を吐いてこちらを向いた。

 

 

 

 

「あ、あのさ、三嶋君。明日って何か予定入ってたりする?」

 

 

「ん?明日?明日は何もないよ。どうしたの?」

 

 

「もしだよ?…もし三嶋君がいいなら何処か遊びに行かない?……ほら。勉強ばっかりしてても息が詰まっちゃうだろうし、たまにはリフレッシュも必要だと思うんだ。……どうかな?」

 

 

 

 

話の後半になるにつれ高坂さんは顔の前で手を動かし必死に照れ隠しをしているように見えたがこれは俺の都合の良いように捉えているだけであって本当は気を使ってくれたのだろうと思った。

 

 

何故か集まる場所は基本的に俺の家になっていて、あまりどこかに出かけるというのはした事がない。ましてや今は夏。気温が高い上に普段から外で活発的に活動をする方ではないので直射日光に対する耐性がありそうにもないので外出は控えていた部分もある。……だが今回は特例中の特例だ。いくら息抜きのためとは言え高坂さんと二人きりでお出かけができる。断る理由が見つからない。

 

 

 

 

「俺は何も用事ないから平気だよ。じゃあ明日の十一時頃に高坂さんの家に行けばいいかな?」

 

 

「う、うん。ありがとう。楽しみにしてる。」

 

 

 

 

 

 

 

 







次回は和樹と雪穂のプチデートについて書きたいと思っています。

中学生特有の初々しさがちゃんと表現できるか分かりませんが頑張ります。


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