超えられない壁   作:食べきりサイズ

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#2 ロシアからの転校生

 

 

「雪穂!雪穂!今日も雪穂の部屋でμ’sの動画見ようよ!」

「う、うん。分かった。分かったから少し離れて。お願い。」

 

 

 

席に着く前にちらっと横を見ると困った顔をした高坂さんが見える。朝から大変だなぁなんて思ってると高坂さんに言い寄っていた子がこっちを向いた。

 

 

「おはよう!三嶋君。あ、そうだ!三嶋君も雪穂の家で一緒にμ’sの動画見ようよ!」

 

 

「「は?」」

 

 

 

μ’sというのは高坂さんのお姉さんが通っている音乃木坂学院高校のスクールアイドルのグループ名だ。

入学者の減少により廃校の危機にある学校をスクールアイドルの活動を通して阻止しようとしているらしい。

A-RIZEの様な人気が出れば入学希望者は増えると思うが、そんな簡単な事ではないと思う。

ただ、この間行われたμ’sのファーストライブの映像が誰かの手によりサイトに上がっていて思っていた以上に反響がいいらしい。

 

 

「あれ?亜里沙、変な日本語言っちゃったかな?何が間違っていたの?」

 

 

「いやいや、日本語自体は間違ってないよ!むしろ良くここまで話せるようになったなって思ったよ?でも今のは変じゃないかな?」

 

 

「どこが?」

 

 

「高坂さんのお姉さんがスクールアイドルを初めて、その動画がネットに上がってるのは知ってるよ。昨日も聞いたからね。ちなみに一昨日も聞いたよ!でも俺が一緒に見るっていうのは変じゃない?」

 

 

「そうかなー?」

 

 

 

なんだか今日は疲れる一日になりそうだ。まだ学校に着いてから三十分も経ってないのにそんな気がする。

 

 

 

 

先程から高坂さんの前で目を輝かせて放課後の話をしているのは絢瀬亜里沙さんだ。去年、ロシアからこの中学校に転校して来た。

 

 

 

 

彼女も二年生の時から同じクラス。転校して来たばかりの時は片言の日本語しか話せず聞き取りの方に関してはかなりゆっくり話さないと分からない程度だった。

 

 

 

 

だが、今では流暢な日本語と明るい性格のおかげで友達も多く毎日楽しそうに生活している。

 

 

 

 

彼女にもお姉さんがいる。お姉さんはかなり前から日本にいたみたいだから日本語はお姉さんにでも教わったのだろう。そういえば絢瀬さんのお姉さんって生徒会長やってるって言ってたよな?μ’sの活動についてはどう思ってるんだろう。生徒会としても活動をしているはずだからμ’sの事も気にはなるだろうな。

 

 

 

 

「亜里沙。とりあえず落ち着いてよ。ね?亜里沙が私の家に来るのは構わないからさ。ほら、そろそろ先生来るよ。」

 

 

「分かった!楽しみにしてるね!」

 

 

会話を終えると絢瀬さんは自分の席に戻って行った

ん?じゃあ俺はダメなのか?まぁ行く気にもならなかったのでスルーしておくか。

 

 

「はぁ」

 

 

 

 

「あははは。絢瀬さん良い笑顔してたね。」

 

 

 

 

「本当に思ってる?亜里沙はあんな性格だから好きな事となると周りが見えなくなっちゃうし大変なんだからね?」

 

 

 

 

「それは相手が高坂さんだからじゃないかな?周りの子達とも普通に仲はいいけど高坂さんと一緒にいる時は少し違う気がするよ。もちろん本人の中では無意識なんだろうけどね。それでも高坂さんに対しては違うと思う。」

 

 

 

 

「………亜里沙のことよく見てるんだね」ボソッ

 

 

 

 

「何か言った?」

 

 

 

 

「何でもない!それより今日は日直なんだからちゃんと仕事してよね!」

 

 

 

 

「う、うん。分かって…ます。」

 

 

 

 

??

急に機嫌悪くなっちゃったけど変なこと言っちゃったかな?

 

 

 

 

「じゃあね三嶋君!」

 

 

 

 

「お!絢瀬さん!じゃあね!高坂さんもお疲れ様!また明日!」

 

 

 

 

「…………じゃあね」

 

 

 

 

こんな感じで結局今日は一日中機嫌が悪かった。

提出物の荷物持ち、授業開始と終了時の号令、その他諸々。日直の仕事は全部一人でやっていた気がする。

滅多にというかあんな高坂さんを見たのは初めてだったからかなり怖かった。

それでも明日には機嫌を直して元通りになるだろう。

というか戻ってもらわないと困る。色々と。

 

 

 

 

「高坂さんおはよう!」

 

 

 

 

「あ、おはよう!」

 

 

 

 

次の日、緊張しながら声をかけたから返答がすぐに返ってきてホッとする。

 

 

 

 

良かった!機嫌直ってる!正直、あの状態になった高坂さんには二度と関わりたくない。

 

 

 

 

高坂さんに絢瀬さん、二人とも笑顔が印象的なので二人には明るい表情、つまり笑っていてもらいたい。それだけ二人の笑顔が好きなのだ。

 

 

 

 

「三嶋君ちょっと来てー!」

 

 

 

 

絢瀬さんに呼ばれたため彼女の席まで向かう

 

 

 

 

「なに?」

 

 

 

 

「雪穂、昨日は帰ってからもずっと機嫌悪そうだったよ。三嶋君何かしたの?」

 

 

 

 

「え?!」

 

 

 

 

「うわ!」

 

 

 

 

自分でもびっくりする程大きな声を出してしまった。

当然、話し相手である絢瀬さんもびっくりしていた。

 

 

 

 

「ごめん!びっくりしたよね! 高坂さんに何かをした覚えはないよ。昨日もいつも通り朝まで話してたんだけど絢瀬さんが席に戻った途端に機嫌が悪くなっちゃったんだよね。」

 

 

 

 

「そっかぁ。今度機嫌が良い時にそれとなく聞いてみるよ。」

 

 

 

 

「そうしてくれると助かるよ。同じ様な経験はしたくないからね。」

 

 

 

 

絢瀬さんがそこまで器用なことができるのか不安な所もあったが、その気持ちが嬉しかったので素直に任せることにした。

 

 

 

 

「らしくないくらい大きな声出して驚いてたけど何かあったの?」

 

 

 

 

「何でもないよ。近くにいた友達にちょっかい出されただけだから」

 

 

 

 

「ふーん」

 

 

 

 

自分でも誤魔化すのが下手だなと思ったが高坂さんが引いてくれたので助かった

 

 

 

 

 

 

 

絢瀬さん。後は頼んだよ。

 

 

 

 

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