ガンゲイル・オンライン 戦場に散るロマン 作:Bishop1911
人々に崇められているが、
神を創造したのは人間では無いだろうか?
SBCグロッケン
リスポーン地点
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トードに連れられて
スタート地点に辿り着いた俺の視界に
ガチガチのSWAT装備に身を包んだ
黒づくめの兵士たちが映る。
「よく6人も集められたな。」
「ちげえよビショップ。こっちだ。」
そう言ってトードが顎で指した方には
GGOでは珍しい女性プレイヤーが2人いた。
1人は黒目黒髪のロングヘアで、
もう1人は細いペールブルーの髪を
無造作なショートヘアにしている。
向こうはこちらに気が付いていないのか、
近づく俺たちに警戒しているようだ。
そしてこの不躾者は突然言い放つ。
「やぁやぁ、これは第三回BOBの
性別詐称プレイヤー様のキリトじゃないか!」
トードの『性別詐称』に俺は首をひねるが、
当の黒目黒髪の女性プレイヤーは
腹を抱えて笑っている。
「トード…お前のことだろ?」
「まぁな。そして…
やあ!久しぶり、シノのん。」
「アンタにそう呼ばれる筋合いは無いわ。
そう読んでいいのはアスナだけよ。」
「こいつらは第3回BoBチャンピオン。
見た通り弄ると面白い。」
「ちょっと!へんなこと言わないでくれる?
だいたい何を根拠にそう思うわけ?」
「ほらな?」
GGO最強ガンナーを弄る友人って
どういうやつだよ…
「…まあいいわ。
でキリト、アンタ何時まで笑ってるつもり?」
「いや、悪い悪い、だって相談役が…ぷふっ」
「テメェ…覚えとけよ」
やっと笑いが治ったキリトが
俺の方を向いてニコっとする。
彼といいトードといい…
どう見ても女にしか見えない。
「悪かったって。そんなに怒るなよ。
それで、隣の2人は?」
「俺はショウ、トードのリアルでの友人だ。」
そしてカトラスの方に視線が移る。
「その子は…NPC?」
「そんな訳ねえじゃん!
オレだよ、カ・ト・ラ・ス!」
半分戸惑ったように疑問形で返したキリトに
カトラスが噛み付く。
「へぇー、
そんなに小さいアバターもあるんだ。
そういえばスクワッド・ジャムでも
小さいアバターの子が優勝してたわね。」
さらに戸惑うキリトを尻目に
シノノン?は関心している。
「ところでトード。相談役ってどういう事だ?」
「何でもねぇよ、嫌われ者って意味さ。
本題に入ろう。」
「ああそうだな、それじゃあ相談役。
酒場で良いか?」
「俺はかまわねえよ。」
再び酒場に戻って少し広めの
個室に入った俺たちは軽く食事をしながら
顔合わせついでに
報復のための話し合いをしていた。
「それじゃあ改めて。
新年早々集まってくれてありがとう。
まあメールで伝えた通り、
ちょっとクソゲーマーに殺られたから復讐する。
人手が足りんから協力しろ。」
「それって俺たちに関係あるのか…。」
呆れ顔でそう言ったキリトにトードは、
「ほー?さて…
お前にはいくつか『貸し』があったなぁ…」
「うぐぅっ!そこを言われると痛いなぁ…。」
「はぁ……まったくアンタは…」
「当然拒否権はないぞキリト。」
「まあどっちにしろ2人とも自業自得よね。
私は降りるわ。」
そう言って出口へ向かい始めたシノンの
元にトードが駆け寄り、何かを耳打ちする。
「なっ!?あ、アンタ汚いわよ!」
「で、どうする?」
「ぬーーーっ!分かったわよ!殺るわ!
殺ればいいんでしょ!
言っとくけど、これでアンタが約束破ったら
ただじゃおかないから!」
なんと言って引き止めたかは
わからないが、唯一確信したのは
俺の相棒、トードは相当性格が悪いって事だ。
「ダインとかいうヤツに殺られた。知ってるか?」
「アイツ…ついにルーキー狩りまで始めたのね。」
「確か、BoBでペイルライダーに
ショットガンで殺られたやつだよな。」
「オレは知らねえや。」
全員の反応を聞いたトードは話を続ける。
トードの性格に大きく影響された計画を
聞き終えた俺たちは、
全員の装備を確認する。まずはキリトだ。
「じゃあ俺から。」
「アンタは言わなくてもわかってるわよ。」
「あぁ…、それもそうだな。」
だがシノンに遮られて
ストレージから取り出すこともなく席に座った。
「私もBoBから変わってないわ。
それよりアンタたちのを見せなさいよ。」
「じゃあ俺からな。」
そう言って名乗り出たトードは、
自分の装備をストレージから取り出す。
ゴトゴト、ガチャ、
カラカラ…ファサァ…といった具合に
重くて硬い順から出てきた装備を
トードは1つずつ身につけていく。
機動性重視なのか、
キリトより少し面積が広い程度の胸当て、
5.56×45mmNATO弾を使うマガジン用の
マガジンポーチと、
かなり大きめのホルスター2つが
取り付けられた
タクティカルガンベルトを腰に巻き、
ふう、と一息。
続いて一番下にあった大きな物体を
"2つ"手に取る。
その2つのライフルは、
強化プラスチックによって産み出され
人間工学的に優れたデザインの
近未来的なフォルムを持っている。
「トード…それって」
「ああ、XM8だ。」
「正しくはXM8オートマチックライフルだろ。」
「んなこたぁどうでもいいんだよ。」
軽々と…まあ実際に軽いのだが、
XM8を自慢気に掲げるトードにシノンがつっこむ。
「アンタねぇ…
その銃の性能を台無しにしてんだけど。」
確かに俺もそう思う。XM8は軽量化のために
強化プラスチックを多用している。
ところがトードはドラムマガジンと
M320グレネードランチャーを取り付けたうえに
2丁持ちなんて馬鹿なことをしているのだ。
…だがな、高校の同じクラスで
俺は1年ほどヤツとともに過ごした。
個性を表すことが許される場で
ヤツの言い放つことといえば…
「シノのん、知らねえのか?
これぞ『俺くおりちー』だ。」
予想通りのセリフだった。
ほんっとにキャラがブレない。
「いいんじゃないのか?
シノンもこないだ俺に2丁拳銃を
教えてくれただろ?」
そして妙に肯定的なBoB優勝者である。
キリトって素人なのか?
2丁持ちなんて狙いが定まらないし、
当たらないし、マガジン交換ができない。
唯一の利点は火力が2倍になることだけ。
だがその利点ですらハンドガンやSMG、PDWでこそ
できることであって、いくら反動が軽いとはいえ
LMGですることではない。
「まったくアンタたちは…いい?
2丁持ちをするのは
機動力を活かして敵に接近しつつ、
確実に仕留めるための戦術なわけ。
それを機動力まるっきり無視したLMGで
やろうなんて正気とは思えないわ。」
シノンの指摘にキリトがうーんと唸る。
「…でも、相談役はSTR優先のタンクだったから
そういうのもありじゃないのか?」
「あのねぇ…はぁ…まあ良いわ。
でも邪魔になったら
トード、アンタを最初に狙撃するから。」
できれば今撃っても良いですよなんて物騒な事を
頭の中で考えてストローでジュースを
吸っていた俺に視線が向けられた。
「それで?
ショウさん、アンタのを見せてくてる?
…まさかアンタまで
『俺くおりちー』なんてバカなこと
言わないわよね?」
「ショウさんって言うなよ。
『小3』みてえじゃねえか。
それと、そこの脳筋と一緒にしないでくれ。」
ロマンを追い求めるガンダム馬鹿を
見る時と同じ冷たい視線を
向けられたことを不愉快に思いながら、
俺はストレージから自分の装備を
実体化させた。
俺のはいたって普通で、
ODカラーの戦闘服に黒のタクティカルパンツ、
7.62×51mmNATO弾用のマガジンポーチを
取り付けたプレートキャリアと、
ホルスターやグレネードポーチ、
5.56×45mmNATO弾用のマガジンポーチが付いた
ガンベルトだ。メインウェポンは
7.62×51mmNATO弾仕様の
LE-901-16sというAR-10系ライフルを
かなりカスタムしたもので、
1〜8倍のライフルスコープや
アングルフォアグリップ、バイポッド、
レーザーライトモジュールの
AN/PEQ-15を取り付けてある。
「普通ね。」
「うっ…」
俺はシノンの一言で妙にグサっときたが、
そんな俺を放って次のカトラスが装備を
実体化させる。
「…驚いたわねぇ。」
感嘆の声を漏らしたシノンの視線を追い、
俺もカトラスの方を見ると、
カトラスの小さな体は黒…ではなく
剣道の道着を連想させる深い藍色の
つなぎに包まれていて、
その上から身につけるポーチが取り外された
タクティカルチェストリグの右側には
矢筒が、左側には細長く3つのポケットに
区切られたマガジンポーチが装着してあった。
だが1番驚くのは武装だろう。
なぜならP90と弓を持っていたからだ。
いや、厳密に言えばコンパウントボウと
言うのだろうか?
機械的なその弓はハンドルとリムの間に
滑車があるため、普通の弓に比べて
射るのが容易なのは想像に難くない。
そしてこのコンパウントボウの
最大の特徴は『折り畳める』ことだろう。
リムをハンドル側に曲げてパチンッという
音がしたかと思うと、
コンパウントボウはまるで
警棒のような見た目になった。
折り畳んだコンパウントボウを
腰に取り付け、P90をスリングで
背中に回すとカトラスは腕を組んでドヤ顔をキメる。
「へぇ〜GGOにも弓なんてあったんだな。
なんて名前なんだ?」
「えーっと…」
珍しい武器ということもあってか、
真っ先に聞いてきたキリトの問いに
カトラスは暫く『あー』だの『うー』だの唸って
思い出そうとして1〜2分待たせた挙句、
「知らぬ。」
全員が椅子から落ちたのは
言うまでも無いだろう。
次回
まあとりあえずダインさんをボコる。
…予定。