ガンゲイル・オンライン 戦場に散るロマン   作:Bishop1911

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立場が人を変え、人格を増やす。
ならば本物の人格とはどれだろうか。


6.5

「クソッ、クソッ、クソッ!!

一体どうなってやがる!?」

 

赤茶けた空の下、

人気の無く荒廃とした市街地のとあるコンビニで、

1人の男が聞くものの居ない悪態を付いていた。

 

「おい、誰か応答しろ!

誰も居ないのか!?」

 

無線に問いかけても返事は返って来ない。

 

「ククク、久しいねぇダイン君。」

 

「なっ!?」

 

突然背後から聞こえた声に

振り向こうとした時にはもう遅すぎた。

コンビニの割れた窓の間を

音も無くすり抜けてきた矢が左肩に突き刺さり、

先端の乾電池のような物体から流れでた

青白い糸のようなスパークが全身を這い回る。

体が動かなくなり、

そのまま砂の溜まった床に倒れた。

かろうじて動く両目をクルクルと回し、

声の主を探すと、

見覚えのある黒目黒髪の美人アバターが目に入る。

 

「お前は…あの時のニュービーか!?」

 

「ニュービーとは酷いなぁ。

こう見えてもALOでは

かなり名のあるプレイヤーなんだけど…

興味無いだろうしどうでもいいよね。」

 

「はっ、妖精の国から

やって来たファンタジー頭か。」

 

「あ、言っとくけど煽ったって無駄だからね?」

 

美人アバターは床に転がっていた

ダインの愛銃、SG550を手に取ると

マガジンを外し、コッキングレバーを

引いて抜弾する。

念のためなのか、セレクターレバーの位置を

セーフティーにすると、

ハンドガードを持って剣のように掲げた。

 

「そう言えばSJ2は見たかい?

あの金髪のちびっ子が小児性愛者を

ライフルでボコるシーン。」

 

「お、お前まさか!」

 

「前からやってみたかったんだよねー、ククク…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数分前…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺はとあるホテルの一室のベランダから、

下に見える道路を見下ろしていた。

いや、誤解を避けるために付け足す。

とあるホテルだったであろう建物の

5階のベランダから、

とある不機嫌な女スナイパーとともに

道路を見張っていた。

 

まだまだ言いたいことはあるが

もう1つだけ言うと、

めちゃくちゃ気不味い。

 

長くなりそうなので時を遡らずに説明すると、

なぜか第3回BoB優勝者から直々の指名を

受けた俺はこのシノンという少女、

なのかどうかは分からない女性の

スポッター兼護衛を

務めることになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

数時間にも感じられた無言の空気を

なんとかしようと時計に目をやる。

 

15:36

 

…ここに来てからまだ10分も経っていない…。

なんとかしたいとは思うが女性、女子、

女の子に対してあまり耐性のない俺に

自分から話しかける根性など有るはずもなく、

とりあえず俺はメニュー画面からマップを開くと

位置や距離の確認と暗記をする。

 

 

 

「アンタねぇ…

マップの確認ってのは関心するけど

無言で女子に見張り任せて

自分はメニュー画面開くってどうなのよ。」

 

話を初めてくれたのは嬉しいが

初っ端この毒舌は厳しい。

 

「…すみません。」

 

上下関係の厳しい運動部に入っている

という事もあってつい反射で謝罪の言葉を発するが、

どうやら会話の糸口に使ったらしくスルーされる。

 

「はぁ…まあいいわ。

それよりアンタはトードの事をどう思ってるのよ。」

 

唐突な問いに俺がまず連想したのは、

ヤツ、つまりリアルのトードが

見せてきたBLモノのネット小説だ。

 

「そ、そんな趣味じゃないですよ!?」

 

「違うわよ。そういう事じゃなくて、

リアルでどういう人間関係なのかってこと。」

 

「…マナー違反…」

 

「アンタはどうか知らないけど

私は別に気にしないわ。

どうせ組むのも今回っきりだし。

それに私だけ有名人だからって

いろいろ知られてるのも癪だから。」

 

「うーん…まぁ、良いのかなぁ…」

 

「いやならそれで構わないわ。」

 

俺は断れば再び続くであろう沈黙の苦しさより、

この女性との会話を選んだ。

 

「出会ったのは高校入学してから…かな。

俺って結構人見知り激しくて、

クラスで浮くのを覚悟してたんだけど

そん時にあいつが…トードが声をかけてくれて。

そっから今に至る、て感じ。

オタク同士だけどジャンルが違うから

話が噛み合わない事も多かったんですけど。

でも俺の話は聞いてくれるし、

理解してないところは

ちゃんと聞き返して理解しようとしてくれる。

だから俺にとってトードは

親友以上…相棒みたいなもんなんですよ。」

 

俺は最後にシノンの顔を伺うが、

シノンは意外そうな視線を送ってくる。

 

「なんか…変なこと言いました?」

 

「違うわよ。ただ…アイツにも

いいとこあるんだなって思っただけ。」

 

トードがこれまで一体どれだけの

悪事を働いたか知りたいがそれはさておき…

ターゲットがマップに映った。

どうやら俺が仕掛けたセンサーに

引っかかったらしい。

 

「12時方向に2ブロック。

右側から通りに出る。距離826m。」

 

「わかったわ。」

 

俺が通信アイテムを取り出して同じ事を伝えると、

それぞれの返事が返ってくる。

 

「こちらショウ。

カトラス、そっちから確認できるか?」

 

『あー、今見えた。5人いる。』

 

「武器は?」

 

『えーっと…』

 

しばらく沈黙が続き、

心配になった俺がもう一度問いかける前に

返事がきた。

 

『5人とも銃をもってる。』

 

そりゃこれは銃のゲームだから

みんな銃持っているのは当然だ。

 

「あっ…」

 

しかし俺はここでようやくこの作戦の

失態に気がついてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

ALOプレイヤーは銃の知識なんて持っていない。




次回

こ、今度こそかならずダインさんを…
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