ガンゲイル・オンライン 戦場に散るロマン   作:Bishop1911

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もし、君が税金で購入された箒を
壊したとしよう。
当然責められ、
弁償だのなんだかんだ言われる。
だがこうは思わないか?
「俺だって箒一本
買えるくらいの税金は納めた。」と。


7

『もうすぐそっちからも見えるよー。』

 

「了解。」

 

カトラスから伝えられる位置情報と

マップを照らし合わせて

作戦通りに進んでいることを確認した俺は、

思わず溢れそうになった

安堵のため息を呑み込んだ。

カトラスが銃器関連に無知過ぎることは

想定外で、一時はどうなるかと思ったが、

スクリーンショットを送ってくるという

いかにもゲーム的な考え方を

提案したキリトのおかげでなんとかなった。

 

「うーん…武器は裸のUMP-45とUZI、

これは…M14…いやM1Aか?

それとスコープ付きのAR-15系とSG550。

脅威度的にはこの高倍率スコープ付きのSG550が

1番なんだけど…」

 

「それがどうかしたの?」

 

「ダインなんだよなぁ…」

 

俺はもう一度マップに目を落とす。

交差点を見下ろす西のビルにカトラス。

ダインたちが通ってる東の通りの建物にキリト。

北に向かう道路にトード。

そして交差点から南に

800mほど離れたビルに俺とシノン。

俺は通信アイテムの回線を

全員に聞こえるよう調整すると、指示を出す。

 

「初弾を撃つのはカトラスだ。

スモークチップを

撃ち込んで後方のキリトに気づかせろ。

すかさずキリトが突っ込んで

交差点に追いたてたところを

トードが制圧射撃で南側以外の退路を潰す。

それと…キリトに当てるなよ?」

 

『ああ、わかってる。

ダインを生け捕りにするための作戦だ。

お前ら…絶対に殺すなよ。

奴と遊ぶのはおれだからなぁ…』

 

『うわぁ…』

 

「私は別にどうでもいいんだけど。」

 

ドン引きするキリトに続いて隣でシノンが

愚痴とも聞こえるそれを呟いたが、

システムには聞こえない音量と

判断されたのか、無線機から聞こえると

思ったトードの反応は無い。

俺が無言で双眼鏡を覗き込むと

すぐに交差点の角で煙が立ち始め、

続いていくつもの銃声が聞こえてくる。

 

「トード、射撃用意。

カトラスは爆薬チップを準備。

ターゲットが西に逃げようとしたら阻止。」

 

『あいよ。』『はいはーい。』

 

双眼鏡に映る交差点の真ん中で、

ダインたちのスコードロンが

横転したトレーラーを盾に防衛線を張っている。

どうやらキリトに火力を集中させているらしく、

キリトは交差点の角から動けていない。

 

「トード、そっちから狙えてるか?」

 

『いや、トレーラーが邪魔だ。』

 

「カトラスは?」

 

『下に同じくー。』

 

『誰が下だこん野郎っ!弾幕喰らわすぞ!』

 

『だって実際トードはオレより

低いとこに居るし。』

 

「はいはい喧嘩は後でな。

こっちから狙撃するからその隙にトードは

プラズマグレネードを投げ込め。

タイマーは10分くらい。

キリトはターゲットが後退し始めたら

前進してプラズマグレネードの

タイマーを止めて回収。」

 

俺は2人を宥めて新たな指示を出す。

 

『あー…えっと…

それはちょっと遠慮させて貰ってもいいかな…。』

 

銃声と一緒にやりたくないオーラ全開の

キリトボイスが聞こえてくる。

 

「なんかまずいのか?」

 

『いや、そういうわけじゃないんだ。

ただ…プラズマグレネードとは

あんまりいい思い出が無くて…』

 

なぜか気まずそうなシノンの表情を察するに、

何かあったのだろう。

 

『おやおや?

流石のハーレム王も女神との心中はトラウマか?』

 

「はいはい、いじるのも後でな。

そんじゃあカトラス。

トードが投げ込んだプラズマグレネードは

ターゲットが交差点を出たと同時に破壊してくれ。」

 

『りょうかーい。』

 

俺は双眼鏡から目を離し、シノンの方を向く。

さっきから氷のように表情を変えてないが、

右の人差し指は感覚を

確かめるように曲げ伸ばしを繰り返している。

 

「シノン、ダイン以外の誰か1人。狙えるか?」

 

「わかったわ。あの機関銃手から殺る。」

 

「了解。」

 

 

…ん?ダインのスコードロンに

LMG持ちなんて居たか?

 

 

「おいちょっと待て。

気持ちは分からんでもないが後にしてくれ。」

 

銃口の向きからして明らかに

トードを狙っている事を察知した俺は

スコープを手で隠して狙撃を阻止すると、

シノンをなんとか宥める。

 

「…ふんっ、ダインの左にいるアタッカー。」

 

「りょ、了解。距離は…およそ810m、

風は…左から右へ0.5m。」

 

「サークルがあるから大丈夫よ。

それより音大きいから気をつけて。」

 

「わかった。」

 

シノンが片目を閉じ、

呼吸がゆっくりになっていく。

俺はもう一度双眼鏡を覗き込み、

シノンに…冥界の女神に

選ばれてしまった不運な男を見つめたその刹那、

耳をつんざく爆音とともに

床から突き上げる衝撃が俺を襲い、

双眼鏡に映る男を音速を超える金属の矢が貫き、

上半身がトレーラーに叩きつけられて

ポリゴンの破片と化した。

安全と思っていた遮蔽物の裏で

目の前の仲間を撃ち抜かれたダインは

すでに軽いパニック状態だ。

そして間を置かずにソフトボールサイズの

プラズマグレネードがボタンを

赤く点滅させながらトレーラーの裏に落ちた。

 

敵の射界に入っているうえに

グレネードを投げ込まれれば、

普通の反応はその場から逃げるか

死を決意して目を閉じるかのどちらかだ。

そしてダインを含む生き残り4名は

全員が前者だった。

転げるようにトレーラーから離れ、

まっすぐ南の通り

…つまり俺とシノンが居る方向へと向かってくる。

そして交差点から出た直後、

カトラスが指示通りに

プラズマグレネードに矢を射て誘爆させた。

 

もうもうと舞い上がる土煙を背景に

ダイン以下4名は走り続けるが、

背後から彼らの体をいくつものバレットラインが

照らし、続いて銃弾の雨が襲いかかる。

1人が背中に気持ち悪いほどの

赤い点を光らせながら

ポリゴンの破片となって砕け散る。

 

『ショウ、リロードするから後はそっちで頼む。』

 

「了解。

シノン、もう一度頼む。」

 

シノンは何も言わずに

スコープを覗き込むと呼吸を整え、

トリガーに指をかけた。

最初の狙撃から時間が経ち、

バレットラインは映らない。

 

先ほどと同じように床から突き上げるような

衝撃と爆音が俺に襲い掛かり、

再びターゲットの1人を

アイテムドロップと引き換えに

グロッケンへと送り返す。

 

「残り2人だ。」

 

「ショウ、アンタが殺りなさいよ。」

 

「いや、俺じゃ当てれないよ。」

 

「やってみないと分からないじゃない。

それに私が今撃つとバレットラインが

映っちゃうし。」

 

言い返す言葉も思いつかない俺は

しぶしぶ隣に置いておいた愛銃の

LE-901-16sの7.62×51mmNATO弾仕様を

引き寄せ、バイポッドを立てた。

 

スコープを覗き込み、トリガーに指をかける。

スコープの中心に現れた緑色の円は

かなりの速度で拡大と縮小を繰り返している。

 

「力を抜いて深呼吸して。

呼吸をゆっくり…そう、そんな感じ。」

 

シノンのサポートを受けつつ照準を合わせる。

スコープのバレットサークルの向こうに

映る男の顔は恐怖に歪んでいる。

 

 

大丈夫だ。

これはゲーム…殺して殺されてを

繰り返さないと成り立たないんだ。

テレビ画面でやってたゲームと同じだ…

 

 

ズダンッ

 

1発の銃声が鳴り、

スコープに捉えていた男の額に赤い点がつく。

男がその場に倒れ込み、

ポリゴンの破片となって消えた。残りはダインだけ。

 

「アンタこれが初めてなの?」

 

「まぁ…いちおうチュートリアルは受けました。」

 

「それにしても…」

 

言葉を詰まらせたシノンに聞き返そうとしたが、

冷たくあしらわれそうな予感がしたので

俺はスコープに目を移す。

1人になったダインは脇目もふらずに

まっすぐ南に走っている。

このままでは逃げられそうだ。

俺はダインの前方に照準を合わせ、

トリガーに指をかけた。

真っ赤なバレットラインが伸びていき、

ダインの足元に突き刺さる。

ダインがそれをジャンプで避けた瞬間、

トリガーを引く。銃弾が地面を抉る。

体勢を立て直したダインが

こっちに銃を向けようとするが、

それより先に俺が第2射を送り込み、"わざと"外す。

反撃することすら叶わなかったダインは

ビルに向かって走り始めた。

俺はそのまま至近弾を送り続け、ビルに追い込む。

 

 

 

 

 

ダインがビジネスホテルの

一階部分の半分を占めるコンビニに

入って行ったことを確認すると、

俺はトードに連絡する。

トードはわかったと一言返して

無線を俺とのプライベートチャンネルに変えて

コンビニに入って行った。

 

 

 

 

 

そして数秒もしないうちに

全身を真っ黒な装備に身を包んだ

アバターが光剣を片手に

コンビニへ向かって走ってきた。

 

「トード、キリトがそっちに向かってる。」

 

『誰も近づけるな。』

 

「わかった。」

 

俺はスコープの中心にキリトを捉えると、

その3mほど先を狙って引き金を引いた。

静かになった市街地にもう一度銃声が響き、

キリトの前方でアスファルトの地面が爆ぜた。

さすがBoB優勝者だ。

自分が狙われた事を瞬時に悟り、

近くの車の裏に飛び込んだ。

そして俺のこめかみに冷たい金属が触れる。

 

「…アンタ一体どういうつもり?」




次回

うーぬ…何しよっかなぁー
とりあえず未定。
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