ガンゲイル・オンライン 戦場に散るロマン   作:Bishop1911

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どんなに科学が発展して
戦争が進化しようとも
人を殺す決断を下すのは
人でなければならない。


非日常の中の日常
9


「んがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ど、どうしたショウ?」

 

「課題…終わってない…」

 

「はぁ?バカじゃねえのお前。

答え写せよ。」

 

などとまぁ長期休業期間明けの

学生におそらくありがちであろうと

思いたい会話をしている今日は2026年1月12日だ。

そしてこの会話は昼休みが

始まると同時に開始された。

 

「まぁあと英語のワークだけだし

あと2日で終わるとして…」

 

「として?」

 

「お前の隣の可愛い系男子は誰だ?」

 

俺が弁当を開く手を止めて視線を向けた彼は、

袖がかなり余るぶかぶかの制服に

眠そうな顔でスマホをいじりながら

弁当を食べている。

もし俺がそんなことしたら

経路不明の情報網で母さんの耳に入って

ビンタを頂戴することになるだろう。

 

 

…確か灯俊はBL読んでたけど…

リアルでもそんなことすんのか?

いやいやいやいや、

コイツと半年過ごしてきたが

ケツを狙われるようなことは一度も無かった。

たぶん大丈夫なはずだ…。

 

 

「あぁ、こいつは俺の幼馴染の霧島 葵だ。」

 

「葵って…なんか

女子みたいな名前だな…」

 

「ん?オレいちおう女子なんだけど。」

 

数秒の沈黙を挟んで俺は葵の服装を見る。

上は男女共通のブレザーで下は女子ならスカート、

男子ならズボンなのだが葵の下はズボンだ。

 

「ははは…またまたぁ…ご冗談を」

 

「ショウ、はじめに言っとくけど

こいつは性同一性障害だ。

っていうかお前知らねえのか?

ウチの学校は性同一性障害者は

制服をどっちか選んでいいんだぜ。」

 

「へぇー知らなかったなぁ…」

 

とまあもう一度葵の方を見るわけだが、

 

「…どうしてここに?」

 

「ん?ああしまったぁ…

ショウには言ってなかったな。」

 

「な、何を?」

 

「ほら今日は部活が休みだって言ってたじゃん?」

 

「お、おう。」

 

「放課後にマックでオフ会した後に

そのままGGOにインするんだよ。」

 

「それとこの…霧島さん?が

どう繋がってくるんだ?」

 

「あれ?もしかしてショウは

オレが誰かわかんない?」

 

そう言ってきた霧島さんを見て

俺は少し記憶の中を探るが、

長いようで短かった正月に

どうやらボケが入ったらしく、

記憶に引っかかるものは無かった。

 

「もちろんだとも。」

 

という回答になる。

 

「はぁ…、オレだよオレ。」

 

そんなにオレを連呼されてもなぁ

そんなことで思いつくのは1つ。

 

「オレオレ詐欺か?」

 

「いやボケとかいらねえから

いい加減気づけよ。」

 

いつもはボケ担当のトードこと灯俊(ひとし)に

ツッコミを入れられてしまう。

 

「カトラスだよ、カ・ト・ラ・ス。」

 

「マジで?」

 

「うん、マジで。」

 

「Really ?」

 

「Yes☆」

 

「よし、もうこのノリ辞めよう。

疲れた。」

 

「ショウにしてはよく頑張ったな。

そんで、予定は大丈夫なのか?」

 

「大丈夫。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

放課後

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

予定通りマックで軽食を採った俺たちは、

GGOでフィールドに出て

Mob狩りをする約束を交わすと

各々の家に帰ってアミュスフィアを被り、

ベッドに横たわって魔法の言葉を呟く。

 

「「「リンク・スタート!」」」

 

 

 

 

 

目を開けるとそこは

もう何度目かのSBCグロッケン。

相変わらずの赤茶けた空を見ながら

俺は思ったことを口に出す。

 

「うーん…なんかこう…夢が無いよな。」

 

「そんでもってお前にはロマンが無いと。」

 

俺は声の方向に振り返った。

そこには予想通りに女っぽい男が立っており、

腕を組みながら待ちくたびれたように

つま先で地面をリズムよく蹴っている。

 

「うるせえなぁ。独り言だ独り言!」

 

「そんなのいいから早く行こーぜ。」

 

いつも通り高めのテンションのカトラスに

急かされながら俺たち3人は

NPCショップで消耗品を買い揃えて

フィールドマップの印へと向かい、

目的地にたどり着いた。

そこにはアメリカの高級住宅地を

思わせる家々が並び、広い庭には

かつての住人が使っていたであろう

BBQセットや子ども用の遊具が散在している。

ここがGGOということを忘れそうになるが、

家に突っ込んだままの自動車や、

あちこちに停車して放置されている

ハンヴィーがなかなかいい雰囲気を演出している。

宙に浮かぶクエスト名を見上げたカトラスが

英語表記のクエスト名を読み上げた。

 

「ふぉーごとてんばとれふぃえるど?」

 

「カトラス…それ本気で言ってんのか?」

 

「なんか違う?」

 

「あぁ、大きく違う。Forgotten Battlefield、

意味は『忘れられし戦場』。」

 

「まあいいからいいから。

早く行こーぜ。」

 

カトラスの英語力に少々不安を覚えつつも、

俺たちは目の前に現れた

メニューウィンドウの説明文を読み上げる。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最終戦争が終わってなおも

稼働し続ける戦闘ドローンと

それを制御する武装勢力を全て排除せよ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

俺は2人と目配せして

メニューウィンドウからクエストの承諾を選んだ。

 

「よし…行こうか。」




次回

市街地戦
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