ガンゲイル・オンライン 戦場に散るロマン 作:Bishop1911
こっちに来たんだろ?
だったら後先考えずにカッコつけてみろよ。
民家のクリアリングを終え、
出入り口と一階に続く階段にトラップを仕掛けた俺は、
民家の二階で再び得物のLE-901-16sの
アッパーレシーバーを再び7.62×51mmNATO弾仕様に交換して
ハンヴィーの陰で待機する2人に連絡した。
「トード、カトラス、こっちは配置についた。初めていいぞ。」
無線機から手を離してスコープを覗いた俺の視界の中で、
藍色の小さな影が戦闘ドローンの前に躍り出た。
『モノアイ付きミニ戦車』ことソイツは、
探知圏内に侵入したカトラスに
7.62×51mmNATO弾を浴びせるべくターレットを回転させるが、
ターレットが側面を見せた瞬間、
トードの持つXM8から大量の5.56×45mmNATO弾が叩きつけられた。
火花を散らしながら今度はトードを狙おうとドローンが
ターレットを回転させるが、
そこへ一度は探知圏外に逃れたカトラスが戻って来て、
至近距離から爆薬チップを搭載した矢をターレットの根元に撃ち込んだ。
カトラスがドローンから離れて数秒後、
ボンッという音とともにドローンがその動きを止めてポリゴンのカケラと化した。
ほんの十数秒の間の出来事だった。
だがすこし派手すぎたようで、
道路の左右に立ち並ぶ家々のドアが開いて10人近い兵士が溢れ出て来る。
「カトラス、トード、敵が10人以上出て来たぞ。」
『カトラスに任せた。』
俺の報告を聞いたトードは無線にそう答えて、
ハンヴィーのタイヤに背を預ける。
「お、おいっ!?」
思わずそう叫んだ俺は、
やる気の失せたトードに変わってカトラスの援護をするべく
攻撃の準備が整い始めた敵にライフルを向けるが、
どうやらその必要は無さそうだった。
AGI型プレイヤーのカトラスは文字通り目にも留まらぬ速さで
敵の構築した防衛線の中央を突破すると、
手にするコンパウントボウですぐ左にいた敵の頭を射抜いた。
恐怖を感じないNPCの敵はためらいもなく
頭に矢が刺さった仲間ごとカトラスをバレットラインの中に収めるがそれも一瞬で、
銃弾が撃ち抜いたのは死体とアスファルトだけだった。
俺は視界の中から消えたカトラスを探すが、
スコープを通して見えたのは爆散する2人分のポリゴンだった。
「カトラス!?無事かっ!?」
俺が無線で問いかけた刹那、
俺の頰をペインアブソーバーで抑制された火傷のような痛みが遅い、
被弾エフェクトが生まれて血飛沫のようにポリゴンが飛んで
HPのゲージがほんの僅かに減った。
咄嗟に身を屈めた俺は、
部屋の壁に矢が突き刺さっているのを目にする。
『あーショウ、あいつは別に心配しなくていいぞ?
心配されるのが嫌いらしい。』
「たった今、身をもってそれを知ったよ…。」
こうしてカトラスの怒りのツボを一つ学んだ俺は、
視界の端に映るクエスト情報を確認する。
戦闘ドローン 1/1
歩兵 12/18
俺が倒した4人を除くといつの間にか8人も殺していた。
頭にふと思い浮かんだ"戦闘狂"という言葉を
口にしない方がいいことを充分理解している俺はもう一度窓から外を眺めた。
住宅街のあちこちからバレットラインが
カトラスめがけて伸びてきては、
アスファルトやハンヴィーのボディに弾かれる。
銃を撃ちまくる敵兵の足元にスライディングしながら
背中に吊るしていたP90の5.7mm弾を
潜り抜けるアーチの天井にお見舞いして通り抜ける。
股間を抑えて爆散する敵兵を背景に
高く跳び上がったカトラスの次のターゲットに選ばれた男は、
カトラスのAGIをフル活用して
振り下ろされたナイフで目刺しにされる。
ナイフを敵兵の目玉に突き刺したままで再び走り出したカトラスは
P90を背中に回して今度は矢筒に手を伸ばす。
ハンヴィーを背に銃を向けてくる敵兵2人組の1人に矢を放つとジャンプして、
パルクールのウォールランの要領でもう1人の頭に蹴りを入れた。
AGI特化したカトラスの足は異常な速さで
敵兵の顎を捉え、首をあらぬ方向へ回転させる。
ハリウッド映画さながらのアクションが展開されている一方で、
俺から一番近いハンヴィーの影では
トードがタイヤにもたれかかって、
どこから取り出したのかわからない瓶入りコーラの栓をフォトンソードで焼き切っている。
…正直言って反応に困る。
普通ならチームのメンバー1人に
タゲを取らせ続けるのは有り得ないというか…
間違っているのだが、
当のカトラス本人は敵を次々と葬っていくし、
トードはいつの間にかティータイムを楽しんでいる。
しかもクエストエリアで。
これだけの余裕はどこから生まれるのか…
そして奏功しているうちにクエスト情報の歩兵の欄が
18/18となって頭上に【Congratulation】の文字が
浮かび上がった。
『ふぅー終わった終わったー。』
『カトラスー、なんかドロップしたか?』
「トード、お前なんかしたのか?」
『情報提供、道案内、後方警戒。』
あー…そんなやつだったよなぁこいつは…
次回
いろいろ書きたいけどとりあえず未定。