ガンゲイル・オンライン 戦場に散るロマン   作:Bishop1911

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まーた気まぐれで書きましたが、
今回はたぶん大丈夫。


Welcome to GGO
1


ことの発端は2026年の冬だった。

 

「なあショウ、今日部活あるか?」

 

「一体どこのバカが終業式に

部活やるんだよ…て言いたかったけどな…

今日も練習やるらしい。」

 

俺は藤原 昌平(ふじわら しょうへい)。

壱津島高校の1年生で、

今は部と呼ぶことを躊躇うほど

何もして無さそうなオカルト部の親友、

明日葉 灯俊(あすは ひとし)と放課後の

部活前の時間を使って他愛もない話をしていた。

 

「んで、その切り出し方ってことは

何かあるんだな?」

 

「ん、あぁ、まあな。」

 

無計画ゆえに終業式にこうして

持ち帰ることになった国語教材という

名の鈍器たちを押し込む俺の傍らで

灯俊は話を切り出した。

 

「アミュスフィアってあるじゃん?

あれのGGOをやろうと思うんだけど

ショウも一緒に遊ばないかなと思ってね。

もし買うならお金は足りるか?」

 

「結構貯金してたし去年のお年玉が

5000円残ってるから3万くらいはあるぞ。

それにしても珍しいな、

お前が戦争ゲームに興味持つなんて。」

 

「そんなことないけどな〜。」

 

そんなことがあったのだ。

いや、現在進行形であるのだ。

こいつが興味を持つのは某機動戦士や

名前は忘れたが戦闘機に変形する

ロボットのアニメだ。そして猫耳娘を見て

『かわいいは唯一絶対の正義だ』とかなんとか

逝ってるやゲフンゲフン…失礼、言ってるやつだ。

どうして何も企んでいないことが

あるだろうか、いやある。

 

「何か企んでるだろ?」

 

「な、ナンノコトカナー。」

 

「言わないと◯ツにガスガン突っ込んで

バンバンするぞ。」

 

周囲の女性陣からの冷たい視線は

日常茶飯事だから気にしない。

いや、もう気にならない。

 

「わぁかったわかった言うから。

…あのな、光学銃ってカッコよくね?」

 

「意見の相違だな。俺は実弾銃が好きだ。」

 

「ああ、そっちもあるぞ。」

 

実弾銃があるならば決定だ。

俺はどんな銃を使うかを妄想しつつも

返答は忘れない。

 

「よし、買おう。」

 

人生を楽しみたいなら己の欲望とロマンには

逆らうべきではない。

 

「ウチは親の了解済みだけどさ、

ショウのとこはだいじょぶなのか?」

 

「ああ、大丈夫。

俺の親父、結構新しい物好きでさ、

アミュスフィア買おうとか言ってたから。」

 

「じゃあショウ、明日…部活は?」

 

「午前中だけ。」

 

「なら13時、豊町のゲームショップに集合な。」

 

「よしわかった。じゃあまた明日。」

 

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翌日

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

週末はやる気のないキャプテンのおかげで

練習は予定の30分前に終わったため、

俺はバスの時間が近くことを理由に

武道場を飛び出し、

学校発のバスにそのまま飛び乗った。

 

学校と俺の家がある厳田町から

ゲームショップのある豊町までバスで揺られ、

バスが停車すると同時に

小遣いと長年の貯金が詰め込まれて

パンパンになった財布から取り出した小銭を

賽銭箱のような運賃箱に

ジャラジャラと滑り込ませ、バスを降りた。

 

「クッソ、ボッタクリかよ。

隣町に行くだけで

500円越えとかあんまりだろ…。」

 

誰も聞くことのない愚痴を

雪すら降らない殺風景なクリスマスイブの空に

ぼやくと、

 

「お、早かったなショウ。」

 

背後からお馴染みの声をかけられる。

 

「いつものことだよ。

キャプテンが寒いからって早めに終わった。」

 

「そか、たしかにあの武道場で素足は

耐えられないな…。とりあえず行こうぜ。」

 

俺は灯俊と合流すると、

ゲームショップの前に置かれている屋台で

サンドウィッチやらホットドッグやらで

空腹を満たし、アミュスフィアとGGOを求めて

店の中に入った。

 

入店して早々にクレーンゲームの景品や、

普通の商品として

陳列されている某機動戦士プラモに

釣られそうになる灯俊を引っ張って店員を訪ね、

ショーケースを開けてもらい、

灯俊と違ってアミュスフィアすら

持っていない俺はアミュスフィアとGGOを。

灯俊はGGOとちゃっかりプラモデルを

レジに並べて会計を済ませ、

再びバスで厳田町へ帰る。

 

「それじゃあ、1時間後。」

「ああ、1時間後に。」

 

バス停で別れた俺と灯俊は

そのままお互いの家へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1時間後

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

再びバスで500円近くボッタクられて自宅に

たどり着いた俺はアミュスフィアを取り出して

GGOを始める準備をすると、

大型ゴーグルのような近未来的ゲーム機を被り、

目を瞑った。そして俺は自分の意識を

仮想世界へ誘う魔法の言葉を恐る恐る唱えた。

 

 

「…り、リンク…スタート。」

 

 

 

 

 

 

 

目を開けるとリアルの時間は

まだ昼間だというのに

赤く染まった空が目に入った。

視線を下げるとリアルの世界で見る建物とは

違った異様なビル群が目に入る。

 

「やっと来たか。遅かったなショウ。」

 

「ん?」

 

俺は声をかけて来た人物に視線を向ける。

視線の先には女がいた。

 

「いやたぶん誰かわかってるけど

取り敢えずお前誰だよ。」

 

「誰って俺はポイズン・トードだ。」

 

ポイズン・トードと名乗った

アバターは黒目黒髪で背は

180cmもある大女…ではなく、

ハンサムな大男だった。

確か前にMMOストリームで観た

第3回BoB優勝者も

こんな雰囲気のアバターだった気がする。

 

「はいはい、

俺のキャラネームはまんまでショウだから。」

 

「そか、ならリアルでもショウでいいよな?」

 

「いいけどさ、…ぷっ…くくくっ…」

 

いつも見ている親友の口調が

背の高い美女から聞こえてくるのだ。

こっちとしてはいくら

声が高くなっているとはいえ、

そのギャップに笑ってしまいそうになる。

 

「どしたのショウ?」

 

「いや…お前自分のアバターみたか?」

 

「ああ、見たよ。結構気に入ってんだが?」

 

背中まで伸びた髪を搔き上げる仕草まで

いつのまにか身についている。

 

「ハハっ、そうかそうか、なら良いや。」

 

「おっ、そこのカップル!

ちょーっと顔見せて。」

 

「は?」「へ?」

 

俺たちが揃ってマヌケな声をあげて振り返ると、

愛想の良い笑顔を見せながら

全体的に程よく日焼けした

筋肉モリモリのマッチョの

サングラスをかけた男が近づいてきた。

さながら変ta…ゲフンゲフン、

ターミネーターのようだ。

 

「「うおっ!?」」

 

「自分、アバターの

買い取りをしているゴードンと言います。」

 

意外に中身は優しそうだ。

 

「は、はぁ…」

「そうですか…」

 

俺たちは突然のことに中途半端な返しをすると、

マッチョマンは話を続けた。

 

「もしよろしければ

そのアバターをアカウントごと

売っていただけないでしょうか?

2Kクレジットで買い取りますよ。」

 

隣の灯俊ことトードの方を見ると、

軽く肩をあげてなんのことやら的な表情だ。

そして何か閃いたかのようにニタリと

口角を上げたトードを俺は見逃さなかった。

これは間違いなく悪巧みをするときの顔だ。

 

「あぁ、別に良いけど…」

 

と、トードが言い出した直後、

きっと勘違いしているであろうゴードンさんに

こいつの正体を明かすべく俺は口を挟んだ。

 

「ちょっと待て。

ゴードンさん、こいつ男ですよ。」

 

『させるかよ』とトードを睨んだ俺に対して

トードは『引っかかったな。』とでも

言いたげに背の高さを利用して見下してきた。

一体何をどうしたらこいつの思い通りに

なっているのかわからない俺が反応に困っていると、

 

「え…えぇえぇぇぇぇぇぇっ!?

ということはM9000番系!?

は、初めて見た…なら…」

 

と、驚いた様子で何かよくわからないことを

グダグダと言い始め、

しまいには衛星電話のようなものを取り出して

誰かと喋り出す。

 

「はい、はい…!

そうですか…。わかりました…!!

本当に5メガクレジットまで良いんですね?

はい…、わっかりました師匠っ!」

 

さっきから思っていたが、

やっぱりこのゲームのアバターは

少しぐらい自分で選べるようにしないと

本人の性格とアバターの

容姿のギャップが凄すぎる。

そしてもう一つは、会話がダダ漏れだ。

 

「お待たせしました!あなたの…えっと…」

 

「トード。」

 

「すみません、トードさんのアバターは

M9000番系と言って

かなり希少価値の高いものですので

どうでしょう?

私に2メガクレジットで売るという話は?」

 

完っ全に商売人だが、

最初から手の内明かしているようだったら

ただのバカだ。

呆れた俺はメニュー画面を開いて

この近くのマップを眺め始める。

隣ではトードが

 

「おいおいおいおい!

2メガ?冗談はほどほどにしてくれよオッサン。

M9000だぜ?出現条件しってる?

あ、しってたらそんな値段出さないよねぇ。

ごめんねぇ、シロートバイヤーって

見抜いちゃってごっめーん!

素人君、値段の件だが…

8メガ…いや9メガは欲しい所だ。

ま、嫌なら勉強してきなよ、

し・ろ・う・と・く・ん。」

 

…と、まじめに2、3週間凹むレベルで

バイヤーをコケにしている。

 

「そう…ですか…ぐすん…

では…気が変わったら…、

また…話しかけてください。」

 

と言って涙目で走り去って行った。

後が怖いぞーなんて感想を抱いた俺は

可能な限りの嫌味を言った。

 

「お前って本当に女だったら

絶対SMであんなマッチョ踏んでたよな。」

 

「……………。」

 

しかしトードは俺からスッと身を引くと

わざとらしくドン引きした視線を向けてくる。

 

「…なんだよ…?

俺のアバターに何か言いたいことがあるなら

言ってみろよ。」

 

「いや、友人の趣味だったり性癖だったりに

あーだこーだ言う気はねーんだけどな、

親友の俺がこういう容姿のアバターだからって

そんな妄想に当てはめるのは良く無いぞ。」

 

「…は?」

 

「だーかーらー、

いくらお前が美女に踏まれたい趣味を

持ってるからって

こんな超☆絶☆神美人アバターの俺を

そんな風に見て欲しく無いってこと。

だいたい俺も男踏むようなことしたくねーし。」

 

つまりやつの頭の中では俺がドMということに

なっているらしい。

 

「否定しないところを見ると

お前って本当にドMだったんだな。」

 

「ちっげえよッ!勘違いすんなっ!!」




ショウ
「だから違えってッ!!」
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