ガンゲイル・オンライン 戦場に散るロマン 作:Bishop1911
「なぁショウ、
俺はこっちだと思うんだが。」
「は?こっちだろ。」
俺とトードは武器屋を目指して路地に
入ったところまでは良かったものの、
完璧に方角を見失っていた。
「どうする?誰かに聞くか、トード?」
「誰に聞く?あの人なんかどうだ?」
トードが指差した先にいたのは、
まるでクマのような男だった。
身長は軽く190cmほどで、
点を組み合わせて構成された
森林迷彩のパンツと茶色のTシャツを着ている。
他の道行く人と違って
装備は何も身につけていないが、
周囲とは違う空気を纏っている…気がする。
取り敢えず話しかけてみる。
「すみません…。」
「俺に何か用か?」
俺は頭の中で、こう…
蛇に睨まれた蛙…じゃなくて
クマに睨まれた人類という気分になっていた。
いや、蛙は隣にいるんだが
「あの、自分たち初心者で道がわかんないんです。
この武器屋までの道と
現在地を教えていただけませんか?」
あまりの巨大さに俺は逃げ腰になるが、
なんとか要件を伝えきる。
「わかった。
だが…この辺りは道が入り組んでる…。
時間が…少しあるから…俺が道案内する。」
この大男のリアルは
コミュ障か何かかななんて失礼なことを
考えてしまうが、
とりあえず迷子を卒業できたことには感謝だ。
俺とトードはクマ…ではなく、
親切な大男の後ろに無言で付いて行くと、
あまり時間はかからず武器屋には数分で到着した。
「ありがとうございました。」
「ああ…。」
たどり着いた武器屋は
まるで路地裏のカフェのような雰囲気を
醸し出していたが、
店先の看板に書かれた
『Guns & Armor』の文字が
その雰囲気を冷たい空気で
塗りたくっているようだった。
俺とトードはドアを開けて中に入ると
なぜか大男も付いてくるが、
俺とトードはなんとなく気まずいので無視し、
店内を見回した。
薄暗い部屋の壁には沢山の銃がかけられており、
まるで博物館の展示品のように
上から照明で照らされていた。
「所持金はいくらだ?」
「「うわっ!?」」
突然後ろから聞こえてきた
先ほどの大男の声に俺たちは2人揃って驚く。
「初心者…なんだろう?…俺が…見てやる。」
「ありがとうございます!
えっと、俺はショウっていいます。」
「俺はポイズン・トード。
めんどいからトードでいいですよ。」
「そうか…。俺はエムだ。
それと敬語は辞めてくれ。
ピト…いや、ゲームの中なんだ。
堅苦しいのは好きじゃない。
ところで、所持金は…いくらだ?」
「は、はぁ…。
わかり…あ、いや、わかった。」
俺たちはメニュー画面を開き、所持金の欄をみる。
「1000…クレジット…。なんか買えるのか?」
視界の隅に映る銃の値札を見て
不安になった俺はおそるおそる尋ねた。
「…難しいな。あそこのPDWタイプの光学銃と
エネルギーパックを買えばほとんど…無くなる。」
「じゃあどうすればいいんだ?何か方法は?」
光学銃のコーナーを眺めながら
ニタニタしているトードの隣で、
俺は実弾銃を手に入れる手段がないか
エムさんに聞いてみる。
「課金するか…Mobを狩って稼ぐか…。
普通のプレイヤーなら
そのどちらかしかないだろう。」
「ショウ、とりあえず光学銃を買わないと
何も始まんないんだ。とっとと買おうぜ。」
「はぁ…しょうがないか。
エムさん、取り敢えずありがとう。」
「ああ…健闘を祈る。」
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1時間後
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俺とトードは荒野の真ん中で、
Mob相手に光学銃で無双していた。
「トード、この光学銃強くねえか?」
「んなわけないじゃん。
だってここグロッケンのすぐ近くだぞ?
RPGゲームでいう始まりの町の一歩外だ。
雑魚しかいねえよ。」
「そんなもんなのかねえ。
あ、そういえばさ、
なんでこの光学銃にしたんだ?」
「ああ、コレか?
ガンダムのビームスプレーガンを
モデルにしてるからさ。
なんでも、45周年のコラボで
追加された中でも最弱らしい。」
「まあ、お前らしいっちゃらしいな。」
その後さらに数時間、
目に見える範囲のMobはほぼ倒し、
ドロップアイテムを回収すると、
俺たちはグロッケンに戻り
よくわからないドロップアイテムたちを売却した。
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2日後
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今日も同じ場所で俺とトードはMobを狩りまくり、
経験値もだいぶ貯まったので、
俺はステータスを上げることにした。
「ショウ、どんくらいの割合で割り振るんだ?」
俺はしばらく考える。
「うーん…最初だけ筋力4、敏捷性2、耐久力4で
行こうと思う。次回は器用さ6、
運4の割合にする。」
「そか。俺はALOからのコンバートだからなぁ。」
「トードはどんな割合なんだ?」
「俺はSTR(筋力)優先だな。」
「STR優先で光学銃って矛盾してるだろ。」
俺のツッコミにトードはしばらく固まり、
信じられないという視線を向けてくる。
「な、なんだよ…」
「STRが低かったら
ハイメガランチャーを持てないじゃ無いか!」
「んなもん知るか!ガンダム馬鹿!!
だいたいそれが実装されてるかすら
怪しいだろ!」
「しゃあねーだろ、
ALOじゃパワーファイターだったんだからよ!」
俺がよくわからない単語を次々と並べるトードに
言い返そうとした時だった。
俺は突然左足首にジーンと痺れるような
痛みを感じ、直後に視界がグラっと傾いて
地面に叩きつけられた。
直後に銃声が1発響き、
やっと狙撃されたことに気付く。
「トード、伏せろ!」
レーザー光線のような赤い線が
トードの体に当たるが、
トードはそれをひらりと躱して俺の隣に伏せる。
「クソッ遮蔽物が無い…。
トード、どうせゲームだ。
俺を置いt…うわっ!?」
左足首から先に赤いポリゴンが散って
歩けない俺をトードが
自分の筋力値にモノを言わせて担ぎ、
近くの岩場に向けて走り始める。
俺は相棒の肩に担がれて揺れる視界の中、
俺は2つの人影を確認したがその直後、
コンサート会場を連想させるほど大量の
バレットラインが俺たちを照らした。
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ちょっと前
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2人のアバターが狩りを楽しんでいる平野を
見下ろす岩場で、
大柄な体躯と無骨な顔のアバターが
真新しいスコープが載ったSG550の
バイポッドを立て、伏射の姿勢で
その時を待っていた。
『ダインよぉ、
なんでわざわざカップルを狙うんだよ。』
「俺たちのGGOにまで
入ってきたリア充への宣戦布告さ。
やつらにここがデートスポットじゃない事を
思い知らせてやるんだ。」
『いいじゃないですかギンロウさん。
僕もこの後忘年会だからすぐ終わる方が
良いですし、ギンロウさんだって
リア充爆発しろとか言ってたじゃないですか。
外で沢山溜まったストレスを
ここで発散しましょうよ。』
『おーい、もう終わったっぽいぞ。
ドロップアイテムの確認してる。』
スコードロンメンバーの報告通り、
不用心なことに2人は向き合って
メニューを開いたまま口論をしている。
「よし、俺が男の方を撃ったら始めろ。」
『『『『了解!』』』』
4つの返事を確認した俺は
まずスコープの中心に男を捉え、
トリガーに指をかける。
距離は100mも無い。
「こいつ(SG550)なら楽勝だ。」
バレットサークルは風の影響で
わずかに中心をズレるが、
それを修正して男の左足首を狙う。
息を止め、バレットサークルの中にターゲットの
足が収まりきった瞬間、
ダインは引き金を引ききった。
撃ち出された弾丸は
バレットサークルが示した通りに
飛んでいき、男の足首を撃ち抜く。
男の体がぐらついて左に傾き、崩れ落ちた。
呆然とするもう1人の腹に照準を合わせる。
「女を撃つのは気がひけるが…
俺に目を付けられた自分を恨め。」
緊張と興奮でバレットサークルが
若干広まったものの、
ターゲットの腹には十分収まりきった。
俺はもう一度引き金を引く。
弾丸は再びバレットサークルの示した通りに
飛んでいき、女に命中…することなく
地面に穴を開けた。
「チッ、外した。
ギンロウ、女を仕留め損ねた。」
『あいよ、任せときな。』