ガンゲイル・オンライン 戦場に散るロマン   作:Bishop1911

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とある下宿の12月29日の朝。

訳あってトードのリアル、明日葉灯俊と

幼馴染の霧島葵が住む下宿の

家主を務めるアルゴこと樫舟素子は

いつも通り早起きな灯俊と朝食を取りながら

藪から棒に話を切り出した。

 

「ところでトー坊、

GGOの方はうまくいってるのカ?」

 

箸を止めた灯俊は軽く舌打ちして

大きくため息を吐いた。

 

「なんで知ってるんだよ。」

 

「そりゃあオレっちだって

GGOに協力者は居るからナ。」

 

素子は当たり前だとでも言うような仕草で

コーヒーに口をつける。

今度はGGOで自分が逃げ惑う映像をネタに

揺すられるのだろうかと不安になる。

 

「じゃあその優秀な協力者に頼んで

俺たちを導いてくれよ。」

 

「無茶言うなヨ。

オレっちにとってはトー坊だって立派な協力者ダ。

協力者同士を合わせるわけにもいかないダロ。

…いや…待てヨ…」

 

投げやりに答えた灯俊の頼みを

素子は即却下するが、

顎に手を当てて何か考える。

 

「トー坊の新しい仲間は

オレっちとトー坊の繋がりを知ってるのカ?」

 

「言うわけねぇだろ。

何が起こるかわかったもんじゃねぇ。」

 

「にゃハハハハ、

さすが前科者は流石に理解が早いナ。」

 

灯俊は嫌なことでも思い出したのか、

具が無くなった味噌汁を一気に飲み干す。

 

「…それで?

俺の相棒はどうにかなるのか?」

 

「ああ、トー坊とまだ見ぬ初心者くんが

別行動をするなら初心者くんのサポートに

協力者を当てておくゾ。」

 

灯俊は本当にその協力者は頼りになるのかと

疑いの視線を素子に向けるが、

あのSAOからありとあらゆる仮想世界を

情報屋として渡り歩いた女だ。

『信用』という単語においては

何の問題点も無いだろうという結論に至り、

首を縦に振った。

ALOでは相談役として名の通るトードの

思わぬ苦戦をおかしそうに笑う素子に灯俊は

真剣な眼差しで別の話を繋いだ。

 

「あぁ、あと葵をコンバートさせるから頼んだ。」

 

「装備が必要なんダロ?」

 

「ああ…、まぁ…」

 

「にゃハハ、

オネーサンはなんでもお見通しだゾ。」

 

「なら聞くな。コイツを頼む。」

 

灯俊はスマホからGGOの攻略サイトを呼び出すと、

何枚かの写真を見せた。

 

「ああ、難しいがやってみるヨ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。

 

壱津島高校からほど近い場所にある

カフェのカウンターで、

このカフェの店長を務める菅原さくらは

SAAのモデルガンを手入れしながら、

古い物が好きな割に珍しくタブレット端末で

通話している。

 

「それで?

そのショウとかいう名前のプレイヤーに

接触すれば良いのかい?」

 

『まぁ、そういうことダナ。

それと、今してる調査に関係あるから

あまり口外しないでくれヨナ?』

 

「わかってるさ。」

 

人の気配を感じたさくらは一方的に通話を中断し、

端末を伏せるとバーカウンターで

いつものすまし顔に切り替える。

 

「ヘイ、リーダー!遊びに来たよ!」

 

陽気な挨拶とともに入店したのは

客ではなくこの店の従業員である

杉下りんだった。

 

「遊びじゃなくて仕事じゃないのかい?

ちなみに5分の遅刻さ。」

 

幼馴染特有のテンポで

早速ツッコミをかましたさくらは

SAAを手入れする手を止めて腰に手を当てる。

 

「まぁまぁまぁ、それは置いといて…

今日は何すれば良い?」

 

まったく店長と従業員という立場を

わきまえていないやつだが、

今のところ唯一の従業員であるためそう簡単に

解雇するわけにもいかず、

こんなやりとりが数年続いている。

 

「そうさね…、今日は店先の掃除でも

してくれないかい?」

 

「おし、了解!」

 

りんが外へ出たのを見送ったさくらは

スリープモードに入った端末を再び呼び出すと、

端末を操作してファイルを選択しながら

話題を切り替える。

 

「それと、報告をいいかい?」

 

『何か動きがあったノカ?』

 

「ああ。ファイルは見たかい?」

 

『これは何なんダ?』

 

さくらは送信したファイルを開いて

タイトルも何も無いグラフを選択した。

 

「壱津島に密輸された銃火器の数さ。

ここんとこ多くてね。

ヤツら何か企んでるんじゃないのかい?」

 

『確かに多いナ…。

オレっちの方で調べとくヨ。」

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