if~刹那君は操縦者~   作:猫舌

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第16話

刹那サイド

 

 

夏休み初日。フランス行きのシャロと別れて、IS学園からモノレールで移動した僕達は降りた駅の前に立っていた。そんな僕達を周りの人達はジロジロと見て来る。理由は簡単だ。僕の両脇に居る少女達である。

控えめに言って美少女なラウラと簪が私服を着ているその姿は可愛いの一言に尽きる。それを男女関係無く視線が襲うのだ。僕はまあ、何故こんな冴えない奴がなんて考えだろう。多分。さっきからあの女子三人とか聞こえるのは幻聴なんだきっと。そう思っていると、僕達の前に一台のリムジンが止まった。それを見た瞬間、僕は思わず溜息を吐いた。

ドアが開いて女性が姿を現す。

 

 

「刹那坊ちゃま、ラウラ様、更識様。イリアステル本社より迎えに参りました《クラリッサ》です。さあ、此方に」

 

 

そう言って女性は後部座席のドアを開いて僕達を招いた。僕達は強くなった視線から逃れる様に車に乗り込む。すぐにドアは閉まり、クラリッサさんの運転で発進した。

僕はジト目になるのを自覚しながら運転席を見る。

 

 

「・・・もうちょっとなんとかならなかったんですか?」

 

「安全性を考えると此方が一番最適であると判断しました」

 

「防弾仕様の普通車ってありませんでしたっけ?ブルーノさんが作った」

 

「それでしたら数日前に実験に使用されて大破・・・いえ、消滅しました」

 

「何やったんですか!?」

 

 

呆れた僕は備え付けの冷蔵庫を開けて中に入っていた水をラウラと簪に渡す。真夏だから水分補給は欠かさずに。程良く効いた空調の中で冷えた水を飲む。

織斑は水分は常温の方が体に良いと言っていたが僕はこれの方が良い。飲み終えるとラウラが話し掛けて来た。

 

 

「刹那はクラリッサを知っていたのか?私の元部下とは今日が初対面だろう?」

 

「前々から新入社員の資料は貰っていたからね。人員の把握とスパイの侵入を防ぐ為だよ。これでも国内の電子機器使用率40%は伊達じゃないんだから」

 

「やっぱりイリアステルって凄い・・・」

 

「尚、織斑はイリアステルの事を知らない」

 

「・・・やっぱり馬鹿」

 

 

アイツの使ってる携帯電話とかもイリアステルの商品なんだけどな・・・。簪の冷たい声音に苦笑しながら僕達は雑談を続けた。やがて車はとある場所に着く。車から降りるとそこには少し大きめの家が建っていた。まぎれもない我が家である。

 

 

「お荷物をお持ちします」

 

「あ、どうも」

 

 

僕達はクラリッサさんに荷物を預けて家のドアを開ける。GW以来の我が家に思わずテンションが上がってしまう。ふと足元を見るとそこには見慣れない靴があった。

母さんの物ではない女の子物の靴だった。お客さんかな?

そんな事を考えながら僕は家に上がる。ラウラ達にスリッパを渡して全員でリビングへと向かった。

 

 

「ただいま、母さん」

 

「お帰り刹那。今ちょっと手が離せなくてごめんなさい。あとちょっとでご飯出来るから皆を部屋に案内して来てちょうだい」

 

「分かった。二人共、こっち」

 

 

僕はラウラ達を連れてリビングを離れる。そして二階の空き部屋に二人を案内した。

 

 

「部屋の位置は二人で好きに決めて良いから。荷物置いたら手洗いうがいをしてからリビングね」

 

「分かった。簪はどの部屋が良い?私はどちらでも構わん」

 

「それじゃあ、此処かな」

 

「了解した。クラリッサ、荷物を」

 

「はっ!」

 

「もう此処は軍ではない。そこまで畏まるな」

 

「ですが隊長・・・」

 

「もう私は隊長ではない」

 

 

なんかこの二人の会話何処かで見たなぁ。

取り敢えず荷物を置いて洗面所へ向かって手洗いとうがいをする。それからリビングへ向かうとテーブルには素麺と薬味が5人分並べられていた。クラリッサさんの分かと思ったが彼女はあの後帰ってしまった。家の中は束が魔改造を施した結果、不審者なんて誰一人入れないレベルの警護システムになった。最終的には戦艦に変形して空を飛べるらしい。

そんな事を思い出しながら母さんに聞く。

 

 

「母さん、これは誰の分?父さんは仕事でしょ?」

 

「ええ、これh「バイクの整備が終わりました、"お義母様"」あら、ありがとう《クロエ》ちゃん」

 

「「「・・・は?」」」

 

 

突如聞こえた声の正体は銀髪の少女だった。ラウラに少し似た顔つきの少女は両目を閉じた状態で部屋に入って来た。見覚えの無い人物に対して母さんは普通に接している。

と言うか・・・、

 

 

「今、お義母様って・・・」

 

「あら、聞いてなかったの?彼女は《クロエ・クロニクル》ちゃん。貴方の"許嫁"よ」

 

「・・・ファッ!?」

 

「ど、どどどどう言う事だ刹那!?私と言う者がありながら許嫁などと!?」

 

「僕だって知らないよ!?て言うか彼女何者!?」

 

 

・・・まさか前に束が言ってた会わせたい子って。

 

 

「あーちゃん!せっちゃんの写真現像出来たから持って・・・き、た・・・」

 

 

突如クロニクルさんの後ろから元凶である束が突貫して来た。そしてラウラと簪を見て固まる。あれは完全に今日此処に来るのを忘れてた顔だ。

こうして僕達の昼食は気まずいムードへと変わって行った。

 

 

「さて、話してもらおうか」

 

 

束を椅子に座らせて尋問を始める。僕の雰囲気を見て察したのかスーツ姿でビクビクと怯える束はさながら面接時の就活生の様だった。まずはさっきから僕にピタリとくっついては顔を紅くしているクロニクルさんについて説明してもらわねばならない。

 

 

「彼女は何者?何処かの企業の娘さんとか?」

 

「ううん。私が違法実験施設を潰した時に保護した子なの」

 

「待って。既に爆弾が投下されたんだけど」

 

「まあ、そこは置いておいて。でないと話が続かないし」

 

「・・・取り敢えず全部聞くよ」

 

「それでね。その子身寄りが無いしどうしようかなって思ってたらゆー君達が家に来いって言ってくれてね。それから《くーちゃん》は此処で暮らし始めたって訳」

 

「それが何故許嫁に?」

 

「くーちゃんがせっちゃんの映像を見たりゆー君から話を聞いて、惚れちゃったみたいで、あーちゃん達も気に言ったからせっちゃんのお嫁さんにしようってなったの!あ、私は愛人枠ね」

 

「・・・!」

 

 

僕は思わず両手で顔を覆いながら俯いた。帰って来たらいきなり許嫁が居たとか何それ笑えない。それにさっきからセシア達が頭の中で[見せられないよ!]な事を叫びまくってて可笑しくなりそうだ。

そう思っていると、クロニクルさんが僕を見ながら言った。

 

 

「刹那様・・・ご迷惑、でしたか?」

 

「迷惑って言うか、突然の状況に理解が追い付かないんだ。だから急に許嫁とか言われても反応出来ない。ごめんね」

 

「いえ。此方も連絡の一つも無しに唐突にすみませんでした」

 

「君は悪くないさ。どうせそこの天才様が情報を操作してたんでしょ」

 

「ぎくっ!?・・・さ、サプライズがあった方が良いかなって」

 

「よし、後で父さんに頼んで減給してもらおう」

 

「それだけはご勘弁を!そんな事したら来月のコミケの軍資金が!?この前やっと原稿が終わって計画立ててたのに!」

 

「逃げ回ってる癖に何やってんの!?」

 

「束様は数年前からサークル活動なさっているそうです。こちらが同人誌のデータです」

 

「どれどれ・・・《世界最強が堕ちる時》、《男性操縦者、秘密の放課後》」

 

 

僕は画面に映された表示を見て震える。その内容は織斑先生と僕、織斑のがそれぞれモデルにされた18禁の同人誌だった。思わず僕は端末を気絶した束に投げつけた。

 

 

「身内を題材に何書いとんじゃコラぁ!」

 

「いたっ!?」

 

 

端末が額に超エキサイティンッ!した束は涙目になりながら意識を復活させた。

 

 

「一応聞いておくけど今年出す内容は?」

 

「・・・小学生のせっちゃんとちーちゃんのおねショタ物です」

 

「ちょっと会場にミサイルぶち込んで来る。あそこ壊せばイベント中止だよね」

 

「とら○あなに委託するからどのみち発売されるよ?」

 

「ジーザス」

 

 

少年、これが絶望だ(白目)

どうして夏休み早々自分がネタにされた事実を知らなくてはいけないのだろうか。正直、死にたくなって来た。

と言うか何故母さんは止めないのだろうか?そう思いながら視線を向けると母さんは目を逸らして吹きなれて無い口笛で誤魔化し始めた。

 

 

「ふっふっふ・・・既にあーちゃんにはゆー君とのラブラブ同人誌を渡してあるから無駄だよ!」

 

「オンドゥルルラギッタンディスカッ!?」

 

「だって遊星があんな・・・病院でなんて・・・!」

 

「分かったから内容語らないで。両親の同人誌とか複雑な気持ちでいっぱいだから」

 

 

さっきから頭の中で[IS×刹那、はよ]とか[刹那は総受け]とか聞きたくない言葉が響いてるから止めて。ティアーズさん達に拡散すんな!?

oh・・・もう聞きつけちゃったよ。はいそこの白式。[織斑から略奪される同人誌]とかニッチすぎるわ。

そもそも僕を題材にした所で需要は無いだろうに。

 

 

----私達の業界ではご褒美です!

 

----薄い本を厚くしてくれ!

 

----えと・・・おねがいします。

 

----三人共暫くメンテ無し。

 

 

僕の言葉に三人は急に無言になった。ISのメンテは一種のマッサージの様な物らしい。セシア達のパーツに触るのは人間が体を触られるのとなんら変わらないそうだ。

だからってメンテの度に艶やかな声を出すのはどうか止めていただけないだろうか。

 

 

「まあそれはおいおい考えるとして。クロニクルさん」

 

「クロエ、とお呼びください」

 

「じゃあクロエs「さんもいりません」・・・クロエ」

 

「はい♡」

 

「・・・あの、さ。僕は正直な話、君と結婚したいかと言われればNOとしか答えられない」

 

「そう、ですか」

 

「ごめん。言い方が悪かったのは謝るから泣かないで。心が痛い」

 

 

泣きそうになるクロエの涙をハンカチで拭いて咳払いをしてから話を続ける。

 

 

「僕と君はそもそも今日会ったばかりだ。それなのにいきなり許嫁とか言われても納得は出来ない。知らない相手と結婚するのには抵抗があるんだ。だから、まずは互いを知る事から始めよう」

 

「互いを知る・・・ですか?」

 

「うん。何でも良いんだ。好きな食べ物、趣味、得意な事、苦手な事。兎に角話をしようよ。そうすれば僕に対する評価も変わると思うし」

 

「刹那様への思いが変わる事などありえません」

 

「ありえない可能性ではないと思うけど。まあ、何事もまずは知って理解する事が大事だよ。人は分かり合う事で未来を築くんだから」

 

「分かり合う事・・・」

 

「まあ、先延ばしにしか聞こえないとか言われたらそれまでだけど。ごめんね、面倒臭い性格で」

 

「いえ、確かに一方的な愛は何も実らせません。では早速お話しましょう」

 

「はいストップ。その前に・・・」

 

 

クロエを止めて僕は視線を移す。そこにはさっきからポカンとして話に着いて行けていないラウラと簪が虚空の彼方を見つめていた。

なんとか二人の意識を戻して食事を始めた・・・。

 

 

「あの、束さんの分は?」

 

「・・・僕のを分けてあげる」

 

「せっちゃん大好きっ♪」

 

「はいはい」

 

「羨ましいです束様」

 

 

 

 

 

~昼食後~

 

 

昼食を終えた僕とクロエはリビングで話していた。ラウラと簪は脳が耐えきれなくなったのかソファで寝てしまった。母さんはそんな二人にタオルケットを掛けている。

僕達は向き合って自己紹介を始めた。束?庭で草むしりさせてますが何か?

 

 

「では私から。クロエ・クロニクルです。年齢は16で今年で17になります。好きな食べ物は牛丼。趣味はお裁縫で、得意な事はISの操縦、苦手な事は料理です」

 

「結構家庭的なんだね」

 

「妻になる為に必死に学びましたから。次は刹那様の事をお聞かせください」

 

「なんか少し恥ずかしいな。えっと、不動刹那です。年齢は15で、今年で16になります。好きな食べ物はエビフライ。趣味は機械弄りで、得意な事は・・・」

 

「刹那様?」

 

「僕って何が得意なんだろう」

 

「えぇ・・・」

 

「いや、よくよく考えたら何か突出している事がないんだよ」

 

「それはまた・・・」

 

「う~ん・・・あ!さくらんぼのヘタを口の中で結べるよ!」

 

「(上手いんですね・・・)」

 

「えっと、顔紅いけど大丈夫?」

 

「だ、大丈夫です。きっと蕩ける様な心地なのだろうと」

 

「蕩ける?」

 

 

クロエの言葉に首を傾げる。

その後も話を続けた。そしてクロエは一つの映像を取り出した。IS学園の入学試験の映像だ。そこには打鉄を展開して嫌悪感に染まった顔をした試験管と、白い装甲に巨大なレンチメイスを担いだ僕が向き合っていた。

 

 

『チッ・・・それじゃあ何処からでも掛かって来なさい』

 

『良いんですか?』

 

『五月蠅いわねぇ。アンタみたいな下等生物相手に真面目にやる訳無いでしょ?千冬様はもう一人の方を見に行っちゃったし・・・ホントに最悪』

 

『・・・じゃあ、行きます』

 

『だから勝手にすれbゲブッ!?』

 

 

試験官がそう言った瞬間、その腹部にレンチメイスの先が叩きつけられてそのまま持ち上げられる。そして一気に地面へと振り下ろした。試験官はそのまま気絶し、僕の勝ちに終わった・・・。

そして映像が終了し、クロエは僕をキラキラした目で見つめて来た。

 

 

「これが私が最初に目にした刹那様の映像です。完全に惚れました」

 

「お、おう・・・」

 

 

ジリジリと近づいて来るクロエから目を逸らす。クロエも美少女の類に入る。そんな子に急接近されたら誰だってそうなる。え、セシリア達?可愛いとは思うけど、最初の頃があんなだった所為か、あまり意識しなくなっている気がする。不意にドキッとする事はまああるが。

その後、簪達が目を覚まして何故かクロエと無表情で睨み合う。

 

 

「・・・渡さない」

 

「・・・刹那は私の婿だ」

 

「・・・上等です」

 

 

小声で話している為、何を言っているのかは分からない。まあ、暫く放っておこう。そうすればこの険悪ムードも消えるだろう。

 

 

~数時間後~

 

 

「ラウラ、罠張って」

 

「了解した」

 

「次、黒炎王の8やりたいんだけど良い?」

 

「私は構いません。丁度素材が欲しい所でしたから」

 

 

仲良くゲームをするまでになりました。

最近出たゲームを協力プレイで進める。夏休みの課題?ああ、僕は貰ったその日に終わらせる派だから。後は自由研究に費やすね。

そこから暫くゲームを進めて、僕達は一旦休憩する事にした。クロエが出してくれた麦茶を飲んで、喉の渇きを潤す。

 

 

「ああ、染みる・・・」

 

「刹那、おじさん臭いよ?」

 

 

簪の言葉に思わず苦笑してしまう。前世での年齢合わせれば僕の精神年齢30越えのおっさんなんだよね。セシア曰く、肉体に精神が引っ張られるらしいけど。

休憩してると、母さんがリビングに入って来た。

 

 

「さあ、今日は腕によりを掛けるわよ」

 

「手伝うよ母さん」

 

「良いから座ってなさい。貴方達の為の御馳走なんだから」

 

「では、私が」

 

「クロエちゃんも偶にはゆっくりしてて」

 

 

そう言って母さんは一人で料理を始めてしまった。僕達はお言葉に甘えてゆっくりしていると、リビングの窓が開く。

 

 

「草むしり終わったぁ!手でやれとかせっちゃん鬼畜すぎィ!」

 

「はいお疲れ。取り敢えずシャワー浴びて来な」

 

「うん!それじゃあ、ベッドで待ってるね」

 

「母さん、今日別の部屋使っても良い?」

 

「じ、冗談っすよ、旦那」

 

 

そう言って束はシャワーを浴びに行った。その光景にラウラと簪は頬を引き攣らせる。

 

 

「なんていうか・・・」

 

「やはり刹那は大物だな」

 

「なんで?」

 

「あの篠ノ之博士に草むしりさせるとか、普通ありえないよ?」

 

「それに臨海学校の時と言い、私の知っている篠ノ之博士とは性格が何もかも違いすぎる。その、もっとこう・・・」

 

「冷たい、かな?」

 

 

僕の言葉にラウラ達は躊躇う様に頷いた。僕と事情を知っているのかクロエは思わず笑ってしまう。まあ、世間一般じゃそうだよね。

 

 

「まあ、なんだかんだ言ってもね。束もちょっと頭が良いだけの普通の人なんだよ。だから彼女の心の奥底にだって、もっと誰かに優しくしたいとされたいとかそう言った感情もあるのさ。最近になってそれが表に出て来たってだけ」

 

「今となっては只のオタクと化してますが。マイブームは変装して秋葉原のメイド喫茶に行く事だそうです」

 

「そこは執事じゃないの?」

 

「それは刹那様にしてもらうから良いと」

 

「絶対やだ」

 

 

ぷいっと顔を背ける。ISの知識を直接教えてもらう代わりに散々コスプレをさせられたんだ。もうこれ以上着せ替え人形にされてたまるか。

 

 

----でも、なんだかんだで協力しちゃうんですよね?

 

----主殿にとって、尊敬する人間だからな。

 

----マスターはツンデレさんだね。

 

----止めてくれ、死にたくなる。

 

 

脳内で自分の本音がモロバレした事で羞恥心がヤバい。バッチリ聞こえていたらしいラウラから同情的な視線を向けられる。止めて、そんな目で僕を見ないで。

そんな時、救いの手が差し伸べられた。

 

 

「あら、お味噌が切れちゃった」

 

「あ、僕買って来るよ!」

 

「そう?ならお願いしようかしら。でも護衛の方は・・・」

 

「僕にはこの子がいるから」

 

 

そう言って僕は母さんにだけ首元のセシアを見せる。そこらの護衛よりも断然強い。それに僕は出掛ける時、何時も不可視のフィールドを張って銃弾の類が当たらない様にしてるから問題ない。接近戦で来ようものなら、全身の骨を砕いてくれる。

 

 

----ナチュラルに出来そうだから怖いです。

 

----と言うか主殿は前に素手でISを壊した事あるだろう。

 

----えっと、ドンマイ?

 

----あーあー、聞こえなーい。

 

 

僕は脳内の会話を切って、財布を持って外へ出る。結局ラウラ達も着いて来てしまった。エスケープ失敗に涙しか出ない。

近所のスーパーで目的の物を買い、スーパーを出る。するとラウラ達が思い出した様に声を上げる。

 

 

「しまった。歯ブラシを忘れていた」

 

「あ、私も」

 

「じゃあ戻ろうか」

 

「それなら私が先に荷物を持って戻ります」

 

「いや、それは悪いよ」

 

「大丈夫です。すぐに戻りますから」

 

「えっクロエ!?」

 

 

クロエは荷物を持って行ってしまった。仕方なく僕達も急いで買い物を済ませる。財布を持ってるの僕だけだし。

スーパーを出て歩いていると、クロエの姿を見つけた。だが、彼女は誰かに話し掛けられている様で迷惑そうにしていた。僕達は走ってクロエの元へと向かう。そしてその会話が聞こえて来た。

 

 

「ほら、家まで持つって」

 

「だからいらないと言っているじゃないですか」

 

「でも女の子にそんな重いの持たせられねえよ」

 

「初対面の人間に何言ってるんですか貴方は?」

 

「いや、でm「てめえ何やってんだ!?」べぼっ!?」

 

 

クロエの持つ袋に手を伸ばした馬鹿こと織斑一夏を殴り飛ばす。世間体?んなもん知った事か。

 

 

「いってえ・・・何すんだよ!って刹那?」

 

「お前、何やってるの?」

 

「何って、この子が重そうに荷物持ってたから持ってあげようと」

 

「余計な御世話だ。それにクロエはさっきから軽々と持ってるじゃないか」

 

「へえ、君クロエって言うんだ。俺は織斑一夏。よろしくな」

 

「死んでください」

 

「ひ、酷いな。クロエは女の子なんだからもっと言葉遣いには気を付けないと」

 

「その原因が目の前にいるのですが」

 

 

クロエのあんな冷たい目初めて見た。それとさっきから隣のお二人さんもめっちゃ殺気立っているのですが・・・?

どうしてこの空気に気が付かないかなアイツは。そんな事を考えているとクロエは僕の後ろに隠れた。一緒にラウラ達も後ろに逃げる。

 

 

「・・・もう帰るし、荷物も僕が持って行くから君も文句は無いでしょ?」

 

「お、おう・・・。あれ?なんでラウラと、どなたさん?」

 

「貴様に名前で呼ばれる筋合いは無い」

 

「私も名乗る気は無い」

 

「てか君補習は?」

 

「担当の先生にお願いしたら一日で終わらせてくれたんだ。いやあ、一時期はどうなるかと思ったぜ」

 

「よっし。明日、君の姉に直訴してやる。てかマジで勉強しなよ」

 

「いつも一位取る刹那には分からないだろ。俺の苦労が」

 

「人の所為にするな。勉強なんて誰だって出来るんだよ。君が勉学もISも真面目にやらないから今の状況になる」

 

「でもあんな一日じゃそんな暇ないって」

 

「僕はそんな時間無い中、やっていますが?寧ろ君は時間が有り余ってるだろうに」

 

 

そんな事をほざく織斑に僕達は溜息しか出ない。時間が無いのは誰だって一緒なのにコイツは何時まで中学生気分なんだ?

僕達はこれ以上時間を無駄にしない為に織斑の横を通って歩き出す。すると織斑も早足で僕の隣に来た。

 

 

「なあ。俺今日は千冬姉が居ないから一人なんだ。良かったら一緒に晩飯でも喰わないか?」

 

「喰わない。僕達は家で母さんが料理作ってるんだ。君に付き合ってる暇は無い。それに一緒に食事なんてしたら不愉快過ぎて味も分からない」

 

「そ、そうか・・・母親、か」

 

 

そう言って織斑は悲しそうな顔をする。そう言えば両親に捨てられたって言ってたな。まあ、愛してくれる姉が残ってるだけマシでしょ。僕も前世じゃ親に捨てられた上に保護された孤児院で虐待されて片目潰されたけどね。

 

 

「・・・一応聞くけど、護衛は?」

 

「護衛?そんなの頼んでないぞ?だってずっと見られてるって嫌じゃないか」

 

「もう良い。君は何も学んで無いんだな」

 

「何の事だよ」

 

「はあ・・・ラウラの気持ちが分かった気がする。これは怒るわ」

 

「いや、私も此処までとは思って無かった」

 

「だから何のって何処行くんだよ!?」

 

「家だよ。君と話してると時間の無駄だ」

 

 

優しい優しい主人公なら此処で声を掛けるんだろうけど、残念ながら僕はそこまで聖人君子ではない。さっさとその場を離れ、家へと戻る。

母さんに頼まれた物を渡して僕達はソファでぐでっとなる。すると短パンにTシャツとラフな服装の束に抱きしめられた。

 

 

「どうしたの皆~?グロッキーだけど」

 

「織斑、弟、発言。分かった?」

 

「あっ(察し」

 

「どうしてアレがモテるのか理解不能です」

 

「外見ではないか?ルックスは良いからな。それでちょっと格好付ければ馬鹿は寄るのだろう」

 

「ラウラ、それは鈴に失礼だよ?」

 

「・・・篠ノ之さんは?」

 

「悪いけど僕はあの子嫌いだから。よって将来駄目男に引っ掛かって後悔しても知らない。と言うかあんな子と付き合いたいなんて言う奴は頭イカレてると思う」

 

「それ、束さんの前で言っちゃう?」

 

「じゃあ束はどう思ってるの?」

 

「アレはどのみちあの性格になってたんだろうなって、思いました」

 

「「「「デスヨネー」」」」

 

 

僕達は思わずハモる。そして脳内では・・・。

 

 

----本当に一夏がすみません!

 

----分かりましたからその小刀を仕舞ってください!?

 

----白装束なぞ着るな!そして斬るな!?

 

----お、落ち着いてよぉ~!

 

 

頭の中が今日もドッタンバッタン大騒ぎですよ。

夏休み初日からこんなんで大丈夫だろうか?そんな中、父さんが帰宅する。その後ろにはブルーノさんとクロウ兄が居た。僕は束の腕から離れて駆け寄る。

 

 

「お帰り、父さん。二人もいらっしゃい」

 

「ああ。ただいま」

 

「いやあ、なんかお誘い貰っちゃって。それにアキの料理は絶品だから即答だったよ」

 

「俺も久しぶりにまともなもんが食えるぜ」

 

「クロウ兄警察官だよね?結構貰えてると思うんだけど・・・」

 

「クロウはシェリーによくプレゼントを贈ってるからな。彼女が日本に居た頃、欲しがってた物を送っているらしい」

 

「遊星!言うんじゃねえよ!?」

 

「クロウも可愛い所あるじゃない。さ、料理が出来たわよ!」

 

 

母さんの作った料理をテーブルへと配膳する。そして席に座った僕達に父さんが言った。

 

 

「夏休みの間はこの家を好きに使ってくれて構わない。二人共、不動家へようこそ!」

 

 

そして僕達は乾杯をしてから食事を楽しんだ。その後は皆でゲームの続きをしてから、就寝となった。僕は部屋で久しぶりに友達とチャットアプリで会話する。

 

 

せっちゃん:家に帰ったら許嫁が出来ていた件。

 

かっとビング先生:へえ。許嫁って?

 

せっちゃん:ああ!

 

シャーくん:おい馬鹿止めろ。妹の機嫌がまた悪くなる。

 

ハルトオォォ!:そんな事より弟の話を聞いてくれ。

 

せっちゃん:いや、真面目な話なんだって。

 

かっとビング先生:でも刹那の家ならありえそうだな。

 

せっちゃん:正直困るんだけど。初対面だよ?

 

シャーくん:性格とかはどうなんだ?

 

せっちゃん:品行方正って感じだね。しかも美少女。

 

ハルトオォォ!:お前の周り、美少女多くないか?

 

せっちゃん:君達に言われたくないんだけど。

 

トマト:皆さんこんばんわ!刹那先輩もお久しぶりです!

 

せっちゃん:やっほ。久しぶり。

 

トマト:えっ、婚約者ってマジですか?

 

せっちゃん:うん、マージマジマジーロ!

 

トマト:なんですかその呪文?

 

せっちゃん:なんとなく。

 

かっとビング先生:じゃあ、今度刹那ん家に確かめに行こうぜ!

 

せっちゃん:良いよ、おいで。

 

シャーくん:ならその時にこの前聞きたがってたCD貸してやるよ。

 

せっちゃん:ありがとう。

 

ハルトオォォ!:弟も連れて行っても良いか?

 

せっちゃん:良いよ。それじゃあおやすみ~。

 

かっとビング:おう!

 

シャーくん:ああ。

 

ハルトオォォ!:おやすみ。

 

トマト:おやすみなさい!

 

 

アプリを終了させて眠りに付く。明日からはイリアステルで簪の機体を作る。少なくとも織斑達になんて負けない機体に仕上げてやるさ。

 

 

刹那サイド終了




~おまけ[フランスにて]~


シャロ「し・・・死ぬ・・・」

シェリー「さあ、立ちなさい!」

シャロ「あのシェリーさんに鍛えて貰えるのは嬉しいけど、スパルタ過ぎだよぉ」

シェリー「あの子の隣に立ちたいのなら、死に物狂いで強くなりなさい!」

シャロ「ひいいいいいっ!」


~別室~


大統領「スwパwルwタw」

秘書「仕事してください」
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