リリカルなのは×BLAZBLUE 無印編 作:シャケ@シャム猫亭
世界虚空情報統制機構カグツチ支部。
暗黒大戦以降、世界に二十三だけ残された都市の一つ。
その最下層では、今まさに精錬が終わった「窯」の前で切り結ぶ二人がいた。
「あは、アハハハハハハ!! 楽しいね、ラグナ!」
「んなわけあるか、この馬鹿が!」
赤いジャケットを翻しながら大剣を振り回して戦う、白髪に赤と碧のオッドアイの男。
青いダイバースーツのようなものを着て自身の周囲に浮いた八つの剣を駆使して戦う、銀髪隻眼の少女。
男は少女を殺すために。
少女は男と一つになるために。
「スパイクチェイサー!」
少女の術式によって、地を走るかのように刃が次々と男の方へと向かって生み出される。
「デッドスパイク!」
それを男は、大剣を薙ぎ払うことで、怪物の口のような形の魔素の波動を生み出し弾き飛ばす。
「もっと、モット遊ぼう、ラグナ!」
「黙れ!! その顔で、その声で、俺に話しかけるな!」
少女は心底楽しそうに笑う。
男は酷く辛そうに叫ぶ。
実力は拮抗し、決定打のないまま何合も何合も切り結ぶ。
永遠に続くかと思われたその戦い。
しかし、それは男に疲労の色が見え始めたことで、ゆっくりと天秤は少女へと傾く。
そしてついに男は膝を付いた。
「くそっ! ………なぜだ、テメェ!!」
「無理だよ、無理なんだ。誰にも変えられないんだよ。これは予定調和、ラグナとニューが一つになるための通過儀式。誰にも変えられない物語の終焉」
「何ほざいてやがる。先のことをテメェに決められる筋合いなんざねぇんだよ!」
男は再び気合で立ち上がり、少女との距離を詰めようとした。
だがそれは、少女によって飛ばされた刃によって阻まれる。
一本、二本までは大剣を振るうことで防げた。
しかし、続く六本の刃を避けることは能わず、四肢と胴に深々と突き刺さった。
「ぐはっ!」
倒れることだけは男の意地で堪えた。
だが、限界まで酷使していた体は、もう一歩も先へと進んではくれなかった。
「そう、ここはラグナとニューが溶け合う場所………」
少女はゆっくりと男へ歩み寄る。
「ああ、すごく気持ちいいよ」
少女の声は歓喜に震えていた。
男の背後、大きく空いた穴の底で煌々と燃える「窯」の光が、少女の自身と男の血で濡れた顔を照らし出す。
「ふざけるな、このカスが………!」
憎しみを込めた目で男は少女を睨む。
だが、それすらも愛おしいと感じる少女は止まらない。
ついには男のもとまでやってきた少女は、
背後に生み出した大剣で、自身の身体もろとも男を突き刺した。
「グハァッ!」
「ラグナとニューの命は一つなんだよ…」
ふわりと浮いた少女は、男を突き刺したままゆっくりと「窯」に近づいていく。
「ニューが死ななければラグナは絶対に死なないの。そしてそれはニューも同じ………」
穴の淵、「窯」の側まで来た二人は、
「熱いうねりに身をゆだねて、一つになる。ずっとずっと、一緒だよ………」
「やめ、ろ………俺は………」
煌々と輝く「窯」へと落ちていった。
……………………
…………
…
……冷てえ。
……なんだ、雨か。
いや、そうか、走馬灯ってやつか。
カグツチの最下層に居たのに雨が振るなんてありえねえしな。
俺は死んだのか……?
…………クソッ、目が開かねえ。
指一本動かねえし……。
…ああ……ダメだ。
意識が……………。
「こっちよ、変な音がしたのは」
「ま、待ってよアリサちゃん」
「あれ? 人が倒れて………何よ、これ!?」
「ひ、ひどい怪我! 意識もない! アリサちゃん救急車!!」
「わかってるわよ!!」