リリカルなのは×BLAZBLUE 無印編   作:シャケ@シャム猫亭

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ラグナって交渉とかできるの? というご指摘を受けました。
私もそう思います。が、書いちゃったので、一先ずこのまま進みます。


もしかして、ヒモ?

「…………も、もう一回言ってもらえるかしら?」

 

 

 

 忍はあまりに予想外の答えに耳を疑い、ラグナに聞き返した。

 

 

 

「だーから、未来から来たって言ってんだよ」

「………とても信じられないわね。まさか、机の引き出しから出てきたとでも言うの?」

「んだよ、そりゃ?」

「有名な漫画の話よ」

「知らねえな。大体、大戦以前の文化は、ほとんど残っちゃいねよ」

「………証拠を見せなさい。未来から来たということを信じるにたる証拠を」

 

 

 

 その言葉に、ラグナは少し考え込む。

 証拠として見せるのは、この時代に無いものが良い。

 そうなると、一番手っ取り早いのは、術式を見せることだ。

 あれは、黒き獣が現れた暗黒大戦時代に確立した技術なので、この時代には確実に存在しない。

 だが、術式を使うには魔素が必要で、今この場、というかこの時代には全く魔素が無いため術式を見せることは出来ない。

 

 

 

「あー、取り敢えず、これか?」

 

 

 

 ラグナはポケットから取り出した数枚のコインをテーブルの上に置く。

 

 

 

「こいつは、俺のいた時代で使われている硬貨だ」

 

 

 

 忍はそれを手に取ってしげしげと見つめた。

 材質はおそらく銅とニッケルの合金、つまり百円玉と同じだ。

 だが、そこに描かれている紋様は見たことがないし、発行元の「統制機構造幣局」など、聞いたことがない。

 そして何よりも、

 

 

 

「発行年が2189年、2195年、2198年………ね」

 

 

 

 そう、硬貨に描かれていた発行年数が200年近く未来のものなのだ。

 

 

 

「ノエル。貴女から見て、この硬貨どう思う?」

「現在、このような紋様が入った硬貨を使用している国はありません。それよりも驚くべきことは、その技術力の高さです」

「どういうこと? 私には普通の硬貨に見えるけど?」

「おそらく、普通の人では顕微鏡を使わなければ分からないでしょう。この硬貨は十数枚の積層構造になっていて、一層毎に何かしらの細工がなされております。それに、紋様も回路の様な複雑な模様の集合体で描かれています」

「………つまり、現行の技術では再現出来ないってこと?」

「いえ、忍様ならば時間をかければ可能だと思われます。ですが、これを硬貨として流通させるには、あまりに手間と単価が高すぎます」

 

 

 

 当たり前と言えば、当たり前の話。

 200年後の世界で使われている硬貨が、今の時代でそう簡単に製造出来るはずがない。

 2100年にあった暗黒大戦の折に、術式が開発されたことで科学の世界にパラダイムシフトが起こり、そこから世界の技術力は飛躍的に上昇したのだから。

 大体、形だけ同じ物を作ったとしても、硬貨に施されているコピープロテクト用の術式回路が起動しないだろう。

 普通は変な模様としか分からないのに、回路と言ってのけただけノエルは凄いのだ。

 

 

 

「で、どうなんだよ。信じる証拠になったか?」

「そうね……証拠からは半信半疑、まんざら嘘でもなさそうというところね」

 

 

 

 でも、と忍は言葉を続ける。

 

 

 

「信じるわ。貴方は、大事な妹とその友達を助けてくれたんだもの」

「そーかよ」

 

 

 

 思ったよりも、あっさりと忍が信じたことにラグナは少し気が抜けた。

 それにしても、決めてがすずかとアリサを助けたからとか。

 まさに、情けは人の為ならず、だ。

 

 

 

「ラグナ、貴方の事情を聞く上でも、貴方の知る歴史を簡潔に話してもらえるかしら?」

 

 

 

 忍に問われたことで、ラグナは自身が知っている歴史を明かす。

 

 

 

 ラグナの居た2199年は、科学と魔法が融合を果たした世界だ。

 その切っ掛けは2100年にあった暗黒大戦、すなわち「黒き獣」の出現にある。

 境界である「窯」から出現した黒き獣に対し、当時の人々には対抗手段がなく、瞬く間に人類の半分が死滅した。

 このまま人類は滅亡するのかと思われていたが、ある日突然に黒き獣が動かなくなる。

 後の世に言う、「一年の停止期間」である。

 この間に人類は、黒き獣から発せられていた魔素を解析、その対抗手段として「術式」を生み出した。

 それからは、再び活動を開始した黒き獣に対し、人類は六英雄を中心に反撃を開始。

 最終決戦にて、人類は黒き獣を滅することに成功した。

 

 

 

「だが、地表は魔素に覆われて人が暮らせるような環境じゃなくなっちまった」

 

 

 

 そのため、人々は世界政府である「世界虚空情報統制機構」が山脈を階段状に区画化て建設した高層都市に身を寄せて暮らしている。

 

 

 

「何よ、それ………それじゃ、後95年後には、この街も無くなっちゃうわけ!?」

「ウミナリシ、だったか? 聞いたことねえし、多分そうだろ」

 

 

 

 アリサがわなわなと呟いた言葉に、ラグナはさらりと答える。

 

 

 

「あ、アンタ、どうにか出来ないわけ!?」

「知るか! 俺だって生まれるずっと前の話だ」

「……アリサちゃん、気になるでしょうけど、その話は後にしましょう」

 

 

 

 忍が、アリサに制止をかけて落ち着かせる。

 自身も大変気になるが、今はラグナの欲している情報について聞くのが先だ。

 ラグナは自分の持つ情報の有用性について明かした。

 ならば次は、忍が情報を提供する番だ。

 その後に、改めて話を聞くのが筋であろう。

 

 

 

「それじゃ、ラグナの事情と、欲しい情報について聞きましょうか」

「ああ」

 

 

 

そうしてラグナは、ここに至る経緯を順に話していく。

 

 

 

実は、23の階層都市は全て統制機構によって「窯」をエネルギー基盤として作られている。

最深部に隠された「窯」は、同じに「境界」に関する研究を秘密裏に行うためにも使われていた。

ラグナの目的は、「窯」と「素体」の破壊にある。

そして、階層都市カグツチの最下層にある「窯」で「素体」の精錬が行われるという情報を得たラグナは破壊するために侵入を試みた。

しかし、結局足止めを食らったラグナは「窯」にたどり着くも、「素体」の精錬に間に合わなかった。

そこで、ラグナは「素体」を破壊すべく立ち向かったのだが、敗北。

「素体」と共に「窯」へと落ちて行った。

 

 

 

「んで、気が付いたら200年前の世界に来ていたってわけだ」

「ず、ずいぶん話が飛んだわね」

「仕方がねえだろ。「窯」に落ちたことが原因で過去に飛んだのは俺も分かるが、「窯」というか「境界」は何が起こっても不思議じゃないくらいわけわかんねえ物なんだからよ」

「……まあいいわ。それで、貴方が欲しい情報というのは?」

 

 

 

ラグナが欲しいもの。

それは、元の時代に戻る方法、あるいはそれに繋がるものだ。

取り敢えず、今一番の手掛かりは、

 

 

 

「レイチェル=アルカードと、アルカード家について知りたい」

「アルカード家……トランシルヴァニアにいる真祖の血族ね。レイチェルという名前に聞き覚えは無いのだけど」

「元の時代にいた、知り合いの吸血鬼だよ」

「そう。でも、アルカードの名を持つ人はクラヴィスしかいないし、まだ生まれていないのでしょうね」

「……取り敢えず、そのクラヴィスって奴に渡りを付けてくれ。同じ家名を持つんだから、何かわかるかもしんねえ」

 

 

 

 その言葉に、忍は深く考え込んだ。

 クラヴィス=アルカードに連絡を取ることは、並大抵のことではない。

 真祖と呼ばれるだけあって、吸血鬼としても強大な力を持つ彼は、決して表には顔を出さないのだ。

 

 

 

「出来なくはない……けど、時間がかかるわ。それこそ、年単位で」

「マジかよ、どうすっかな……」

「そうね……渡りが付くまでこの家に留まってはどうかしら?」

「あん?」

「まず、貴方は未来から来たため戸籍等は無く、今後の生活と連絡方法に不安がある」

「ぐっ」

「一方で、私たちは「夜の一族」の秘密を知っている貴方を監視下に置きたい。ほら、一緒に住めば両得じゃない」

「………一ヶ月だ。一ヶ月ならいい」

 

 

 

 確かに、その通りだ。

 だが、ラグナには簡単に肯けない理由があった。

 

 

 

「どうしてかしら?」

「……さっき、術式の話をしたが、術式を扱うには「魔導書」が必要なんだよ。んで、俺が持っている魔導書は強力な反面、デメリットがあってな」

「……続けて」

「周囲の生き物の生命力を無作為に奪っちまうんだよ。まあ、簡単に言えば寿命が縮む」

 

 

 

 そのおかげで、ラグナは怪我の治りが早いので、ラグナ自身にとってはメリットなのだが、周囲の人にはデメリットしかない。

 

 

 

「そう……わかったわ。じゃあ、一ヶ月経ったら、うちの別荘へ引っ越してもらえばいいわね」

「は?」

「だって、長期間一緒にいなければ大丈夫な程度なのでしょう?」

「ま、まあ、そうだが」

「なら、いくつかの別荘を転々とすればいいだけじゃない。それに、私たち「夜の一族」は元々200年くらい生きる長寿だから、多少減っても変わらないわよ」

「い、いいのかよ……それで」

 

 

 

 忍のあっけらかんとした言葉に、ラグナは呆気に取られた。

 

 

 

「すずかも良いわよね?」

「う、うん。もちろん!」

「……わーったよ、世話になる」

 

 

 

 こうして、ラグナの月村家居候が決定したのであった。

 

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