リリカルなのは×BLAZBLUE 無印編 作:シャケ@シャム猫亭
月村家に居候が決まって一時間後。
アリサも迎えが来て帰り、ラグナが滞在することになる客間に案内され、設備について説明を受けていた。
そんな折に、ノエルがラグナに訊ねた。
「ラグナ様。宜しければ、換えの服をご用意致しましょうか?」
「ん? ああ、確かに……」
ラグナの服は
このまま生活するには支障がある。
「んじゃ、頼むわ」
「では、こちらで少々お待ちください」
そう言ってノエルは一礼をすると、部屋を後にした。
それを見送ったラグナは、備え付けられたベッドに腰を下ろし、そのまま仰向けに横たわった。
「…………はぁ」
ひどく疲れた。
貧血な上、戦闘を三回も行ったのだ。
体力的にも、精神的にもクタクタになってしまった。
「………くわぁ」
思わず、ラグナの口から欠伸が漏れた。
ラグナの意思に反して、ゆっくりと瞼が落ちてくる。
少しの間それに抗っていたラグナだったが、ついには意識を手放した。
そうして、しばらく時は流れて。
ラグナが目を覚ました時には、日は沈みかけていた。
部屋の西窓から夕陽が差し込んできていて、部屋を赤く染めている。
ラグナが身を起こせば、ギシリとベッドが鳴った。
がりがりと頭をかきながら部屋を見渡せば、ベッドに備え付けられたサイドテーブルの上に、着替えが置かれている。
そういえば、ノエルに着替えを持ってくるよう頼んだのだったと思い出したとき、部屋の扉が向こう側よりノックされた。
「ラグナ様、お目覚めでしょうか?」
「ああ」
ノックをしたのはノエルであった。
「ご夕食のご用意が出来ましたので、お呼びに参りました」
「……ちょっと待ってろ」
ラグナは置かれていた着替えを手に取る。
サイズは問題ないようなので、手早く着替えをすませると、扉を開けた。
「悪いな」
「いえ、仕事ですから。それよりも、ラグナ様の服は如何なさいますか? お時間さえ頂ければ修繕も可能ですが」
「そうだな………ジャケットは直してくれるか? あれは師匠からの餞別で、一応大事にしてんだわ」
「では、そのように。他の服については、出来るだけ近しい物をご用意致します」
「おう」
「では、食堂までご案内致します」
その言葉に、ラグナはノエルの後について歩き始めた。
この月村邸は本当に広い。
案内がなければ、間違いなく迷ってしまうだろう。
そんな中、ラグナはふとノエルに違和感を覚える。
「お前、もしかして自動人形か?」
「そうですが、良くお気づきになりましたね。忍様などからは人間と見分けがつかないと太鼓判を押されていたのですが」
「あー、勘?」
ラグナ自身、どうしてわかったのかが説明出来なかったが、氷村の自動人形との戦闘、ノエルがラグナの硬貨を見た時の顕微鏡並みの観察力、そして今ラグナの前を歩いている際の体格の割に重い足音、この三要素がラグナの中で気づかないうちに違和感となったのだ。
「しっかし、元の時代にだってお前ほど精巧な自動人形は無いってのに、どうなってんだ?」
「私は遺失工学で作られました。修理した忍様ですら、私の機構について判明していないことが多々あるといいます」
ノエルは自動人形の中でも、エーディリヒ後期形と言う細部まで人間を模して作られたタイプ。
現存する自動人形の中でも、特に多くの遺失工学が使われており、もはや芸術品と言ってもいい。
おそらく、未来にノエルのような自動人形が存在しないのは、遺失工学の解析がそこまで進まなかったのか、あるいは暗黒大戦の折に完全に失われてしまったのか。
そんなことを話しているうちに二人は食堂へ到着した。
ノエルは食堂の扉を開け、ラグナを先に中へ通す。
食堂には、忍とすずかの他に、恭也が席についていた。
また、すずかのそばにラグナの見知らぬメイド、ファリンが控えている。
「よう、待たせたか?」
「いいえ、大して待ってな………何よ、その服?」
「何って、お前のところのメイドが着替えとして寄越したんだが」
ラグナの恰好は、上は白のTシャツ、下は紺色のジャージだった。
先ほどの恰好と比べて、相当にラフである。
「……ノエル、どういうこと?」
「ラグナ様の服は修繕が必要と判断し、その間の着替えをご用意致しました。しかし、ラグナ様は体格が良く、着れるものがこれしかありませんでした」
「……明日、もう少しマシなの買ってきてくれる?」
「もちろんでございます」
そんな忍とノエルのやり取りの横で、すずかはラグナに尋ねる。
「ねえ、ラグナさん」
「あん?」
「そのTシャツに書いてある『しんよこ』ってどういう意味?」
「いや、俺が知るわけねえだろ。それよりも………」
ラグナは恭也へ向き直る。
「テメェ、さっきから殺気飛ばしてきやがって。うぜぇんだよ」
「やっぱり、気づくか」
「ったりまえだろうが。喧嘩売ってんのか?」
「忍から大体のことは聞いてるし、敵じゃないことは分かってる。けど、だからって警戒をしないわけには行かない」
それに、と恭也は言葉を続ける。
「俺と同等の腕前を持つ剣士なんて滅多にいないからな。つい、どこまでやれるのか、探りを入れてしまった」
「俺と同等の腕前だぁ? 上等だ、その喧嘩買ってやるよ。表に出ろ」
「ふっ、望むところだ」
恭也は強者との闘いが心底嬉しいのか、笑みを浮かべながら席を立った。
しかしながら、
「食事前に馬鹿やってんじゃないわよ!」
忍のハリセンが二人の頭を叩いた。
「ちょ、おま、それどっから出した!?」
「ノエルに渡してもらったわ」
流石、万能メイドである。
いったい、どこに仕舞っていたのやら。
「貴方たちの再戦は週末に道場でやりなさい。今は食事の時間よ」
「………わかった。ラグナさん、週末を楽しみにしている」
そうして場が収まり、ようやく全員が席に着いて料理が運ばれてくる。
鰆の西京焼きや、ほうれん草の御浸しなど、和の御膳がラグナの前に並んだのだが。
ラグナはそれらを食べるのに苦戦していた。
それに最初に気づいたのはノエルだ。
「よろしければ、フォークとスプーンをお持ちしましょうか?」
「……頼むわ」
そんな様子に、向かいに座っていたすずかがラグナに尋ねた。
「ラグナさん、もしかして未来に箸は無いの?」
「いや、あるし、俺も使える」
「え、でも……」
「……俺は右利きなんだよ」
「右………あっ!」
そう、ラグナの右腕は、二の腕の半ばから先が無い。
本来は蒼の魔導書が腕として顕現しているため、問題なく日常生活をおくれているのだが、今は蒼の魔導書がほとんどの機能を止めており、ラグナの中に存在は感じても腕としては顕現していない。
「す、すみません!」
「……はぁ。ガキの癖に、んなこと気にしてんじゃねえよ」
「で、でも……」
「もともと、俺の魔導書が腕と右目になってたんだよ。それがこの世界に魔素が無いせいで機能してないだけだ。元の時代に戻れば、何も問題ねえ」
そういったとき、ちょうどノエルが戻ってきてラグナに食器を渡した。
この話は終わりだと、ラグナは食事に戻った。
今気づいたけど、CTのラグナって、もっととげとげしかった気がする………。
あと、そろそろ戦闘に入りたい。説明回は書くの苦手なんじゃー。
………いや、戦闘回もそんな得意じゃないけど。ラグナのコンボ動画見て参考にしてるし。