リリカルなのは×BLAZBLUE 無印編   作:シャケ@シャム猫亭

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子猫の名は

 あれからラグナはすずかに言われるまま、迎えの車に乗り込んだ。

 恭也は後始末の者が来てから月村家へ向かうと言い、三人とは別行動だ。

 相変わらず色々言ってくるアリサを、鬱陶しそうにしつつも黙って移動すること十数分。

 月村邸に到着したのだが、

 

 

 

「でけぇな、おい」

 

 

 

 予想以上の豪邸に、ラグナは驚愕を隠せないでいる。

 

 

 

「そう? アタシの家もこのくらいだし、普通じゃない?」

「いや、それ絶対金髪の感覚がおかしい」

「アタシの名前はアリサよ! いい加減覚えなさい!」

「お前もしつこいな、いいじゃねえか別に」

「よ・く・な・い!!」

「あーあー、わーったよ、次からそう呼んでやるよ、金髪」

「今から呼びなさいよ!!」

 

 

 

 この二人、相当に相性が悪いようで、車の中でも散々口喧嘩していたのに、門前でまたもや口喧嘩を始めてしまった。

 このままでは、いつまで経っても家に上がれないとすずかが困っていたところ、門が内側より開き、メイドが顔を出した。

 薄紫色の髪を持つ、きれいな女性だ。

 

 

 

「おかえりなさいませ、すずか様。ご無事で何よりです」

「ノエル、ただいま!」

「アリサ様もご無事のようで何よりです。ご家族にはこちらからご連絡を差し上げておりますのでご安心を。直にお迎えが参られると思いますが、その前にアリサ様も、忍様にお会いして頂ければと思います」

「分かってる。すずかの事情については、ここに来るまでに大体聞いたわ」

「それから……」

 

 

 

 そこでメイドは一度言葉を切り、ラグナへと向き合うと、

 

 

 

「ラグナ様ですね。恭也様よりご連絡を頂いております。この度はお二人を助けて頂き、深く感謝いたします」

 

 

 

 ラグナに深々と頭を下げた。

 

 

 

「別に、借りがあったから助けただけだ」

「たとえそうだとしても、ラグナ様のお陰でこうしてお二方が無事でいることは事実でございます」

「あー、わーったよ。だから顔を上げてくれ」

 

 

 

 普段、あまりこうしてストレートに感謝を述べられることがないラグナは、メイドの言葉を早々に認めることになった。

 

 

 

「申し遅れましたが、私は月村家のメイド長を務めさせて頂いています、ノエル=K=エーアリヒカイトと申します。どうぞ、ノエルとお呼び下さい」

「は? ノエル?」

「え、ええ。何か気になることでもございましたか?」

「………いや、同じ名前の奴を知ってたから、ちょっと驚いただけだ」

 

 

 

 とは言っても、こっちのノエルとあっちのノエルでは全く似ていない。

 こっちのノエルは、薄紫色の髪でお淑やかな雰囲気を持っている。

 身長も高いし、大人の女性だ。

 それに、何がとは言わないが大変女性らしい。

 一方、あっちのノエルは、金髪で「逮捕だー!」と喧しく、身長もそう高くないため少女の域を出ないでいる。

 それに、何がとは言わないが大変慎ましい。

 

 

 

 ノエルは急に黙り込んだラグナに、少し首を傾けるが、取り敢えずそのことには触れないことにした。

 そして、ノエルは自身がやってきた役割を全うすべくラグナを屋敷へと招いた。

 

 

 

「それでは、当家当主である忍様の所までご案内いたします」

「……ああ」

 

 

 

 そうして三人はノエルに連れだって忍のもとまで向かった。

 ラグナにとって、暗黒大戦以前の屋敷に招かれるのは初めてのことであり、周囲に興味を惹かれながら進んでいく。

 とはいっても、ラグナには芸術への興味は全くないため、飾られていた調度品よりも建物の構造などを見ていたのだが。

 そうしてラグナ達が屋敷に中を進むこと数分。

 もう少しで忍の待つ応接室に着くというところで、ラグナは行く手を阻まれていた。

 ………猫たちによって。

 

 

 

「おい………これはどういうことだ?」

「ご、ごめんなさい! すぐに退いて貰いますから!」

 

 

 

 ラグナの足、背中、肩、そして頭に子猫が乗ったり纏わりついたりして、ラグナは先に進めなくなっていた。

 彼、あるいは彼女らがニャーニャーと楽しそうに鳴く様子は、まるで「遊んで!」とでも言っているかのようだ。

 

 

 

「ダメだよ、タマカカ、ポチカカ、ミケカカ、ヤルカカ。ラグナさんはお姉ちゃんに会わなきゃいけないんだから。また後で、遊んでもらおうね」

 

 

 

 すずかが一匹一匹声をかけながら、ラグナから子猫を離していく。

 子猫たちは多少不満そうであったが、素直に従い、どこかへ遊びに行った。

 だが、ラグナの了承も無しに遊ぶ約束を取り付けられてしまった。

 しかし、それよりも何より、

 

 

 

「なんか………名前にすっげぇ聞き覚えがあるんだが」

「そうなんですか?」

「…………いや、いい。忘れてくれ」

 

 

 

 何だか突っ込んではいけない気がしたラグナは、この件は流すことにした。

 それに、仮に突っ込んでいたとしたら、何時まで経っても先に進めそうにない。

 

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