東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】   作:カリーシュ

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2話 迷い込んだ武偵

 

―森

 

…もう、あれからどれくらいたった?あれから―

 

 

―兄さんが死んでから。

 

 

 

 

 

遠山キンジは彷徨っていた。

 

アンベリール号の事件の後、何もかもから逃げるように。電車やバスを財布が空になるまで乗り継ぎ、降りた駅からふと目に入った森に入っていた。

 

 

 

…最後に他人と話したのは……白雪だったか?…迷惑、かけちまったかな。武藤と不知火は元気にやってるか?

 

フラフラと歩きながらボーっとしてきた頭で考える。

 

 

ふと、倒れてしまう。

 

 

 

 

俺は、こんな何処かも分からん所でくたばるのか…?酔狂な御先祖にタコ殴りにされるな、ハハ、ハ…

 

 

 

?誰か、近づいて来てる…?あ、やべ、ガチで意識が―

 

 

 

 

俺が意識を手放す前に見たのは、

 

 

 

―おとぎ話に出てきそうな箒に跨った魔女の格好の少女だった。

 

 

〜武偵失神中〜

 

 

 

 

 

―??宅

 

……火の音、か?

 

薄目で周りを確認すると、どうやら誰かの家らしい。

 

木造住宅、築何年かは分からないな。周りは、…暖炉、本、ビーカー、本、何故かキノコ。随分散らかってるな。

 

ひとまず見える範囲での危険は無いと判断し、身を起こす。

 

ソファーに毛布…拘束は無し。完全に安心は出来ないが、取り敢えず助かったのか?

ついでに武装も確認…!?

 

 

ま、丸々ゴッソリ無くなってる…!ベレもナイフもマガジンも!後武偵手帳も!

蛇足だがあった財布はどうせ空なのでスルー。

 

 

 

バタンッ

 

!奥でドアの開閉音…!ヤバイ!か、隠れる所!…!?

急いで身を隠そうとしていたが、身体が上手く動かない。

ヤベ、毒か何か盛られたか!?

 

ドスドスという足音がドンドン近づいて来る。

 

俺、今度こそ終わったな……

 

せめて犯人の顔くらい見てやろうとドアを凝視する。

 

 

ガチャ

 

 

「は…?」

 

顔を見る前に服装で唖然とした。

 

何処となくメイド服に似た白黒の服。

手には箒。状態からして掃除には殆ど使用されて無い。

背負っている緑の風呂敷が何故かマッチしている。

 

そして―いかにも「魔女です」と言わんばかりの途中で折れた黒のトンガリ帽子。

 

「君、h

「あ〜〜〜!」

ッ!うるさッ!」

 

「まだ起きちゃダメなんだぜ!毒が抜けきって無いんだぜ!」

 

寄りかかってたソファーに張り倒すとそのまま手近な所にあったビーカー(中身は黄色の液体。匂いナシ)を突き出してくる。

 

「飲むんだぜ!」

 

「は!?」

 

今更顔が見えた。肩までの金髪。金色の瞳。

 

…正直、可愛い。格好もコスプレじみている。が、突き出してるのは得体の知れない謎液体だ。

 

「中身は何だ?」

 

「解毒剤だぜ!」

 

「何でだ?」

 

「何でって、魔法の森はキノコの胞子の毒が漂ってて、耐性無い奴が吸うと―とにかく、飲むんだぜ!」

 

「…まずお前が飲んでみせろ」

 

「疑り深いんだぜ」

 

少女は一口飲んでみせる。

…問題無いみたいだな。

一応警戒しながら、一口口に含む。

どれどれお味は―

 

…ニガッ!

 

 

 

 

「♪〜♪〜」

 

俺が苦い薬をチビチビ飲んでる間、少女は風呂敷の中身を弄、く―

 

「ッて、それ俺のナイフ!」

 

「借りるぜ。死ぬまでな」

 

「人はそれを盗むと言うんだ!返せッ!」

 

ああッ!ベレや手帳まである!

 

「そういやキンジ。このナイフ刃が無いんだぜ」

 

「何で名前、手帳か…。バタフライナイフだからだ。それでよくナイフだと分かったな」

 

「ん?香霖に聞いてきたからな」

 

「?」

 

「あー、やっぱり外来人か」

 

「??」

 

「えっとだな―」

 

 

 

〜魔法使い説明中〜

 

 

 

「―こんなもんかな」

 

「…人外魔境とか、マジかよ」

 

「大マジなんだぜ」

 

信じられん。 空想上でしか存在しない筈の生物が、そこらじゅうに溢れかえっている世界だなんて……

 

 

まあ、どちらにせよまずは、

 

「…取り敢えずだな」

 

「?」

 

 

「―ヒトのモン返せッ!」

 

「借りるだけって言ってるんだぜー!」

 

 

 

〜武偵魔法使いドタバタ中〜

 

 

 

10分後〜

 

「ぜえ、ぜえ、やっと取り返せた!」

 

「あ〜、私の『べれったえむきゅーにーえふえす』と『さぶまがじん』とバタフライナイフが〜」

 

「私のって、お前な…」

 

「う〜。せめて使い方位教えるんだぜ!」

 

「駄目に決まって…」

 

あれ、そういえば俺―

 

 

 

 

 

 

 

なんでヒスって無いんだ?

 

 

あれだけこのモノクロ魔法少女(魔理沙とは呼んでやらん)と取っ組み合ったのに。

 

それに話していて、いつもなら女と同じ空間にいるだけで感じる緊張が無い。

 

 

「…まあそれくらいなら」

 

試しにナイフを開いて見せる。

 

「…魔法か?早くて見えなかったんだぜ」

 

「…」

 

今度はゆっくりとやる。

 

「おお!柄に入ってるんだぜ!」

 

「後他は…ベレか」

 

「何に使うんだぜ、その『べれったえむきゅーにーえふえす』は?」

 

「『ベレッタM92FS』な。早い話飛び道具だ」

 

「へー!弾幕ごっこには使えるのか?」

 

「?」

 

「あそっか外来人だったぜ。えっと―」

 

 

 

〜魔法使い追加説明中〜

 

 

 

「結論、無理だな。9ミリパラじゃ殺傷能力が高すぎる」

 

そもそも、広範囲に高密度な弾幕を放つとか、拳銃じゃまず無理だろ。

それこそマシンガンクラスの重火器が必要だ。

 

「ちぇー。練習相手にしようと思ってたのに。なーなーやってみよーぜー、弾幕ごっこ」

 

「やる意味が無いし、そもそも弾幕を出せない」

 

「弾幕なら出せるようになるんだぜ!」

 

「どうやって?」

 

 

 

 

 

「魔法使いになるんだぜ!」

 

 

 

「断る」

 

「即答なんだぜ!?」

 

……魔法使いって、なろうと思ってなれるのかよ? ドラクエの職業か? 幻想郷にもダーマはあったのか。

 

「仮に、仮にだ。弾幕ごっこが出来るようになって何が変わる?さっきの話じゃ人里から出ない限りは安全らしいが」

 

「そりゃもちろん、面白いからだぜだぜ!」

 

「…はぁ?」

 

「あと異変解決だな。異変っていうのは―」

 

 

 

―緊張しない理由が少し分かった、気がする。

コイツは昔の俺に、少し、似ている。

異変解決なんて正義の味方みたいなモンを目指して、自分を、強くしたいと思ってる。

それは悪いことじゃない。

 

だけど―

 

 

 

「…おい、お前。家族は生きてるか?」

 

「お前じゃなくて、私は霧雨魔理沙なんだぜ!…家族?生きてるぜ?勘当されたけどな」

 

「何やったんだよ。―さっきお前、殺傷能力の無い弾幕でも当たりどころによっては死ぬって言ってたよな」

 

「言ったんだぜ」

 

 

「…これは俺の知り合いの話だけどな、先祖代々正義の味方なんてやってるちょっとかわった家の出の兄弟がいたんだよ―」

 

細かい所やHSSみたいなヤバイ部分は省力して俺の経験を話してやる。

 

 

正義の味方なんて、割に合わない。

 

利用されるだけ利用されて、ミスったら叩かれる。

 

生きてる内に退屈でも、長生き出来るようにした方がいい。

 

 

 

「…」

 

「―俺から言えるのはこれで全部だ。あとは好きにしr

「分からないんだぜ」

…!?」

 

急に手をつかまれ、うぉ!?

 

箒にまたがった!?

 

「しっかりつかまってるんだぜ!!」

 

「どこに!?」

 

「知らないんだぜ!!」

 

 

え、マジで浮いー

ギヤァァァァア!?!?

 

 

「文字通り飛ばすんだぜ!!」

 

ちょッ!? ここ屋内!?

ゑ、待っ―

 

―doooooor!?!?

 




と、いうわけで、自機二名がそろいました。

…あ、そういえばいい忘れてた。
この二次小説は、基本的に三話構成で時期が一気に変わります。
どういう意味かって?

――それは進んでのお楽しみ…

(かっこつけてるけど、そのまんまの意味です。)
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