東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】   作:カリーシュ

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ク「何か文視点多くない?」
士道編の時のルーミアみたいなノリで書いてるからな。
ク「じゃあキリト編と上条編も他キャラ視点を入れるのか?」
そのつもり。



31話 キンジ編:拳最強説浮上(ただし人外に限る)

―妖怪の山 麓

 

「…突然切り掛かって、すみませんでした」

 

「いや、よく分からんがこっちも紛らわしい事してたみたいだし、別にいいぞ」

 

頭を下げてるのは、ついさっきまで俺を殺そうと襲ってきた犬耳の少女(白狼天狗という種族らしい)、犬走椛。

 

フルオート射撃を防いだ後、剣ナシ盾ナシスペカは残1で、そのスペカすら使った後は格闘戦に突入したんだが―

 

正直、かなり弱かった。

橘花や絶牢を使うまでもなかったし、耳を傷つけないように亜音速に留めた桜花を絶対当たらないように顔の真横を通過させたら、「ひっ!?」って言って耳伏せさせて涙目で睨んで来た。

 

…ちょっとカワイイとか思ったのは秘密である。

 

まあ、椛が怯んだタイミングでにとりが説得して。

で、冒頭にいたる。

 

「…それにしても盟友、強過ぎないかい? 一応椛って、歩哨の中でもかなり強い方なんだけど?」

 

「そう言われても困る。俺にどうしろってんだよ」

 

「そうだな……負かした責任取って、椛が強くなるまで付き合うとか!」

 

「はぁ!? ちょ、にとり、何考えてっ!? こんなネクラな奴と、」

 

…やっぱり妖怪は何を考えてるか分からんな。どっからそんな発想が出てくる?

あと椛、目の前で悪口を羅列されるのは幾ら俺でも傷つくからな?

 

―っとそうだった。

 

「なあ椛。『文々。新聞』の記者に会いたいんだが、何か知ってるか?」

 

「文々…文さんのことですか? まあ居場所くらい直ぐに分かりますけど…

…何するつもりですか?」

 

「直談判だ」

 

頭にハテナが浮かんでた。そりゃそうだよな。

 

「まあ別にいいですけど…ちょっと待ってて下さいね」

 

と言って、遠くを見るような焦点の合ってない目で虚空を見つめる。

 

「お、おい、大丈夫か?」

 

「大丈夫です。今探してるので」

 

…どうやってだよ? テレパシーか何かか?

いや、『視覚』に集中してるから多分―

 

「説明しよう!椛の能力はね、「千里眼か?」せんr……」

 

「…すまん」

 

だからその遠い目辞めろよにとり。

見てるとだんだん怖くなってくるんだよ。

 

「見つけました! ……あれ?」

 

「? どうした?」

 

「この景色……出て直ぐの所ですね」

 

つまり滝の外側にいるってことか。

 

「―よし、行くか」

 

にとりの先導で横道を通り、正面に出る。

 

そこには―

 

 

 

 

 

side文

 

着いた。

着いてしまった。

 

今、私の周りには、鬼2人と天魔様だけだ。

他の天狗は巻き込まれ(やつあたり)されないように当の昔に逃げている。

人間と鬼が素手で闘って、まともな勝負になる訳が無いからだ。

ならスイッチの入った鬼の矛先は何処へ向くか、だそうだ。

 

……私が逃げないのは、若い頃、この2人と闘って瞬殺された時、そんなことをするような鬼ではないと分かっているから、と言うのもあるが……

 

『その白狼天狗、紅葉の柄の盾持ってたよ〜』

 

…萃香様の言った言葉から、負けたのは十中八九、椛小隊の誰かだ。

 

先鋭の白狼天狗を倒した人間。

 

これはきっとかなりのスクープになる!

 

「それで、何処で闘ってたんだい?」

 

「滝の裏側、河童の住処でだよ。

―まあ、向こうから出てきてくれるみたいだけど」

 

はてさて、どんな人間が出てくる?

 

1人目は、私もよくカメラでお世話になる、河童の河城にとり。

 

2人目は、白狼天狗、の―

 

「あやや!? 椛!?」

 

歩哨メンバーのトップクラスを倒す人間って―スクープじゃなくて情報規制がかかりそうな気が……

 

3人目は―

 

 

男にしては少し長めの黒髪。

そのせいで若干ネクラに見えるが整った顔。

 

よく知ってる顔だ。

このあいだ、彼の写真を記事に載せたばかりだし。向こうは気がついてなかったみたいだが、人里でさっきその記事を買っていったばかりだ。

 

……因縁つけにここまで来たんですかね?

 

 

―遠山キンジさん。

 

 

「ふーん。アンタが天狗を素手で倒した人間かい?」

 

「…誰だ?」

 

「アタシは星熊勇儀。鬼だよ。

アンタは…

 

……え?」

 

勇儀様が信じられないといった顔をしている。萃香様もだ。

 

「――文殊丸、なのか?」

 

「? 俺は遠山キンジ。 武偵だ」

 

「……子孫か何か? まあいい。尚更期待出来るってもんだ」

 

「ちょっと待て。何の話だ?」

 

「遠山ぁ―

 

―アタシと勝負しろ!!」

 

「いや意味分からんッ!!?」

 

「私とでもいいよ〜。ヒック」

 

「……酔っぱらいの相手は宴会の時だけで十分だ」

 

そんな言葉は届かず、勇儀様と萃香様はどっちが闘うかジャンケンして、勇儀様が闘ることになった。

キンジさんは「まだ俺戦うなんて言ってねぇぞッ!?」とツッコンでいたが当然スルー。

 

「あやや…これはスクープに……

なりますかねぇ……?」

 

それなりには強いとは言え、たかが人間。

それで相手は四天王、怪力乱神の異名を持つ鬼。

しかも弾幕ごっこじゃなく殴り合い。

 

人間側がさっさと勝負を投げ出して、その後白狼天狗との戦闘でも取材して、色々盛って記事にしたかったんですが……

 

…終わった後に原型留めてますかね…

 

ちょっと離れとこう。声は聞こえなくなるけど。

 

 

〜武偵祈祷中〜

 

 

勇儀様は酒が入った盃を左手に持って立っている。

昔から変わらない、いつものハンデ(零せたら勝ち)だ。

対するキンジさんは、諦めたように溜息を吐くと、スペカを発動させた。

右手に握られた物から放たれる視界を覆い尽くすほどの緋色のホーミング弾。

その全てが勇儀様に届く筈もなく、拳圧だけで弾かれる。

 

弾幕が消し飛び、キンジさんは―

 

アッパーぎみに盃を殴る直前だった。

 

「あやっ!?いつの間に!?」

 

勇儀様が盃を引っ込めるのが間に合ったが―続けて右回し蹴りが飛ぶ。狙いはまた盃。

勇儀様は蹴りに合わせて拳を振るう。

腕力だけで殴っている(手加減)しているが、それでもかなり力んでいる。

当たりどころが悪ければ、致命傷どころか良くて即死、悪ければ殴られた部位が消し飛ぶ一撃。

 

そんな一撃が右脚に当たった。

 

次の瞬間、右脚は捥げ、無惨な人間の身体が転がる。

 

 

 

―誰もがそう思った。

 

けれど、実際は、―

 

 

 

 

 

左脚が盃を直撃した。

 

 

「あや、え? ゑ、ハァァア!?!? ちょ、何がっ!?」

 

「へぇ。アイツ、中々やるなぁ。私も闘いたいなぁ〜」

 

「分かるんですか萃香様!?」

 

「分かる…というより見えたって感じだねぇ」

 

そう言って続ける萃香様の顔は―

 

心の底から、嬉しそうに、笑っていた。

 

「あれは水車と同じだよ。左右どっちに力を掛けても流され、反対側から返される。思いっきり殴れば殴るほどこっちが不利になる。

ありゃぁいくら殴っても意味ないねぇ」

 

「」

 

なにそのチート。

 

「アレをブチ破るとしたら……

 

私でもああする(一発で決める)ね」

 

勇儀様は、奇跡的に一滴も零れていなかった酒を飲み干し、盃をしまう。

キンジさんは一瞬何か言いかけたようだが飲み込んだらしく、苦笑いしながら構えを取り直す。

 

「文ぁ。よく見ときな。次で決まるよ」

 

「…」

 

間合いが開く。

 

互いに特徴的な構えを取る。

 

 

全ての動きがゆっくりと見える視界で―

 

勇儀様の『一歩』目で、2人の間合いは一気に狭まる。

 

 

勇儀様が『二歩』目を踏み出し、大地が揺れる。

見切ったのか少し浮いてるのか、揺れでバランスを崩さなかった。

 

 

 

そして、『3歩』目で―

 

―全力の拳が擦り―

 

 

 

 

 

―キンジさんが吹っ飛ばされた。

 

 

「……は?え? キンジさんっ!? 大丈夫ですか!?」

 

駆け寄ろうとしたら勇儀様に先を越された。って早っ!?

 

「遠山ぁ……なんでだ!!?」ガコガコガコガコ

 

「」

 

「勇儀様ソイツ血反吐吹いてますから!? そんなに揺らしたら死んじゃいますよ!?」

 

「なんでっ―」

 

流石に萃香様も近づいて来る―いや酒飲んでないで止めるの手伝ってくださいよ!?

 

「いや、オチが読めたからねぇ〜。

……遠山、か」

 

「さらっと人の心読まないでください!? て言うかだったら手伝ってくだ―」

 

 

「―なんで最後に手加減したぁぁぁぁぁあっっ!?!?」

 

 

「―さいよ? ……え?」

 

人が、鬼に、手加減?

 

「―死ぬ気ですかアンタぁ!?」スコーン!

 

「たわらばッ!?」

 

はっ、つい蹴りがキンジさんの顔面を―

 

「…白」ボソッ

 

 

〜記者、武偵を蹂躙(シリアスブレイク)中〜

 

 

「」

 

「ふぅ、スッキリしました」

 

なんか顔面にモザイクがかかるレベルでヤバい事になってますが気にしません!

 

「……はっ! と、遠山っ! 答えろぉぉお!?!?」

 

「ちょっ勇儀様!? ソイツ死んじゃいますって!?」

 

「トドメ刺した奴の台詞じゃないよねそれ!?」

 

「萃香様が……ツッコミ……天然キャラだと……信じてたのに……っ!」

 

「アンタもぶっ飛ばされるかい?」

 

「全力で遠慮します」

 

なんて茶番をやってると―

 

「―コホッケホッ……うぅ…」

 

「お!流石遠山。やっぱ生きて」

 

「なんでだぁぁあ!!?」

 

「死に晒せや女の敵ぃぃい!!!」

 

「えー加減にせえやぁ!!

勇儀! ちょっと落ち着け!そんなに揺らしたら舌噛むぞ!

文! それ以上はいけない!」

 

「ですが萃香様!コイツさっき私のパンツを覗いたんですよ!?」

 

 

「…いや完全に不可抗力ですよね?それに文様もよく私やはたて様のを盗撮してますよね」

 

 

場が凍る。

―ブルータス、お前もか。

なぜかこんな台詞が浮かんだ。

 

「…射命丸」

 

「なんでしょうか天魔様?」

 

「減俸3ヶげt」

 

「天魔様お慈悲をぉぉぉお! 最近フィルム高いんですよ!!」

 

「「「「いや自業自得だろう」」」」

 

「あややっ!? そ、それよりほっとくとキンジさん失神しますよ!?」

 

ほら現に今だってキンジさんの存在感がっ! 存在感そのものがっ!!

 

「いやほぼ…お前のボケ、のせいだろ…」

 

「サテナンノコトデショウ?」

 

「……はははッ」

 

急に笑い出しましたよ。やっぱり頭を強打したのが不味かったんでしょうか?

これじゃあしばらくは何言ってもおかしく無い―

 

「…話は終わってないぞ遠山。

なんで手加減なんかした? あのままならお前の拳が先にアタシを捉えただろう?」

 

「そうだな…

 

 

―美人を傷付けるワケにはいかない、じゃあダメかな?」

 

―と思ったらいきなり爆弾発言ですよ。

直撃した勇儀様は耳まで真っ赤ですし。

どうしてか椛は逃げちゃったし。

萃香様は爆笑してますし。

 

な に こ の 状 況?

 

言った本人気絶してるし。

 

「…どうしましょうかね、この後始末?」

 

「攫うに1票」

 

「何方でもに1票じゃ」

 

「…私は辞めとくに1票」

 

「……あやややや!? 私の番ですか!?」

 

「まあ、勇儀は固まってるしね〜。

あ、私たちに遠慮はしなくていいよ〜」

 

…萃香様、威圧が凄いです。何処が遠慮しなくていいですか?

 

「……私は――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideキンジ

 

――此処は、何処だ?

確か、妖怪の山にカチ込んで…

椛をどうにか説得(?)して…

それから――ッ!!

 

「うごあ!?

 

……ここは……」

 

霧雨魔法店、か?

 

「あやや、丁度起きましたか」

 

コイツは……人里にいた天狗?

 

「…誰だお前?」

 

「私ですか? 私は! 清く!正しい!射命丸 文です!」

 

「…はぁ?」

 

平賀さん大人にしたらこんなのになりそうだな。名前同じだし。

 

「という訳でキンジさん! これからも取材させてもらいますからね!」

 

「さいd……取材?」

 

「それじゃ! アデュ〜」

 

そう言い残してさっさと何処かに消えた。

 

 

後から魔理沙に聞いた話だが―

 

アイツが文々。新聞の記者兼作者の射命丸文だそうで、不法侵入盗撮は当たり前で、色々と飛び回っては相手がキレるか泣くまで取材し続けるらしい。

ついでになにやら魔理沙も取引(深く聞いたら話題逸らし(スラッシュⅢ)された。)で俺の外でのことを多少なりともゲロったらしい。

 

……よしアイツは絞める。

 

でもまぁ――

 

 

こんな生活も、気が楽だし。

 

「……俺も、異変解決者の1員か」

 

……俺も、俺自身の呪い(ヒステリアモード)と真剣に向き合う時なのかもな。

 

 

ちなみにその後、なぜか大天狗とか言う奴が来て『あの日の事は出来るだけ内密に。特に博麗の巫女には』と言ってきた。なんでも俺が殴りあった女がいたのは、実は不味かったらしい。

 

……まあどちらにせよ、今の俺に出来る事は、

 

「筋肉痛が……ッ! 顔面が割れるように痛い……ッ!」

 

「色々と自業自得だぜ」

 

とっとと体力を回復することだな。

 




後書き
祝!(?)、キンジ編もしゅーりょー!
ク「これで日常編は残り半分か」
時系列的に士道編1、2の直前だな。
士道が幽霊相手にしてる間キンジはひっくり返ってたって事で。
ク「…これキリト編と上条編大丈夫か?伏線とか時系列とか」
大丈夫だ、問題ない。
ク「あ、そう」
……
ク「……」
……
ク「……」
……アレ? ツッコミは? ネタ切れ?
ク「偶にはいいだろ」
マジか!? ヤッt
ク「と思っていたのか?」
ダニィ!?
ク「爆破『魔力暴走(マダンテ)』!」

▽うp主 は死んでしまった!


…アレ?全滅表示は?
ク「私がいるだろ」
ウソだっっ!

補足説明
スラッシュ(5):勇儀の三歩必殺に対し、桜花を掠らせるように当てることで攻撃を逸らせる。感覚的には銃弾撃ち(ビリヤード)砲弾撃ち(パトリオット)と近い。弾丸か拳かくらいの違いしかない。
但し今回は、技が完全に成功すると桜花が相手に当たるからとワザと減速。
結果三歩必殺を喰らった。
三歩必殺:勿論手加減してる。どっかの物理チート先代巫女ですら脚グチャグチャになるのに、本気の三歩必殺と真正面からぶつかったらいくら哿でもタダじゃ済まない。
……直撃しても死にそうにないけど。
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