東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】   作:カリーシュ

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40話 ありえざるもの

 

 

 

―vs

 

 

―【暗闇に潜むもの】―

 

―【ありえざるもの】―

 

 

 

―【ニョグタ】―

 

 

 

―ヴワル図書館

 

side第三者

 

 

「恋符『マスタースパーク』!」

 

「霊符『夢想封印』!」

 

「神槍『スピア・ザ・グングニル』!」

 

 

ドグァァァアン!!

 

 

極太の閃光が、数え切れぬ程の光弾が、膨大な妖力によって創り出された槍が、九尾の身体を焼き、弾き、貫ぬかんと当たり、炸裂する。

 

だが―

 

 

 

「…それで終わりか?」

 

「…今のじゃ流石に無理っぽいわね」

 

タールのような『ナニカ』を壁にする事で、その場から一歩も動いていないにもかかわらず、塵1つつかない。

 

 

 

 

 

「キリト、アインクラッドであんなの見たことある?」

 

「…いや、ない。 そもそもスライムタイプのmobそのものが殆どなかったな」

 

「つまり、手探りでやっていかなければならないと。

―っ! 来ます!!」

 

 

ビチィッ!!

 

 

「っとぉっ! 全員無事か!?」

 

「舐めないでちょうだい!

火水木金土符『賢者の石』!」

 

「禁弾『スターボウブレイク』!」

 

「無駄な事を……」

 

何色もの色で構成された弾幕は、その一切を壁の内側に入り込むことが出来ない。

 

 

 

 

 

「完全防御、鞭状にしてからの一撃……強襲科(アサルト)じゃなくてSSR(超能力者)の管轄だろありゃ。 不定形らしくどうせまだ色々隠してるだろうし」

 

超能力者(Level5)なら瞬殺出来んのかなコイツは!?」

 

「そっちの超能力者じゃねえよ」

 

「2人とも喋ってる暇あったら避けるみょん!?」

 

ドゴッ! ドゴッ! ドゴッ! ドゴッ!

 

黒い水はうねりながら、肉を穿とうと迫る。

その全てを交わし、避けきれないものは弾幕で強引に逸らす。

 

 

 

 

 

「……紫様は、一体何を警戒してイらしたのか―ん?」

 

藍の眼前に、何かが飛び込んで来る。

咄嗟に壁を再構築させようとし―

 

「―此方の方が早い!

さあ、私の『目』を見なさい!」

 

 

飛び込んで来た相手が脅威になり得ない事を確認し、攻撃を続行した。

 

 

「!? 波長操作が、効かない!?」

 

「……微々たる能力だな。 本物の『狂気の波長』を喰らってみるか?」

 

黒い水の一部が鈴仙を空中で捉える。

 

「ふむ……どの頁を読みたい?」

 

「!? そ、そそそそそそれって、」

 

一切躊躇い無く『無銘祭祀書』を開き、適当にページを捲っていく。

 

「そうだな。 私の勧めはやはり、『無貌の神』についてだな」

 

「ひっ!? こ、こっちに近付けないで―」

 

とある1頁で捲る手を止め、鈴仙の視界に入る様に魔導書を持ち替え―

 

 

 

流星の如く飛来した矢に撃ち落とされる。

 

「じ、じじょう"〜〜!!」

 

「貴女の波長操作すら効かないとなると、本格的に手詰まりね…」

 

永琳は矢をつがえ霊力を籠めていくが、2射目を放つつもりは無いのか、狙いが全く定まっていない。

 

「本当にどうしましょう、この化物―」

 

 

 

 

 

「くっ……! 霊夢! 持ちそうか!?」

 

「そんなの私が聞きたいわよっ!?」

 

ガキッ、ガキッ、―バキンッ!!

 

「あああぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉおおお!! これで何枚目よぉ!!

『博麗二重結界』!」

 

運悪く避けきれずにぶっ飛ばされた上条や、咳き込むパチュリー、戦力外のルーミアを庇い、霊夢が何重にも結界を貼り、さらの士道が霊力の多さに任せて補強していく。

 

『二重結界』1つで大妖怪の本気の一撃ですら軽々と防ぐことが出来るのにもかかわらず、一枚ずつ、確実に、叩き割られていた。

 

「こっちの攻撃は通らないし向こうの攻撃は防ぐのがやっとだし!!

どうしろって言うのよもぉぉぉぉぉぉおおお!!!」

 

「オレが聞きてぇぇぇぇぇええ!!」

 

「……一撃貰うより先に自壊しそうだみょん。 ふこーだみょん」

 

 

 

 

 

「…吸血鬼、手を組みましょう?」

 

「うーん、オレは人間なんだけどなっ!!

斬符『ホリゾンタル・スクエア』!

―手を組む以前に最初っから仲間だろ。

なんか作戦でも出来たのか?」

 

ソードスキルを連発して安全圏を広げ続けるキリトに、黒い水の一撃を躱しながら永琳が話しかける。

 

「作戦と言うほどのものでも無いわ。

あの防御能力を前に、いつまでも個の力では埒があかない。 同時攻撃で強引に狐を表に引きずり出すしか―」

 

「お言葉ですが八意様、先程時を止めてナイフを投げつけた際、刺さったナイフが体内から押し出されたことから、おそらく本体にも何らかの形で黒い水の防御が働いていると見るべきです」

 

「」

 

「……攻略の糸口がつかめねぇ。

このままじゃジリ貧だぞ!」

 

 

 

 

 

「………こんな程度か」

 

八雲藍(ニョグタ)は、上位種族から『魔導書3冊の回収及び戦力偵察』という命令を受けていた。

戦力は非常に低く、最初はとある3人(・・)以外は、わざわざ自分(ニョグタ)が戦う必要がある程では無い。

そう考えていた。

 

しかし、未だに2冊しか回収出来ていない事も事実であり、そのことが(ニョグタ)を苛立たせた。

 

 

 

彼等のお遊び(スペルカード)に付き合ってみるか」と考えさせる程には。

 

 

 

 

 

 

 

「―『タタールの黒き神』」

 

 

 

 

最初に異変に気がついたのは、霊夢だった。

 

「何か来るわ―皆、逃げてっ!!」

 

回避方向を先読みすることはあれど、基本的に真っ直ぐ突っ込んで来るだけだった黒き水が、激変した。

 

全方向に鋭く延び、それを延ばしたまま、全てバラバラの方向に、無秩序に振り回し始めた。

 

『柱』でそのまま殴りつける様な攻撃を前に、まず最も回避能力の低い(ワイヤー頼り)上条が打ち据えられ、

その場面を見て硬直した妖夢も叩き落とされ、

連続で回避行動を取れなかったルーミアとパチュリーは弾き飛ばされた。

 

 

「こんなスペカありなんだぜぇぇぇええ!?!?」

 

「ひーっ! つ、潰れる!挽肉にされちゃいますよ! 何かアレ(黒い水)の写真撮ったらカメラ壊れて変な絵しか浮かびませんし、もうイヤ―

き、キャァァァァァァア!?!?」

 

 

グチャァッ!

 

 

文が回避し損ね、結果として黒い水に挟み潰されかける(・・・)

 

「―あれ、生きてる?」

 

「ボサッと突っ立ってない! ホラ避けないと次来るわよ!!」

 

「は、ハイ!?」

 

 

 

 

 

まだ、黒き水の犠牲者が出続ける。

 

集中力の切れた士道が。

 

急な軌道変化に対応仕切れず、鈴仙とレミリアと輝夜が。

 

『目』を破壊しようと立ち止まったフランが。

 

主を追撃から護ろうとした咲夜が。

 

 

 

 

 

残った者にも、疲労が溜まっていく。

 

「こりゃ、ハァ、ちょっと、ハァ、キツイかもね」

 

「…私ももう飛ぶのが精一杯なんだぜ」

 

「あややや、や。 この継続時間と火力、スペルカードルールを無視してますよね!?」

 

「……姫様。くっ!?」

 

「永琳、抑えろ! 今相手から目を逸らしたら即アウトだぞ!!」

 

「……おぜうさま……咲夜さん……」

 

「!? 美鈴、レミリアたちなら大丈夫だから意識をしっかり持つんだぜ!?」

 

 

 

 

 

「……もうすぐ終わるな。 結局、所詮はヒト、か」

 

パチュリーがダウンしたことによって、今は霊夢の手にある魔導書を見ながら呟く。

 

一瞬、魔導書を優先して黒き水を延ばそうとしたが、今の攻撃を続行して全滅を待つ方が早いと判断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし今回に限って、それは悪手だった。

 

 

 

 

 

『希望』はいつだって、どんな方法で現れるか、分からないものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラランッ!

 

「!? う、うわわ!?!」

 

窓から何かが、(ニョグタ)の目の前に放り込まれる。

 

それは―

 

「な、なんだ、唯の松明か。

…一体誰がこんな―

「凍符『パーフェクトフリーズ』!」

っ!?!?!?」

 

黒き水が、一気に凍っていく。

 

松明と一緒に飛び込んできたのは―

 

 

 

 

 

推奨BGM:『チルノのパーフェクトさんすう教室』

 

 

 

 

 

「ち、チルノなんだぜ!?」

 

紅魔郷2面ボス、チルノ()だった。

 

「あ、しろくろじゃない! しょうぶよ!」

 

「今それどころじゃ無いんだぜ!?

早く逃げるんだぜ! ソイツはお前が叶う様な相手じゃないんだぜ!!」

 

「ふん、だいじょうよ!

なんたってアタイは、さいきょーなんだから!!」

 

言うだけ言って、(ニョグタ)の前まで飛び去っていく。

 

「くっ…! 連れ戻さないと…!」

 

「えっと、大丈夫ですよ? 本当に。 それより魔理沙さんも降りてきてもらっていいですか?」

 

いつの間にか隣に浮かんでいるのは、

 

「……ごめん、誰なんだぜ?」

 

「大妖精です!?」

 

「それより、降りてこい、って―」

 

下を見る。

 

 

自分以外の全員が隅っこの方で一服していた。

なんかデカイ蟹モドキもいるし。

 

 

「」

 

「…えっと、魔理沙さん?」

 

「………アイツらは………

 

それよりチルノ―」

 

 

 

魔理沙の目には、またもや信じられないものが映った。

 

 

 

 

 

チルノが(・・・・)圧倒しているのだ(・・・・・・・・)

 

 

 

「……………ゑ?」

 

「えっと、リグルちゃんの話だと、土の神性は火や凍結に極端に弱いって―」

 

「………つまり、アグニシャインやメギド(火のスペカ)なら瞬殺出来たかもしれないんだぜ?」

 

「えっと、そうなりますね!」

 

次の瞬間、魔理沙の気が遠くなって、そのまま気絶した。

 

 

 

 

 

一方その頃。

 

「えーいっ!

凍符『マイナスK』!」

 

「来るな来るな来るな来るな来るなァァァァァァァァァアアアア!?!?」

 

ニョグタは、遙か太古の火の神性との戦いを思い出していた。

 

結果は惨敗。 冷たき炎(・・・・)に瞬間冷凍された挙句、木っ端微塵にされたのだ。

幾ら神話生物といえど、思考する脳を持つ(取り憑いている)今では最早唯のトラウマでしかない。

 

「ヒィィィイイィィィィィイ!?!?」

 

凍ってない黒き水を叩きつける。

あっさりピチュる。

 

安堵した次の瞬間、

 

「さあつぎよ!

氷符『アイシクルフォール』!」

 

「!?!?!?!?!?!?!?」

 

先人(クト)同じ過ちをやらかす(無限ループ突入)のであった。

 

 

 

 

 

因みに、コッソリスキマから覗いていた邪神2名も震え上がっていた事には誰も気がつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

〜氷精、ありえざるものを蹂躙中〜

 

 

 

 

 

 

 

―10分後

 

「」

 

「だいさんぶ、かんっ!」

 

カチコチに凍った藍と、ドヤ顔でピースサインをするチルノがいた。

 

 

「…取り敢えず、状況を説明して貰って良いかしら?」

 

 

〜幼女説明中〜

 

 

「―つまり、リグルはこの間まで紫のとこにいて、その時に知った相性とかでさっきのニョグタ? をチルノに斃させたってことでいいのかしら?」

 

「えっと、はい! そうです」

 

「ミー君は一旦帰っちゃったんですけど、ボクに懐いたのか戻って来たんですよね……」

 

霊夢は、チラッと横目でリグルの隣を見る。

 

ミ=ゴ(上条が確認済)が頭の先をチカチカさせていた。

 

 

「…眩暈がしてきたわ。

―協力してくれる、ってことでいいのよね」

 

「「はい!!」」

 

「さいきょーのアタイがいればひゃくにんりょくよ!」

 

……………

 

「…もしかして、百人力みょん?」

 

「そうそれよ!」

 

霊夢は緊張状態(シリアスムード)が容赦なく吹き飛ばされていく感覚に気絶しそうになった。

 

 

 

 

 

しかし、自体は寧ろ悪化していた。

 

 

 

 

 

「―文様! 一大事ですっ!!

―って遠山キンジ!?!?」

 

「知り合いなんだぜ?」

 

「いや、俺は見たことないな」

 

頭に兎を乗せた白狼天狗が駆け込んでくる。

 

「何事ですか!?」

 

「…あら? 永琳、あれウチの兎じゃない? 何かしら?」

 

 

 

「―妖怪の山、及び迷いの竹林に多数の魚面の妖が出現! 襲撃されています!!」

 

「「「「なっ!?!?」」」」

 

「…露骨に戦力を削りにきたわね」

 

「現在、なんとか迎撃出来ていますが、突然戦闘を放棄したり同士討ちを始める者が出始め―

全ての天狗に召集命令が掛かっています!」

 

「………」

 

「……迷いの竹林は?」

 

「わ、分かりかねます。

私も椛様に指示を受けて来ましたので…」

 

「そう―」

 

文と永琳は顔を伏せる。

 

 

「おい霊夢、どうするんだぜ!?」

 

「……仕方ないわ。 別れて対処しましょう。

永遠亭組と紅魔館組は迷いの竹林に向かって。

文と魔理沙、キンジは妖怪の山。

敵の拠点には、残りのメンバーで行くわよ」

 

「…その人選は勘か?」

 

「そうよ。 文句ある?」

 

「いや、何も。 霊夢の勘の良さは分かってるからな」

 

「…オレたちも行こうか」

 

キンジたちは、ヴワル図書館を出る。

 

妖怪の山へ。 迷いの竹林へ。

 

 

「さて、と―

リグル! 紫たちが拠点にしていた場所は分かる?」

 

「…場所だけなら。 行き方までは、分かりません」

 

「? どういうことよ?」

 

 

 

 

 

そして―

 

 

 

 

 

「―霧の湖の、湖底。

そこに―」

 

 

 

 

 

物語は、加速する―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―『ルルイエ』への入り口があります」

 





補足説明
ニョグタ:土の神性。 一応旧支配者にカウントされるがかなりマイナー。
なお、今回の個体はこの後霊夢が封印して藍から引っぺがした。
発狂藍しゃま:SAN値直葬被害者その2。
ミー君:ご存知29話でチルノにワンパンされたミ=ゴ。 クトに精神的ダメージを喰らわせた後、ひょっこりリグルのところに戻った。
原典では『人の脳を取り出して生かし続ける技術を持つ』といった話があるので、回復係に。
チルノさいきょー説浮上:対神話生物最終兵器。 妖精特有の無限復活+妖精にあるまじき火力+⑨ゆえにSAN値が減りにくい(と言うより減らない)、の3コンボでクトを苛める。
3⑨話での出番が無かったので登場。
別行動:trpgなんかだと別行動は死亡フラグでしかないが、こんだけワラワラいると全然活躍出来ないキャラが出てくるので。
謎の投稿速度:夏休みに突入したし書きまくるぜヒャッハーっ!!
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