東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】 作:カリーシュ
―迷いの竹林
sideキリト
「―やはり死んでるわね。 それも、同じ死因で」
「………
迷いの竹林に入ってから10分と経たず、オレたちの視界には、異様な光景が映っていた。
深き者と思われるソレが、炭化するまで徹底的に、焼き尽くされていたのだ。
パッと見では人と区別が出来ないほど焼き焦がされ、永琳が調べて、人間には無い器官が見つかったことで、深き者だと分かった。
……てゐ製のトラップで気絶していた個体もいたが。
奥に行けば行くほど、そんな死体が増えていく。
―奥に行けば行く程に。
「…師匠。 これって、」
「迷いなく永遠亭に向かってるわね。
………とすると、この死体の山を生み出したのは、間違いなく藤原妹紅ね。 竹林そのものへの被害が少ないのも、彼女がやったのなら説明がつくわ」
「……ならいいわね」
永琳の予想に対し、生返事の輝夜。
……そういえば、その藤原って人は、『腐食の女』に操られてたんだよな。
「……」
「…キリト、貴方が憤る必要は無いわ。 発見して、取り返せばいいだけなのだから」
「……分かってる、大丈夫だ。
それよりレミリアこそ大丈夫なのか? 日光とか」
傘をさしていないレミリアに声をかける。
フランもそうだけど、吸血鬼が日光に弱いって設定何処行った?
「パチェに障壁を張ってもらってるわ。 戦闘になったら話は別として、ただ移動するだけならこれで充分よ」
「ならいいんだが……」
チラッと美鈴を見る。
「………」
……オレも手伝おうとしたら何故か止められた。
永琳は忙しいし、鈴仙と咲夜は体格的に少し辛いし、レミリアとフランは寧ろ背負われる側だし。
まぁ、その………頑張って下さい。
〜吸血鬼妹従者門番曜日剣士賢者月兎姫移動中〜
「―そろそろ永遠亭に着くわ。 準備しなさい」
竹林を進み―
焼死体が途中から見当たらなくなり、しばらくして、竹の隙間に建物がチラッと見える位置で、永琳が言った。
「オレは準備オーケーだ。 皆は?」
魔強化されたエリュシデータと、紅い剣を引き抜く。
それを合図に、槍が、大剣が、ナイフが、魔導書が、銃器が、展開される。
「…姫様。 もう少しですから」
「……私は大丈夫よ。 いっつも殺しあってるんだから………今回も、その延長みたいなものよ。
―さあ、行きましょう」
―永遠亭 前
「―やっと来たか。 思ったより遅かったな」
永遠亭の前には、1人の女の人がいた。
タバコを咥え、手に黒いボール状の物体を転がしているのは―
「……妹紅。 貴女、正気なの?」
…あの人が、藤原妹紅、か。
なんというか……元の世界でいうヤンキーみたいな人だな。 目つき悪いし。
「あ? 正気? ……正気に決まってるだろ。 何時までもあんなふざけたヤローの言いなりになんかなるかよ。 ヒトの頭ん中でテケリリテケリリうるさかった奴もぶちのめしてあるし。
寧ろ今は良い気分だ」
ゴッ―
「――――?!?!」
手にしていたボールに火がついた瞬間、断末魔が響き渡る。
その絶叫は数秒続き、最後はただの炭と化した。
「……今のは、一体、」
「ん? 誰だいアンタ?
……まあいいか。 今土に還したのはショゴスっつって、頭ん中に入り込んで来て身体の支配権乗っ取る奴だ。 コイツだけなら大したことないんだけど、妙にしぶといもんだから、取り除くのに手間取ったんだ」
「」
……ショゴスって、アレだよな?
さっきボコボコにされて、藍さんから強制退場させられた、土の神性の小型版みたいな奴だよな?
…相性の問題もあったんだろうが、瞬殺されすぎだろ。
ま、戦闘の必要が無くなったならいいか―
「…そう。
―それで、妹紅に憑いている貴方は誰?」
「……オイオイ、私は正真正銘の藤原妹紅だぞ」
「そ、そうですよ。 波長も、いつもの妹紅さんですよ」
輝夜は、真っ直ぐに、正面から妹紅を見つめて、
「……私は、もう何回も妹紅と殺し合ってるわ。 自分の目の前にいるのが、妹紅か、それ以外か位の見分けは着くわ」
断言した。
推奨BGM:『旧支配者のキャロル』
【「―ほぅ。 流石は月の姫。 聞いていた通りの娘だったな」】
『『―!?!?』』
一気に、気配が変わる。
ガラの悪い人、だったのが、
アインクラッドのクオーターボスクラス―
―いや、違う。 そんなかわいいものじゃない。
もっと邪悪で、冒涜的で、おぞましい『ナニカ』に―
【「―やはりこの娘の躰は我と相性が良い。 あのクズに召喚され、この躰に押し込まれた時は、同盟を結んでいた風の神性共々嘆いたものだが―
まさか我の力に頼らず、己自身の力のみでクズ共の支配から逃れたのだからな」】
酷く歪んだ笑顔で、語る。
「……じゃあ、妹紅は勝ったのね」
【「いかにも。 貴様らが敵対している水の神性には打ち勝った。
その後この場に逃げ込み、そこで初めて我に気がついた……」】
ナニカは、笑い続ける。
【「我にとっても、初めての経験だった! 何かを焼き滅ぼす以外の為に我に力を求めた者は!!
……我はこの娘に力を与えた。
月の姫よ。 この娘が我に何を願ったか知っているか?」】
「私を抹殺する力でしょ? そんな分かりきったこと、今更―」
【「―この娘は、貴様に命の尊さを理解することを求めたのだ!!!」】
「…………え?」
輝夜の顔が、驚愕の一色に染まる。
【「…確かに、我の力があれば、所詮人のたどり着いた不老不死如き、魂ごと焼却し、葬り去ることが出来る。
この娘は、それを知った上で、貴様の完全な死を望まなかった。
……月の姫。 貴様は、この娘の父を死に追いやった時の、この娘の気を理解出来るか? あれ程の憤怒……それも数百年に渡って、あの激情を維持し続ける程の―
貴様に理解出来るか?」】
「……………」
輝夜は、完全に黙り込んでしまう。
【「……だからこそ―
―我は貴様らを、一滴の血も残さぬよう焼き尽くしてやろう」】
『『……へ??』』
ちょ、今までの命の尊さうんぬんはどこ行った!?
【「本来なら今すぐにでも我の封印を解き、土のクズ共を滅却しなければならないが……………
さっきも言ったが、我は今
宣言した瞬間、妹紅の身体が炎に包まれる。
同時に、ニョグタとは比較にならないほど強烈な圧迫感が全身を覆う。
【「……我は炎の神性、『クトゥグア』。
旧支配者最強の邪神の力の前に、ひれ伏し、恐怖し、無様に命乞いをするがいい!!」】
―vs
―【生ける炎】―
―【クトゥグア】―
「―来るぞっ! 全員避けろっ!!」
ゴウッッッッ!!
クトゥグアの突き出した掌から、真っ直ぐに火柱が延びる。
「ちっ―」
永琳が矢を放ち、追随するように咲夜のナイフがクトゥグアに迫る。
が―
ボッ!
「なっ!? 一瞬で!?」
その全てが途中で炎上、消滅した。
「火を消すには、冷やすのが一番手っ取り早いわよ!」
パチュリーが、スペカとは別の呪文を唱える。
「物体を焼くことは出来ても―
―エネルギー塊はどうかしら!!」
レミリアの右手に、槍状のエネルギーが凝縮される。
「さっきは失敗しましたが……
今度こそ!!」
鈴仙が、相手と目を合わせる。
その3人に対し、
【「……邪魔だ」】
ポツリと呟いただけで、
ゴッッッッッッッッ!!
さっきまで3人のいた場所に、大爆発が起き、一撃でボロボロになる。
「きゅっとして―」
【「……させる訳なかろう」】
今度は、腕が振り下ろされる。
その動きに合わせ、人間大の火球が発射される。
「妹様!?
―ガッ?!!」
咄嗟に美鈴が庇ったが、2人揃って竹林に吹き飛ばされる。
「……クトゥグア。
お前を、許さない!!」
エリュシデータを後ろに引き絞る。
「―『ヴォーパルストライク』!!」
発生させたのは、重単発突進突き。
そのソードスキルが、
あっさり奴の身体に突き刺さった。
「―な!?!?」
咄嗟に引き抜こうとするが―
【「……おやおや。乙女の柔肌を傷つけておきながら、何もなしか?」】
剣が更に深く刺さることを無視して、奴がオレの首を鷲掴み、放り投げる方が速かった。
「ぐっ……ゲホッ、ゴホッ!」
どういうことだ……確かに突き刺さった筈………
【「……調子を試す為にワザと焼壁を解除したが………
成る程。 この不老不死、貴様ら程度を相手取るには充分過ぎるようだな」】
そう言いながら、突き刺さったままのエリュシデータを引き抜き、へし折った。
さらに、傷口が、燃え上がって―
塞がった、だと……?!?!
【「………飽きた。 終わりにしようか―」】
言うと同時に、腕を水平に払う。
その軌道に沿って発生した、黒い線が、オレたちを貫いて―
補足説明
クトゥグア:単純な戦闘力なら旧支配者最強クラス。 原典でも解釈によっては、『外なる神』を眷属扱い出来るほど。
エリュシデータ:あっさり折られる。 多分出番はもうナイ。
エリュシデータ「解せぬ」
妹紅の想い:同じ『永遠』の檻に閉じ込められた2人なんだから、仲良く出来る妥協点があってもいいんじゃないかと考えたうp主のオリ設定。
…どっかの脳ミソ爆薬野郎が滅茶苦茶にしかけてるけど。