東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】   作:カリーシュ

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50話 世界の真実

―????

 

side士道

 

 

 

―ブォン―

 

「うぉ!?

……何処だよ、此処?」

 

―炎の塊の様な邪神をどうにかして幻想郷から追い出し、さあ後はルルイエに突っ込むだけだって時に……

 

 

……それにしても、気味が悪い所だな。

 

緑や黒が基調でこそあるが、名前も知らないような色全てをブチ撒けたような暗い色彩。

 

おまけに緑色の石柱がねばねばした液体に濡れていて、あらゆる線と形が歪んで、まるで完徹したアル中患者が腐ったカエルの死体を見ながら書き殴った絵図通りに街を造ったように、完全にトチ狂っていた。

 

「……場所もそうだけど、瞬間移動(テレポート)、だよな? 今の。

幻想殺し(イマジンブレイカー)があるのにどうして……」

 

「い、言われてみれば、確かに」

 

 

……場所も場所だし、気が滅入りそうだな。

 

 

「……ここで立ち止まっていても仕方がない。 移動しよう。

キンジ、方角は分かるか?」

 

「分からん。星も太陽も無いからな。 コンパスは魔理沙が借りてった(盗んだ)し。

ま、大丈夫だろ。

 

―向こうから迎えに来たみたいだしな」

 

? それって、誰か近付いて来てるってことだよな? どこだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―よく気がついたわね。 気配はしっかり消しておいたんだけど」

 

「……薄気味悪いの追加かよ」

 

話しかけてきたのは―

所謂デッサン人形というヤツだった。

 

ただし、等身大で勝手に動く、が前に付く。

 

 

「―普通の消し方じゃないだろ。 消し過ぎて逆に分かりやすかったぞ」

 

「後学の為にどうして気がつけたか聞いても?」

 

「俺の気配探知は、足音とかを探るのとは別に、弱い魔力をレーダーみたく円状に撃って、その反射でも気がつけるようにしてあるんだ。

そんななかで、何も無い筈の空間から魔力の反射すら返って来なかったら、誰かしら隠れてるのは分かるからな」

 

「その理屈だと反射する物体の無い開けた空間においては全く効果が無いんじゃない?」

 

「それか? 前に河童(にとり)の光学迷彩を一発で見破ってやったら、対抗意識かは知らんが新しい迷彩を作りまくってな。 今言ったただのレーダー式だと、吸収素材を使ってきた時に気づくのが遅れてから、魔力は一定距離進むと自動で戻って来るよう設定してある」

 

「……吸収型はそれで気がつけるとして、じゃあ反射そのものを少なくする相手だったら?」

 

「それなら、さっきのオート反射の応用で―」

 

 

 

 

 

……………

 

「……アイツの言ってる意味分かる人ー?」

 

「意味不。 学園都市の科学者なのか、アイツら?」

 

「半分くらいは、なんとか」

 

デッサン人形とキンジが、何やら語り始めたんだが。

 

取り敢えず言わせろ。

お前何の為に出て来た!?

あとにとりは何やってるんだよ?!

 

 

 

「―つい話し込んじゃったわね」

 

「確かにな。

………お前ら、どうした?」

 

「…脳筋だと思ってた奴が呪文唱え始めたから驚いてたんだ」

 

「オイコラ当麻それどういう意味だ?」

 

「そのまんまの意味だよ!

平気で音速越えて人を数十メートル吹っ飛ばせる奴が脳筋じゃないなんて誰が思う?!」

 

「「「お前も似たよなもんだからな幻想殺し(イマジンブレイカー)?!?!」」」

 

「?」

 

思わずツッコミ。 お前も普通にパンチ一発で数十メートル吹っ飛ばせるだろ。

 

 

「……貴方達はコントをしにここまで来たのかしら?」

 

「いやいやそっちが最初から普通に出て来たらキンジと語り始めることもなかったから!?」

 

「ならダンボールを被って来た方がよかった?」

 

「頼むから普通に出て来い!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―さて、もう察しはついてると思うけど、コレを遠隔で動かしてるのは、貴方達の言う『腐食の女』。

ここ、ルルイエの案内をするために即席で作ったんだから、壊さないでよね」

 

「………」

 

 

……無意識の内に、灼爛殲鬼を出す構えになっていた。

霊力ほぼカラだからライターくらいにしか出てないケド。

 

―改めて見ると、全員厳しい状態だな。

霊力の類を持てない当麻は別として、オレ、キンジ、キリト、そろって殆ど霊力、魔力、妖力が空だ。

それに、キンジは右腕に問題があるのか、ホルスターの拳銃に添えてる手が左手だし、キリトも剣が1本足りない。

 

 

「……安内か。 何処へのだ?」

 

「決まってるでしょ。

―今、私がいる所よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜精霊武偵剣士幻想殺し人形移動中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ルルイエ 最深部

 

 

この人形の先導で、ルルイエを進むこと10分ちょっと。

 

 

 

 

 

そこに、あの『腐食の女』はいた。

 

 

 

「―久し振り、だね。 4人とも。

名乗り忘れてたから言うけど、クトだよ」

 

「……獰妖異変以来、になるな」

 

開けた場所の一番奥にある鎖が巻きついた椅子に、足を組んで座っている少女。

 

戦闘が始まった訳じゃないのに、既に重圧がのし掛かってくる。

 

「…? あ、『永夜異変』か。 確かに霊夢達が想定よりずっと早く動いたから、夜を止める必要がなかったし、名前も変わるか」

 

「永夜異変? ………何を言ってるんだ、お前は?」

 

その質問を待っていたと言わんばかりに両頬が吊りあがり、

 

 

 

 

 

「世界の『真実』についてさ」

 

 

 

 

 

―そう、言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―先に聞くけど、何処まで知ってる? 士道と当麻は紫から多少は聞いてるでしょ」

 

「……オレたちがいた場所と、幻想郷は陸続きじゃない、異世界ってことと、アンタたちが神話で語られる生物ってことくらいだな。

急にこんな薄暗い所に連れて来られなきゃもうちょっと聞き出せたんだが」

 

「あー……

後で謝っとこう。 ゆかりんファイト」ボソッ

 

「?」

 

「なんでも無い。

―さっき士道が言っていた事には、幾つか、決定的に足りない点がある」

 

「…勿体ぶらずにさっさと言え。 もう面倒な謎はたくさんだ」

 

「じゃあ、一番重要なことを一言で言おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―私達もお前達も、全て作り話(・・・)の存在だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………は?」

 

 

内容が飛躍し過ぎて、理解出来ない。

 

 

「…どういう意味だ? 作り話って、何かの例えか?」

 

 

思考停止したオレに代わって、キンジが話を進める。

 

 

「いや、そのままの意味。

フィクション、御伽噺話、エンターテイメント、創作物、まあ言い方は色々あるけどね」

 

 

「……俺たちの記憶も、経験も、何もかもが作られたモノだってことか?」

 

 

「完全には違うけど、そう思ってくれて構わない」

 

 

……だとしたら、オレたちの、オレの今までの人生って―

 

 

「……完全には違う、って言ったな。

何が違うんだ?」

 

 

今度はキリトが、パンドラの箱の中身を取り出す。

 

 

「んー………

話は飛ぶけど、パラレルワールドって知ってる?」

 

 

「……平行世界のことか? そこで創作されたモノが、別の世界に影響を与えるとかか?」

 

「惜しい。

それぞれの世界には『コア』になる世界があって、それがエンターテイナー(製作者)以外介入不可能の、完全なる『作り話(原作)』。

で、その周りに存在する、私みたいにある種の能力者が入り込めるのがパラレルワールド。

基本的にパラレルワールドは『コア』に沿って進むから、まあ介入や誤差を除けば、そのまま『コア』と同じ道を辿る。

だから、完全には違うって言った」

 

「………つまり、幻想入りしたオレたちは、お前の介入を受けた結果だってことか?」

 

「モチロン。 紫の境界操作単体じゃ、そこまでの大事は出来ないからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―『ありとあらゆるモノを狂わせる程度の能力』。

それが、私の能力」

 

 

 

 

 

「………その『コア』は、誰が生み出しているんだ?」

 

「それぞれの世界、『コア』とパラレルワールドの両方」

 

「……つまり、創作が創作をしてるってことか?」

 

「今は、ね。

私も聞いた話だから、証拠は無いけど………

ちょいと昔話に付き合っておくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔は、世界は1つしかなかった。

 

そこは、魔法も、魔術も、超能力も、神仏も、妖怪も、天国も、地獄も無い。

夢も、終焉も無い。一番最初の、ちっぽけで、ツマラナイ世界。

 

けれどある日、人々が『ある存在』を意識し始めた。

 

 

意識は認識に。

 

認識は理解に。

 

理解は畏怖に。

 

畏怖は信仰に。

 

 

そうやって人々に意識(信仰)された存在は、やがて、ハッキリとした意識を持つようになった」

 

 

 

……それって、まるで、

 

 

 

「……まるで、神、だな」

 

「その通り。 のちに創造神だとかヤオヨロズだとか言われる存在の、原型。……話、続けるよ。

 

 

 

 

 

 

 

―しかし、『それ』は無力だった。

いくら信仰され、生贄を捧げられ、認識の違いによる戦い(宗教戦争)が起きようと、『それ』は所詮、現実に介入することは勿論、人の意識にすら語り掛けることが出来なかった。

 

……そしてそのまま、永い時が流れ、かつて信仰されていたモノが解明され、畏怖されなくなっていっても、『それ』は形を変えて存在し続けた。

当時の人々の生み出した、異世界の意識を取り入れることで」

 

「……その、異世界の意識ってのは、」

 

「―作り話。

 

神話からゲームのシナリオまで、様々な『異世界』が生まれては消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

―そして、ある日。

突然、その時は訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―『それ』が自害し始めた」

 

「「「「!?!?」」」」

 

自害―自殺って意味だよな!?

 

「自分達の世界で見た事ない?

バッドエンド、終焉エンド、全滅エンド、ループエンド―

 

主人公が、最悪のカタチでエンディングを迎えた話。

 

 

 

 

 

 

 

―トリガーの物語がなんだったのかは、もう、誰にも分からない。

ただ一つ、確かなのは―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それ』が、生まれてから死ぬまでに、唯一、その世界に最初で最後に出来たことは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界を、終わらせることだった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

もう、誰も喋れない。

想像の斜め上すら当の昔に突き破り、最早、理解の範囲を超えている。

 

 

「……崩壊した世界と『ソレ』の破片は、『ソレ』の生前の習性からか、或いは偶然か奇跡かで、幾つかの塊になり、世界は、分裂して、再生し始めた。

 

―一度崩壊し、分裂し、幾つもの作り話(異世界の種)を持った世界は、やがて別の道を歩み始める。

 

神仏のいる世界。 超能力がある世界。 エイリアンが開国させた世界。 ダメ人間量産機が未来から来る世界。巨大な竜が闊歩する世界。

……挙げていけばキリがない。

 

さらに、新たな世界は、旧世界から生み出されたことで、本来作り話において重要視されない存在―

所謂モブキャラ達にも、ハッキリとした人生を歩める世界になった。

 

 

 

―そして世界は、数を増やし続けながら、歴史を繰り返す。

『ソレ』の子供達が、最初からシナリオ通りに介入出来る、その違いを持って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―これで昔話はお終い。

今の『コア』は、別世界の『コア』とパラレルワールドに存在する、旧世界のエンターテイナーと同じ人物が作り続けている。

そしてパラレルワールドは、ボツになった展開や、他人の作った二次創作が『コア(原作)』に介入しようとした結果生まれた世界。

 

 

……これが、全ての―

 

『世界の真実』」

 

 

 

 

 

……………

 

「……つ、つまり、オレたちは―」

 

 

そして―

 

 

 

 

 

トドメの一言を、聞かされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―『五河士道』も、『遠山金次』も、『桐ヶ谷和人』も、『上条当麻』も、

『士道の姓が本来は五河ではない』のも、『アンベリール号事件』も、『SAOのデスゲーム化』も、『上条当麻が不幸』なのも、全て、全て、全て―

 

 

 

 

 

作られた『設定』。

読者や視聴者を笑わせ、涙させ、嘲笑せるための、『作り話』。

気が向かなければ消される、替えが効く、都合の良いように動かされる『操り人形』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ウソだ」

 

根本的な、生物としての原始的な恐怖が湧き上がる。

 

「……オレは、…………嫌な事もあったけど………1人の人間として………家族で…………」

 

「なら聞こう。

―お前らは、全てを思い出せるか?

クラスや親戚1人1人の顔名前。 自分の今までの思い出。 その、全てを。

………『主人公』はまだマシな方だ。

『読者』に読んでもらうのに、その人物の人生十数年分の経験をしっかりと決めていることはほぼ無い。

モブや脇役でしかない存在など、顔や名前、どれくらいいるといった数ですら曖昧なことだってある。

 

 

 

 

 

…………もう1度、ハッキリ言おう。

お前らは、作られたモノだ」

 

 

―目の前が、暗くなっていく。

今聞いた話を拒絶する―いや、

理解してしまったからこその、自分自身への拒絶か―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――だからどうした」

 

「……?」

 

……とう、ま?

なんで、おまえ、は、

 

「―世界から不幸で溢れかえってるのも、特定の誰かが信じられないくらい重いモンを背負ってる根本的な原因も分かった。 たったそれだけだろうが。

だったら、俺のやるべきことは変わらない」

 

 

……いや、愚問だったな。

 

 

 

「―このチカラが、顔も知らない誰かに押し付けられた『呪い(設定)』だとしても、

 

―その結末が、レールに沿って進められた終着点だっととしても、

 

 

―俺たちが、絶対に抗う事すら出来ないってタカくくって眺めてるなら―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―まずは、そのふざけた『神サマのシステム(幻想)』をぶち殺す!!!

 

 

士道!! お前を兄だなんだって慕ってくれてるルーミアは、どの世界探しても1人だけだろうが!!」

 

「―っおう!」

 

「キリト!! この際だからぶっちゃけるが、本音はなんだこのロリコンって思ってた! でもそれでいいじゃねえか、お前らしくて!!」

 

「なにがいいのかサッパリ分からん。 が―

大人しく受け取っておく」

 

「キンジ!!―」

 

「………」

 

「……悪りぃ、咄嗟に出ねぇ」

 

「「「おぉぉぉぉぉぉぉい!?!?!?

そこはラストビシッと決めろよ!?!?!?」」」

 

 

―空気が、一気に澄んだ。

 

 

 

 

 

異世界? パラレルワールド?

作られた操り人形?

 

 

 

 

 

 

―だからどうした。

 

 

 

 

 

 

オレは、オレだ。

 

 

幻想入りして、霊夢たちとバカやって、騒いで、宴会して、弾幕ごっこやって―

 

 

 

それが、オレ(五河士道)だ。

 

 

 

 

 

 

 

―本来なら、別の道を歩んでいたのかもしれない。

別世界のオレは、実際歩んでるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

―なら、そっちは任せたぞ、オレ(・・)

 

 

 

オレは、―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレ(この世界の五河士道)のやるべき事をやるだけだ。

 

 

 

 

 

「お前が『オレ』を否定するなら、

―オレは『お前』を否定する!!!」

「この桜吹雪―

―見忘れたとは、言わせない!!!」

「コンティニュー?

―お前に次は無い!!!」

「テメェが、神サマみたいな能力で世界を滅茶苦茶にするってんなら、

―まずはそのふざけた『幻想』をぶち殺す!!!」

 

 

「……やっぱり受け入れ、その上で立ち上がるか。 流石各作品の主人公―いや。

もう、別モノ(・・・)だな。

―いいだろう」

 

 

 

クトは、椅子からゆっくりと立ち上がり―

 

 

「終わらせようか。

 

 

―『幻想()異変』、最後の戦いを!!!

 

この私を止めてみせろっ異変解決者!!!」

 

 

 

 

 

―最終決戦が、始まった。

 

 

 

 

 





補足説明
クトの能力:物体概念に干渉し、狂わせることによって、自分の望むモノに変えることが出来る。
世界の真実:ざっくり言えば、
原作者が作っている原作=コア。
パラレルワールド=コアへの干渉によって生まれる別世界。
俗に言う二次創作。
放置すればコアと同じように進むが、干渉の度合いによっては崩壊・消滅する。
紫もこの事は知ってるが、昔話を知らない為、創作物云々は知らない。
よって「よく似た世界が幾つもある」程度の認識。
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