「パトロール行ってきまーす」
「気を付けるんじゃよー」
いつもの挨拶…ワシにとって自慢の息子…アンパンマンが今日もパトロールに出掛けた。
血縁関係はない…じゃがワシとばたこさんが一生懸命作ったパンに命が宿った…ワシらの愛しい子供。
フフッ!ワシが父なら、ばたこさんは母か♪
アンパンマンは健やかに成長し今では人々を救うためにヒーローとしての日々を過ごしている。
じゃが…
最近、アンパンマンはいつも元気がない…
笑顔を見せることも無くなり、口数も減っていった…
昔はあれほど感情豊かで明るかったと言うのに…
もしかしたら疲れているのかも知れない…
…よし!今日はアンパンマンを労おう!!
顔のパンもいつも以上に手間隙掛け、美味しい料理を作って、いつも頑張っているアンパンマンと一家団欒楽しく過ごそうじゃないか!!
いつもアンパンマンは頑張っているんだ!
たまにはそんな穏やかなひとときがあっても良いじゃないか!!
そうと決まればこうしちゃおれん!ばたこさんやーい!
ワシは、ばたこさんにこの事を話した。当然ばたこさんも喜んで承諾した。
…アンパンマン、お前もこれでまた…ワシらに元気な姿を見せておくれ…
…準備は終わった。あとはアンパンマンが帰るのを待つだけじゃ。
ガッチャ…キィ…トン!
「…」
アンパンマンが帰ってきた…その表情はいつもと同じ無表情…とうとうただいまという挨拶もない…
「何かあったのかい?ただいまも言わずに…」
ワシは心配になり、アンパンマンにそう尋ねた。
「どうしたの?…アンパンマン」
ばたこさんも心配になったのだろう…アンパンマンの元へ歩み寄った。
アンパンマン…色々思い詰めていることがあるのだろうが…ワシらは家族だ…どんな辛いことでも分かち合うのが家族…いや、親の務めじゃ。
だから…アンパンマン…
ボキッ! 「え!?」
ばたこさんはその声を最後に物言わぬ骸となった。
ワシには理解することが出来なかった…
結婚こそしていなかったが、ワシにとっては妻のような存在のばたこさん…アンパンマンにとって母親同然のばたこさん…アンパンマンに殺された…ばたこさん…!?
「ば、ばたこさん!?…アンパンマン…何を?」
ワシには理解できなくて、でも体は理解したのだろう…恐怖のあまり腰が抜けて立つことすら儘ならない…
アンパンマンがこちらに近づいてくる。
何故じゃ…何故アンパンマンは無表情のままなんじゃ…
何故…アンパンマンの目から涙が流れ落ちているのじゃ…
何故…何故…何故…何故…!?
「何故なんじゃ…アンパンマグゥッ!!?」
ワシがアンパンマンに声を絞り出すように尋ねたのとアンパンマンが顔を殴ってくるタイミングは同じじゃった…
顔を殴られる
「止めるんじゃ…アンパ」
ワシの言葉は届いていないのだろう。
「止め…」
アンパンマンは何度もワシの顔を殴り続ける。
ダメじゃッ!それ以上罪を重ねたら…お前は…
その後ワシは何度も止めるように言ったがアンパンマンには届かない…
どうして…どうしてなんじゃ?アンパンマン…
「どう…して…アンパンマ…ン」
ワシらは、家族では無かったのか?
その直後ワシはアンパンマンの拳によって意識を刈り取られた…
ウゥ!…ここは…ワシはいったい…
痛みに耐え、辺りを見回すとそこはパン工房だった…
いつもと変わらないパン工房の設備、いつもと違って血塗れの床、いつもと違って物言わぬ骸となったばたこさん、いつもと違って倒れ伏したまま永眠っているアンパンマン…
やはり…あれは現実だったのか…
アンパンマン…すまない…お前の苦悩に気づいてやることが…できな…く…て
ばたこ…さん…や…ワシらはアン…パ…ン…マンの親失格だ…たんだね…
ワシも…もう…すぐ…二人…の…元へ…行く…よ。
そうし…たら…今…度こそ…3人…一家…団…欒…で…
Fin
なんか思い付いたのでつい書いちゃいました。
またこんな感じで書いちゃうかもしれません♪
ここまで読んでくださりありがとうございましたm(__)m