第一話 ろくでなしの転生者
とある山奥にある大きな古い屋敷。その地下室に一人の老人と中学生くらいの少女がモニターに写った少年の写真を眺めていた。その老人の回りには無数の蟻が至るところにいた。
「………でどうなの?」
「彼はこのご時世には珍しい少年だ」
「少年院に入ってるのに?」
「正義を求めた結果だ。彼ならきっと協力してくれるはずだ」
同時刻、義正少年院。
「オラアッ!!」
「ぐほおっ!!」
男の拳が俺の腹に食い込む。こんな始まり方をする話もそうないでしょ?さてと俺もやられただけじゃ終われないんでな。俺は男の顎を狙って拳を放った。男は床に倒れたが俺は追い討ちを掛けず手をさしのべた。男は俺の腕をつかみ起き上がり俺達は抱き合った。
「ハハッ、最後くらい俺に勝たせろよ純一」
「悪いな、また俺の勝ちだ。やっぱり俺の左フックが強いね」
「寂しくなるわー純一」
「この儀式やっぱ変だよ」
これはこの少年院に伝わる退院の儀式と呼ばれるものだ。一ヶ月半という短期間で俺はこの場所で数多くの体験をした。ここにいる連中は悪い事して入れられた奴等ばかりだけど本当はいい奴等なんだ。まあ喧嘩っ早いのがたまに傷だ。
俺は私服に着替え荷物を持ち、少年院でできた友達と挨拶を交わし少年院の門を出た。この日は眩しいくらいに雲がなく晴天だった。さてとようやく挨拶だ。俺の名は蟻吉純一、メタ的にに言えば俺はみんなが言う転生者でオリジナル主人公ってやつだ。両親は幼いころに亡くなり親戚の叔母さんが引き取ってくれた。
さてそんな俺がなぜ一ヶ月半とはいえ少年院に入るハメになったか。実はある会社が汚職をひた隠しにしていて、俺の従姉弟のお母さんがそれを公表しようとしてリストラされたんで俺が会社に忍び込んでその汚職をネットに流したんだ。それでそこから逃げるとき、ついその会社のクソッタレ社長に腹がたって一発だけ殴ってしまった。おかげでこの通り一ヶ月半を少年院で過ごすことになったわけだ。それじゃあ本編に戻るぜ。
「もうすぐ迎えに来るはずだけど」
「オーイ純一!」
『♪~♪~♪~』
近所迷惑もお構いなしにデカイクラクションを鳴らし少年院の前に一台の軽トラが止まった。またラクカラーチャに戻したのか。そしてその軽トラから顔を出したのは俺のバカ従姉弟である蜂賀長門21歳独身、職業セクシー女優。正直思春期の少年の身内がセクシー女優なんて勘弁してほしい所だけど。
「長門恥ずかしいから音量下げて」
「それで少年院は楽しかった不良少年?」
「不良?なら叔母さんを首にしたあの社長はヴィランだな」
そうそう、この世界に転生して驚いたことがある。この世界の住人の半数は個性と呼ばれる特殊能力を持っている。因みに俺にもその個性があってリダクションて呼ばれてる。俺の体を身に付けているもの込みで1.5㎝まで縮小する。左腕につけてあるリストバンドで1.5㎝を維持しているんだ。でもこのリストバンドがなかったら永遠と縮んでいってしまうと診断された。
最初はDCのアトムとかマーベルのアントマンやワスプと同じ能力だと喜んだけど今思えば身長が1.5㎝なんて不便過ぎだ。俺も一応オリ主なわけで何か変化を期待してたんだけど一向にアトムスーツもアントマンスーツも何も手にしていない。このまま行けば俺はただ小さくなれるだけの男で第二の人生が終わりそうだよ。それでもヒーローににはなりたいんだ、前世から憧れてたからさ。長門は急にブレーキを踏みシートベルトをしていない俺は頭を打ち付けた。
「ああっ!?」
「ああーもう!また事故!?」
「ててて……長門あれ見ろよ」
俺の目線の先には野次馬がうじゃうじゃいた。そしてその先にはコスチュームを来た人達がバカデカイ怪物と戦っていた。これが俺の元いた世界とは違うポイント、現実世界にスーパーヒーローがいることだ。主にこの世界でのヒーロー活動は職業とされておりヒーロー活動をするには資格を取らないといけないんだ。スパイダーマンやキックアスが羨ましく思うね。どっちにしろこんな光景俺のいた世界じゃ有り得ないけど。
「仕方がない遠回りするか」
しぶしぶ長門は軽トラを迂回させ遠回りをして家を目指した。その数十分後、俺の家である蜂賀宅に到着した。俺は数日でホームシックになったほどこの家が好きだ。家にいるときが一番ほっとするよ。
「ただいまー」
「純一イ!!」
ドタドタと玄関先まで年甲斐もなく走ってきたのは長門の母親である恵。あの会社を首になった張本人である。年は僅か38歳、近所でも評判の美人ママさんである。この人は俺のこの世界の母さんの妹に当たる人で身寄りのない俺の面倒を見てくれた。
「ただいまメグ叔母さん」
「ごめんね叔母さんのせいでこんなことになって」
「俺が勝手にやった事だから謝らないでよメグ叔母さん。それより俺お腹すいたな、今日のご飯は?」
「今日はね純一の好きな食べ物ばっかりだよ!手を洗って早く食べようよ!」
叔母さんも苦労人で高校生のときに長門を出産し女手一つで育ててきた。そして成人後あの会社に就職したけど本人は入社した時からあの会社は何か悪いことしてると感じてたらしい。例の会社の話は追い追い語るとするよ。それじゃあ俺はメグ叔母さんの手料理を食べてくるんでまた後で。
次の日、学校に復帰した俺は放課後担任のところに向かった。昨日、俺が帰ってくる前担任が進路希望の紙を家に持ってきたみたいで近めの高校を選んでおいた。一応希望の科はヒーロー科にしておいた。職員室に入ると先生達の目線がやけに痛い、俺も問題児のレッテルを張られるようになったってわけか。
「もう戻って来たのか?」
「これ進路希望の紙」
「………おい冗談だろ?ヒーロー科を目指してるのか?」
「そうだけど」
「止めとけ止めとけ。少年院に入ってたお前を取ってくれるヒーロー科なんてあるわけ無いじゃないか」
「探せば一つくらい「無いね」あーもうそこまでキッパリ言わなくても!」
「俺はお前の事を思って言ってやってんだぞ?もう一枚用紙をやるからもう一度よく考えてみろ。どうしてもヒーロー科に行きたいと言うなら止めはしないが見込みはほぼゼロだぞ?」
「ご忠告どうも」
このオッサンどうせ自分が恥をかきたくないだけだろうが。少年院に入る前からこいつは嫌いだったけど出てからは余計嫌いになったよ。本当こういう教師はムカつくよな。ドラマとかにいるウザイ教師がそのまんまテレビから飛び出してきた感じだ。
俺は進路希望の用紙をふてぶてしく取り職員室のドアを思いきり閉めた。そして俺は鞄を持ち中学校を後にした。そして家の近くの公園に少し立ち寄ることにした。
俺は進路希望の紙をゴミ箱に捨て近くのベンチに座り込んだ。全く、たった一ヶ月半少年院に入っただけなのにここまで差別されるなんて。本当に今思えば馬鹿なことをしたな。でもあのクソッタレ社長の驚いた顔、思い出しただけで笑いが込み上げてくるよ。とその時、一人の老人がベンチに座っている俺のもとにやって来た。あれ?このじいさん見覚えがあるぞ。
「蟻吉純一君だね?」
「ハイそうですが」
「私はハンク・ピム、ピムテックのCEOだ。君にいい話があるんだが?」
ハ、ハンク・ピムだって!?ハンク・ピムあの初代アントマンで奥さんのジャネットに手を上げたことで有名だ。この世界にはマーベルもDCコミックスも無ければ仮面ライダーもスーパー戦隊もウルトラマンも存在しない。似ているのはあるけど。ともかくそんな世界にマーベルキャラのハンク・ピムがいるってことはこの人本物のアントマンなのか?
「ええと、何の話?」
「君は今志望している高校を全て断られているそうじゃないか?」
「あー、何でそれを知ってるの?」
「そこでだ………雄英高校を受ける気はないか?」
「………は?」
次回、与えられた機会
オリ主の設定は次回書きます。原作に入るのはもう少しあとになります。それでは感想お待ちしてます!