THE BEE   作:タイムパラドックス

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いやはや小説を書くのは難しいと本当に痛感します。


第二話 与えられた機会

訳もわからず俺はピム博士に誘われ山奥の古い屋敷に連れてこられた。例えるならバイオハザードに出てくる洋館だな。携帯のローミング料金だけで軽く貯金が吹き飛びそうになるくらいの田舎だし。それにしても何でこんな所に連れてきたんだ?

 

「さあ入ってくれ」

 

ピム博士に言われ俺は屋敷の中に足を踏み入れた。古いが広々しててスッゲー洋風だ、こんなのテレビ以外でみるのは初めてだ。ピム博士は驚いている俺をリビングに招き入れた。椅子に座るよう言われたので俺は言われる通りに座った。

 

「紅茶はいかがかな?」

 

「あー、頂きます」

 

テーブルの上にあるティーポットからお茶をカップに注ぎ俺の前に出してくれた。すると驚いたことにテーブルの上にある角砂糖がひとりでに数個此方に寄ってきた。よく見てみるとその角砂糖を動かしていたのは蟻であった。

 

「砂糖はいくつ?」

 

「じゃあ二つ…………いややっぱり結構」

 

一気に飲む気が失せたよ。しかしよく部屋の中を見てみると無数の蟻たちが縦横無尽に這いずり回っているじゃないか。中には小型のカメラ背負った蟻までいた。

 

「所で何で俺がやったと分かったの?新聞に名前は載ってなかったはずだ」

 

すると紅茶を啜った博士は再び口を開いた。

 

「ハハッ、私の情報網にかかればたやすい事だ。君はその歳でこの国で一番警備が強化されているスタング社に侵入し汚職をネットに拡散した。一体どうやったんだ?君の個性を使ったのか?」

 

「…………個性を使うのは……フェアじゃない、それに俺はこう見えて機械いじりが好きでね、警備システムをハッキングして侵入した」

 

今まで生きて来た中で一番エキサイティングな経験だった。まさか前世の技術者としての腕はまだ廃れてなかったなんて驚いたよ。それにしてもあのレベルで一番とか笑わしてくれる。あんなものへのつっぱりはいらんですわ。

 

「所で、一つだけ言わしてもらっていい?あんた何がしたいの?俺はなんで呼ばれた?それにこの家の執事は蟻なわけ?」

 

「何から話せばいいか………………実は私は、かつてアメリカのニューヨークで活動していたヒーローのアントマンなんだ」

 

「アントマン!?この世界に………じゃなくて聞いた事ないな」

 

まあ貴方の名前聞いてからそうだとは思ってましたけど。転生後この世界に俺が知っているヒーローがいないか検索して見たがアントマンの情報はほとんど無かったな。それじゃあワスプも自動的にいるって事になるのかな。

 

「引退の時に私関連のデータは全て抹消したからな。幼い頃、無個性だった私はヒーローを夢見ていた。そして10半ばの頃、私はある粒子を見つけた。それはとても珍しい亜原子粒子だった。私はその粒子を研究し自身の体を蟻と同じサイズに変える事が出来るスーツを開発した。当時はまだヒーローの法律は曖昧でね、スーツが完成して以来私はヒーロー活動に励んだものさ。まあ今となってはスーツの影響でもうアントマンにはなれないがね」

 

10代半ばでピム粒子を見つけるなんてこの世界のピム博士もヤバイな。ここまでは原作のハンク・ピムとほぼ同じ流れだ。でも問題は何処からがこの世界のアントマンの話かだな。まさか今はウルトロンを作ったとか言うんじゃないよな?

 

「実は今ピムテックで私が発見した粒子が悪用されようとしている。私はそれを何としてでも阻止したい。純一君、君には是非」

 

神展開キタコレ!

 

「アントマンを継いで欲しいって!?」

 

「いいや。まさかそんな事言うわけないじゃないか。アントマンはずっと私だけさ。まあ私が死んだり、気が変わったらアントマンを譲ってやらんでもないぞ?それに君には君のなりたいヒーローがあるだろ?」

 

んーそう来たか、でも俺が思い描いたヒーロー像って言うとやっぱりアイアンマンとかスーパーマンとかかな。後はフラッシュとかロールシャッハとか…………いやロールシャッハは違うな。やっぱり人の役に立てるヒーローになりたいかな。でもアントマンになれないのはちょっと残念かも。

 

「勿論、この事が成功したら私が雄英高校に推薦状を書こう。君は晴れて推薦入試を受ける事が出来る」

 

「………言葉が出ないよ。俺は少年院に入ってからずっと、もう二度と法に触れた侵入も盗みも破壊もしないと誓った。今度こそそれを証明してみせる!で、何をすればいい?」

 

「ピムテックに侵入して粒子とそれ用のスーツを盗み出し破壊するんだ」

 

 

一方その頃ピムテック。ピムテックは日本に進出した企業の一つである。そしてそのピムテックの日本支部には地下に広大な研究施設を設けていた。その研究室にいる一人の男性、彼の名は田連カケル。彼は今ピム博士が生み出した粒子と同じものを作っていた。

 

「………547回目のテスト、今回は実験体に直接粒子を浴びせずフィルター越しに照射する」

 

テープレコーダーに記録したカケルは部下に一匹のヤギを持ってくるように指示した。そして連れてきたヤギを手術台に乗せ特殊なフィルターの籠を被せた。完全に密閉状態にし粒子を照射した。粒子を浴びたヤギは籠もろとも一気に縮小した。

 

「ハッ!やったぞ、ついに成功だ!早速これで試作品を作ろう!」

 

ハンク・ピムの驚いた顔が眼に浮かぶ。それにこれが実用化すればヒーローなんて時代遅れになる。これからは『イエロージャケット』の時代だ。

 

 

 

「それじゃあ地下室に来てくれ」

 

博士はカップを置き俺を屋敷の地下室へと誘った。結局俺は紅茶を口にしなかった。地下室に降りるとそこには研究室が広がっていた。そして博士は金庫からスーツケースを取り出し暗証番号を入力した。入力するとケースの鍵が開き中からブレスと鉢のロボットが出て来た。これって仮面ライダーザビーのザビーゼクターか?

 

「私は数年前からヒーローが事件現場で迅速に活動が行え瞬間的に装着できるコスチュームの開発に取り組んでいた。そしてそのプロトタイプがコレだ、ライダーが着るスーツを元に素材はヒヒイロカネを使用した。君の個性に合わせてカスタマイズは予め施してある」

 

「何で蟻じゃないわけ?」

 

「被ったらつまらないだろ?」

 

「なるほど」

 

知ってるけど一応普通の反応はしておこう。それにしてもやっぱりハンク・ピムは天才だな。でもこれにクロックアップシステムは付いているのか?もっと言えばキャストオフのシステムも。この世界にはワームなんていないからクロックアップの必要もないし。

 

「で、どうやって変身するの?」

 

「先ずはそのブレスをはめる。その次なんだが」

 

俺は博士と話しながらブレスを手にはめザビーゼクターに手を伸ばした。何はともあれテレビの中のヒーローに本当に変身すると言うのはテンションが上がる。俺はゼクターを手に取ろうとしたその時、急にゼクターが起動し俺に襲いかかって来た。

 

「いきなりなんだよ!?」

 

「言い忘れていたがそれには私が開発したAIが組み込まれている。だから君をマスターとして認めればめでたく変身出来るわけだが」

 

「あんたが作ったんだろ?だったら指令とか出して俺をマスターとして登録すればいいじゃないの?」

 

「それが出来れば苦労しないさ。最新鋭のAIだけに自我を持ってしまい、今では私の言うことも聞かないんだ」

 

そんな答えは望んでないよ博士!ザビーゼクターは針を突き出し威嚇していた。ええと、原作では確か女王様タイプだったよな。それとリーダーとしての資質を持った奴にしか付いていかない性格のはず。俺はお世辞にもリーダーが務まる柄じゃない。とりあえず先ずは語りかけてみよう。

 

「なあ、頼むよ。俺に力を貸してくれないか?後で甘〜い蜂蜜を買ってやるよ」

 

ザビーゼクターは尚も威嚇を続けていた。くそっ、こうなりゃ強行手段だ。俺は久しぶりに個性を発動し身長1.5cmまで縮小した。このサイズになるとジャンプ力が数段に上がりパンチ力は弾丸と同じ強さを誇る。俺はザビーゼクターに向かって走り出しタイミングを見計らってザビーゼクターの背面に飛び乗った。

 

「ロデオはやった事あるんだけど蜂になったのは初めてだ!!」

 

暴れるザビーゼクターを押さえつけ力技で飛ぶ方向を壁へ壁へと追いやっていく。

 

「イヤッホーウイ!!」

 

そして壁とザビーゼクターがぶつかる瞬間俺はザビーゼクターから飛び降りたとのサイズへと戻った。壁と正面衝突したザビーゼクターはそのまま地面へ落下して行った。俺は右手で落ちて来るザビーゼクターをキャッチした。しかしすぐに羽ばたきまたも俺に針を向けてきた。

 

「いいか蜂ちゃん、これからは俺がボスだ。な、まあ仲良くしようや」

 

俺がそう言うとザビーゼクターはしばらく考え込んだ。考えた末、針をしまい俺の周りを数回周り俺の左手の上に降り立った。俺はそんなザビーゼクターを撫でてやった。こいつ意外と可愛い奴じゃないか。

 

「ようしいい子だ」

 

「驚いたな、まさかこんなに早く君をマスターと認めるなんて」

 

「そうだ、ニックネームはビーにしよう」

 

ザビーのビーを取ってビーだ。なかなかいいニックネームじゃないか。さていよいよこの瞬間がやってきた、前世から憧れていた変身だ。俺はビーをライダーブレスに装着し変身した。

 

「変身」

 

《HENSHIN》

 

ブレスにビーをを装着した瞬間、ブレスからヒヒイロカネが広がり蜂の巣を模したスーツが展開される。仮面の内部はディスプレイ画面になっていて救助者の場所を特定する事ができる。その姿は俺の前世ではこう呼ばれていた。仮面ライダーザビーマスクドフォームと。

 

「成功だな。その姿はパワー系のヴィランとの戦闘用を考慮して防御を重視した姿マスクドフォームとでも呼ぼうか」

 

凄え、俺仮面ライダーになったんだ。このスーツも撮影用とかアトラク用じゃなくてマジモンのスーツだ。思ってたよりなんか軽いな。

 

「個性を発動する時はベルトの腰にあるスイッチを深く押すんだ」

 

「話は終わったのか?」

 

声のする方にはゴス系の少女が俺にメンチを切りドアの前に立っていた。博士のお孫さんかな?にしては何か印象悪いな。でもなかなか可愛いんじゃないか?

 

「紹介しよう、娘のノゾミだ。因みに君と同じ年齢だ」

 

「娘!?失礼だけど博士今いくつ?」

 

「結婚するのが遅かったんだ、余計な事を言うな」

 

「お前は……地獄を見た事があるか?」

 

「は、何て?地獄とな?」

 

この子かなりの厨二病か…………それとも心を病んでるのかどっちなんだ?雰囲気的には地獄兄弟の兄貴の方に近い気もする。にしても可愛い顔してとんでも無いことを口走る子だな。服のせいかもしれないが。

 

「あるよ、正月のバーゲンでおばさん集団の波に呑まれた。あれはもう地獄絵様としか言いようがない。それにしても君なんか暗いよ、もうちょっと明るくならない?」

 

「………どうせ私なんて」

 

「すまない、娘は少し心を病んでるんだ」

 

「誰のせいでこうなったと?」

 

嫌悪なムードが部屋に広がってきていた。この二人に何があったのかは知らないが、一度カウンセリングを受けた方が良さそうなのは間違いない。




♢ 蟻吉純一

アメコミや特撮が好きな青年が事故で死亡しヒロアカの世界に転生した。転生後、純一が5歳の時に父と母は幼い妹と一緒に心中をはかった。それ以来親戚の蜂賀恵の家に居候している。そしてそれから数年後、恵の働いている会社の汚職を知った恵は汚職を告発しようとし会社をクビになった。そのことに腹が立ち純一は会社に侵入し、データを盗み出しネットに公開した。その直後、社長に見つかるも社長を殴り倒し少年院に収監される。その時、純一の面倒を見た警察官は恵が最近付き合い始めた只野智也巡査長だった。因みに純一は只野の事があまり好きではない。

♢個性『リダクション』
身体を身につけているもの込みで縮小出来る(手錠など身体を捕縛しているものは縮小しない)。縮小後はジャンプ力が格段に上がり、繰り出す拳は銃弾と同じ威力を持つ。普段は手に装着されたブレスレッドが特殊な電流を流し個性を操作している。もしブレスレットが無ければ彼の体は永遠に縮小し続けるだろう。

♢ザビー(プロトタイプ)
原作とは違いワームがこの世界に存在しないためクロックアップシステムは存在しない。その代わり装着者の個性に合うように改良が加えられている。純一の場合、ベルトのサイドバックルを深く押すと体が縮小する。ライダーフォームは両肩の羽のパーツが無い。必殺技のライダースティングは超強力な麻酔や鎮静剤などを合成し放つ事が出来る。また普通の打撃攻撃においても相当なダメージを与える事が出来る。
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