IS-Lost Boy-   作:reizen

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3月13日 ラウラの部分を無理やり付け足しました。

4/1 ラウラの設定を明確にしました。


ep.26 相応の処分

 気絶したラウラは、すぐに医療棟に運ばれて精密検査が行われ、異常が見当たらなかったためすぐに保健室へと移動させられていた。そこで彼女が目を覚ました時、辺りは既にオレンジの日が指していた。

 

「あら、目を覚ましたのね」

「……貴様は」

「私は更識楯無。IS学園の生徒会長よ」

 

 その名前に聞き覚えがあったラウラはすぐに目の前の人物がどこに所属する人間か理解した。

 

「ロシアの人間が何の用だ?」

「今日はそっちじゃなくて、生徒会長として話に来たの。ところで、VTシステムは知っているかしら?」

 

 途端にラウラは馬鹿にしてきたと感じ、楯無を睨みながら言った。

 

「正式名称は「ヴァルキリー・トレース・システム」。過去のモンド・グロッソの部門受賞者(ヴァルキリー)の動きをトレースするシステムで、IS条約で今は完全に触れることを禁止されているものだろう。それが一体……なんだと……」

「気付いたようね。VTシステムがあなたの機体の中に隠されていたみたいなの」

「……隠されていた……みたい……?」

「そう。今は完全に消失しているって言った方が良いかしらね。おそらくはあったかもしれない空洞が発見されたはいいけど、これまでの物は何らかの痕跡が残っていたのに今回は全くない。でもま、ドイツは大打撃でしょうね」

 

 その言葉にラウラは震え始めた。彼女は祖国が好きだ。その祖国に軍人である自分が迷惑なんて言葉で終わらない被害を与えたのだ。

 

「―――安心するといい」

 

 急に声をかけられたラウラは顔を上げる。

 

「………あなたは……いや、どうしてここに……」

「なぁに。たまたま数日は暇だったので最新機影の調子を見に来たわけよ。しかし思いの外惨敗だったな。第二世代に後れを取るなど、黒ウサギ部隊の隊長として操縦センスは低いというわけか」

「むしろ、そこは私の部下を褒めていただきたいですわ、レイング・ブラッド・クロニクル国防大臣」

 

 楯無はラウラと形が似ている眼帯を左目に付けた男に臆することなくそう言った。

 

「……あの、安心しろというのは……」

「先程、シュヴァルツェ・ハーゼが君の無実を証明するために仕組んだと思われる人物を複数拘束した。私が帰国した後、奴らを調べるつもりだが……聞くところによると出世争いが原因だそうだ」

「………つまり、これは私たちの存在を邪魔だと思う者たちの行動だと?」

「そういうことだ」

 

 そう言ってレイングはラウラに彼女の携帯電話を渡した。

 

「もう少し体が楽になってからで構わないが、彼女らを労ってやることだ。では、私はこれで失礼する」

「お送りします」

 

 レイングの後を追うように楯無は部屋を出る。

 

「しかし驚いたな。まさかあのじゃじゃ馬娘を手懐けられる男が現れようとは思わなんだ」

「手懐けた、とは少し違いますよ。確かに彼は自分の勝利のためにラウラちゃんと組みましたが、決勝に進んだのは一重に2人の実力です」

「……一度会って話してみたいものだ」

 

 その言葉に楯無は思わず笑った。

 

「そんなに、()さんと仲良くしている男の子が気になりますか?」

「……一体、君たちはどこでそんな情報を手に入れてくるのやら」

 

 そう言うレイングの顔は、どこか満足そうにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく経ち、ラウラは部下のクラリッサ・ハルフォーフに電話をかける。数コールで相手は電話に出ると、普段からは考えられない声が聞こえてきた。

 

『どうしましたか、隊長』

「……いや、少し声が聞きたくなってな。演習中に済まない」

『いえ。先程まで別の事をしていたので、今は休憩中です』

 

 その別の事をさっき聞いたラウラはぎこちなく言った。

 

「………ありがとう……私の、無実を晴らしてくれて」

『ふ、副隊長!?』

「な、何だ!? 一体どうした?!」

 

 急に別の声が聞こえたため、動揺したラウラは思わず声を大きくして聞いた。

 

『いえ、お気になさらず。ただ少し視界が赤くなっただけです』

「………そうか」

 

 ちなみに向こうでは鼻から勢いよく出血し、今も止まっていないのでクラリッサを他の隊員がフォローしていた。

 

『それに、私たちは家族ではないですか』

 

 その言葉にラウラはふと、智久から聞いたことを思い出した。

 ラウラは以前、休まずに別リーグの試合も含めて可能な限りデータを取っている智久に質問したことがあった。「どうしてそんなに頑張ろうとするのか」と。その時智久は「僕には家族がいるから、未来の大黒柱としてみんなを一人前にしないといけないし、死んだら悲しむから」と答えていた。

 クラリッサがそう言った理由は、シュヴァルツェ・ハーゼの隊員は試験管から生まれたラウラを含めて全員が孤児で構成されているからである。

 今までラウラは部隊員を鬱陶しい存在としか思っていなかったが、その言葉に胸が熱くなっていた。

 

「………ありがとう」

 

 もう一度お礼を言うラウラ。すると急に電話が切れると言うことが起こったが、ラウラは既に気にしていなかった。

 

 ……その頃、ドイツ軍IS特殊部隊のとある一角では、人命救助が行われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 目を覚ますと、僕はベッドに寝転がされていた。隣では案の定布仏さんが寝ている。少し違うとすれば更識さんがノートパソコンのキーボードを叩いているところだろう。

 

「あ、おはよう」

「おはよう。よく眠れた?」

「うん。なんとかね」

 

 最近、布仏さんがお香の代わりになっている気がする。

 

「じゃあ、私は帰るから」

「うん。あ、布仏さんも―――」

「本音も疲れているみたいだから、ここで寝かせといて」

 

 そう言われて僕は頷いた。……何故か頷いていた。

 

「あ、そういえば北条院のみんなは―――」

「さっき帰った。あの幸那って女の子も……」

「……そう」

 

 返す前に挨拶したかったなぁと思っていると、更識さんは立ち上がって「じゃあ、これで」と言って部屋を出る。

 

(そういえば、試合はどうなったんだろう……)

 

 いや、考えるまでもない。デュノア君は先に倒したから僕らの勝ちだろう。ボーデヴィッヒさんがVTシステムを起動したけど、その前に僕は倒せたはずだろうし。

 そう考えていると、僕が寝ている部屋のドアが開かれた。

 

「時雨君は……ああ、もう起きていましたか」

「こんにちは、学園長。試合がどうなったか教えてもらってもよろしいでしょうか?」

 

 早速尋ねると、学園長は暗い顔をする。

 

「ええ。そのことですが……あなたたちの負けということになりました」

「VTシステム、ですか」

「………どこでそれを知ったのですか?」

 

 あ、確かVTシステムは禁忌扱いだったんだ。これはマズいな……。

 かと言って、経験上不思議体験は受け入れてくれないし。

 

「えっと、それは―――」

「嘘ですね」

「まだ何も言ってませんよね。……えっと、笑わないで聞いてくれますか?」

 

 そう前置きすると、学園長は「わかりました」と答えてくれたので、事の顛末をすべて話した。

 

「………VTシステムから、声が……」

「信じてくれ、と言うつもりはありません」

「いえ、信じます。というか、信じなければあの行動は理解できませんからね。少しは自分の体を大事にしてください。あなたが死ねば悲しむ人がいるんですよ?」

「そうですね。少しやり過ぎました………でも、僕は後悔していません」

 

 1人だけど、助け出すことはできた。それが僕にとってメリットがあるかどうかはともかく。

 

「………まぁ、あなたの身体である以上はそれ以上は言いませんが………はぁ」

 

 ため息を吐かれた僕は少し困惑した。

 

「では、私はこれで失礼します。まだ仕事が残っているので」

「はい。お見舞い、ありがとうございました」

「いえいえ。それと、特に異常は見当たりませんでしたが、明日と臨海学校前に検査を受けてください。少し早く起きてもらうことになりますが」

「わかりました」

 

 学園長は立ち上がり、出て行こうとしたところで足を止める。

 

「それと、この年齢で不純異性交遊は私も反対ですが、キス程度までなら構いませんよ?」

「………えっと、一体何の話ですか?」

 

 唐突にそんなことを言われて僕は混乱した。

 待って! 確かに僕の周りに女性は多いけど、僕は性行なんてしたことがないんですが! ……まぁ、それに近いことはしているけど。

 

「……しぐしぐ」

「あ、おはよう。布仏さ―――」

 

 何を思ったのか、布仏さんは僕の膝の上に乗ってそのまま押し倒してきた。

 

「失礼します。時雨君に朗報が―――」

 

 突然入って来た山田先生は、僕らの現状を見て固まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 布仏さんを部屋で寝かして、僕は山田先生のいう朗報を聞いて風呂場に向かった。確かにお風呂は疲れた体にぴったりだ。

 そう思って風呂場に向かい、脱衣所で準備を整えて中に入ると少しして悲鳴が上がった。

 

「し、時雨君!? どうして―――」

「僕も男だから風呂に入る権利はあると思うけど? それとも僕の存在は君たちよりもちっぽけだったっけ?」

「そ、そうじゃないけど………」

 

 慌てふためくのも無理はない。だって3人のうち1人は女なのだから。……というか、何でどっちも入ってるんだろ。僕の場合は2人分の鍵が無くなっているんを知った上で入ったけど、よくよく考えれば不健全極まりない。やっぱり織斑君って女を連れ込んでエロいことをしていると思われる。

 

「だったらいちいち騒がないでよ。こっちは周りに恵まれた君たちと違って連戦で疲れてるんだから」

 

 そう言って僕は近くの洗面器を取って体を洗い始める。

 

「シャルル、今の内に」

「え? でも流石にマズいんじゃ……」

「大丈夫だ。あそこなら智久も気付かない」

 

 すべて会話は聞こえていますよ~。

 前を隠しながら僕の前を通る。「僕は先に出るね」と言ったので適当に返事をする。

 全身を洗い終わった僕は泡を流して風呂に入ると、織斑君が声をかけてきた。

 

「智久、試合の結果は聞いたか?」

「僕らが危険なシステムを持ち込んだってことでこっちの負けでしょ。何が言いたいの? 君の反省点なら上げれるけど」

「……何だよ」

「エネルギー消費が激しいこと。剣一本だということに疑問を持たないこと。あと馬鹿なことかな」

「馬鹿ってなんだよ、馬鹿って!」

 

 え? 自分が馬鹿だって気付いていないの?

 いや、気付いていたら、あんなことは言わないか。

 

「大体、試合があんなことになったのに、君は勝敗に拘る気?」

「そうじゃない。それよりか聞きたいことがあるんだ」

「聞きたいこと?」

「ああ。どうしてあの時、千冬姉の偽物を作動させたか」

 

 ……何だ。そんなことか。

 結果として、僕はVTシステムを完全に作動させたことになるんだよね。あれじゃあ。

 

「別に。ただ力が手に入ると思って入っただけだよ」

 

 学園長には声が聞こえたことは周りには言わないようにと厳命されたので、他にありがちな言葉を選んだ。

 

「だからって、何も千冬姉じゃなくても良いだろ!!」

「………仕方ないんじゃない? 君のお姉さんは世界的にも活躍した人間なんだ。データを再現して模擬戦に使われるのはある意味当然だよ」

「でも、千冬姉だけのものをあんな風に使うなんて………」

 

 もしかしてこの人、シスコン?

 そう思うと僕は寒気を感じ始めた。そりゃあ意見なんて合わないわけだ。

 

「僕はもう出るよ。君と話合っても平行線を辿ることになる」

 

 そう言ってから僕は風呂を出る。その間に僕は内心思っていたことがある。織斑一夏の思考は、いずれ周りを殺す。それが僕の周りでないことを願っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 菊代は諸々の処理を終えた後にメールの整理をしていると、とある場所からメールが届いていることを確認した。

 

(これは……ドイツから?)

 

 すぐに開くと、パソコンに備わっている翻訳機能でドイツ語と日本語が記載された文が表示される。これはISが世に出たのが日本語であり、また篠ノ之束が日本語しかできないというのが一つの理由で、そのせいか公用語が日本に変化しつつあった。余談だが、自動翻訳機能を開発したシステム会社はあらゆる人脈を使い、文を監修したことによって莫大な利益を得たようだ。

 送られた文は今回の不祥事で軍部が中心となって責任を負うこと、また最大の被害者である時雨智久に対して賠償金を支払い、また別に今回使用した武装の一部を買い取りたいという旨が書かれていた。

 

(………明日にしますか)

 

 時間は既に23時を過ぎている。この時間に電話をしても相手が出ることはないと思った菊代は忘れないようにメモをして寝る準備をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 翌日。メディカルチェックを受けてから時間を見ると、既に8時30分の少し前。これじゃあ、医療棟から教室まではどれだけ走っても時間がかかる。

 そう思った僕は事前通達されていると思いながら歩いていくことにした。そして本棟の方に入ると時間的に意外な人物と出会う。

 

「あ、時雨君」

「布仏先輩、どうしたんですか? っていうか遅刻ですよ?」

「生徒会の仕事って他の学校の生徒会に比べたら凄く多いので、HRや授業の出席は免除されるんです。まぁ、あまり休まないようにしていますけどね。それと、これを」

 

 先輩は僕が昨日まで着けていた打鉄の待機状態であるネクタイピンを渡してくれた。

 

「ありがとうございます。わざわざこれを?」

「はい。結局、私たちは何もできませんでしたし……こういうことしか」

「そんな。僕は十分に助かってますよ。だって今まで何かを細工されたことありませんし、先輩が手を貸してくれたおかげで僕は事実上の優勝も果たせたわけですしね」

「………結局、それも再審されずに準優勝扱いですけどね」

「それでも十分マシですよ。ボーデヴィッヒさんの機体に仕込まれていたのってとても危険なものだったんでしょ? そんなものを持ち込んだら、1回戦敗退扱いされてもおかしくないですよ」

 

 まぁ、流石にそんなことをされたら僕でも怒るけどね。

 

「大丈夫です。もしそんな人がいたら私が全力で黙らせますから」

 

 笑顔で言っているけど、何故か寒気が止まらない。そう思った時、爆発音がした。

 

「襲撃ですか?」

「もしかしたら。場所は……1年1組からですね」

 

 どう考えても織斑君絡みだと思った瞬間だった。

 僕らは急いで1年1組の教室に向かう。既に何事かと人が集まり始めていて、僕は中を覗くとシュヴァルツェア・レーゲンを展開しているボーデヴィッヒさんが同じく甲龍を展開している凰さんを拘束していた。

 

「……あの、これってどういう状況?」

「時雨か。おそかったな」

「さっきまでメディカルチェックを受けてたんだ。………それで、何でこんな状況に?」

「私もさっきまで機体の修復を行っていてな。それが終わった時に来てみればドアが破壊されていたから乗り込んでみればこの女が織斑に向けて攻撃していたのを止めてすぐさま拘束した」

「ちょっと! さっきからどこに絡ませてるのよ!?」

 

 凰さんの言い分はこの際無視して、と。

 僕は改めて壊されたドアを見る。

 

「凰さん、一体何でこんなことをしたの?」

「それは、一夏が女と一緒に風呂に入ったって聞いたから……」

「だからって他のクラスの教室を壊しますか、普通」

 

 あり得ない物……もとい人を見る目で凰さんを見る布仏先輩。その気持ち、よくわかる。

 すると僕の後ろでレーザーが通る気配がした。変な話、本当にそんな気配を感じたんだ。

 

「あら、一夏さん。どこかにお出かけですか? わたくし、実はどうしてもお話ししなくてはならないことがありまして。突然ですが急を要しますの」

「お、落ち着けセシリア。流石にそれはマズい」

 

 何故かオルコットさんがISを展開している。ちょっ、ここはアリーナじゃないんだからIS展開はダメでしょ!?

 

 ―――ダンッ!!

 

 止めようとしたところで今度は別の場所で音が……えっと、篠ノ之さん?

 

「一夏、貴様どういうつもりか説明してもらおうか」

「待て待て待て! これには少しばかり事情が―――おわぁっ!?」

 

 何で学園はあの人に本物の刀を携帯することを許可したんだよ!?

 鞘から刀を抜いて織斑君を斬ろうとする篠ノ之さん。それをスカートを履いたデュノア君が防いだ。

 

「一夏はやらせない!」

 

 原因、あなたです。……じゃなくて、ともかく今は止めないと。

 

「もう止めてよみんな! そんなことをしたって何の解決にもならないじゃないか!!」

「それ以上攻撃を繰り返すというならば、それ相応の処分を下します!」

「貴様ら「あなた方」は黙っていろ「ください」!!」

 

 そう僕らに言った2人は再び織斑君に攻撃を続けようとした。

 

「わかりました。ならばあなた方を―――」

 

 僕は先輩に手を挙げることで制止しした。

 

「すみません。先輩とボーデヴィッヒさんは耳を塞いでください」

「え?」

「何かするのか?」

「僕だって男だってところで見せるので」

 

 僕は軽く息を吸ってから、できるだけ低く、太い声を出した。

 

「―――いい加減にしろッッッ!!!」

 

 ISの補助機能はすぐに働くけど、それでも少しはダメージは食らう。それを利用した僕は叫んで怯ませる。

 

「な、何ですのいきなり―――」

「何ですの? じゃないよ。何でISを展開してこんなお祭りを行っているのさ」

「そ、それは、一夏さんがデュノアさんと風呂に……」

「そうだ! これは正当な制裁だ!」

「何が正当な制裁だ!」

 

 まったく、馬鹿げているとしか言いようがない。

 僕は織斑君の腕を持って廊下に出させる。その前に、

 

「デュノア……さん。君も教室で待機」

「え? 僕も一緒に―――」

「君がすることは大人しく教室で待機することだ。それと図々しいよ。スパイのくせして」

「!?」

「そんな言い方はないだろ!? シャルルはしたくて―――」

「命令だろうがなんだろうが、自ら状況を打破できなかった人に反論する権利なんてないさ。今彼女がするべきことは拠り所を探すことじゃない。耐えることだ。それができないならとっとと自首してフランスの牢屋にでも入って実刑判決を待つんだね」

 

 少なくとも、IS学園にいるのはそこにいるよりも何倍もマシだと思うけどね。

 

「で、一体どうしてこんなことになったんだい?」

「その前にシャルルのことを―――」

「それは終わったことだ。で、一体何で教室があんな風になったの?」

「だから―――」

 

 僕は股間にある2つの玉を蹴り飛ばし、織斑君の親指を踏み抜いた。

 

「いってぇええええ!?」

「もういい。君もさっさと死んでくれ」

 

 むしろ僕自身が殺したい気分だ。

 教室の中で掃除が始まっている。とりあえず僕はいるであろう同居人の姿を探していると、先輩と一緒に出てきた。

 

「本音、話してくれないかしら?」

「うん。さっき聞いた通り、シャルル・デュノアが織斑先生に告白したことで前々から準備していたことを実行して手筈通りに事を進めていたんだけど、昨日風呂に入ったって話になって、聞きつけた凰鈴音が乱入したの。後は2人の知っている通りだよ」

「………そう。ありがとう、布仏さん」

 

 僕はそう言って教室の中に入り、勉強にはすぐに必要ないと思ったものを回収し始めた。

 

「―――これは一体どういう状況だ?」

 

 また1人、遅刻者が現れた。織斑先生だ。

 

「ちょうど良かった。織斑先生、今すぐ篠ノ之さんは刀を、そしてオルコットさんと凰さんの専用機を没収して破壊してください」

「待て。どうしてそんな話になる」

 

 僕は織斑先生に事情を説明すると、先生は大きくため息を吐いた。

 

「そう言いたくなる気持ちはわかるがな、残念ながら専用機の扱いを変える権限はこちらにはない。だが篠ノ之、貴様に関しては刀の所有を考えなくてはいかないな」

「そんな……!?」

「あと、オルコットと凰、貴様らは3日の謹慎を命じる」

「随分と少ないですね」

 

 そう突っ込むと、織斑先生はさらにため息を吐いた。

 

「残念ながら、そろそろ臨海学校があるだろう? そこで機体のテストがあるのでよほどの事情が無い限り、出席させるように通達が来た」

「………わかりました。ならばこちらが帰らせていただきます」

 

 事情が事情なら仕方ない。僕は僕でさっさと部屋に帰るとしよう。

 

「……一応、理由を聞いておこうか?」

「じゃあこちらとしても尋ねたいのですが、どうして兵器を扱っている自覚がない屑豚共と机を並べておままごとをやらなければいけないんですか? ましてや素人である我々を侮辱し潰そうとする者や、下らない動機で暴走し、他人を傷つけるような屑、そして自分のエゴを押し付けるようなゴミ屑と一緒だなんていずれ殺されます。ましてや副担任が全く機能しない事態ならなおのことですよ」

 

 近くで悲鳴が上がったけど気にしない。全く機能していないことは事実なんだし。

 

「まぁ、折衷案はないこともないですが」

「何だ?」

 

 気のせいかな、織斑先生がこっちに近付いてきた。

 

「専用機持ちに限り、僕個人に機体情報のデータを包み隠さず開示すること、もしくは僕の人型に対する攻撃の躊躇いを完全に消すためのサンドバックになること、後は思いつき次第提案します。では僕はこれで」

「待て。帰るのはその、少し待ってくれないか?」

「理由を聞きましょうか?」

「まだ奴らの処罰まで考えていないだろう?」

 

 なるほど。それが理由か。

 僕はグラウンドを20周させた後、休憩抜きで腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワットをそれぞれ100×5セットを提案。布仏先輩も会長にそれをする許可を取ってくれたので、3人は地獄を見ることになった。

 ちなみに、この後ボーデヴィッヒさんが昨日のことを謝罪してくれた。何故か「セフレ」というのが出てきて周囲を凍てつかせたけど、独自で調べて「男女間の友人の最大状態」というのはお互いの裸を見せるという点に関しては確かにそうだと思ってしまったけど、なんとか誤解を解くことに成功した。………とりあえず、ボーデヴィッヒさんには常識を叩き込もう。そうじゃないと彼女はいずれ男に騙される気がする。

 

 

 そして数日後、処罰された3人が外で倒れている姿がいたので仕方なく実験段階だったホバーで保健室に連れて行ってあげた。また、篠ノ之さんは立場上、木刀の所持は認められたようだが人を殺める危険性があるので刀は学園が没収。厳重に保管されることになったようだ。




他のキャラ政党の人たちに悪いですが、ぶっちゃけた話ここは全く擁護できません。一緒に風呂に入っただけで衝撃砲を使用。キスしただけでそれぞれが殺しに行くなど、普通なら退学処分……いや、銃殺処分くらいになっても当然と思います。いくら彼女でもここまでしたら一発で嫌われるレベルです。というかこんなことをされて切れない一夏やクラスメイトが異常です。


ということで次回から第3章。完成し次第、リンク切りを解除します。
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